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チームラボエンジニアリング・U-NEXTの2社に聞く、プログラミングスクールからのエンジニア採用の裏側

デジタルコンテンツ制作会社「チームラボ株式会社」のグループ会社「チームラボエンジニアリング」と、映像配信サービスを提供する「株式会社U-NEXT」の2社に、「プログラミングスクールからのエンジニア採用の裏側」についてインタビュー。

近年、激戦となっているエンジニア採用ですが、チームラボエンジニアリング・U-NEXTの2社は、エンジニア未経験者を育成し紹介するサービス「TECH::EXPERT」を活用して採用を実施しています。

今回は、TECH::EXPERTの魅力や、エンジニア採用のスタンスや意識していることなど、対談形式でご紹介します。

森山 洋一 | チームラボエンジニアリング創業者

1979年、東京都出身。文系出身で学生時代は米国留学などを経験。社会人になると同時にプログラミングを学び始め、2007年チームラボに参加。Javaエンジニアとしてチームラボのファーストキャリアをスタートし、その後、ソリューション分野における大規模案件や新規立ち上げ案件のプロジェクトマネージャーを多数経験。2016年2月チームラボエンジニアリングを設立。

柿元 崇利 | 株式会社U-NEXT 経営戦略室 経営企画G 採用担当部長

IBM営業、起業経験を経て2014年5月よりU-NEXTへ中途入社。特定の専門領域に縛られず、事業戦略上の意味を持つ課題解決を推進。【主な担当プロジェクト】2014年:アニメ放題(ソフトバンク社との協業サービス)プロダクトオーナー兼システム開発プロジェクトマネージャー 。2015年:U-NEXTサービス全面リニューアル、プロダクトオーナー 。2016/2017/2018年:採用責任者、情報発信

エンジニア養成スクール「TECH::EXPERT」とは?

TECH::EXPERT(テックエキスパート)は、国内最大級のプログラミングスクールです。そこで優秀な若手エンジニアを育成し、企業に紹介するエンジニア紹介事業も実施しています。

受講中からマンツーマンでキャリアをサポートしていくことが特徴で、エンジニア転職に成功しなかった場合は受講料が全額返金される仕組みとなっています。

約600時間のカリキュラムをおこなった後、エンジニアとして成長した方をTECH::EXPERTと提携している企業へ紹介していきます。

2016年にサービスを開始してから、約150名のキャリアチェンジを支援しており、転職成功率は97%以上。上場企業や急成長ベンチャー企業への転職実績が多くあります。

TECH::EXPERTには、営業からエンジニアにキャリアチェンジするといった人材が数多く在籍しており、コミュニケーション能力が高いエンジニアへと成長できる可能性もあるのが魅力のひとつとして挙げられます。

また、同様の競合サービスと異なるポイントは、学習期間を通してキャリアアドバイザーが介入し、受講生のマインドセットを手厚く実施することです。

そうすることで、「背伸びをした考え」にならず、就職活動も危機感を持って臨むようになります。

チームラボエンジニアリング・U-NEXTは、なぜTECH::EXPERTを導入したのか

-まず、TECH::EXPERTを導入しようと思ったきっかけについて教えてください。

 

まずは背景として、チームラボのソリューション分野の案件数や売上が年々右肩上がりで成長しており、エンジニアの採用も拡大していく必要があるという状況が生まれていました。

もちろん、採用活動は積極的に実施しているのですが、それ以上にとてもありがたいことに案件数が増えてきて、採用が追いつかないという課題が出てきたんです。

その課題を解決するために2年前にチームラボエンジニアリングという会社を設立しました。チームラボでは、専門性の高い即戦力の方を採用する戦略なのですが、チームラボエンジニアリングは全く逆で、経験の浅い方でも積極的に採用していく方針で採用活動をしています。

その中で、プログラミング経験のある新卒採用・第二新卒の方など、幅広く採用活動をしていったのですが、なかなかそこまで多くの人材に出会えていないという実感がありました。

そこから、「プログラミング経験のある母集団を増やそう」と、自分のキャリアのためにプログラミングスクールに通われている方をターゲットにしようとなったんです。

プログラミングスクールに通われている方は、自分の身銭を切って高いお金を払って、覚悟を決めて学んでいる方が多いんです。「絶対にエンジニアとして活躍する」という意気込みを持っている方がすごく多い印象でした。

 

私も前提として少しだけU-NEXTの話を共有します。

U-NEXTの主力である動画配信事業は、おかげさまで売上もユーザー数も右肩上りで伸び続けています。市場全体も継続的に伸びていることから、しっかりと成長し続けていきたいという思いがあります。

一方で、AmazonやNetflixといった人類史に名を残すほどの素晴らしい企業が、競合として日本市場に参入してきています。それが2.5年ほど前のできごとで、決して油断ができないという危機感もあります。

加えて、技術の進歩も非常に早くて、「1年前の技術はもう古い」といったスピード感のある業界です。

そうすると戦略上、能力の高いエンジニアチームをインハウスで持ち、力を発揮できる環境をつくって腰を落ち着けてプロダクトを磨き上げていくことが、何より重要になってきます。外注でこのスピード感に合わせることは不可能ですので。

中途・新卒問わずエンジニアの採用活動をおこなっていますが、U-NEXTもまだまだ知名度が劣る部分もあり、黙っていても優秀な人材は来てくれません。

経験は浅くても、ポテンシャルを持つ人材の採用人数も増やしたい」という思いもありました。

動画配信分野は就業しているエンジニアの絶対人数が少なく技術は日進月歩なので、「中途即戦力」自体が転職マーケットに少ないんですよね。そもそも国内で採用活動をしている動画配信事業者もほとんどないですし。

そんな背景があったところ、たまたまイベントでTECH::EXPERTの話を聞く機会があり、「うちにも紹介してくださいよ!」と詰め寄った次第です。

 

ー導入にあたって懸念に感じていた部分はありましたか?

 

前職がプログラミングとは全く関係ない業界だった方もいらっしゃるので、エンジニアとしてちゃんと成長していけるか、不安な部分が最初はありましたね。プログラミングってセンスが必要になるので。

 

私の場合は、いわゆる人材紹介のエージェントがひとつ増えるような感覚でしたので、そこまで懸念はありませんでした。成功報酬型なので、「良い人がいれば良いな」という感じでした。

導入後、どのように選考を実施していったのか?

-導入後、どのように選考を実施していったのか教えてください。

 

最初に書類選考をおこないました。ただ、いくつか履歴書をいただいたのですが、全く分からなかったんです。

みなさんキャリアチェンジをされようとTECH::EXPERTを受講しているので、当然エンジニアとしての職務経験はありません。

プログラミング言語に関わる部分も書類に記載いただいていたのですが、全員同じカリキュラムを受けてきているので内容がほとんど一緒なんです。これはもう考えれば当たり前なんですけどね。「すみません。書類選考しようと言ってごめんなさい」と思いました(笑)。

そこで、とりあえず全員に会ってみようと、「U-NEXTに関心持っている方にとにかく会わせてください」という話をしました。

そしたらありがたいことに27人もの受講生に関心を示していただき、3日間ぐらいで全員に会ったんです。TECH::EXPERTの受講生は会社を辞めて受講しているため、すぐに面接調整することができました。

 

-すごいスピード感ですね・・・。27人に会っていかがでしたか?

 

あのときは本当に大変でしたね(笑)。

新卒・中途とは比較できないのですが、思っていたよりも「採用したい」方がいらっしゃった印象でした。

最初は、U-NEXTのエンジニア文化と相性が合いそうかどうかを判断して、その後プログラミングの素養があるか、エンジニアとして成長できそうかを見ていきます。

結果、1名を採用できたんです。

 

私もTECH::EXPERTを導入したときに、1名に内定を出させていただきました。

ただ、柿元さんがおっしゃった通り、たしかに経歴がテンプレのような感じになるんです。ですので、会ってみないと分からないというところはあります。

そこで弊社では、WEB診断という適性テストを導入してまして、まずはスクリーニングを実施しています。

数理能力を診断するもので、社内で定めた基準を満たした方に選考に進んでいただくという流れです。

そこから面接をさせていただくのですが、会う方全員が非常にモチベーション高く、やる気に満ち溢れているんです。ただ一方で、決め手に欠けるんですよね。採用する側もどう判断していくべきか、ちょっと悩むんです。

 

ーどの辺りで悩まれるのですか?

 

やはり、エンジニアとしての素養があるかどうかですね。最終的な判断は私になるのですが、「もうこの方と一生を共にできる覚悟が持てるか?」くらい、悩んで決断していきます。

ぶっちゃけた話、スキルの伸びしろは入ってみて一緒に仕事してみない限り分からないんです。ですので、「一生付き合う覚悟が自分の中で持てるか」という感覚を大事にして面接しています。

今のところは、このようなポテンシャル採用をメインでやっていますが、WEB診断によるスクリーニングの効果もあり、大きく失敗したことはありません。

TECH::EXPERTからは、その後も何名か採用させていただきましたが、活躍しているメンバーが全体的に多いですね。もう少しすれば重要なポジションを任せたいと考えている、期待の星もいます。

TECH::EXPERT受講生は「腹の括り方」がすごい

ーTECH::EXPERTを活用して「ここはすごいな」と感じたことはありますか?

 

みなさん、会社を辞めるという決断をして、大金を払って、自由時間のほぼ全てを勉強に費やすという前提でTECH::EXPERTを受講されているので、危機感というか殺気を感じるくらいのハングリーさがあるんですよね。変化に対して前向きですし、学ぶ意欲も高い。

私は、U-NEXTに採用されるために来ました(キリッ」って言ってきた方もいました。

 

たしかに、「うちの会社に入りたい」ってみんな腹を括って面接にきてましたね。そういう意味では、危機感を持った方は本当に多いですね。そういう方は、入社してからも成長スピードが周囲に比べると早いんです。

今はまだ、経験の差があるので、先輩のエンジニア達と比較するとアウトプットは高くないのですが、おそらく1年後とかには差はなくなっていると思います。やる気と学習を継続して業務に取り組んでくれるので、1年後には見違えるくらいに伸びています。

 

ー「腹の括り方がすごい」というのがあると。他に良かったポイントはありますか?

 

この間、やらせていただいた合同座談会はすごく良かったですね。会社のアピールもできますし、その場で多くの方にリーチできました。

実際に、そこでお会いした方の入社が1名決まりました。

※毎週水曜・金曜日に、採用企業とTECH::EXPERT受講生が、直接話ができる座談会を開催。座談会の前に1社5分のライトニングトークがある。

 

エンジニアとしてはほとんど未経験の方ばかりなのですが、逆に言うとエンジニア以外の職務経験を持っていらっしゃるのですよね。営業であったり、ビジネス開発であったり。

中途採用はエンジニア一筋の方がほぼ全てなわけですけど、TECH::EXPERT経路で異質な経験を持つ方が入ってくるというのは、良い影響があると感じています。

U-NEXT自体が多様性を重んじる傾向にあるというか、国籍や性別、年齢層も幅広いところがあるので、「今までいない種類の人」が入ってくるのに肯定的なんです。

エンジニアの採用で意識していることは何か?

-そもそものエンジニア採用全般で、工夫・意識していることはございますか?

 

U-NEXTの認知度もブランドイメージもまだそこまで高くないので、どうしたらエンジニアの方に魅力を感じてもらえるかは、意識して動いています。

実態として業績が好調であることや、エンジニアとしての市場価値を高めやすい環境があること、エンジニアがビジネス側から尊重され対等な立場であること、などですね。メディアや求人媒体を通じて発信しても伝わりにくい部分を特に。

また、面談のときは必ずCTOと私の2人は会うようにしています。役割分担をしていて、CTOは技術的目線で、私はビジネス側目線で、それぞれの得意領域をお伝えするんです。

2年ほどこの体制で実施していて、一定の成果をだせている気がしますね。A/Bテストできないのでホントにそうなのかはわからないですけど。

 

私は一次選考からドンドン積極的に登場します。そこでもう良い人材がいたら、その場で内定ジャッジをしてしまいます。

事前にWEB診断を実施し、情報を集めた上で、最初から最終面談ぐらいの感じで会っています。

私はエンジニア出身で、チームラボでプロジェクトマネージャーを8年間くらいやっていたので、面接しているときは、「この方がもし自分のプロジェクトにアサインされたら、どの役割を任せられるか」という観点でも見ています。

そうすると、そこで「ハマる方」と「ハマらない方」が出てくるんです。ハマる方は内定にグッと近づく感じですね。

ですので、特徴的な取り組みとしては、「とにかく選考の回数を減らす」ということですね。私が最初に出ることによって、選考フローを極端に短縮できるので効率的な運営ができていると思います。

長引くと他社の選考も進むので、そうすると選考辞退につながる確率が高くなるんです。

選考~内定まで時間がかかりすぎるのは、良くないことだと思います。ただ一方で、短すぎても会社の魅力を伝えきれない部分もあるので、そのバランスは気をつけながらやっています。

自社に欲しい優秀なエンジニアを惹きつけるために実施していることは?

ーエンジニア採用は多くの他社とバッティングするかと思いますが、惹きつけはどのようにされているのでしょうか。

 

やはり、こちらが良いと思っている候補者の方は、大概は他社とバッティングしますね。そこで惹きつけに関しては、まずは、チームラボのソリューション事業の話をします。

チームラボは、Webサービスやスマホアプリ開発では特定の業種に絞らず、全業種を対象としたシステム開発を請け負いますし、かつその企画提案、デザイン開発、インフラ構築運用まで全部社内でおこないます。

システム開発の全工程に関われるといった、幅広く仕事ができる可能性があり、さまざまな人間とコミュニケーションを取る機会が発生します。そこは売りにしているポイントですね。

また、チームラボでは、アート展や未来の遊園地」というイベントを結構やっており、そういったところでの副次的なメリットがあるんです。

特に「未来の遊園地」は全国で展開をしており、地方で開催する際は幼稚園や小学校向けにチラシを配るといったこともしています。そうすると、幼稚園生でもチームラボを知ってくれているんですよ。

お子様がいる中途の候補者の方には、「パパの会社ってすごいね」って言われたら嬉しくないですか、とお話ししながら、魅力を伝えています。

さらに、全国でさまざまなイベントを実施することで、地方での採用活動において認知度という部分で優位に立てることもあると感じています。

 

私たちも惹きつけにおいては、できることは何でもやります。

「優秀な人材が惹きつけられる職場」=「本質的な仕事に注力して能力をいかんなく発揮でき、それが評価される環境」だと思っていますので、時には会社の組織や制度自体も変えてしまいます

アジャイル開発の導入にあたっては経営トップがコミットして最優先事項にしましたし、フレックスタイム制度の導入、エンジニア向け評価制度の新設、最高スペックの開発用パソコン・ディスプレイ・イスなど備品の整備、ガジェット・ソフトウェア・書籍・セミナー費全額負担、スーツ着用不要・・・など、当たり前のことを当たり前にしました。

今後のTECH::EXPERTに期待したいことは?

ーありがとうございます。最後にTECH::EXPERTについて、期待したいことなどございますか?

 

TECH::EXPERTさんに期待したいことは、もし可能であれば都市部だけでなく、地方にもサービス展開をしていって欲しいと思います。

やはり東京での採用は激戦となっていて、もう奪い合いなんですよね。

これから、チームラボエンジニアリングの規模を一気に拡大していきたいと考えており、そうすると東京だけの採用では、なかなか実現性が低いと思っています。

今後は地方もターゲットにして採用活動をしていきたいと考えており、TECH::EXPERTさんと一緒にやっていけたら嬉しいですね。

 

期待という意味では、これまで通り「腹を括った」方々とお目にかかる機会を提供し続けていただければ満足です。

TECH::EXPERT経由の採用を始めて10カ月で、4名がU-NEXTに加わってくれました。彼・彼女らの仕事の種類や扱う言語がバラバラで面白いんです。

1名は、とある案件でそれまで外部の開発会社が持っていたシステムの内製化を担当していて、主な言語はPHPです。1名はサーバーサイドエンジニアとしてJavaを扱っています。2名はフロントエンドエンジニアとしてJavaScriptやReactを使ってます。

TECH::EXPERTの授業がフロントエンドもサーバーサイドもカバーしているからか、先入観や思い込みも少なくこんな配属ができているのでしょうね。

これからもタッグ組みながらやっていけたら嬉しいです。

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