アルバイトも社会保険の加入が必要?! 社会保険加入条件と手続き方法

どの企業においても人手不足問題が深刻な現在、アルバイトやパートが会社にとって非常に貴重な戦力となっています。一方で、「アルバイトに保険は特に必要ない」と思っている方も多いのではないでしょうか?

実はアルバイトにも、加入が必要な「労災保険」「雇用保険」「健康保険」「介護保険」「厚生年金」の5種類の公的保険があります。

本記事では、アルバイト雇用時に必要な保険の種類や適用条件、加入手続きの手順についてご紹介します。「社会保険に入れる条件は何なのか?」「保険の手続きの方法が分からない」という経営者や担当者様は、ぜひ参考にしていただけますと幸いです。

1|アルバイト雇用時に必要な保険は5種類ある!

アルバイトを雇用した際、必要となる公的保険は労働保険労災保険・雇用保険)と社会保険健康保険、介護保険、厚生年金保険)の5種類あります。

【 労働保険 】

労働保険は、労災保険雇用保険に分けられます。

労災保険

労災保険は、従業員が仕事中または通勤中にケガや病気、障害や死亡した場合に必要な給付をおこなう保険です。パートやアルバイトなどの雇用形態に関わらず、全員加入することが義務付けられている保険になります。

雇用保険

雇用保険は、従業員が失業した場合や育児や介護をおこなう場合、教育訓練を受ける場合などに必要な給付をおこなう保険です。一般的に失業保険と呼ばれているものは雇用保険の給付をさしています。

雇用保険は労災保険と異なり、次の2つの条件に該当した場合はパートやアルバイトなどの雇用形態や、会社や従業員からの希望の有無に関わらず加入する義務が生じます。

(1)1週の所定労働時間が20時間以上であること
(2)31日以上の雇用見込みがあること

Q.  学生アルバイトは雇用保険に加入する義務があるのか?

原則として、昼間学生は雇用保険に加入する義務はありません。但し、「通信教育を受けている学生」「大学や高校の夜間学生」「定時制課程の学生」については、前述の2つの条件に該当すれば加入する義務が生じます。しかしながら、昼間学生であっても次の場合は加入する義務が生じますので注意が必要です。

  • 休学中の学生
  • 卒業見込み証明書を有する者で、卒業前から就職し卒業後も同じ会社に勤務予定の学生
  • 会社の命令や承認によって大学院等に在学する学生
  • 一定の出席日数を課程修了の要件としない学校に在学する者で、会社で他の従業員と同様に勤務することができると認められる学生

学生アルバイトを雇用する会社の場合は以上の条件を確認しておくようにしましょう。

【 社会保険 】

社会保険は、健康保険」「介護保険」「厚生年金保険に分けられます。原則として、セットで加入することが必要ですので、例えば「健康保険だけ加入したい」ということはできません。

健康保険

健康保険は、従業員やその家族が病気やケガをした時、出産、死亡時などに、必要な医療給付や手当を支給する保険です。健康保険に加入することでもらえる健康保険証により、病院の窓口で払う金額は治療費の3割となります。

介護保険

介護保険は、従業員が65歳以上になって要支援・要介護状態となった場合や、40歳以上で末期がんや関節リウマチ等が原因で要支援・要介護状態となった場合に必要な給付をおこなう保険です。

厚生年金保険)

厚生年金保険は、従業員が高齢や障害、死亡した時に年金として給付する保険です。国民年金に上乗せされて給付されるものです。

社会保険は、パートやアルバイトなどの雇用形態に関わらず一定の条件に該当した場合、必ず加入する義務が生じます。また、社会保険の保険料は、会社と従業員が半分ずつ負担する必要があります。但し、介護保険料は40歳以上の方に限ります。

2|アルバイトが社会保険に加入するための条件とは?

社会保険はパートやアルバイトなど雇用形態に関わらず以下の条件に該当した場合、必ず加入する義務が生じます。

(1)会社が法人(株式会社や有限会社など)、または従業員数が5人以上の個人事業所(農林漁業や飲食店などのサービス業は除く)であること。つまり、「強制適用事業所」であること。

※但し、半数以上の従業員が社会保険の加入を希望し、会社が申請の上、厚生労働大臣の認可を受けた場合は、「強制適用事業所」でなくても社会保険に任意加入することができます。

(2)1週の所定労働時間および1ヶ月の所定労働日数が同じ会社で同様の業務に従事している正社員の4分の3以上であること

(3)常時雇用していること

アルバイトの場合は繁忙期など一定期間で限定して雇用することも少なくないと思われます。以下の場合は常時雇用とみなされないため、社会保険に加入することができません。

(1)日雇いアルバイト(但し、1ヶ月を超えて引き続き雇用する場合は、その日から加入が必要となります。)

(2)2ヶ月以内の期間を定めて雇用するアルバイト(所定の期間を超えて引き続き雇用する場合は、その日から加入が必要となります。)

(3)所在地が一定しない事業所で雇用するアルバイト

(4)季節的業務(4ヶ月以内)で雇用するアルバイト(継続して4ヶ月を超える予定で雇用する場合は、当初から加入が必要となります。)

(5)臨時的事業の事業所(6ヶ月以内)で雇用するアルバイト(継続して6ヶ月を超える予定で雇用する場合は、当初から加入が必要となります。)

Q.  常時501人以上の会社で雇用する時の社会保険の加入条件とは?

常時501人以上の会社(特定適用事業所)の場合は、アルバイトが正社員の所定労働時間および所定労働日数の4分の3未満であっても次のすべての条件に該当したアルバイトの場合、社会保険に加入する義務が生じますので、注意が必要です。

(1)1週の所定労働時間が20時間以上であること
(2)1年以上の雇用期間が見込まれること
(3)月額賃金が8.8万円以上(年収106万円以上)であること

但し、次の賃金は、賃金の金額に含まれませんので注意が必要です。

  • 臨時に支払う賃金および1ヶ月を超える期間ごとに支払う賃金(結婚手当や賞与など)
  • 時間外労働、休日労働、深夜労働に対して支払う賃金(残業代)
  • 最低賃金法で算入しないことを定める賃金(通勤手当、皆勤手当、家族手当など)


(4)学生でないこと
高等学校、大学、専修学校、各種学校等(修業年限1年以上の課程に限る)の生徒または学生でないこと

但し、次に該当する学生は、(1)~(3)に該当する場合は社会保険に加入する必要があります。

  • 「通信教育を受けている学生」「大学や高校の夜間学生」「定時制課程の学生」
  • 休学中の学生
  • 卒業見込み証明書を有する者で、卒業前から就職し卒業後も同じ会社に勤務予定の学生

3|アルバイトも社会保険に加入させるべきか?

社会保険の加入手続き等の負担を考えると、「アルバイトに社会保険加入させたくない」というのが企業側の本音かと思います。また、アルバイト側からしても、社会保険に加入することで手取り金額が少なくなるため、「できるのであれば加入したくない」というのが本音です。

実際にアルバイトからそのような相談を受けたことのある方も多いのではないでしょうか。しかしながら、アルバイトであっても条件に該当すれば必ず加入させておくことが必要です。その理由は以下の2点です。

【理由①】社会保険の加入条件は法律で明記されており義務となっているため

定期的に日本年金機構が、社会保険に加入すべき従業員が加入しているかどうか調査をおこなっています。万一、加入していない事実が発覚した場合は、過去2年遡って保険料を請求される可能性があります。

また万一、遡るようなことになれば、社会保険料は会社と従業員が半分ずつ負担するものであり、また社会保険は従業員の年金額に反映するものであるため、会社のみならず従業員にも迷惑をかけることになります。

金銭的なリスクはもちろんのこと、労務トラブルに発展することも十分に考えられますので、日頃からアルバイトの労働条件には注意しておくことが必要といえます。

【理由②】社会保険に加入すれば、良い人材を獲得できる可能性が高くなる

多くの企業で人手不足が問題視される現在、「長く勤めてくれる人材がほしい」と考える企業は多いのではないでしょうか。

社会保険は法律で定められた福利厚生制度です。アルバイトで働く方も福利厚生がしっかりしている会社で働きたいと思うのは当然のことです。もちろん、扶養の範囲で働きたい方も少なくありませんが、加入基準を法律どおりに明確に区分することで、「長く働けるようになったら社会保険に加入できる」という安心感をアルバイトに与えることにもつながります。

以上の点からも、福利厚生をしっかり整備している会社には、自然と良い人材が集まると考えられます。

4|社会保険への加入手続き!まずは何からすべき?

アルバイトが社会保険の加入条件に該当した場合は、会社はどのように加入手続きをおこなえばよいのでしょうか?それでは手順をみてみましょう。

【 手順① 】

「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届 厚生年金保険70歳以上被用者該当届」を事実発生から5日以内に会社の所在地を管轄する年金事務所へ提出します。

健康保険、介護保険、厚生年金の加入手続きは、資格取得届1つで同時におこなうことができます。但し、会社が健康保険組合に加入している場合は、組合上の手続きも必要となります。

原則として添付書類は必要ありませんが、会社が特に注意すべき点は、加入者のマイナンバーと本人確認を徹底することです。本人確認がおこなえない場合は健康保険証を発行してもらえないため、必ず運転免許証などによって本人確認をおこなっておくことが必要です。

【 手順② 】

「雇用保険被保険者資格取得届」を会社の所在地を管轄する公共職業安定所(ハローワーク)に、採用月の翌月 10 日までに提出します。

雇用保険被保険者資格取得届には1週の所定労働時間や雇用契約期間の定めの有無などを記入する箇所がありますので、雇用時に労働条件通知書などでしっかりと確認しておくことが必要です。

また、前職のある方の場合は、前職時の雇用保険被保険者番号を確認しておきましょう。番号が分からない場合は、前職の会社名などからハローワークに検索してもらうことができます。なお、雇用保険取得の際にもマイナンバーが必要ですので注意してください。

【 手順③ 】

労災保険はアルバイトごとの加入手続きは必要ありません。

労災保険は、従業員を雇用した際、事業所単位で「保険関係成立届」を会社の所在地を管轄する労働基準監督署に「概算保険料申告書」と合わせて提出することで、すべての従業員が労災保険に加入することになります。保険関係成立後は1年度に1回申告・納付手続きをおこなうことが必要となります。

会社が注意しなければならない点は、例え1日しか勤務していないアルバイトであっても、仕事中や通勤途中にケガなどが起きた場合は労災保険の給付手続きが必要となる点です。労災隠しは厳しく罰せられることにもなりますので十分注意してください。

5|まとめ

本記事の要点は以下の通りです
  • アルバイトであっても、条件が該当すれば加入しなければならない保険が5種類ある。
  • 労災保険の加入条件は特になく、雇用した時点で加入が義務付けられている保険。一人ひとり個別に手続きをおこなう必要はない。
  • 雇用保険は、「1週の所定労働時間が20時間以上で、31日以上の雇用見込みがあること」という条件に該当した場合に、加入手続きが必要となる。
  • 社会保険(健康保険・介護保険・厚生年金)は「1週の所定労働時間および1ヶ月の所定労働日数が正社員の4分の3以上であること」という条件に該当した場合に、加入手続きが必要となる。

アルバイトは保険の手続きや保険料を考えなくてよい、お手軽な人材と考えていた方は意外と多いのではないでしょうか。しかしながら、人手不足が深刻な昨今では、アルバイト・パート人材の重要性が非常に高まっています。

ぜひ、アルバイトの社会保険について正しく理解し、スムーズなアルバイトの受け入れに備えてみてはいかがでしょうか。

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