一番身近な働き方改革「ファイリング」の重要性♯コクヨが提案する働き方改革

個人や組織の創造性や生産性の向上において、働きやすいオフィス環境は重要な要素の一つ。コクヨでは、単なるオフィスの改善のみならず、さまざまな働き方改革に取り組んでおり、働き方改革の領域における各分野のパートナー企業とも連携し、複合化する働き方の課題を解決しています。「働き方のプロであるコクヨ」が考える「働き方改革」とはどのようなものか、シリーズでご紹介していきます。

こんにちは、HR NOTE編集部 働き方改革プロデューサーの井上です。

今回は、「ファイリング」の重要性と、そのノウハウについてご紹介。ファイリングというと「ただ整理整頓をする」というイメージを持たれているかと思いますが、そうではありません。

働き方の改善において、ファイリングはおろそかにできない領域であり、ファイリングによって業務効率が大きく改善します。

では、どのようにファイリングをするべきなのでしょうか。コクヨのワークスタイルコンサルタントの古川さんにお話をお伺いしました。

【人物紹介】古川 貴美子 |コクヨ株式会社 ファニチャー事業本部 スペースソリューション事業部 ワークスタイルコンサルタント

コクヨ株式会社 ワークスタイルコンサルタント。コクヨ株式会社入社後、営業企画部門・マーケティング部門を経てワークスタイルコンサルティング部門に所属。主に、ファイリング(情報の5S)コンサルティング、オフィスの運用改善コンサルティングを担当し、お客様の働き方改革をサポートしている。

人はものを探すのに、年間120時間かかっている

-今回のテーマは「ファイリング」ですが、まずはファイリングの概念や重要性について教えてください。


古川氏
:ファイリングは「ほしい情報を効率的に入手するための施策」であり、働き方に直結する活動です。


-ファイリングが働き方に直結するとは具体的にどのようなことなのでしょうか。


古川氏
:「人は1日平均20~30分間、何らかの情報を探している」と言われています。

仮に1ヶ月に20日間働いて、情報を探している時間を1日30分とすると、月間で10時間。年間だと120時間ぐらいになってしまいますので、それを改善して半分にするだけでも、生産性向上に大きく貢献できると思います。

工場などでは、業務改善のための5S「整理、整頓、清掃、清潔、しつけ」を導入しているところがよくありますが、オフィスにおいて、この5Sという考え方で情報管理が徹底できているところは少ないと言われています。

5Sでいう整理とは、「いる・いらない」を仕分けて、いらないものを捨てるという活動です。整頓とは、「いる」と決めたものを、どのように効率的に活用していくかを考えることです。

変化の激しい時代の競争に勝つためには、いかに限られた時間の中で新しいものを生み出していけるかが重要です。

そして、その新しいものを生み出す時間をつくるためのひとつの手段として、「情報を探す手間を削減する」ファイリングが有効なのです。


-ファイリングは働き方において無視できないものですね。


古川氏
:創造活動、知的活動というのは、すでにある情報をさらにブラッシュアップしたり、再編集したりすることで、新たな価値を生み出すことだと考えていますので、情報管理がおろそかだと、アウトプットの質も上がりません。

逆に、情報管理と同時に情報の共有もしっかりとできていれば、自分だけではなく他のメンバーのアウトプットのクオリティを上げることにもつながります。

ですので、長年にわたり培われてきた会社の情報・資産を効果的に活用するためにもファイリングが重要になってくるのです。

ファイリングをうまく活用することで、多くのメリットが得られる

-時間の効率化の他に、ファイリングよるメリットはございますか?

情報漏えいを防ぐためのセキュリティ向上

古川氏:まずはセキュリティの向上が挙げられます。ファイリングにおいてルール設計は必須ですので、セキュリティを担保するためのルールもしっかりと決めるからです。

紙文書については保管だけでなく捨て方も意識する必要があります。「重要書類をそのままゴミ箱に捨てる」なんてことはもってのほかです。シュレッダーを活用する、機密回収BOXに入れるなどの対応を行なっていく必要があります。

また、電子データも機密性の高いものは閲覧を制限する運用を徹底し、セキュリティを意識していく必要があります。

空間の有効活用

古川氏同じフロアー面積を使うのであれば、普段あまり見ない書類を保管するキャビネットを置くよりも、リフレッシュやミーティングなど多目的に使えるスペースを設ける方が、場を有効的に活用できると思いませんか。

限られたオフィス空間をいかに「付加価値の高い空間」にできるか・・・。ファイリングによって新たな空間を生み出すことができれば、それも可能になります。

どこに何があるのか把握しやすくなり、チーム連携もスムーズに

古川氏デスク周りにモノが溢れている方に限って、「自分ではどこに何があるかわかっているから大丈夫」と、おっしゃることが多いのですが、万が一その方が休んでしまったら、どこにどんな情報があるのか、他の人にはわからないですよね。

共有化されていないことで、商機を逃がしたり、場合によってはお客様にご迷惑をかけるなど、会社にとって不利益につながる可能性があります。

「すべての情報は会社の資産」ですので、誰もが利用できる状態をつくっておくことが非常に重要なのです。

ファイリングは健康面にも影響が

古川氏デスク周りが整理できていないことで、健康面に悪影響がでる場合もあります。

たとえば、足元にごちゃごちゃとモノを置いてしまうと、デスクの下が狭くなり、しっかりと脚を入れて座ることができず、姿勢が悪くなる可能性があります。

また、姿勢が悪い状態で仕事を続けると、身体への負担が増して疲れやすくなったり、集中力が低下して仕事の効率を下げてしまう…、といった可能性があります。

ファイリングで覚えておきたい「ドキュメントライフサイクル」の考え方

-ファイリングを実施するうえで、意識すべきことはございますか?


古川氏
書類が生まれてからなくなるまでの「ドキュメントライフサイクルを滞留させないようマネジメントしていくことが非常に重要です。

「ドキュメントライフサイクルとは「作成⇒保管⇒保存⇒廃棄」という一連の流れのことです。

書類も電子データも作成後は、共有化のためキャビネットやファイルサーバなどに移し、「保管」段階になりますが、そのままでは溜まっていく一方で、いずれ保管容量に限界がきてしまいます。

そのため、使用頻度が下がったものや緊急性がないものを別の場所に移動する必要が出てくるのです。

書類であれば、自社の倉庫や契約先の倉庫に運び、「保管⇒保存」へと移します。

中には保管期限が法律で決まっている経理書類や、社内の規定で残さなければならない書類など、手元に置いておく必要性がなくても、すぐには廃棄できない書類もありますので、執務エリア外の倉庫で保存し、保管期限が切れたら廃棄します。


-この流れをいかに徹底してやり続けられるかですね。


古川氏
そのためには、しっかりとルールを決めることが大切です。

経理書類などは、半期に1回や年度末と時期を決め、オフィス内の倉庫に保管⇒外部倉庫に保存⇒保管期限が切れたものは廃棄、といった一連の流れをルール化します。

その他、日々作成される書類などは、年間スケジュールの中にファイリングの見直し期間を設定し、実際に見直しがされているかどうか自主点検や事務局が点検する、といった仕組みをつくるといいでしょう。

ファイリングを徹底するための「政治学・論理学・心理学的アプローチ」

-その他、徹底させるための仕組みはありますか?


古川氏
:ファイリングを浸透させるために有効な3つのアプローチがあります。「政治学的アプローチ」「論理学的アプローチ」「心理学的アプローチ」の3つです。

ファイリングを進めていく上で魔法のツールはありません。ルールを決めた次の日にフォルダがすべてきれいになっている、なんてことはないのです。

そのため、まずは「政治学的アプローチ」で、会社やトップの想いを社員に伝えていただきます。

「単なる片付け」「忙しいのになんでやらなきゃいけないんだ」と思っている社員に対して、「何のためにやるのか」という意味づけ・意義づけを行っていただき、全社をあげて取り組む意識を醸成してもらいます。


-キーマンになる方の言葉でしっかりと落とし込みをして、重要性を伝えるんですね。


古川氏
次は、「いつ誰が何をやるのか」をまとめたガイドラインやルールをつくる、「論理学的アプローチ」です。

そして最後は、「心理学的アプローチ」により、スキルやマインド面をサポートしていきます。

たとえば、社長や役員のインタビューを記事にしたり、社員向けの説明会で社長自らが話しをする、相談会を開いて社員の話しを聞く、といった仕掛けをしたりします。

コクヨがサポートするファイリングの事例

「最大で7割減も」ファイリングによる書類の削減

-ファイリングの支援に関する事例があれば教えてください。


古川氏
:実際にコクヨがサポートに入らせていただき、4割から最大で7割ぐらいの書類削減を実現しています。

ただ、7割削減といっても「7割捨てる」というわけではありません。廃棄だけが削減手段ではありませんので、保存場所として外部の倉庫の活用もご提案しています。


-ちなみに、「倉庫に保管する、廃棄する」以外の方法はあるのでしょうか?


古川氏
割合は少ないですが、電子化をして元の書類を捨てることもあります。

ただ、電子化はお金と工数がかかりますので、オフィスから書類をなくすためだけの電子化であれば、倉庫に保管するほうがよいでしょう。

ただ、検索する頻度が高い書類であれば、電子化のほうが業務の効率化になることもあります。


-書類の種類やニーズによって対応が変わってくるのですね。

コクヨ流、フォルダの仕分けノウハウ

-個人的にはフォルダの仕分けに苦労するのですが(笑)、その辺りもサポートされるのですか。


古川氏
:たとえばファイル名のつけ方をルール化することです。頭に8桁で日付をつけてアンダーバーでタイトルをつなぐ、といったように、何を(日付を)どの位置に(ファイル名の頭に)どの様に(8桁で)、まで統一させましょう。

以下は、私がセミナーでよく話している、「フォルダ体系の悪い例・良い例の比較」です。「☓」の悪い例を見ると、色々なファイルやフォルダがごちゃまぜに入っています。

-「☓」のほうは、私も良くやってしまいますね(笑)。


古川氏
「○」の良い例を見ると、大分類、中分類、業務ごとに分かれていますが、「☓」の悪い例では同じ階層に保存フォルダとファイルが混在しています。フォルダ名やファイル名にも規則性がありません。

この状態では、「新しいフォルダ」「新しいフォルダ(2)」、「契約書(最終)」「契約書(最終2)」など、フォルダ名やファイル名からでは中に保存されているものがわからず、その都度開けて確かめなければなりません。


-フォルダの階層の作成、運用はどのようにしていくのでしょうか?


古川氏
まず業務内容から、大分類、中分類、業務などに階層分けをおこないます。

基本的に、同じ部署・職種の業務内容であれば、デフォルトフォルダを準備しておき、そのまま各人がコピーして活用することもおすすめです。

そこにデータを入れていけば、同じ業務をやっているAさんとBさんのフォルダ階層が標準化されていきます。


-実際に、フォルダやファイルをきちんと整理をすることで、どのような変化があるのでしょうか?


古川氏
あるお客様に、フォルダ体系の改善の前後で資料などを探すためにかかった時間の変化について、アンケートをとらせていただきました。

その結果、実施前は平均で約8分かかっていたものが、実施後1ヶ月では平均で約5分になったんです。たかだか3分の改善ですが、200人規模の企業様でしたので、年間1,000万円の業務コスト改善になりました。

5分、10分の違いも、1ヶ月単位、1年単位で考えると、かなりの時間になります。

コツは「既存フローにちょい足し」コクヨが取り組む「5Sタイム」とは?

-コクヨでは、何かファイリングに関する取り組みはされているのでしょうか?


古川氏
コクヨの一部のオフィスでは毎週10分間だけ「クリーンタイム」という、同じフロアーの社員全員で5Sを実行する時間をつくり、特に整理・清掃が必要な個所などは「このコーナーを集中的に整理しよう」と声をかけています。

ファイリングに取り組む際は、「短い活動を回していく」ことから始めるのがよいでしょう。新しいことには抵抗感もあるので、既存のフローの中に「ちょい足し」するなど、無理のない仕組みをつくることが継続のコツです。


たしかにここまでやらないと徹底されないですね。


古川氏
また、「誰が見てもわかるルール」にすることも重要です。人によってキレイの定義は違うため、単に「キレイにする」というだけでは、散乱している書類をきっちり積み上げて終わり、なんてことにもなりかねません。

ですので、「帰る時にはデスク上には何も置かない」というように、誰が見てもわかるよう、判断基準を明確にすることが大事です。

ファイリングをやらずして働き方は改善されない

-ありがとうございます。ここまでお話を伺って、ファイリングが一番身近な働き方改革だと感じました。

 

古川氏そうですね。今回一番お伝えしたいのは、「ファイリングは単なる片付けではない」ということです。日々の改善業務を積み重ねていくことで、たくさんのメリットが生まれます。

他にもたくさんできることはあると思いますが、「まずはファイリングから始めてください!」というぐらいおすすめしたいです。

ファイリングは決して難しいことではありませんが、継続しておこなうことがとても難しいんです。ですので、難しいルールはつくらず、簡単なこと、できるところからやっていく。そういった意識で取り組んでいいただきたいと思っています。

 

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