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プレッシャーの高い環境でも、成果を出し続ける5つのポイント


働き方」をテーマに、人事領域に携わる4名の著名人の方を講師に迎え、各社の最新ケーススタディ、働き方改革の実態とその打開策をお話いただいた『第73回グローバル人事塾

その中で、今回は【プレッシャーの高い環境でも、成果を出し続ける】をテーマに、IT・Webサービス企業にて、パフォーマンスマネジメントおよび、キャリアデベロップメントを担当している山田 美樹さんの登壇内容を記事にまとめました。

山田さん

山田 美樹|外資系IT・Webサービス企業 グローバルタレントマネジメント部門マネージャ-

上智大学比較文化学部を卒業後、オックスフォード大学大学院から奨学生に選ばれ修士号(社会人類学 M.Phill)を取得。外資系戦略コンサルティングファーム、会計事務所、M&Aアドバイザリーファームにて勤務した後に、ロンドンビジネススクールMBAを経て、外資系人事コンサルティングファームおよび、外資系ヘルスケア企業にて組織・人事課題の解決に注力。これまで約15年にわたり、組織・人事戦略立案、各種人事制度構築、人材アセスメント、キャリアコーチング等に従事。現在は外資系IT・Webサービス企業にて、プレッシャーのかかる職場環境でも高いパフォーマンスをたたき出す人材の発掘・育成、キャリアデベロップメントを支援している。
著書に「外資系で学んだすごい働き方」(プレジデント社)

グローバル企業での経験が人材マネジメントへの関心に

山田氏:本日は、成果創出へのプレッシャーがきつい厳しい環境でもパフォーマンスを出し続ける人材の特徴をお話したいと思います。

プロフィールを見ていただければわかるように、私は各業界トップクラスのグローバル企業にて、さまざまな仕事を経験してきましたが、ハイパフォーマーの特徴に興味を持つようになったのは、M&Aアドバイザリーファームでの仕事をしていた時です。

M&A実施後のビジネスプランをクライアント企業様と一緒に作り上げていくのですが、最後には決まって「こういう難しい状況の時に、どういう人をリーダーとして残すべきなの?」「ビジネスがよくない状態を立て直せる人材ってどういう人なの?」という、人材の議論になりました。

このような経験から人材マネジメントの仕事をしたいと思うようになり、MBAを取得した後に人事コンサルティングの会社に転職をして10年ほど働き、その後で事業会社の人事に移りました。事業会社の人事としては、今2社目です。

人事コンサルタントと事業会社の人事として、ハイパフォーマンス人材を見極める仕事が多くありました。事業部から推薦いただいた成績優秀な社員の方にインタビューをして「この人には、どのような強み、特徴があるのか」を抽出し、「昇格や新規事業立ち上げといった新しいチャレンジを与えても、すぐに成果を出せる人材か」を見極めるのです。

プレッシャーが高い環境でも、高いパフォーマンスを出せる人の5特徴

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山田氏:グローバル企業に限らず、日本でも成長が著しい企業や、事業変化のスピードが激しい組織において、高い成果を出し続けている人材はどういう人なのか。そのような人には共通した強みがあるのか。

今までにお会いしたハイパフォーマー人材を観察した結果、プレッシャーが高い環境下においてパフォーマンスが優れている人には、5つの大きな特徴があると思いました。

1.Strong Determination(確固たる意志)

山田氏:まず最初に必要なのが、当たり前ではありますが、やる気です。

英語ではDeterminationと書きましたが、「俺は、ここで成功してやるんだ!」「大変だけど、ここで成果を出すんだ!」という強い意志、これがないとどうにもなりません。

ハッピーに働きたいとか、人間関係が心地いいところで、安定してのんびりやりたいという方もいらっしゃるかもしれません。ハイプレッシャーの中でも「成果を上げてやる!」という意欲のある人材は、そういう方達とは違うタイプだと思います。

「ここまでやり遂げるんだ!」という、強い達成志向。ただ、成果にこだわる一方で、今まで取ってきたアクションがあまり有効でないと思ったら、アプローチを変えられるような柔軟性を持ち合わせていることも重要になってきます。

2.Learning Agility(素早く学習・成長)

山田氏:新しい環境に投げ出されても、重要なポイントや知識を素早く学ぶ、経験からの気づきを短期間でぐっと深める、そして学びを素早く応用する、このような学習機敏性を、ハイパフォーマーの多くが発揮しています。

達成思考が薄いと、「〇〇を達成するには、XXを学ぶことが重要だ」「今すぐに勉強しよう」「スピード感をもって取り組まないとダメだ」という動機につながりにくいので、先ほど申し上げたStrong Determination(強い決意)が、前提条件として必要になります。

また、新しいものの見方や気づきを得るために、学びの幅を意識して広げることも大事です。異質な経験や思考に積極的に触れるなど、常にフットワークが軽く、今までと違う経験を追求し続けている人も、学習機敏性が高い人と言えるでしょう。

3.Long Term Thinking(長期的な視座)

山田氏次にLong Term Thinkingがあります。上記の「強い決意」と「学習機敏性」だけだと、短期的な成果をすぐに出せても、燃え尽きてしまうことがあったり、長期的なブレークスルーを出せなくなったりします。

ビジョンを掲げて大きな夢を追うには、上記の2つだけだと厳しいのです。安定して長期間にわたり、やる気とパフォーマンスを維持するという意味でも、このLong Term Thinking、長期的な視座に立つことが役に立ちます。

しかし、ここまでの3つが強いだけの人だと、ちょっと嫌味な人や、勘違いしている人になってしまうこともあります。結果として、他者と良い関係を築けず、仕事はできるのに人望がない、中長期的には思ったほどのパフォーマンスが出ない、という事態になります。

4.Self Awareness(自己認識)

山田氏:他者とのより良い関係を築くためには、「周りの人から、自分はどのように見られているのか」という、自己認識のレベルを上げることが重要です。この能力があれば、自分の『強み』と『弱み』をきちんと把握でき、自分の言動を修正したり、どのような時に自分の強みをもって貢献でき、どのような場面で他の人に助けを求めるべきかがわかります。

自己認識力を上げるためには、積極的にフィードバックを求めることが近道です。たとえば、会議や提案をした後に、発言の内容だけに限らず、自分の振る舞いやものの言い方や、態度についても、その場にいた人にフィードバックしてもらいます。

私は、会議の後などに頻繁に、「私の発言の仕方、どうでしたか」とか、「今こういう態度で〇〇さんに提案してみたんですけど、信頼関係を築けたと思いますか」というのを、同席した上司や同僚に質問します。

フィードバックを恐れずに求めるという行動は、私がお会いしてきた多くのトップパフォーマーの方がおこなっていました。ハイパフォーマーながら謙虚に学ぶ姿勢から、より多くの協力者を得ていました。

逆にフィードバックを求められる側に立つと、上手にフィードバックすることは難しいものです。人格や資質を他人に指摘されると、傷つくかもしれないので、「あの時のこういう発言、この行動だと、こういう印象を残すかもしれません。〇〇に変えてみてはいかがですか」と、具体的かつ改善可能な行動にフォーカスして提案してみる(こうすべき、という指導ではなく、あくまで提案)といったアプローチがよいのではないでしょうか。

5.Resilience(逆境失敗を乗り越えて立ち直る力)

山田氏:最後は、メンタルの強さや、ストレス耐性の部分です。

グローバルで活躍をするハイパフォーマーの中に、今までにまったく失敗を経験したことがない人は、ほとんどいないと思います。多くの方がこれまでのキャリアのどこかで、大きな失敗をしています。

でも私がこれまでにインタビューをしたハイパフォーマーの方々は、レジリエンス力が強く、失敗からきちんと学んで、立ち直っています。「死なない程度の失敗が、人を強くする」と思います。

レジリエンス力を高める方法については、いくつかあります。クイックレジリエンスとしては、マインドフル瞑想や音楽を聴く、運動やダンスをする、書いて吐き出す、などがあります。

寝る前や朝起きてすぐに、内省をすることもおすすめです。拙著「外資系で学んだすごい働き方」に、内省に役出つ質問リストを紹介しております(p.84-86)。よろしければ、参考になさってください。質のよい問いかけを自らにすることで、気づきが深まります。

前述の「自己認識」にもつながりますが、自分の『強み』を把握しておき自己効力感を高めておくことも、レジリエンスにつながります。

【自分の強みを見つけるポイント】

  • 上司・同僚・家族・友人に「すごいね!」と言われることが多いこと。(自分では当たり前に、普通にやっていると思っているので見過ごしがちだが、他の人から見ると「すごい」こと。楽に成果が出せること。)
  • 他者に貢献できること。「ありがとう」と言われることが多いこと。人を幸せにできること。
  • 市場価値が高いこと。(皆さんは、自分のスキルや経験に、外部の労働市場でどのくらいの値段がつくのか、リアルタイムで把握していますか?転職する気がなくても、転職エージェントと定期的に会って、市場の相場と自分の時価を確認することをおすすめします。)
  • 本当にキツかった時、仕事の修羅場をどう乗り越えたか。振り返ると共通した特徴が表れていたら、それがあなたの強みです。
  • 自分の価値観、大切にしている生き方につながること。自分がワクワクすること、楽しいと思えること。

人の『強み』を見極めるスキルが、あなたの会社に備わっているか

山田氏:今、グローバル企業における面接では、履歴書の経歴の中でも、「What:何をしたか、結果は何だったか」を確認するより、「How:どのように成果を出してきたか」を確認するようになってきています。

候補者の方の強みを見極めるために、どのような経験をしてきたかの具体例(たとえば「関係者間で意見が激しく対立している状況を解決した例」など)をお聞きし、どのような場面でどのように考え行動してどのような結果を出したか、を確認します。

そうして候補者の思考や行動の癖を探った上で、どういう『強み』がこの人にあるのかを抽出することが一般的になっています。

採用を進めていくにあたって、人事では、上記の5つの特徴や、その他それぞれの会社、部署、職務にて求めている人材を見極める質問例をあらかじめ準備し、面接をする人全員の質問力、見極め力が揃うようにトレーニングをします。

もし、皆さんの会社で、このようなことがまだ出来ていない、ということであれば、各面接官がそれぞれの判断基準や候補者との相性で、採用を決めている危険性があります。

うちの会社、この仕事に必要な能力とそのレベルを明らかにした上で、それを確認するための適切な質問をして候補者を見極めないといけない

面接官は、人の強みを判断するスキルがないといけない

ということを周知徹底させないと、ハイパフォーマーの採用はできないでしょう。

私の所属している会社では、候補者の強みを的確に把握できるようになるための面接官トレーニングを毎月実施しています。強みが把握できると、「〇〇のポジションに応募してきたこの人だけど、彼には××の強みがあるから、こっちのポジションの方が活躍できるのではないか」といった提案もできるようになります。

私も、通常のHRBP(ビジネスパートナーとしての人事)ポジションに最初は応募したのですが、面接を受けているうちに、日本に新しくできる予定のポジションの方が、私の強みを活かせるのではと提案されて、今の仕事につきました。

これからは、人生100年時代、80歳近くまで働き続ける人も多くなると言われています。私が今働いている会社には、定年はありません。

このような会社も増えていくことでしょう。より多くの人が、年齢に関係なく、それぞれの強みを活かして生き生きと働ける組織を作れるよう、それぞれの人の強みを見つけ、ハイパフォーマンス人材の採用や育成につなげることを、人事の皆様にリードいただければと思います。

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