-->

アルバイトを解雇するための3つの方法|不当解雇にあるケースとは

※本記事は株式会社アシロの「企業法務弁護士ナビ」より転載しております。

アルバイトやパートであっても解雇する場合、民法、労働基準法、労働契約法などにしたがって、適切な手続きをおこなわなければなりません。

また、このような労働者を解雇するためには、正当な理由が必要です。

適切な手続きがなされていない場合や、正当な理由なく解雇すると、不当解雇として損害賠償請求などのトラブルに発展する可能性があります。

本記事では、アルバイト・パート社員の正しい解雇の方法についてご紹介します。

【1】アルバイト・パート社員を解雇する方法

本章では、アルバイト・パート社員を解雇する方法をご紹介します。

非正規雇用であっても、正当な理由なく、一方的に解雇することはできません。

特にアルバイト・パートを期間途中で解雇するには正社員よりも正当性が要求されます。

①30日以上前に予告してから解雇する

アルバイトやパート社員を解雇するには、使用者が30日以上前に解雇を予告する必要があります。

解雇予告は口頭でも有効ですが、「した・していない」という紛争を防ぐために、文章で使用者に予告することが重要です。

また、解雇理由の証明書を求められたら、使用者は遅滞なくこれを交付しなければなりません。(労働基準法22条2項)。

②解雇予告手当を支払って解雇する

解雇予告の代わりに、30日分の予告手当を支払うことで即解雇することも可能です。

また、①の解雇予告と②の解雇予告手当てを組み合わせることも可能です。

たとえば、1月1日に解雇予告をおこない、1月20日で退職してもらうとします。

残りの10日分(1月21日~30日の10日分)は解雇予告手当てを支払うというような形でも、問題ありません。

③雇用契約期間満了時に更新しない

期間の定めのある労働契約を締結した場合には、期間満了とともに契約更新せず雇止めすることができます。

雇止めは期間満了による契約終了を意味しますので、これは解雇ではありません。

有期雇用契約は期間満了で終了するのが原則です。

しかし、過去に何度か更新されている有期雇用契約であることや、日ごろの勤務で次回の契約更新を期待されるようなやりとりがある場合もあります。

その際には、正当な理由がなれければ雇止めができないこともあります(雇止め法理)

【2】アルバイト・パート社員を解雇できる正当な理由とは

アルバイト・パート社員を解雇するためには、解雇予告制度などの手続きはもちろん、解雇するための正当な理由も必要です。

正当な理由には、以下のようなものがあります。

◆解雇の理由

就業規則の解雇事由に該当していれば、一応の正当性は基礎づけられます。

解雇事由に該当するものがない場合でも、解雇できないわけではありませんが、明記されている場合に比べて難易度は高いです。

もっとも、形式的に解雇事由に該当した場合でも、実質的にはこれに該当していないような場合や解雇が社会通念上相当ではない場合には、解雇は無効です。

労働契約法16条により、解雇には客観的かつ合理的理由と社会的相当性が要求されるためです。

なお、解雇が正当かどうかは事案に応じて慎重に検討する必要があります。

以下、具体的に検討します。

◆横領などの不正行為がある場合

横領(刑法252条)・背任(刑法247条)・窃盗(刑法235条)・器物損壊(刑法261条)など、刑罰上罰すべき行為や、法令違反などがあった場合には、解雇の理由となり得ます。

このような行為は会社と従業員の信頼関係を著しく毀損するものであるため、このような深刻なケースでは解雇は有効性を認められやすいといえます。

◆職場に損害を与えた

他方、犯罪行為でなくとも従業員の行為により会社が実損を被っている場合も解雇を検討すべき場合があります。

しかし、この場合は原因行為の態様、動機や会社側の注意指導の有無など諸般の事情を踏まえて総合的な検討が必要です。

したがって、被害があれば即解雇可能というものではありませんので、注意しましょう。

職場に与える損害としては以下のようなものがあります。

  • ネット上に店の評判を落とすような書き込みをするなどして、売上を落とした
  • 高価な備品を破損させた
  • 他の従業員に対するハラスメントや暴力行為など

評判を落とすような書き込みや暴力行為などは、名誉毀損罪(刑法230条)や暴力罪(刑法条)、傷害罪(刑法204条)にあたる場合があります。

このような場合は、上記の犯罪行為に準ずるような取り扱いとなるでしょう。

◆経営不振による解雇(リストラ)

経営不振による解雇は整理解雇と呼ばれています。

整理解雇をおこなうには、以下のような判断基準を総合考慮して解雇の有効性が判断されます。

  • 整理解雇の必要性がある
  • 解雇回避をするための努力をした
  • 対象者の選定基準が客観的かつ合理的であること
  • 必要性・時期・基準について組合、労働者に説明し協議を尽くしたこと

【3】アルバイト・パート社員でも不当解雇に該当するケースの例

解雇に合理性や相当性がない場合は、たとえアルバイトやパート社員でも不当解雇に該当します。

アルバイトやパートは期間満了による雇止めは比較的難易度は低いですが、期間中はある意味正社員よりも強く保護されています。

したがって、アルバイトやパートを帰還途中で解雇する場合、その有効性については非常に慎重に検討する必要があるでしょう。

ちょっとした遅刻や、仕事上でのミスによる解雇

ちょっとした遅刻や仕事上でのミスによる解雇は、誰にでもあり得るものですので、基本的に解雇理由とはなりません。

宿直室での寝過ごしにより定時ラジオニュースの放送が2度できなかったアナウンサーに対する解雇について、不当解雇だと判断された事例があります。

この事例では、寝過ごしという同一態様に基づき特に2週間内に2度も同様の放送事故を起こしたことは、アナウンサーとしての責任感に欠け、定時放送を使命とする会社の対外的信用を著しく失墜するものではあるものでした。

しかし、最終的には当該アナウンサーを解雇することは、解雇権の濫用にあたるとされました(最判昭和52年1月31日労判268号17頁|高知放送事件)。

解雇権濫用の理由
  • 当該アナウンサーが自己の非を認めて謝罪していること
  • 最初の寝過ごしによる放送事故発生時に会社が何らかの対策を講じなかったこと
  • アナウンサーには他の放送事故歴がなく、平素の勤務成績も別段悪くないこと

上記の理由などを総合的に考慮し、当該アナウンサーを解雇することは、解雇権の濫用にあたるとされました。

【4】まとめ|アルバイト・パートの解雇は慎重に

以上のように、解雇をするためには、その正当性を慎重に判断する必要があります。

契約期間途中には基本的に解雇はできませんし、期間満了時にもそのまま契約終了してよいのか検討が必要です。

アルバイト・パートはいつ辞めさせても構わないというのは大きな誤解です。

仮に不当解雇の事案となれば、深刻な労働トラブルに発展する可能性があります。

心配な場合は一度弁護士に相談することをおすすめします。

この記事の監修者
梅澤 康二氏:アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

公式アカウントをフォローして毎日記事をチェック!