不動産売買契約書に印紙は必要?印紙税の金額を詳しく紹介
更新日: 2023.10.24
公開日: 2022.11.10
jinjer Blog 編集部
土地や建物などの不動産を売買するとき、不動産売買契約書を作成することが一般的です。もし口約束で不動産を売買した場合、「いった」「いわない」の水掛け論に発展し、契約トラブルに巻き込まれるリスクがあります。不動産売買契約書を作成するときに気になるのが、印紙税の金額です。不動産売買契約書に印紙は必要なのでしょうか。この記事では、不動産売買契約書の基本知識や、収入印紙が必要なケース、不動産売買契約書に貼るべき印紙の金額をわかりやすく解説します。
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1. 不動産売買契約書とは?
不動産売買契約書は土地や建物などの不動産の売買に用いられる契約書です。不動産売買契約書には、売買代金、契約解除の方法、登記手続きなどの事項を記載します。民法上、契約書を取り交わさなくても不動産の売買取引は成立します。しかし、不動産売買契約書を作成することで、「契約の重要な事項を明確化する」「顧客とのトラブルを未然に防止する」といったメリットを得られます。不動産売買契約書のポイントや記載すべき項目を紹介します。
1-1. 不動産売買契約書は不動産の売買に用いられる契約書
土地や建物の売買では、高額なお金がやりとりされることも少なくありません。口約束で不動産売買をおこなうと、思わぬ紛争やトラブルに巻き込まれる可能性があります。そのため、不動産の売買では「不動産売買契約書」を作成し、取引内容を明文化することが一般的です。もし顧客とのトラブルに発展しても、不動産売買契約書を取り交わしていれば、当事者間で合意した事実にもとづいて対応することができます。[注1]
不動産の売買では、売主と買主が対等の立場で契約を締結し、お互いに契約の定め(契約書の内容)について履行をする義務を負います。そして、いったん契約書を作成し取り交わすと、それ以降、取引は契約書の内容に従って進められ、取引について紛争が生じたときは、その内容に基づいて処理されることになります。
1-2. 不動産売買契約書の記載項目
不動産売買契約書に記載すべき項目は以下の通りです。[注1]
● 売買の目的物の表示
● 売買代金、手付金等の額、支払日
● 土地の実測売買または公簿売買の別
● 所有権の移転と引渡し、登記手続き
● 抵当権等の負担の消除
● 公租公課等の分担
● 手付解除
● 引渡し前の滅失・損傷
● 契約違反による解除
● 融資利用の場合
● 契約不適合責任
● 反社会的勢力の排除
特に「売買の目的物の表示(土地や建物の状態や、売買対象となる範囲)」は、売主・買主双方がきちんと確認することが大切です。例えば、不動産に目立つ損傷や不具合がある場合、具体的な取り扱い(売主が補修するのか、そのまま引き渡すのかなど)を不動産売買契約書で取り決めておく必要があります。また、手付金を放棄しての解除(手付解除)、契約違反による解除、物件引渡し前の瑕疵による解除など、万が一の事態に備えて契約解除の方法も確認しておきましょう。
2. 不動産売買契約書に印紙は必要?
不動産売買契約書を作成するとき、収入印紙を貼る必要はあるのでしょうか。不動産売買契約書は、印紙税法上の課税文書に該当します。そのため、国税庁ホームページの「印紙税額の一覧表」を参照し、所定の金額の印紙を貼る必要があります。ここでは、不動産売買契約書の印紙税法上の扱いや、課税文書の区分について解説します。
2-1. 収入印紙(印紙)は印紙税法上の課税文書に貼るもの
印紙税が課税されるのは、印紙税法の課税物件表で定められた「課税文書」です。例えば、契約書も課税文書の一種です。印紙税を納付するため、課税文書に貼り付ける印紙のことを「収入印紙」と呼びます。印紙といっても、自動車重量税印紙や雇用保険印紙などさまざまな種類がありますが、課税文書に貼り付ける印紙は収入印紙である必要があります。[注2]
国が発行している印紙には、収入印紙、自動車重量税印紙、雇用保険印紙、自動車検査登録印紙、健康保険印紙、特許印紙及び登録印紙などがありますが、印紙税を納付するのは収入印紙によらなければなりません。
引用:印紙の範囲|国税庁
[注2]印紙の範囲 | 国税庁
2-2. 不動産売買契約書は印紙税法上の第1号文書に該当する
土地や建物を売買するときの不動産売買契約書も課税文書の一種です。印紙税法上は、国税庁ホームページの「印紙税額の一覧表(その1)」で定められた第1号文書(不動産、鉱業権、無体財産権、船舶もしくは航空機または営業の譲渡に関する契約書)に該当します。[注3]第1号文書には、不動産売買契約書の他にも不動産交換契約書や不動産売渡証書などが挙げられます。不動産売買契約書を作成するときは、忘れずに収入印紙を貼り付けましょう。
[注3] No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで|国税庁
3. 不動産売買契約書に貼るべき収入印紙の金額
不動産売買契約書に貼るべき収入印紙の金額は、国税庁ホームページの「印紙税額の一覧表(その1)」に記載されています。ここでは、不動産売買契約書の印紙税額や、平成26年4月1日から令和6年3月31日にかけて適用される紙税の軽減措置について解説します。
3-1. 不動産売買契約書の印紙税額
国税庁ホームページによると、不動産売買契約書の印紙税額は以下の表の通りです。[注3]
不動産売買契約書に記載された契約金額が1万円未満の場合をのぞいて、所定の金額の収入印紙を貼る必要があります。
記載された契約金額 | 印紙税額(1通または1冊につき) |
1万円未満 | 非課税 |
10万円以下 | 200円 |
10万円を超え50万円以下 | 400円 |
50万円を超え100万円以下 | 1,000円 |
100万円を超え500万円以下 | 2,000円 |
500万円を超え1千万円以下 | 1万円 |
1千万円を超え5千万円以下 | 2万円 |
5千万円を超え1億円以下 | 6万円 |
1億円を超え5億円以下 | 10万円 |
5億円を超え10億円以下 | 20万円 |
10億円を超え50億円以下 | 40万円 |
50億円を超えるもの | 60万円 |
契約金額の記載のないもの | 200円 |
[注3] No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで|国税庁
3-2. 不動産売買契約書の印紙税の軽減措置
ただし、平成26年4月1日から令和6年3月31日にかけて作成された不動産売買契約書に限り、租税特別措置法に基づく軽減税率が適用されます。不動産売買契約書の他にも、契約内容を変更したときのお変更契約書や補充契約書も軽減措置の対象です。[注4]
記載された契約金額 | 軽減税率 |
10万円を超え50万円以下 | 200円 |
50万円を超え100万円以下 | 500円 |
100万円を超え500万円以下 | 1,000円 |
500万円を超え1千万円以下 | 5,000円 |
1千万円を超え5千万円以下 | 1万円 |
5千万円を超え1億円以下 | 3万円 |
1億円を超え5億円以下 | 6万円 |
5億円を超え10億円以下 | 16万円 |
10億円を超え50億円以下 | 32万円 |
50億円を超えるもの | 48万円 |
4. 不動産売買契約書に印紙は必要!印紙税の軽減措置についても知っておこう
不動産売買契約書は、土地や建物を売買するときに取り交わす契約書です。不動産売買契約書は印紙税法の課税文書に当たるため、所定の金額の収入印紙を貼る必要があります。不動産売買契約書の印紙税額を知りたい場合は、印紙税額の一覧表の第1号文書の欄を確認しましょう。平成26年4月1日から令和6年3月31日にかけて作成された不動産売買契約書の場合は、印紙税の軽減措置の対象となります。
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