アナリティクスを活用したダイレクトソーシングの強化|採用効率を高めるためにアクセンチュア佐藤氏が進めた採用改革とは?

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ソフトバンク、アクセンチュア、ヤフー、HDE、成長企業4社の人事責任者の方に「いまどのような採用の取り組みをしているのか」を語っていただいた『第67回グローバル人事塾

インターン、リファラル、ダイレクト、グローバル採用など、各社の具体的な採用事例が満載でした!

本記事ではアクセンチュア株式会社の採用担当 佐藤 優介氏による、「アナリティクスを活用したダイレクトソーシングの強化」についてご紹介。アクセンチュアが採用で抱えていた課題に対して、見出した施策とは。今回イベントレポートとして、記事にまとめさせていただきました。

アクセンチュア佐藤氏

佐藤 優介 | アクセンチュア株式会社

早稲田大学政治経済学部卒業。大学時代にベンチャー企業での新規事業立ち上げ、起業を経て、アクセンチュアに戦略コンサルタントとして入社。主に金融機関向けのコンサルティングプロジェクトに従事する。その後コンサルタントの仕事の傍ら、高校生・大学生向けのキャリア教育支援団体である「NPO法人JUKE」を創業し、ジョブシャドウイングの普及に努める。2012年の娘の誕生にともなってNPOの代表を後進に譲り、その後1年間の育児休暇を取得。子育てをしている中で「人材育成に関わりたい」という思いが強くなり、職場復帰の際に人事部に異動。人事部では中途採用・第二新卒採用の担当を経て、現在は新卒採用チームリード(新卒採用責任者)を経て、現在は人事戦略担当としてAccenture Japanの全社的な人事戦略の立案・実行を推進している。

第二新卒採用において、エージェントによる採用比率を大幅に削減した方法とは

佐藤氏:2013年当時、アクセンチュアの第二新卒採用におけるエージェント採用の比率はかなり高い状況でした。そんな中「人材紹介における採用のコストを削減できないか」という声があり、そのタイミングからダイレクトソーシングに取り組むようになりました。結論からいうと、ダイレクトソーシングを活用したことで、エージェント経由の採用比率を大幅に下げることができました。

候補者が応募にいたるまでの反応率を分析する

佐藤氏:母集団形成に課題を感じられている方は多いのではないでしょうか?弊社では、母集団形成において、候補者の方が何を基準に応募しているのか、何に対しての反応率が高いのかを徹底的に分析しました。

それまでは「視認性が高くなるように大きな記事を出したほうがいい」「広告費はかけたほうがいい」「媒体経由で画像をたくさん掲載したスカウトメールをたくさん出したほうがいい」と、どちらかというと業者の方に言われた通りにお金をかけて、候補者の集客を進めていました。ただコスト削減を迫られたタイミングで、この方法に疑問を持ち、独自で分析を進めていきました

マーケティング観点からデータを活用し、採用を見直す

佐藤氏マーケティングという概念から、第二新卒の求職者がWEB上で応募にいたるまでの行動履歴をとって分析しました。

その結果、驚くべきことに以下のことがわかりました。

  • 媒体記事の大きさや画像の量によって、応募数は変わらない。よって、原稿の大きさにお金はそこまでかけなくても良い
  • スカウトメールの方が、媒体記事やバナー広告を出稿するよりも費用対効果が高い

このような分析の結果から、広告費や記事を最低限まで減らすことを決定し、逆にFacebook広告を活用して自社のウェブサイトを宣伝する、ダイレクトメールの送信数を増やすなど、求職者へのアプローチ方法を独自で調査をしたデータをもとに変えていくこともしました。

また、採用におけるROI(投資対効果)を計測したかったので、世の中にある求人媒体をとにかく試してみて、良さそうなところに集中投資をしようと考えました。そこで、13の媒体を活用して調査をしました。

どの媒体で、何人がエントリーをして、何人が書類選考を合格して、実際にどのくらい採用までいたったのかという数字を全部記録して、効果が良かった媒体には投資額を2倍に、あまり良くなかった媒体は投資額を半分にするなどして、PDCAを回しながら方法を模索していきました。

その結果、最終的には採用のROIが高まり、1人の採用にかかるコストを半分近くまで下げることができました

次は採用のオペレーションも大幅な変更をおこないました。「タレントプール」という概念を使い、中長期的な関係性を重視して、直近で採用できる人だけを対象にするのではなく、今タイミングが合わずとも優秀な候補者を集めていく方針にしました。

まずは第二新卒の採用ページから候補者の簡易登録をおこない、名前、メールアドレスなどを収集しました。そして、収集した連絡先に対して「アクセンチュアはこんな会社ですよ」「こんな事業やりますよ」「こんなイベントやりますよ」と、どんどん情報発信をして、興味を持っていただいた候補者とコミュニケーションをとりながら、エンゲージメント、ブランディングの向上を地道にやっていきました

また、当時流行りだしたWantedlyをいち早く取り入れ、セミナーやイベントなどの告知をおこない、ソーシャル上での拡散に力をいれていました。その結果として、2015年にWantedlyのアワードを受賞することができました。

改革を起こすにはチャレンジ。効果を出せばサポートが増えてくる。

佐藤氏:私が採用改革を進めていく中で、人事の先輩やメンバーの中には「データを分析して出てくる数値は正しいかもしれないけど、人事的にはそれは違うんじゃないかな」と言う方も多くいました。アクセンチュアは変革のプロとしてお客様のみならず自社の変革をも手掛けていますが、変革というのは日常の業務を超えた大きな変化であるため、特に初期の段階では周囲の理解を得るのがとても難しいのです。

このケースでも、当初は周囲から理解が得られず、結果が出るまで自分一人で改革を進めなければならない状況でした。ですが、1度でも効果が出たら周囲のメンバーが採用改革のサポートをしてくれるようになりました

ただ、結果を出すまでは本当に不安で「これでもし失敗したら僕の人事としてのキャリアは終わってしまう」ぐらいのプレッシャーだったのは今でも覚えています。

リファラルリクルーティングの認知度を上げるユニークな施策で紹介数を大幅増加

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佐藤氏:第二新卒採用の領域で、ダイレクトソーシングの運用を軌道にのせたあと、中途採用の全体的な改革を進めていくことになりました。

候補者の方がどの広告を見て、どういうふうにエントリーをして、イベントに参加してくれるのか。その後も、イベントの参加だけで終わるのではなくて、候補者が応募にいたるまでどのようにモチベーションを上げるのか、あるいは面接合格にいたるまでどういうふうなフローにするのかを戦略立てて仕組みづくりを進めていきました。その中の一つに、リファラルリクルーティング(自社社員からの紹介・推薦による採用活動)の運用と成功があります。

当時はリファラルリクルーティングの運用をしていても、社員の認知度が低く、紹介数は低い水準のままでした。

紹介数を大幅増加した「バレンタインキャンペーン」

佐藤氏:そこで、それまでとは違った角度からのアプローチで社員に向けてリファラルリクルーティングのブランディングをおこないました。そのキャンペーンが「バレンタインキャンペーン」です。これは、当時契約社員だった女性の方の発案で始まりました。

具体的には、社内の掲示板に『バレンタインチョコ、女子から男子にあげるって誰が決めた?』とキャッチコピーをつけて宣伝して、1000個の板チョコを社員に配布。パッケージの裏面にはリファラルリクルーティングに関することを記載し、オフィスでもパンフレットを配布するなど、ユニークな社内プロモーション戦略をおこないました。

このキャンペーンが社員の認知度の引き上げにつながり、社員からの紹介・推薦数を大幅に引き上げることができました。その後も向上した認知度のお陰で、紹介数はその高い水準を保ったまま推移しています。このキャンペーンの経験もあり、社員からの認知度を上げるには、ユニークで心に残るイメージ戦略も大事だということに気付くことができました

さらにリファラルリクルーティングのイメージ戦略を強化していこうということで、他のメンバーが発案して全社員向けにニュースレターを配信。そのニュースレターには「こういう職種を募集しています」という内容を記載しました。

また、社員紹介での採用の成功事例として、紹介をした人と紹介された人のインタビュー記事も合わせてニュースレターに掲載。

リファラルリクルーティングが成功した事例の中には、すでにアクセンチュアで働いている女性社員が、パートナーである旦那さんを紹介し、採用にまでいたったということもありました。

さいごに

いかがでしたでしょうか。

時代の変化にともない、今後マーケティングという観点を採用に活かすことは非常に重要になってくると考えられます。今までは求人媒体を活用した求人が主流でしたが、FacebookなどのSNSやWantedlyから、かんたんに企業のページを作成することができ、採用のブランディング方法も多様になってきています。

ここで重要なことは、既存の採用手法にとらわれずに、トライアンドエラーを繰り返しながら、結果が良かったものを取り入れていく、また悪かったものに対してはPDCAを回して改善をしていく。今後このようなスタンスがこれからの時代に必要になってくると考えます。

また、リファラルリクルーティングを成功させるにいたった「イメージ戦略」に関しても、どのように打ち出せば社員からの認知度が上がるのかを考えながら取り組んで見るのも良いかもしれません。これは採用だけにかかわらず、人事制度などの認知や社内ブランディングにも参考になるのではないでしょうか。

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