【今注目の法改正】外国人労働者の受け入れ政策|注意すべき点を紹介

近年、日本の大きな課題として、労働者不足があげられています。そこで政府は労働者不足の対応策として、外国人労働者の受け入れを推進し始めました。

つい先日も、単純労働を含む外国人労働者の受け入れを拡大する出入国管理法改正案が閣議決定されています。

しかし、外国人労働者を受け入れる場合、外国人労働者に対しても日本人と同じように労働基準法にのっとり、適正な労働条件で働いてもらう必要があります。また業務のコミュニケーションや、システムの使い方など、日々の仕事には多くの言葉の問題も存在します。

本記事では、「外国人労働者の受け入れ政策について」「どのように労働環境を整えたらいいのか」についてご紹介します。

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1. 働き手が不足している現状

多くの人事担当者から「人手不足だ」「採用難だ」という声を聞きます。国勢調査・将来人口推計のグラフをみると、少子高齢化社会になり、15~64歳までとされる生産年齢人口が1995年をピークに減少の一途をたどっていることがわかります。2055年には1995年のピーク時の半分(4,500万人)になることが予想されています。

そのため、今後さらに人手不足が加速すると見込まれ、大企業・中小企業に関わらず、人材確保に苦戦する可能性が高いと考えられるでしょう。

人手不足を解消するため、人の代わりにロボットを導入する企業も増えてきました。しかし、ロボットを導入するためには、1000万円を超えるの投資が必要です。多くの企業にとっては、簡単にロボット導入に踏み切れないことも現状なのです。

そんな人手不足の現状を解決するために、注目されているのが外国人労働者です。

日本は治安が良く、給与も良いので外国人労働者に人気があります。コンビニやレストランなど、あらゆるシチュエーションで外国人労働者が働いています。

2. 外国人労働者の受け入れ政策について

働き手が不足している昨今、外国人労働者は貴重な存在です。我が国も人手不足を解決するために、政府が外国人労働者の受け入れを擁護する政策を始めました。ここでは、現状と外国人労働者の受け入れ政策とはどういうものなのかをご紹介します。

2-1. 単純労働が可能になる

深刻な人手不足に対して、政府が外国人受け入れ政策を大きく見直すことが明らかになりました。これまで工場作業・荷役作業・建設作業のような単純労働の分野では、外国人労働者を受け入れることが原則禁止とされてきました。

しかし、2018年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2018」で単純労働をおこなう外国人労働者が受け入れる政策を盛り込まれました。

従来、外国人労働者を雇用すると、コミュニケーションの問題などが発生します。しかし、単純作業であれば、コミュニケーションの問題が比較的に少ないため、外国人労働者の雇用が促進します。

単純労働をおこなう外国人労働者が増えることで人手不足は軽減されますが、日本人とは育ってきた文化が違うため、周りとのトラブルが予想されます。外国人受け入れ政策を推進するためには、企業側の外国人労働者の教育が重要になります。

2-2. 5分野で在留期間が更新可能

外国人労働者の受け入れ施策によって、「介護」「宿泊」「農業」「造船」「建設」の5分野は、「特定技能2号」の資格を取得すれば、在留期間を更新できます。更新回数に制限はありません。更新をおこない、10年間日本で就労すれば、日本に永住するための条件の一つであるを満たすことができます。

「特定技能2号」は特定技能1号を持つ人が、さらに高度な試験に合格すれば与えられます。また、特定技能1号は家族の帯同が認められませんが、「特定技能2号」は家族の帯同が認められています。

「特定技能2号」によって、日本で働きたいと考える外国人労働者は増えるでしょう。

条件 在留期間 家族の帯同
特定技能1号 一定の技能 通算5年 ×
特定技能2号 熟練した技能 更新可能

2-3. 外国人労働者の受け入れ政策によって何が変わる?

外国人労働者の受け入れ政策によって、どのような影響があるのでしょうか。

企業側からすると、これまでは5年で帰国しなければならなかったため、誰でもできる業務を依頼することがほとんどでした。しかし、今回の受け入れ政策によって、在留期間が更新できるとなると、外国人労働者を育成し、技術やノウハウを活かした仕事ができ、これまでより幅広い業務を依頼することができるようになります。

また、これまでは日本語に慣れて、コミュニケーションの問題がなくなったころに帰国していました。ですが今後は、日本語に慣れていない期間よりも、慣れている期間のほうが長いので、育成コストに見合う働きが期待できます。

しかし、家族の帯同が認められないことから、異国の地で精神的なささえがなくなったり、近隣住民とのトラブルが起こったりする可能性があります。

今回の政策は、人手不足解消にとても良い法案ですが、企業側も日本語でのコミュニケーション問題や労働条件や労務管理の整備や対策が求められます。

3. 日本語でのコミュニケーションについて

外国人の多くはネイティブレベルで日本語を話すことができません。ここでは、外国人労働者を受け入れるにあたり、日本語でのコミュニケーションの問題点をご紹介します。

3-1. 日常のコミュニケーションが取りにくい

日本で働く上で、日常のコミュニケーションは大切です。自分の言いたいことがうまく伝わらないと、思わぬ損害や損失につながることもあります。企業が外国人労働者に日本語を教えることができればいいですが、時間や労力、お金の問題で、難しいのが現状です。

会社で教えることができなくても、さまざまな形の日本語教室があるのでそちらを活用することをおすすめします。例えば、市町村や国際交流協会、NPOなど地域団体と連携して負担を減らしながら日本語教育に取り組むのも一つの方法です。

いずれにしても外国人が自ら学ぶ場を探すのは難しいので、企業は自分たちで教育できない場合は、前述の教育システムを外国人労働者に提案して日本語を学ぶことを推進する必要があります。

3-2. システムが多言語対応していないので、扱えない

パソコンや測定機器、加工機械などを使って仕事をする場合、操作方法を説明しなければなりません。単純な作業であっても、覚えるまではマニュアルを見ることが必要です。システムが多言語対応していれば、システムのマニュアルなどを使って操作方法を覚えることができます。

しかし、ほとんどのシステムは日本語のみもしくは英語までしかサポートしていません。そのため、英語圏ではない外国人労働者はシステム上でマニュアルを確認することができません。企業でマニュアルをつくるにも多大な工数がかかってしまいます。

マニュアルを理解せずに使用すると事故につながるリスクが発生します。就業時の事故は、リスクアセスメントが不十分として大きな社会問題になるケースもあります。

システムを選ぶときは、どの言語に対応しているのかを確認する必要があります。機能自体は同じでも、どの言語に対応しているかはシステムによって異なるので、導入する前に確認しましょう。

3-3. 日本語が上手い外国人でも、専門用語がでてくると、会話についていけない

専門用語や業界用語は、日本人でさえわからない言葉もあります。外国人労働者は、そんな専門用語が頻繁に飛び交うような会話にはついていくことができません。また、専門用語を説明するのは非常に大変です。専門用語の説明の中に専門用語がでてくることもあります。

基本的には、外国人労働者を含めて会話をするときは、極力専門用語を使わず、誰でも理解できる簡単な言葉を使うようにしましょう。外国人労働者に日本語対応してもらうだけではなく、日本人も外国人労働者がわかりやすい言葉を選ぶことが重要です。

4. 労働条件と労務管理について

労働条件の性別などによる差別は禁止されています。それは外国人労働者に対しても同じで、適切な労務管理が求められます。それでは、どのような点に気をつける必要があるのでしょうか。

4-1. 労働条件の明示

労働基準法では、国籍を理由に賃金などの労働条件について差別的な扱いをすることを禁じています。「外国人労働者だから安い賃金」「昇給させない」といった待遇は認められません。また、労働条件は文書で通知することが義務付けられています。

しかし、日本語でのコミュニケーションが取れない外国人労働者に対して、日本語の文書を見せて承諾を得るなどの事例が後を絶ちません。これらは賃金搾取などの悪質な事例につながることもあります。日本語がわからない人に、日本語で書かれた労働条件を文書で見せても「明示」したことにはなりません。

母国語の書類を用意して、外国人が理解できるようにすることが重要です。お互いが納得をして契約し、その契約内容にしたがって仕事を進めることがトラブルを回避する一番良い方法です。とはいっても母国語での労働条件の提示は簡単ではありません。どうすればよいか頭を抱える人事担当者もたくさんいます。

一つの解決方法として、厚生労働省が外国語の労働条件通知書の例を公開しています。また、有償になりますが、外国人労働者を受け入れるサービスをつかって母国語の契約書を作成してもらうのも良いでしょう。

4-2. 正確な労働状況の管理

母国語の契約書で労働条件を「明示」すれば、ほかに気をつけるポイントがないというわけではありません。契約書の労働条件を守る義務も生まれます。

たとえば、外国人労働者にも労働基準法で定められた法定労働時間や休憩時間、休日、年次有給休暇が保障されています。外国人労働者の中には稼ぎを増やすために、好んで残業をする人もいます。法定労働時間は守らないといけません。労働基準法を破ると罰則の対象になります。

また、日本語がわからないことをいいことに、残業代を払わないといったケースも多発しています。これらも労働基準法の違法にあたるので、罰則の対象になります。

4-3. 適正な賃金の支払い

外国人だから給与を安くするといった行為は認められません。日本人と同じように最低賃金を守り、契約を結んだ条件で賃金の支払いをおこなわなければなりません。

外国人が日本にくる際の渡航費を会社が立替ていたとしても、勝手に給与から控除することはできません。控除する場合は、労使間で賃金控除協定を締結しなければなりません。他にも控除としては寮費や管理費、食事や送迎、制服代などがありますが、これらの控除にも賃金控除協定が必要になります。賃金の支払いを適切におこなわないと、法令違反になります。

5. まとめ

現在、日本では労働者の不足が大きな社会問題になっています。その対策の一つとして外国人労働者の受け入れがあります。

政府はこれまで、外国人労働者の受け入れに対して消極的な姿勢を見せていましたが、2018年に6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2018」にて大きく方針を変換しました。

これまでは最長でも5年だった国内での就労年数が更新可能になりました。5年で帰国しなければならないこれまでの方策では、習得に時間がかかる業務は避けられていました。

それが5年以上となると習得に少し時間がかかっても習得した技術を使う時間が十分にのこるため、外国人労働者に依頼する業務内容の幅が広がります。

今後、外国人労働者を雇う企業がますます増える可能性が高いですが、外国人労働者を雇う場合は、日本語のコミュニケーションや労働条件を正確に伝えるなど契約において、言葉の壁が生まれます。言葉の壁をうまく乗り越えて企業と外国人労働者がwin-winな関係になれるようにしましょう。

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