「組織に現場を合わせていませんか?」アメーバ型組織でリスク分散|組織のDNA Vol.3

こんにちは、株式会社JAMの組織コンサルタント菊地です。

今回は、モバイルショップの運営や通信関連商材を展開している株式会社ディ・ポップスの組織づくりについてご紹介。

リスクを分散するために、「ピラミッド型の組織」から「アメーバ型の組織」へと変革を実施したディ・ポップス。しかし、アメーバ型の組織への変革の途中では、人間関係の不和が生じたそうです。

そのような中、同社代表の後藤氏は何を実践したのでしょうか?その結果や、後藤氏が考える企業のあり方についてお伺いしました。

【人物紹介】後藤 和寛 | ディ・ポップス 代表取締役

大学時代、海外の夢や志を持つ学生との交流から、日本の若者が活躍するステージを提供する企業を創ることを決意。25歳でこれから最も市場が成長すると確信した情報通信関連ビジネスを行う株式会社ディ・ポップスを設立。経営理念は松下幸之助氏、経営戦略は藤田田氏の影響を強く受け、売上高1,000億円を目指し事業拡大に邁進している。

後藤氏が考える、企業のあり方

後藤氏まず前提として、会社をつくったのは人づくりをしたかったからです。

松下幸之助さんの言葉の影響で起業すると決めたのですが、原体験はアメリカ留学・イギリス留学をしたことです。海外の若者が自立していて、将来の夢や目標を語る姿には非常に刺激を受けました。

日本だと偏差値の高い学校に入ったり、ブランド力のある企業に入るなど、正しい競争かどうかも分からないけれど、皆そこになんとなく乗るという流れがありますよね。

ところが海外に行ってみると、それぞれの人がそれぞれの考え方で、何が自分の人生にとって幸せかを考えて、夢や目標を明確にしてそこに向かって努力していて、しかもその方向性が皆バラバラだけど、お互いを認め合って自立している姿にものすごく感銘を受けまして。

会社の設立を学校を作る気持ちでスタートしているというのが、根本的に他の企業と違うところだと思います。

学校の先生や大人が教えなかったことを伝える会社を作ること、それが一番の大きなテーマです。

現場に合わせて組織をつくる重要性

後藤氏組織づくりのこだわりの1つとして、ピラミッド型ではなく、会社の実情や現場に合わせて常に組織を大きく変容させることを大切にしています。

一般的には、ピラミッド型の組織を作る方が効率がいいからそうするという企業が多いと感じています。

しかも、ピラミッド型の組織で弊害が起きたときに、世の中の企業は現場に合わせて組織をつくるのではなく、組織に現場を合わせにいってしまうということがすごく多いと思います。

そうではなく、組織はいくらでも変えていい。ピラミッド型組織を作ると、役員・部長・課長という職種ができて、既得権益化する。

それによって既得権益を守ろうとする人間の心理が働くと、組織が機能しないような状況に陥っていくことが弊害としてあります。

それであれば、ピラミッド型の組織を壊してフラット型、アメーバ型の組織をつくることが必要だと考えています。

他の業界の組織づくりも研究しているのですが、秋元康さんはまさに組織をうまくプロデュースしていると思います。

例えば、一般的にはAKBを作って人気が高まったら、AKBをより活性化させる方法として、人を入れ替えてみようとか、卒業させて新しい人を入れると思います。

でも、そこから目線をもっと広げると、そもそもAKBの競争相手を作るといいのではという思考ができます。

乃木坂を作るとか、国内だけじゃなくグローバルに競争相手をつくっていく。どんどんアメーバ分裂させていきながら全体像を作っていっています。

それによって、一時的にどこかのグループの人気が落ちたとしても、次から次へと新しい人気グループができるから、AKBグループはずっと続くわけじゃないですか。そのやり方というのはEXILEもそうですよね。J Soul Brothersや女性グループを発足させていますよね。

ピラミッド型組織を変革にするには

後藤氏会社経営や組織づくりも一緒で、人事部に50人新卒を採用したかったのに20人しか採れないと、今売り手市場だから厳しいよねという話になります。

そうではなくて、僕はアメーバ経営のようにあと2つか3つ採用チームをつくります。そうすると、必ずすごい結果を出すところが出てくるんです。

グループ会社経営もまさに一緒で、いくつかの事業グループ体を作っていくと、今年この8社は調子が良かったけど、この2社は調子が悪かった。来年はこの2社が調子が良かったけど、こっちの8社は堅調な結果だった。

このように、グループ全体で見ると増収増益を保つことができて、マーケット環境やいろいろな経済のリスクをかなり回避できるという状況になっていくんです。そうやって、健全な競争の働く成長環境をつくっていきます。

組織づくりは究極、社長自身がボトルネックになります。社長の頭の中が、組織はこうあるものだと固定化されることによって、実情と合わなくなっても継続してしまう。それが社長の悩みとして多いと感じています。

成長する環境づくりを模索するために、新しい仕組みや仕掛けは常に考えます。でも、それはクリエイティブさとか創造性とか難しいことではなくて、一人ひとりの社員の声に耳を傾けるということが大切だと思っています。

本気で全社を変えようと思ったら、私は全員と面談をします。そうすると社員の考え方や、どこの何がボトルネックになっているのかがすごくよく見えてきます。

ピラミッド型組織を壊す方法は、ある程度の大きさになってきたら、フラット化・アメーバ化するなどいろいろあります。

しかし、もう1つのやり方としては、社長や役員をやりたいという社員を抜擢して新しい会社をつくるという方法もあります。そうすると社員に力強さが出てきますね。

ピラミッド型組織が完全に出来上がったら、社長でさえもその状況は動かすことは難しい。社長が動かせない組織を他の人が動かせるということはあり得ない。

社長しか思いきり動かせない可能性があるから、弊害が出ているのであれば社長が会社に変革を起こす必要があると思っています。

「社員間の良好な関係性」をつくるためのカルチャーづくり

組織のアメーバ化を実施しようすると、若手の抜擢・異動の影響で、人間関係や会社への不和が生じるケースがあります。

しかし、ディ・ポップスでは、そのようなことはほぼ起こらないそうです。その理由は、カルチャーづくりにあるようです。

クレドに共感するから、カルチャーフィットするとは限らない

後藤氏売上や利益を上げることは当然大切ですが、人間性の教育、人間性を上げる、人格を上げるという土台を作って、そこに積み木を重ねていきながら組織を作っていくということをすごく大切にしているので、それが弊社のカルチャーになっていると思います。

そのために、採用とクレドの浸透にはすごく力を入れています。人生を充実する、感動に満ち溢れたものにするために、基礎として大切なものをクレドとしてまとめています。

採用では、そのクレド18項目について、共感する・共感しない・どちらでもないというものを全員にアンケートをとっています。

もちろん、すべて「共感する」と回答した人を採用するということではなく、それを元にどうしてこの回答なのかということを面接で聞いていきます。

そうすると、共感しないにチェックをつけた人も「なるほどそういう考えもあるよね」となることや、共感するにチェックをつけた人も理由を聞いて、カルチャーフィットしないという場合もあります。

金太郎飴みたいに、ここをチェックしたから必ず不採用ということではありません。あくまでも大切なのは、なぜそこにつけたのかという理由です。

<株式会社ディ・ポップス クレド18項目>

  1. クレド(※クレドの内容を真摯に受け止め、常に信念を持って行動する
  2. プロフェッショナルに徹する
  3. 仕事に対する姿勢
  4. 感情移入した接客応対
  5. 成果に対する考え
  6. 完全実力主義
  7. フェア・チャンス&リ・チャレンジ
  8. 顧客対応型の柔軟な組織づくり
  9. 夢と目標の設定・明確化
  10. 物事の本質を見極める
  11. 自分の周囲の人への思いやり
  12. 現状打破
  13. 自己実現・自己への決断
  14. クレームの対応
  15. 礼儀と挨拶
  16. ゼロから一を創る尊さ
  17. 自己の規律
  18. 社会貢献

カルチャーは伝え続けることで浸透する

後藤氏カルチャーの浸透には、会社の全体会議や食事会などいろいろな場所できちんとみんなに伝え続けるということだと思います。

同じことだけど、伝え続けると。そうすると、だんだん「これが大切なんだ」と感じ取ってもらうようになって、みんなが同じ方向を向くようになると感じています。

同じ方向を向くことで、横の競争ではなく世の中への推進力を高めていきます。

そこを徹底してやらないと、ベンチャー企業がトップランクの大企業と肩を並べることは難しいと思っています。

経営資源で言うと、全て大企業が勝っていますよね。資金力があって、人材レベルも高く、あらゆるものがあるわけです。そこに0から作ったベンチャーが新しいサービスで切り込んでいくわけですよね。

そもそも経営資源が圧倒的に異なる会社が切り込む時に、勝てるとしたら一点突破くらいしかないと思います。

そうすると、社員が一丸になって同じ方向を向いていないと、その突破はできないと思っています。実は私はあっちに行きたかった、実はその戦いすらしたくなかったいうことになると100%負けます。

ですので、力強さを作るという意味で、全員の方向性を合わせるためにクレドを伝え続けるということはすごく大切だと思っています。

アメーバ化・フラット化することで、ギスギスすることが少ないのは、クレドを元に人間教育のようなところにすごく重きを置いているからだと思います。

全くそういうことが起こらないというわけではありませんが、もしそうなったら、社内用語になっている「誠実、謙虚、感謝」を伝えます。

ここからずれると、何かうまくいかなくなったりトラブルが起きたりしますよと。

誠実の反対は不誠実、不誠実なことをしているとだいたいトラブルが引き起こされます。謙虚の反対は傲慢。傲慢だとマネジメントがうまくいかないとか、部下がついてこないとか、お客様ともうまくいきません。

そして、感謝の気持ちがないというのも、結局は周りの人との関係性がうまく構築できないので、誠実、謙虚、感謝というものがどれだけ大切かということを伝え続けています。

でも、それは僕自身にも言い聞かせています。例えば会社経営がうまくいって利益が出て、そこで傲慢になるとやはり会社経営者としては失格だし、そのくらいのレベルの社長ということになってしまう。

売上がどんなに上がろうが、利益がどんなに上がろうが、人から賞賛を受けようが、誠実、謙虚、感謝の心が大切ですし、それが人間性の成長だと思うので、そこからずれないようにしていくということはとても大切にしています。

クレドに書いてあるようなことが積み木のように重なっていくので、社員たちの会話を聞けば、理念やクレドに合った考えをしているかどうかは分かります。

逆に言うと、ずれているなというのもすぐ分かります。

僕が、ずれているなという感覚を持ったら、その社員の上司もずれている可能性があります。

ですので、グループ会社の社長にはメンターシップ・コーチング的な関わり方をしたり、緊急時の相談に乗ったりしながら、育成に10年くらい時間をかけるイメージで伴走するようにしています。

従業員一人ひとりが経営者のように仕事する

後藤氏僕は裏のスローガンとして「THE・サラリーマンのような人を1人たりともディー・ポップスグループから生み出さない」という強い思いを持っています。

松下幸之助さんが、一人ひとりが経営者であるかのように仕事をすれば、その人の才能が開花してものすごく力強い会社になるだろうということで、リーダーに任命していきました。それがPanasonicの飛躍的な成長に繋がったと。

さらに松下幸之助さんは、社員一人一人に対しても、社員稼業は経営者業と一緒だと言っているんです。

あなた自身をどうプロデュースするか、どうマネージしてどう実績を出すか、どう成長するか、あなた自信があなたを経営しないといけない。そう考えると一人ひとりが実は経営者なんですと。

そういった人づくりを今後もし続けていきたいと思っています。

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