【人事×AI】誰でもすぐに使えるAIエンジンがスゴい!人事にどう役立つかを考えてみた

今回は、自然言語処理AI(人工知能)の分野で業界最先端を走る、株式会社エーアイスクエア代表の石田さんに、「人事×AI」をテーマにお話をお伺いしました。

今、何かと注目を集めているAI。AIの導入・活用というと、非常に膨大な工数や費用がかかるイメージがあり、興味はあるものの敬遠されがちな印象をお持ちの方も多いかと思います。

しかし、AIツールは日々進化をしており、比較的安価で簡単に導入・活用ができるようになってきています。

本記事では、そもそもAIが注目されている背景やAI活用における重要なスタンス、エーアイスクエアが提供しているAIツールとは何か、AIをどのように人事領域に活かせるのかなど、ご紹介していきます。

【人物紹介】石田 正樹 | 株式会社エーアイスクエア 代表取締役

ミサワホーム総合研究所にて新規事業の企画立案を担当した後、1997年、ムービーテレビジョン(株)執行役員。2008年、富士ソフト(株)取締役。映像系事業と新規事業を担当。 2010年よりAIに着目し、事業化を模索、2015年当社設立。

「AIが良い、悪い」ではなく、「使わざるを得ない」時代に

-最近、AIが非常に注目されていますが、どのような背景があるのでしょうか?


石田氏
:これは、「人口問題」と「生産性の向上」があげられます。

GDP(国内総生産)の過去20年間ぐらいの伸びを見たときに、アメリカ、中国をはじめ各国は伸長しているのですが、日本だけGDPが伸びていないんですよ。

日本が「世界第2位の経済大国」という時代はとっくに終わっています。実質20年間、経済は伸びていないという現状があります。しかし、いまだにそのときの幻想に私たちは住んでいるんです。

これは少子高齢化による労働力不足も要因としてあげられますが、一方で、同じ少子高齢化をたどっているドイツを見ると、GDPは伸びているんですよ。要するに、人口が減少していてもやり方次第でなんとかなるということです。

また、以下の資料は、アジア各国における、15歳~64歳までの生産年齢人口比率の推移をあらわしたものです。青いグラフが日本ですが、2050年まで急激に落ちてきています。

 

石田氏:さらに、以下の資料は日本の総人口の問題に関する内容のもので、総人口は2008年にピークを迎えて、急激なカーブを描いて落ちてきています。

1900年の頃は、人口が4,600万人ぐらいだったのですが、ピークで1億3,000万人ぐらいまでいったんです。100年で約3倍になったんですよ。


-そう考えると、すごいスピード感ですね。


石田氏
:そして今は、「100年で3倍になったときと同じ角度で逆に落ちていく」と言われています。

総人口がこの勢いで減少すれば、当然働く人の比率もそれに伴い減っていきます。もうこれからは労働力がまともに確保できない、ということが大前提としてあります。

そのため、「人に変わる労働生産性を上げる手法」を導入しないと、企業成長は見込めません。

ここに早く気付かないといけません。「AIが良い、悪い」と論じている場合ではなく、このような現実が迫ってきているのです。

また、世の中の分類をすると、「先進国・発展途上国・日本・アルゼンチン」、この4つの分類しかないと言われています。

日本は発展途上から先進国になった稀有な例なんです。逆にアルゼンチンは先進国から発展途上国になった例です。しかし、日本がアルゼンチンになる可能性は十分にあります。もはや「日本は先進国」だと言ってはいられません。

それぐらい、今の時代は大きな分岐点にきていると思っています。ですので、「なぜAIが注目されているのか?」というよりも、現実を見ると、生産性向上のためにAIなどのテクノロジーの導入検討を真剣に考えないといけない。

これから先もっともっと人材の採用が難しくなってくると思います。

エーアイスクエアが提供している3つのAIエンジン

-そんな中、エーアイスクエアではどのようなAIサービスを提供しているのでしょうか。


石田氏
:エーアイスクエアは、自然言語処理の領域におけるAIエンジン開発に特化している会社です。特に、ホワイトカラー産業の労働生産性の向上に貢献していきたいと考えています。

AIエンジンに関しては、「要約エンジン」「キーワード抽出エンジン」「QAエンジン」の3つに分けることができます。

この3種類のエンジンを組み合わせてさまざまなソリューションを提供しています。

人事・総務の代わりに受け答えをしてくれる、「人事・総務ロボット」

石田氏:その1つの代表作が「人事・総務ロボット」です。

人事・総務に関する質問を自動応答してくれるチャットボットサービスのイメージです。あらかじめ、2,000個におよぶQAがセットされており、人事や総務の代わりに受け答えをしてくれます。

たとえば、結婚、出産、育児などのライフイベントが発生した際に、どのような対応をとれば良いのか、質問を入力するとすぐに回答が返ってきます。

石田氏:従業員が少しズレた質問を入力したとしても、「揺らぎワード」の意味そのものを解釈して返答してくれます。

また、「お客様が車で来社されます」というテキストであれば、従来の技術だと「お客様」「来社」という、キーワードが含まれているかどうかで探しにいく、含まれているものは全部抽出してくる。

そうすると、もう何十行も関係ない内容が大量に出てきてしまいますが、人事・総務ロボットではそういったことがありません。

「お客様が車で来社されます」という質問だと、「お客様の駐車場利用対応」の内容が、「駐車場を借りたい」という質問であれば、「駐車場の利用方法」の内容が返ってきます。

このように意味を切り分けて、理解して人工知能がAnswerを返しています。


-このQAの仕組みがあるだけで、時間削減につながりそうですね。


石田氏
:質問を回答する人事・総務側の時間も当然削減できますし、一方で、従業員側の時間も減らすことができます。

調べる時間の短縮もそうですし、みなさん、わからないことがあると隣の人に聞いたりしませんか。聞かれた人もわからないと「どうかな?あれ?確かこうだったような・・・」と、調べはじめるんです。

そうすると聞いた人は「あ、悪いな」と思うので、「ごめん大丈夫。人事に聞くから」となりますよね。でも、聞かれた方は気になるので探し続けます。

そして、答えを見つけるかもしれないし、見つけないかもしれません。場合によっては隣だけでなく周囲を巻き込んで多くの人の時間を使っているんです。

こうした積み重ねが、膨大な時間ロスにつながっています。


-実際にこのQAの仕組みを導入しようとなると、結構時間がかかるものですか?


石田氏
:いえ、すぐに導入できます。仮に2,000個のQAがあったとしても、1時間もかからないはずです。

AIが最初に回答できないものも当然あります。そういったものに関しては、徐々にバリエーションを増やしてあげればどんどん賢くなります。

たとえると、「最初はちょっとできの悪い新人」みたいなイメージでしょうか。最低限は覚えているけど柔軟性に欠ける。それが学習するにつれてどんどん一人前になっていく感じです。

HR NOTE編集部も欲しい!「要約エンジンとキーワード抽出エンジン」

-要約エンジンと、キーワード抽出エンジンに関しても、詳細を教えてください。


石田氏
:要約エンジンでいくと、たとえば「ニュース記事を要約して読みたい」というニーズがあった際に、

  • 何文字に要約して読みたいのか?
  • 要約率を何%にして読みたいのか?

この2軸で要約して文章を読むことができます。ポイントは、AIが内容を判断して、重要な順にセンテンスを並び変えてくれることです。

大量のレポート資料やリリース資料なども、要約エンジンを活用すれば、すぐに概要を把握することができます。

※参照元:第百九十六回国会における安倍内閣総理大臣施政方針演説より「二 働き方改革」首相官邸

 

石田氏:またキーワード抽出エンジンに関しては、「抽出したいキーワード数」を選択すれば、その文章中でよく使われている重要なキーワードを抽出してくれます。

※参照元:第百九十六回国会における安倍内閣総理大臣施政方針演説より「四 生産性革命(中小・小規模事業者の生産性向上)」首相官邸

 

石田氏:これらは、事前のデータ登録やAIの学習は必要ありません。導入すればすぐに活用できるものです。

ですから、日経新聞電子版などで気になるニュースがあれば、その本文をコピペするだけで、重要なエッセンスを簡単に抜き出して知ることができます。

これらの仕組みにより、読み方の習慣そのものを変革できると考えています。


-記事コンテンツを作成する我々にも、ものすごく魅力的なサービスです・・・!(笑)


石田氏
:インタビューの文字起こしをしたテキストも、ある程度要約することもできますし、あらゆるネタや資料を短い時間で把握・理解することができますね。

実際に人事領域でも活用されている、3つのAIエンジン

-エーアイスクエアのAIエンジンは人事領域にも活かせるものなのでしょうか?


石田氏
:はい。さまざまな場面で活用されています。

先ほどのQAエンジンの仕組みに関しては、社員研修に活用している事例があります。新入社員に対し、社内制度における対応を覚えてもらうためにQAエンジンを用いてテストをするんです。

「この稟議はどういうフローで対応しますか?」「お客様の来社時の対応はどうしますか?」という質問に対して自分で回答を考え、実際にQAエンジンを通して回答をチェックするという流れです。

そうすると、今まではOJTやブラザー・シスター制度などで実施していたやりとりが、まずは自主学習してある程度学ぶことができるようになります。

営業やカスタマーサポートであれば、お客様への対応のQAや製品の質問のQAなどを学ぶために活用できます。


-面接時でのQAでも活用できそうですね。


石田氏
:面接官トレーニングでもいけますね。ですので、応用範囲は非常に広いです。みなさんのアイデア次第で多くのことに応用できます。

また、テキストの要約エンジンは、会議において活用されています。


-会議ですか?どのように使われているのでしょうか?


石田氏
:実際に、徳島県のホームページで採用されている事例なのですが、要約エンジンの仕組みを議会で活用していただいています。

徳島県の知事が定例の会見をおこなっていますが、1時間程度の内容をすべて音声認識で原稿起こしをおこなっています。そしてさらに要約エンジンを活用して、「結局、知事は何が言いたかったのか?」ということを、抽出することができます。

そして、その要約内容は、重要な順番から並び替えているので理解促進しやすくなっています。

この仕組みにより、今まで議会の内容を文字起こししてから整えて公開するまで4営業日ほどかかっていたのが、なんと2、3時間で対応完了できるようになったとのことです。

※参照元:徳島発!「AI要約サービス」の実証実験のページ


-それはすごい・・・!これ、誰の発言だったのかもわかるのですね。


石田氏
:この場合は、音声入力をするマイクによって発言者を識別しています。一度氏名を入力してシステムにログインしてもらい、そこから誰のマイクなのかを判断していきます

それができると、「誰が会議で話をしていて、誰が重要なことを言っているのか?」も分析できるようになります。

たくさん話をしているにも関わらず、要約してみるとAIが重要と判断せずに、その人の名前が全然出てこない。そういう人がすぐに分かってしまいます。


-これも人事領域に置き換えても使えそうですね。


石田氏
:実際に活用している事例はあります。あまり詳細はお話できないのですが、履歴書やエントリーシート、記述式のテストの採点などにも使えます。

記述式のテストであれば、模範解答があって、そこにどのくらい近い内容が回答されているかをAIが判断していきます。

採点において、確認する人間によってバラつきがでるのですが、AIが採点することでバラつきが抑えられます。その内容をもとに、さらに人間が個別の裁量で評価することで、著しいバラつきがなくなると思います。


-面接でも使えそうですね。会話の内容が自動でテキストでまとめられて、重要な部分が振り返りしやすいですし、選考官同士の共有も楽になりますね。

AIの導入の際は「AIを意識しない」ほうが良い

石田氏:「AIを活用して労働の効率性を高めよう」と経営層がいち早くシフトした会社は、大きく成長すると思います。逆に「AIにとって変わられるのが怖いから導入しない」という会社は成長が鈍化してしまうと考えています。

今や、AIの台頭を脅威と捉えるべきではありません。AIはあくまでもツールでしかないのです。

昔、同様にコンピューターが普及してきて「これは脅威だ」と言っていた人がいます。しかし、それが今では、必要不可欠なものとして世の中に浸透しています。AIに関してもそうなると思っています。

「AIが暴走する」と言う声もありますが、そのためには暴走するプログラミングを入力しないといけません。それを意図的におこなうのは、犯罪と同じ類です。

そういうことはまずないですし、AI活用はまだまだ入り口に立っているにすぎないので、もっともっとこれから、みんなが考えて工夫してより良いものにしていくというフェーズだと思います。


-AIツールの導入・活用において、経営者・人事が意識したほうが良いことはありますか?


石田氏
:「AIを意識してはいけない」ということですね。

「うちもAIを入れるぞ!」と意気込むときは、だいたいうまくいきません。目的がAIを入れることになってしまい、問題解決に向かっていないのです。

解決したい問題を明確にして、そのための手段を考えたときに「あ、これはもしかしたらAIでできるんじゃないか」と行き着くことが正しいやり方で、先にAIありきじゃないんです。

また、AI活用において、「意味のあるビッグデータを読み込ませて学習させる必要がある」と考えている方がいるかもしれませんが、そういったこともなくなってきています。

AI活用には、学習させたいデータや人手、費用が膨大にかかるイメージがあるかもしれませんが、今現在はもっと簡単に導入できるAIツールが生まれてきています。

当社のツールを検討してくださるお客様も、「え、そんなに簡単にできちゃうんですか?」と驚かれる方は多くいらっしゃいます。

東大で人工知能技術の研究開発・人材開発を専攻されている、松尾先生という方がいらっしゃるのですが、松尾先生はAIを「レベル1~レベル4」に分けています。

レベル1は昔の家電。レベル2はルンバ。レベル3はwatsonなどの人工知能。そして今がレベル4で、AIをいちツールと同様に、簡単に導入できるフェーズです。


-これからAIももっと身近なものになってくるかもしれませんね。


石田氏
:私たちは、AI技術を業務効率に貢献できるツールとして、安価で簡単に提供できるようにしていきたいと考えています。

そして、「日本がもう一回、元気になるためのモト」になりたいと思っています。

私たちのソリューションを通して、生産性の向上に寄与したいのもありますし、私たちのAIエンジンは国産なので、私たちの売上は日本のもので、税金も日本に支払います。外資の製品であれば、海外にお金が流れるだけじゃないですか。

ですので、日本が右肩上がりになるためには、このタイミングで腹を括って「労働の見直し」をしないといけません。まだまだ小さい会社ではありますが、そういうことに貢献していきたいですね。

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