今だからこそ「人と人」のアナログ採用が成功の秘訣|4社合同記者懇親会レポート

今後ますます変化していくであろう新卒採用。21卒採用を転機として具体的にどういった変化が起こるか注目が集まっています。

変化が著しい新卒採用において、採用担当者はどのような対策をとっていくべきなのでしょうか。

今回は、AIの時代だからこそ「人と人」というアナログな採用が重要と考えている4社の採用担当者が語るイベントを取材。新卒採用を成功させるために各社でおこなっている秘訣を記事にしてまとめました。

各社登壇者

 1|母集団はどのように形成しているのか?

ナビ離れの傾向がありつつも、ナビ掲載はまだ必要

3月1日にナビサイトがオープンしましたね。昨年対比の数字を見ていても、ナビサイト登録者の数値が減少してきていることが分かります。

近年は、ナビ離れという言葉を聞かれると思うのですが、今年はそれが顕著に出てきているかなと。私が採用に関わり始めたのが2014年くらいだったのですが、当時はナビサイトからの応募が大半だったんです。しかし、19卒では20%くらいまでに下がってきたんです。

そのため、ナビサイトに変わる母集団形成を考える必要があると感じています。

弊社では今年から大手のナビサイトを使うのをやめました。ナビサイトが悪いというわけではないのですが、弊社としてはあまり効果が見込めなく…。

大手サイト経由のエントリー者の中で、実際に説明会にきてくれた学生さんは、3人に1人の100人くらいだったのです。

さらに、その100人の学生さんの中から最終面接・内定承諾まで何人残ったのかを考えてみても、これはちょっと費用対効果が見合わないなと…。

なので、その分の費用は別の採用手法の費用に回すことにしました。

弊社はナビサイトを活用していますが、メイン機能としては学生さんの個人情報の管理や選考フローにおける連絡など管理ツールの一つとして活用しています。

通常はナビサイトを使って説明会の予約をされる学生さんが多いのですが、あえてナビサイト上では予約を受け付けずに、リアルに会った学生さんだけに情報を提供する仕組みをつくっています。

弊社にとってもナビサイトは欠かせないツールです。学生さんが一番活用する就活ツールであることは変わらないので掲載は続けているのですが、学生さんの興味・関心度合いを加味するとイベントなどの直接接触のほうが感度は高いので、イベントにも注力していますね。

リファラル採用に可能性を見出す

弊社では近年リファラル採用の割合が高くなってきています。20卒だとすでに100名くらいの学生さんとお会いする機会をいただけています。

リファラル採用の主な方法は何かというと、19卒の内定者に協力してもらっています。弊社で変わっている採用と感じているところとしては、内定者に「こういう業界に興味ある後輩を、5人以上集めてくれたらどこでも説明会をしに行くよ」と伝えたことですかね。

実際に、それで興味をもってくれた内定者が後輩を集めてくれて、高知や新潟まで説明会をしに行ったこともありました。

あとは、内定辞退者からのリファラルもやっています。内定辞退者も裏を返すと最後まで弊社か別の会社を迷ってくれたということなので、弊社の魅力は分かってくれているかなと思ったんです。それで1、2年前から声をかけるようにしたら内定辞退者からの紹介で選考に来てくれた学生さんもいました。

 

弊社もクリークさんほどではないのですが、リファラルに力を入れています。弟や妹など、親族からのリファラルやゼミの後輩、サークルの後輩などさまざまですね。

弊社は不動産業界なので、家をご購入いただいたご両親からのリファラルなんてケースもありました。笑

イベントで対面重視の採用が効果的

今年の採用で一番感じることは「イベントなど対面でお会いした学生さんがそのまま説明会に来てくれる」ことが19卒採用と比べて非常に多いということです。

会社説明会でいきなり会長が登壇すると伝えていることも功を奏しているのかもしれないですが、昨対比で8倍くらいに増えました。

また、イベントと一括りにいってもそれぞれにカラーや特徴が異なりますよね。なので、そこを見極めながら多い時は週3くらいでイベントに出ています。

結構、人と人というアナログな採用が重要だったりしますよね。リストさんはどうですか?

うちはイベントとしては、インターンシップの合同説明会が賑わいましたね。不動産業界は正直、人気業界というわけでもなく、自社の知名度も高いわけではないのですが、1日で800名くらいの学生さんがブースにきてくれました。

インターンシップもサマーインターンシップ、オータムインターンシップ、ウィンターインターンシップなどあり、そこからの母集団形成が今年のトレンドでしたね。

弊社は社長が積極的に説明会や就活イベントに参加していますね。先週は大阪、今週は名古屋と、全国を回り泥臭くアナログな集客をおこなっています。

現在はAI時代に入っていますが、まだまだ「人と人による採用」というところは捨てきれないなと感じますね。

2|志望動機は聞かない!?

 

ところで、皆さんの会社は面接フローで志望動機を聞きますか?

弊社では、志望動機は聞かないですね。というのも、まだ仕事をしたことがないのに、やりがいとかどんな仕事をしたいとか、正直わからないんじゃないのかなって。

それよりも、過去の経験や大切にしている価値観を掘り下げるようにしています。過去の経験を聞きながら志望動機を一緒に作り上げていく(=未来の自分の可能性を広げていく)というように考えています。

我々の会社は説明会の段階では9.5割が知られていないんです。なので、「ジャッジする採用」ではなく、「作り上げる採用」だなと思っています。

うちも志望動機はきかないですね。説明会に来ていただいて興味を持ってもらった学生さんにはエントリーシートを書いてもらいます。

このエントリーシートには、主にこれまで自分が頑張ってきたことを書いてもらうのですが、二次面接ではその内容をを深堀りしていきます。過去の経験に着目し、そこから思考の癖みたいなものを見ていくんです。

過去の話を深掘り、学生さんの思考の癖や再現性を判断し、一方でビースタイルの考え方・カルチャーとマッチするかを確認しています。

うちは逆に志望動機をしっかり聞きますね。一番はイメージギャップをおこしたくないという理由が強いです。けれど、志望動機がないからダメというわけではなくて、イメージが湧いていないのであれば一緒に作り上げていこう、という意味合いもあるのです。

以前は、選考の方法として学生さんが選考のスタイルと回数を自分で選べるという、「カスタマイズ就活」をやっていたこともあったのですが、今はしっかり面接で考えを聞き、弊社とのマッチングを踏まえて採用をしています。

その点では弊社も同じです。職種や仕事内容などの志望動機ではなくて、その人の志向性、「何を大切にしているのか」「うちの会社でどういうことをやり遂げたいのか」などを深掘りするような志望動機を聞くようにしています。

各社が仕掛けるユニーク選考

先程のリストさんの話じゃないですが、何か面白い・工夫された選考があったら聞いてみたいですね。いかがでしょうか?

3年くらい前までは、認知度拡大のために「変態✕真面目採用」「面接やめちゃいました」などの尖ったページを作ったこともありました。(笑)

そうすることでうまくいった面もありましたが、逆に課題も見つかりました。

今は新卒マーケットが変化したこともありやっていません。先程リストさんがおっしゃっていた「イメージギャップを起こしたくない」ということは、どの企業でも課題とされていることだと思います。実際に、3年以内の離職率が30%といわれますが、その多くの要因がイメージギャップですね。

これを改善するために、弊社ではオフィスツアーをおこなっています。選考中に社員が働いているオフィスを訪れることによって、実際のリアルな就業イメージを掴んでもらうことで、ギャップを埋めることができます。

あとは、本当に弊社がいいと思ってから最終面接にチャレンジしてもらうためにも、納得のいくまで社員面談をやってもらいます。タイプの異なる社員に会ってもらうことで、多方面から弊社を見てもらうことができます。

弊社も指名制で何回でも社員と面談ができるという制度をとっています。一つ上の先輩や経営者、管理部の人など…。

入社したときにイメージできるように、学生さんが納得がいくまで面談をしてもらっていますね。接触回数を増やすことでマッチングを上げるような選考方法ですね。

弊社は少し違う角度ですが、「再チャレンジ制度」というものを公言しています。面接が不合格だったにもかかわらず、もう一度チャレンジしたいという学生さんに、なぜ不合格だったのかという理由をフィードバックし、それを乗り越えてくる学生さんには次の面接に進めるような機会を提供しています。

過去には、5回チャレンジした結果内定となり、今ではトップセールスマンなっている社員もいます。積極性がある学生さんに関してはどんどんチャンスを与えるようにしていますね。

弊社も再チャレンジ採用をおこなっていますね。弊社では、年に一度、新人を一人表彰する制度があるのですが、一昨年の新人賞は再チャレンジで採用した学生さんでしたね。再チャレンジ制度に挑戦してくる精神みたいなものは、会社に入ってからの強みにもなりますよね。

弊社は面接だけでは学生さんのポテンシャル測れないなと思っているんです。人が人をジャッジすることには限界があるなと最近感じていて。なので、少し業務に関連した模擬ワークみたいなものを実施しています。

面接の場は学生さんも企業もお互い繕っているんですよね。模擬ワークをおこないながら想定外の状況に置かれることで、素の姿を見ることができると。素の姿を見ることでいいマッチングにもつながるかなと考えています。

3|内定フォローで気をつけていることは?

 

弊社では、内定フォローの一つとして、内定者と社員がお互いについて知り合うことのできるピザパーティーなどの交流会をおこなっています。また、弊社と別の企業という二択で内定を迷っている学生さんには、社長や会長とのご飯会などもありますね。

弊社では、内定者インターンを受け入れています。学生さんの希望部署や敢えて希望していない部署などをローテーションで回ってもらいながら、会社全体のことを理解してもらう機会にもしています。

入社前からいろいろな環境でインターンをしてもらうことでカルチャーフィットを強化しています。

まず、内定出しのところなのですが、弊社では、承諾期間を設けないということをこだわっています。

心いくまで就活をやって納得した上で決めてほしいと伝えているので悩む学生さんはかなり悩みます。

しかし、内定承諾前の段階でも研修に参加してもらい、弊社を知ってもらう機会を多く設けています。研修の前半は、ビジネスマナーの基礎などですが、後半では、「内定者ミッション」というものをおこなっていて、リファラルの紹介や、読書感想文の作成、自己研鑽などをすることでポイントがつき、それを通じてみんなで高めあっていくということをやっています。

クロージングをおこなわないのはトレンドになりつつありますよね。人事側の採用ニーズもあるので、そこは課題ですが。

やはり、多くの企業が入社前ではなく入社後どれだけ活躍して会社に貢献してくれるか、その人の人生が豊かになるかというところに重きを置いているので、自社のカルチャーへのマッチングというところが重視されますよね。

最近は「親確」がある

ところで、最近は、学生さんの親御さんが就活に深入りすることが多くなりましたよね。最終決定を親がするとか…。学生さんの親御さんに対して何かしていることってありますか?

弊社は学生さんの親御さんにお手紙をお送りすることを創業当初からおこなっています。事業内容や会社のご説明だけでなく、なぜお子さんに内定を出したのか、社員として迎え入れる覚悟なども記載しています。これをお送りすることで、学生さんを応援してくれる親御さんが多いかなと感じています。

私が就活をしていた2005年頃では、親は自分の子どもが就活をしていることは知っているけど、どこにいくとかは言わないこともよくあって、私自身も決まってから「どこにいくよ」と事後報告するような感じでした。

しかし、最近では内定出しのときに「親と相談して決めます」という学生さんがすごく多いなと感じます。特に面白いのが、女子学生さんのほうが決断が早い傾向にあるんですよね。それは、女性は日頃から働き方に対する感度が高くて、親御さんと相談しながら選考を進めていることが多いからなのかなと。

その点、男子学生さんは意外と最後の最後に悩んじゃうことは多いかなと思います。

そこで言うと、弊社も親御さんにお手紙を出すことは毎年やっているのですが、過去に2回、親御さんのご自宅に会社説明をしにいったことがあります。内定を決めたい学生さんがずっと親に反対されていて、説明しきれず…。

最後は食事をし、ご両親に承諾をいただいて内定が決まりました。そのくらい親の影響力は高いなと感じています。

 

親御さんにお会いして会社説明はすごいですね。弊社では採用パンフレット・採用ホームページなどの採用ツールの作成に力をいれています。

採用ホームページでは説明会の動画を公開し、親御さんでも見ていただけるような工夫はしていますね。

まだまだ認知度が高くないので、学生さんが見ているものと同じものを見ていただけるようにすることで、会社の理解を深めてもらえればと思っています。

4|採用をおこなう上で大切にしていることは?

弊社は理念を大切にしてきた会社です。なので、採用担当者が選考段階で学生さんに伝えたいことは弊社のDNAを継いでほしいということなんです。

経営者の思いに共感し、継いでくれるような学生さんが入ってきてほしいと思っています。それもあって今年、創業当時のエピソードを劇にして、その映像を学生さんに観てもらっています。

弊社は30周年を迎えるんですね。そこで、「次世代を作る」ということを重視して採用していきたいと思っています。そのためにも、人に響く、人が会って、その思いに共感してくれる採用がしたいなと。そこはアナログな部分も強めていきたいです。

二点ありますね。一つは、弊社に学生さんが幸せになれる土壌はあるのかということ。仕事に限らず、学生さんが思い描いている人生のビジョンが弊社で実現できるかは採用をおこなう上で重要視しています。

もう一点は、学生さんと対峙する際に嘘をつかないということです。イメージギャップがあって入社後に早期離職となっても意味がないと思うので、良いも悪いもひっくるめて全部正直にお話するということを全社で徹底しています。

メンバーや社員に言っているのですが、学生さんに「リストと出会えてよかった」とプラスに思ってもらえるポイントをどれだけ多く作れるのかを重要視しています。

入社する、しないにかかわらず弊社のファンを作っていくことが採用活動なのではないかと思っています。

そのため、常に採用のときは感動をどう作っていくのかを体現するように意識しています。

皆さん人を大切にしていて、学生さんに対してもこれから入ってくるかもしれない仲間として、人として見ているという印象を受けました。

弊社も「誰と働くか」をすごく大切にしており、採用コンセプトを作っています。

カルチャーにあっているのか、入社前ではなく入社してからの活躍がどうか、同じ仲間として会社を盛り上げていけるかということを重視して、そこから母集団形成までさかのぼり学生さんを集めることに注力するということがこれから重要なポイントといえそうですね。

さいごに

母集団形成から始まり、選考プロセス、内定フォローまで、非常に興味深い内容が盛りだくさんでした。採用活動にもAIが浸透してこようとしている現在でも、やはり人と人との関係性の上に成り立つ採用は続いていくようです。

 

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