昇給とは?ベースアップとの違いやメリット・デメリットを解説 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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昇給とは?ベースアップとの違いやメリット・デメリットを解説

「昇給とベースアップの違いは?」

「うちの会社の昇給率は妥当なのか?」

「従業員満足度の高い昇給制度を導入するコツは?」

上記の疑問をお持ちではありませんか。

昇給とは、従業員の基本給の金額が上がることです。日本労働組合総連合の調査によると、令和6年度の春闘での昇給率は、全体5.1%との結果が出ています。

企業は昇給やベースアップ(ベア)を適切に実施することで、優秀な人材の確保や流出防止が可能です。

そこで本記事では、昇給の概要や種類、ベースアップ(ベア)との違い、メリット・デメリットについて解説します。また、企業の昇給率の平均値や昇給金額の計算方法についてもまとめました。

最後まで読むことで、昇給の理解が深まり、自社への導入を検討する材料となるでしょう。

参考:2024春季生活闘争 第7回(最終)回答集計結果について|日本労働組合総連合

1. 昇給とは従業員の基本給が上がること

昇給とは、従業員の基本給が上がることです。基本給は、毎月企業から支払われる給与のことで、ボーナスは含みません。

昇給を決める要因は、大きく分けて以下の3つがあります。

  • 業績
  • 勤続年数
  • スキル・能力

一般的なのは、年に一度のタイミングで昇給する定期昇給です。また、特定の成果を上げたときや資格を取得したときなどに、特別昇給が実施されることもあります。

2. 昇給と昇格の違い

昇給と昇格の違いは、以下のとおりです。

昇給 従業員の業績や勤続年数に基づいて基本給が上がること
昇格 従業員の役職や職位が上がること

昇給は給与面の変化、昇格は地位や役割の変化といえます。昇給は昇格にともなうことが一般的ですが、必ずしもセットではありません。

3. 昇給とベースアップ(ベア)の違い

昇給とベースアップ(ベア)の違いは、以下のとおりです。

昇給 ベースアップ(ベア)
対象 従業員ごと 従業員全員
要因 本人のスキルや勤続年数など インフレ対策や生活水準の向上など

昇給は従業員の個別の評価により実施するもので、一人ひとりのスキルや勤続年数にもとづき実施することが一般的です。

一方で、ベースアップ(ベア)は、従業員全員の基本給が一律に引き上げられます。インフレ対策や生活水準の向上が目的です。

一般的に、毎年の春季闘争(春闘)において、労働組合と企業間の賃金交渉で決まります。

4. 昇給制度の種類

昇給制度は企業ごとにさまざまな形で運営されていますが、大きく分けると6つの種類があります。

種類 特徴
定期昇給 ・一定の期間ごとに自動的に基本給が引き上げられる

・一般的に年1回実施される

・昇給額は勤続年数に応じて決まる

臨時昇給 ・一時的に基本給が引き上げられる

・資格取得や特別な業績を上げた場合などに適用される

自動昇給 ・一定の基準を満たすと自動的に基本給が引き上げられる

・従業員の評価に関係なく実施される

考課昇給 ・業績評価や勤務態度に基づいて個別に評価される

・企業ごとに昇給条件や昇給率が大きく異なる

普通昇給 ・一般的に年次ベースで行われる

・スキルや職務能力の向上により基本給が引き上げられる

・特別昇給と対になって使用されることが多い

特別昇給 ・特殊な状況下で基本給が引き上げられる

・昇格に伴う昇給や特別な業績を達成した場合に適用される

・普通昇給と対になって使用されることが多い

昇給制度は、企業の方針や従業員の役割によっても異なります。企業経営者は、それぞれの特徴を理解し、自社に適した昇給方法を選択しましょう

5. 昇給制度の3つのメリット

昇給制度を整えることによる企業側のメリットは3つです。

  1. 従業員の人件費を予測できる
  2. 従業員の定着率が高まる
  3. 従業員のモチベーションが向上する

5-1. 従業員の人件費を予測できる

昇給制度を整えることで、将来的に必要な人件費を予測できます。理由は、昇給額やタイミングが明確になるためです。

例えば、定期昇給を導入している企業は、毎年昇給に必要な金額が一定になります。計算により将来的な予測を立てられるため、資金計画や設備投資計画を立てやすいです。

5-2. 従業員の定着率が高まる

昇給制度は、従業員の定着率が高まることがメリットです。勤続年数に応じて昇給するため、従業員が「長く働き続けよう」と考える要因になります

従業員が転職を視野に入れている場合でも、昇給制度がしっかりしている企業の場合は「来年は給与も上がるし、もう少し頑張ってみよう」と考えやすいです。

昇給制度を整えることで、従業員が長期的に働くモチベーションを維持しやすくなります。

5-3. 従業員のモチベーションが向上する

昇給制度は、従業員のモチベーション向上に大きく貢献します。特に、考課昇給や特別昇給など、業績や成果に応じて基本給が上がる制度は、従業員にとって大きなインセンティブです。

例えば、高い営業目標を達成した従業員に、特別昇給を与えることで、「努力したかいがあった」「さらに高い成果を上げたい!」などと意欲が湧きます。モチベーションの高い従業員が増えれば、企業の業績を向上させることが可能です。

6. 昇給制度の2つのデメリット

昇給制度を整えることによる企業側のメリットは2つです。

  1. 評価基準をあいまいにすると不満につながる
  2. 人事考課に時間とコストがかかる

6-1. 評価基準をあいまいにすると不満につながる

評価基準をあいまいにすると、従業員の不満が高まるリスクがあります。場合によっては、仕事へのモチベーションを失い、退職につながるおそれがあるでしょう

例えば、所属する部署や業績が同じにもかかわらず評価が異なり、昇給額に大きな差がある場合は、従業員が不公平だと感じやすいです。

明確な基準がない企業では、昇給が逆効果となる可能性があるため、透明性のある人事考課に努めましょう。

6-2. 人事考課に時間とコストがかかる

昇給制度の導入には、時間とコストがかかるデメリットもあります。従業員一人ひとりの業績を公平に評価するためには、丁寧な人事考課が必要であるためです。

例えば、従業員を評価する管理者の研修や評価シートの作成などが発生すると、企業の運営コストは増加します。

人事考課の手間が大きすぎる場合、昇給制度を維持することが困難です。時間とコストを考慮しつつ、従業員に目を向ける仕組みを作ることが求められます。

7. 企業の昇給率の平均値

企業の昇給率の平均値は5.1%です。

日本労働組合総連合が発表した2024年の春季闘争(春闘)では、以下となりました。

企業規模 昇給率 昇給額
大企業(従業員数300名以上) 5.19% 15,874円
中小企業(従業員数300名未満) 4.45% 11,358円

大企業のほうが昇給率は高いです。業種別では、製造業よりも非製造業の方が、上げ幅は大きい傾向があります。

参考:2024春季生活闘争 第7回(最終)回答集計結果について|日本労働組合総連合

8. 企業の昇給金額の計算方法

企業の昇給金額の計算方法は「基本給×昇給率」です。

企業の昇給率が決まっている場合、昇給前の基本給の金額から昇給金額を求められます。例えば、昇給前の基本給が250,000円で年間昇給率が5%のとき、昇給金額は以下のとおりです。

250,000円×5%=12,500円

なお、昇給率ではなく昇給金額が決まっている場合は、その金額が基本給に加算されます。

9. 適切な昇給で企業価値を高めよう!

透明性と公正さをもつ昇給制度は、企業の持続的な成長に大きく貢献します。従業員のモチベーション向上や定着率の改善につながり、結果として企業の業績を上げることが可能です。

また、昇給制度を導入することで人件費を予測しやすくなります。固定費のなかでの大きな割合を占める人件費を把握することで、資金計画を立てるときに役立つでしょう。

一方で、評価基準があいまいだと従業員の不満を引き起こし、従業員のモチベーション低下を招くリスクもあります。自社に適した昇給制度を整え、適切に運用しましょう。

OHSUGI

OHSUGI

クラウド型勤怠管理システムジンジャーの営業、人事向けに採用ノウハウを発信するWebメディアの運営を経て、jinjerBlog編集部に参加。営業時代にお客様から伺った勤怠管理のお悩みや身につけた労務知識をもとに、勤怠・人事管理や給与計算業務に役立つ情報を発信しています。

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