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「会社の実態が知られてしまう」オープン時代に、企業が実践すべき採用のあり方とは?

8月29日、オープンワーク株式会社が、「オープンな時代に企業が目指すべき採用のあり方とは」というテーマでイベントを開催。

イベントでは、同社副社長の麻野さんが登壇され、採用マーケットの変化や、企業情報が漏れ出る「クチコミ時代」において採用担当者が考えるべきスタンスについてお話されていました。

本記事では、イベントレポートしてその内容をまとめてご紹介します。

【登壇者紹介】麻野 耕司 | オープンワーク株式会社 取締役副社長/株式会社リンクアンドモチベーション 取締役

慶應義塾大学卒業後、リンクアンドモチベーション入社。中小ベンチャー企業向け組織人事コンサルティング事業の執行役員に当時最年少で着任。新規事業として国内初の組織開発クラウド「モチベーションクラウド」を立ち上げる。2018年10月に当社取締役に就任。OpenWorkリクルーティング責任者。

1、オープン時代の採用マーケットに企業はどう立ち向かうべきか?

21世紀は「ヒト・モノ・カネ」ではなく、「ヒト・ヒト・ヒト」の時代

麻野さんまず、人事担当者の方々にとって釈迦に説法の部分もあると思いますが、採用を取り巻く環境、企業を取り巻く環境が、今大きく変わろうとしています。

そのような中、企業は「二つの市場」から選ばれる必要が出てきています。

一つが商品市場において顧客から選ばれること。これは売上がないと企業は存続できないため当然必要なことです。そしてもう一つが、労働市場において人材から選ばれることです。

そして今、商品市場、労働市場は大きく変わってきており、その変化についてお話させていただきます。

麻野さんまずは商品市場。かつての日本社会は、高度経済成長に代表されるように、製造業中心の社会でした。しかし、ここ数十年で第三次産業、すなわちサービス業中心の社会になってきています。

これは、商品市場ではサービス化・ソフト化が進んでいるということです。

製造業中心の時代には、商品をつくるために必要なのは工場・設備で、それらをつくるために必要なのは資金でした。

つまりは、モノとカネが企業にとって非常に重要な時代だったのですが、今は違います。第三次産業において求められているのはヒトです。

サービスを構成する要素として人的要素が強く、高い付加価値を生み出せる人材の確保が重要だと言われています。

一方で、労働市場について見ていきます。

今、日本は少子高齢化社会で人口が減少していく局面にあります。当然、人口が減るほど、労働市場における人材の獲得競争は激しくなっていきますよね。

商品市場ではヒトの重要性が高まっているにも関わらず、労働人口は減少している。それは採用が難しい時代になってきているということです。

そのためにも、労働市場において働き手から選ばれる会社になる必要性が高まっているということです。

これから企業は採用や組織にどう向き合うかによって存亡が決まっていくという事が言えると思います。

日本を代表する経営コンサルタントである大前研一さんも、「20世紀はヒト・モノ・カネの時代だった。でも21世紀はヒト・ヒト・ヒトの時代が訪れるであろう」と、おっしゃっています。

【採用の歴史】市場の変化に伴い、採用方法も変わってきている

麻野さん採用が非常にポイントになってきた時代において、今、私たちは採用にどのように取り組んでいくべきなのか。

まずは、採用の歴史を簡単に振り返ってみようと思います。

クローズドリクルーティング 1900年代〜

かつて日本企業の採用は、採用するために各大学に求人表を出しにいく必要がありました。

求職者側から見ると、就職するためには就職課に届いている求人票の中から会社を選んでいくことが、一般的な採用だったのです。

それをクローズドリクルーティングと私たちは呼んでいます。

マスリクルーティング 1960年代〜

そこから時代が変わり、新聞紙の紙面や就職情報誌に企業が求人広告を出稿できるようになりました。

1990年代からは、リクナビをはじめとした就職サイトも登場し、誰しもが平等にアクセスできるような求人メディアから採用、就職活動ができるようになりました。これをマスリクルーティングと呼んでいます。

ただし、どのような情報をもとに求職者が企業を選ぶのかというと、あくまでも企業目線での一方通行な情報のみだと思います。

オープンリクルーティングの時代へ

そしてこれからは、企業・個人が双方向のオープンな時代になってくると思います。

これはまず、SNSの発達があげられます。たとえば、Facebook・Twitter・Instagramの利用者数は急増しています。

SNSの利用状況を見ると、2012年は4,965万人だったのに対し、2018年は7,468万人と、この5年で約1.5倍に増えています。

ですので、求職者がどこから企業情報をキャッチアップしているかというと、求人サイトから企業が発信する情報だけでなく、SNS上で個人が発信している情報も重視している時代に変わってきています。

もう一つがクチコミサイトの活性化です。

我々も、OpenWorkというクチコミサイトがございますが、その利用者数は急増しており、今では310万人を超えるユーザーが存在しています。

また、「転職時にクチコミサイトを利用したことがありますか?」という質問に関して、約75%が「利用したことがある」と答える時代になってきています。

企業からの情報だけではなく、その企業で働く社員の生の声をもとに会社選びをする時代になってきているということです。

「お化粧した会社情報」だけでは通用しない時代へ

麻野さんマスリクルーティング以前では、会社の実態がどうであれ、やろうと思えば加工編集した“お化粧”した採用情報を社外に伝えることができました。

ただこれからは、会社の実態が今まで以上に外に漏れ出ていくものだと思ってください。そして、その情報をもとに求職者が会社を選ぶようになってきています。

この流れというのは避けようがなく、これからますます加速していくと考えています。

今後は、社内の情報が社外に漏れ出ていくという前提の中で、採用担当者はどのように採用活動に取り組めばいいのか。

このオープンリクルーティングの概念を身につけ、使えるかどうかによって、企業の採用の成否というのはこれから変わってくるのではないでしょうか。

2、オープンリクルーティングへの取り組み方

麻野さんここからは、採用担当者がオープンリクルーティングにどのように立ち向かうべきか、お話してまいります。

ここでは、三つのポイントがあります。採用活動を「誰に・何を・どのように」伝えていくかです。

  • 誰に:求職者理解。求職者は多様な価値観を持つようになり、自社を良く知った上で応募する
  • 何を:メッセージ策定。ポジティブな情報ではなく、ネガティブな情報も伝えていく
  • どのように:プロセス設計。何を伝えるかではなく、いつ伝えるかが重要

この三つのポイントを、それぞれ噛み砕いてご紹介していきます。

1、誰に:求職者を理解せよ

麻野さん「誰に」とは、ターゲットとなる求職者が、「どんな状態で応募しているのか」を理解する必要がある、ということです。

内閣府の調査で、「生活に求めるものは何か」についてアンケートをとったものがあるのですが、50年前は「物の豊かさを求める」だったのに対し、現在では「心の豊かさを求める」という回答が上回ってきています。

つまりは、仕事に対しても働くことに対しても、目に見える待遇だけではなく、目に見えない「やりがい」を求めるようになってきているのです。

社名・職種・給与だけではなく、「働く社員の魅力・社風・社会貢献」も重視する人が増えてきています。

これは、避けられない大きなトレンドだと思っています。これがまず前提にあり、そのようなメガネで求職者は会社を見ているということです。

求職者の価値観が画一的ではなく多様になってきており、その上で社員のクチコミ情報を見て企業に応募しているという背景があります。

企業が発信する定量の情報から、クチコミのような定性の情報までよくよく調べた上で応募している人が、今はすごく増えていることを前提として知る必要があります。

たとえば、オープンワークのクチコミを見ると、求職者には会社の平均残業時間まで漏れ出て伝わっています。

中には、社員が会社の経営陣に対して、何に満足をしていてどんな不満を持っているのかということまでわかります。それを知った上で面接にくるわけです。

それを知らずに今まで通りの採用活動をやっていたら、上手くいかないですよね。このことを重々理解した上で求職者と接点を持っていかねばなりません。

2、何を:ネガティブ情報の二つの伝え方

麻野さんそういった求職者の状態を理解した上で、どんなメッセージを伝えていけばいいのか。

これはポジティブ情報だけではなく、ネガティブ情報も自ら伝えていく必要があります。

これからも、会社としての強みを伝えていくことは、変わらずに重要になると思いますが、今まで以上に自らネガティブ情報、弱みも伝えていく姿勢を持たないと、求職者からの信頼は得られません。

ポジティブな情報だけでは、「この採用担当者は、ちょっとお化粧した情報を自分に見せてるんじゃないか」と疑問を持たれることになります。

むしろ、クチコミサイトに載ってるようなことは、意識してコミュニケーションを取っていったほうが良いと思っています。

では、そのネガティブ情報をどのように伝えていけばいいか。ここが採用担当者の腕の見せどころになるわけです。

その方法は、ネガティブ情報を「未来項目」と「期待値調整項目」の二つに分けることです。

ポジティブな情報は魅力項目として置き、ネガティブな情報の半分を未来項目。半分を期待値調整項目として置くというイメージです。

未来項目は、「未来に向けてその課題を解決していきたい」と定めている項目です。「今はそうかもしれないけど、未来においてはそれは変わっていく可能性があるんだ」と、求職者に伝えていくものですね。

未来項目については、ネガティブ情報だとしても積極的に打ち出していき、変えていきたい想いをアピールしたほうが良いと思います。

逆に期待値調整項目ですが、これは「ネガティブな状態だが今後も改善する予定がない」項目です。これに関しては入社後のミスマッチをなくす意味でも、真正面から伝えたほうが良いと思います。

たとえば、月間の平均残業時間が43時間だったとして、45時間以上にしたいとは思っていないが、これぐらいの幅の中では働いてもらいたいとします。

そうすると、「毎日定時で帰りたい」という要望が求職者にあった際に、「じゃあそのワークスタイルではあまりうちに合わないかもしれません」と言ったほうが、逆に相手も信頼をしてくれますし、入社後ギャップもなくなります。

いずれにしろ、ポジティブ情報だけでなく、ネガティブ情報を隠さずに伝え、そこに向き合う姿勢を明確にしていかなければ、会社は信頼されにくくなっている、と考えたほうが良いと思います。

3、どのように:どのプロセスでどのメッセージを伝えるか

麻野さん最後、「どのように」については、プロセス設計の話になります。たとえば、集客、セミナー、面接といった採用プロセスをどのように組み立てていくのかということです。

これらのプロセスで「何を伝えるか」も大切ですが、「情報をいつ伝えるのか」も欠かせない要素です。

さきほどの魅力項目、未来項目、期待値調整項目を整理したあとは、どのプロセスでどのメッセージを伝えるかを考える視点を持つことが重要です。

比較的多いなと感じているのは、どの採用プロセスにおいても、同じ魅力を何回も伝えているというケースです。

魅力項目の中でも、理念の魅力、仕事の魅力、社員の魅力などがありますが、それらの魅力を一度に伝えられても、毎回たくさんの情報が入ってくるので、あまり記憶に残りません。

そこをたとえば、求人メディアでは理念の魅力を伝え、説明会では仕事の魅力を伝え、面接や面談で社員の魅力が伝わるようにすると、それぞれのプロセスで伝える項目を絞ることができるので伝わりやすくなります。

また、知りたいことが全部知れると「お腹いっぱい」となり、そのあとに興味関心を上げにくくなるのですが、「情報渇望感」を残して、「もっとこの会社のこと知りたいな」と思わせた状態で次のプロセスに進んでもらう。

そのような進め方があっても良いのではないかと思います。

その上で、どのようなプロセス設計が良いか。

どちらかというと、採用プロセスの前半に魅力項目を持ってきて、プロセスの後半に未来項目や期待値調整項目を伝えるという流れが良いのではないでしょうか。

先に惹き付けをおこなってから、お互いのすりあわせをしていくイメージですね。

このように、採用担当者は求職者とのコミュニケーションを意識した設計する必要があると考えています。

3、クチコミスコアが低い企業がやるべきこと

麻野さん最後にOpenWorkにあるクチコミスコアを参考に、クチコミスコア別の採用方針についてお話させていただきます。

OpenWorkには、10万社を超える企業の社員によるクチコミが載っており、このクチコミスコアが採用に与える影響は、年々大きくなってきているように感じています。

OpenWorkリクルーティングというサービスを活用すると、スカウトメールを求職者に配信することができるのですが、その時にクチコミスコアの高い会社は採用がしやすくて、そうでない会社は採用がしにくいという傾向が顕著に出ています。

ここでは、クチコミスコア別にどうすれば採用につながりやすいか、その方法についてご紹介します。

まず、クチコミスコアの高い企業と低い企業で取るべき採用戦略は、当然異なります。

OpenWorkリクルーティングを通じて応募してくる数を見ると、スコアが4点台の会社は、スコアが2点台の会社よりも2倍近く応募数が多いという傾向があります。

当然、クチコミスコアの高い会社に応募したいという方が多く、スコアが3点以上の会社は、わりと苦もなく応募が取れるのではないでしょうか。

OpenWorkのクチコミが高いことを採用サイトやメール文面に打ち出していけば、応募が高まると思います。

では一方で、クチコミスコアの低い企業はどうすればいいのか。まずは見るべきは魅力項目の抽出です。

全体のスコアが低かったとしても、全部のスコアが低いとは限りません。まずはスコアが高い部分を見つけ、そこを魅力として伝えていきます。

その上で、未来項目を整理し、そこを具体的に訴求していきます。たとえば、「法令順守意識が低い」となっていたら、「働き方改革をこんな施策で実施中なんです」と伝えていくことで、期待感につながります。

ネガティブなポイントを包み隠さずに具体策と合わせ、未来項目を伝えていくことが、これから人事担当者の方には求められるのだと考えています。

経営陣とディスカッションができる採用担当へ

麻野さん本質的にはオープンリクルーティング時代に、企業の採用担当者が何をしないといけないか。

クチコミのような労働市場の声を集め、経営陣と一緒に改善していくことが、これまで以上に求められるように感じています。

OpenWorkのようなデータをもとに、経営陣と議論し、何を魅力項目にして、何が改善しようと思っている未来項目なのか、何が採用において期待値調整すべき項目なのか。

これからは、ただ応募者とコミュニケーションを取るのが上手い、現場の採用のオペレーションを回すのが上手い、というだけでは難しい時代になってきており、経営陣とディスカッションしながら採用設計ができる採用担当になる必要があるのではないでしょうか。

【本セミナー概要】

  • テーマ:オープンな時代に企業が目指すべき採用のあり方とは
  • 主催:オープンワーク株式会社
  • サービス
    OpenWork:国内最大級の社員クチコミを有する、転職・就職のための情報プラットフォーム
    OpenWorkリクルーティング:初期費用・月額ゼロの成果報酬型の採用支援サービス
  • 開催日時:2019年8月29日(木)10:30〜
  • 開催場所:GINZA SIX 12階

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