-->

「採用×マーケティング」の新しい採用手法。リクルートメント・マーケティングで第一想起される企業に

今回はウォンテッドリー株式会社が提唱している「リクルートメント・マーケティング」についてインタビュー。

近年、テクノロジーが発展し、消費者が日常の中で接する情報の収集方法や意思決定における思考のプロセスなど、マーケティング領域での急激な変化が起こっているようです。

採用領域でも同様に、この市場の変化に対して、適切なアプローチをおこなうベースとなる考え方が、リクルートメント・マーケティングです。

本記事では、ウォンテッドリーが提唱するリクルートメント・マーケティングについて、同社の小池さんにお話を伺いました。

小池 弾 | ウォンテッドリー株式会社 Recruitment Marketing Evangelist / Business Hiring Manager

慶應義塾大学経済学部卒。大手SIer、HRスタートアップを経て、2018年1月にウォンテッドリーのビジネス採用担当としてジョイン。現在は、ビジネスサイドのHR責任者として、組織の採用/教育/文化醸成等に関わりながら、エバンジェリストとしてリクルートメント・マーケティングに関する啓蒙をおこなっている。

転職潜在層へのアプローチは、ターゲットの日常に入り込めるかが鍵

ウォンテッドリーさんから見て、転職市場はどのように変化していますか?

 

小池さん:仕事に対しての価値観の変化にともない、日常で接する情報と将来のキャリアを無意識に結びつける傾向があるなと感じています。

日常生活の中でも短期・長期に関わらず、多くの人が転職を視野に入れる昨今、転職活動をおこなうタイミングから企業の情報を収集するのではなく、すでに日常で接した情報をもとに、「そういえば、あそこの企業の記事やイベント面白かったから、あの企業がいいかも」と第一想起する企業がいくつかある状態で転職をスタートします。

そのため、候補者が転職活動を始める前に、まだ潜在的な意識状態の中で、どのようにターゲットとする候補者と接点を持ち、興味・関心を引き起こしていくのかを考える必要があると思います。

 

-たしかに、探そうと思ったタイミングで第一想起される企業は、日常で何かしら接点があった企業が多い気がします。

 

小池さん:もちろん、転職を考えたタイミングで情報収集はすると思いますが、その時点で既に知っている企業と知らない企業で比べると、知っている企業のほうが有利ですよね。

そのため、いかに転職を考えていないターゲットの日常の中に入り込んでいくかという考え方っていうのはすごく大事だと感じています。

 

-ほかに、転職市場の変化はありますか?

 

小池さん:情報収集の方法も変化が起こっている印象があります。

たとえば、自分もスマホをよく触っているのですが、デジタルデバイス上で行動データや検索履歴など、自分の日常で蓄積されているデータに基づいて、自分から情報を取りにいかずとも、レコメンドしてくれることが当たり前になってきているように感じます。

その人がどういう行動をとって、何に興味があるのかというデータが蓄積されていくと、スマホを通して、自分で検索をかけなくても、プッシュ通知で自分が興味のある情報だけ受け取るのが時代の流れです。

つまり、最近の情報収集とは、「探しにいく」よりは、「受け取る」というイメージに近いんですよね。

そのため、その人の興味の領域に入っている情報でなければ、届けたくても届きません。

このようなさまざまな転職市場の変化に対応するために、ウォンテッドリーが推奨しているのは、リクルートメント・マーケティングです。

マーケティングの観点を取り入れた採用の考え方

-リクルートメント・マーケティングとは、どういったものなのでしょうか

 

小池さん:リクルートメント・マーケティングとは、採用にデジタルマーケティングの観点を取り入れた採用活動の考え方です。

従来、採用領域といえば短期間でいかにスムーズに人員を確保するか、「エントリー→本選考→採用」までを効率よく実行するプロセスがメインでした。

しかし、冒頭でお伝えした通り、エントリー以前のプロセスも採用に必要なプロセスとしてみなし、一貫して採用活動をおこなっていこうという話です。

[拡大する]

小池さん:今までは、転職活動で意識した際に、最初にたどり着く求人媒体や人材紹介で初期認知を獲得するだけでも、エントリー数がある程度見込めていました。

そのため、いかに面接を効率的におこなって、たくさんいる候補者の中から優秀な候補者を見つけ、入社してもらうかが重要でした。

しかし、現在は労働力人口が減少し、企業は候補者を選ぶ立場というより、選ばれる立場に近くなってきました。

また、日々接する情報と将来のキャリアを無意識で結びつけているので、候補者の興味・関心のある分野の情報を届けられない企業は第一想起されず、エントリーが減ってしまいます。

そうならないためには、自社のターゲットとなる候補者にしっかりと認知してもらい、長期的な関係性を築き、ファンになってもらうための仕掛けが必要です。その仕掛けがリクルートメント・マーケティングです。

 

-たしかに、今までと同じように求人媒体に掲載するだけでは、エントリー数が増えないという声は、よくいただきます。

 

小池さん:たとえば、新卒採用でも学生が選考を意識する前の、サマーインターンのタイミングから長期的に採用活動をおこなう流れは、まさにリクルートメント・マーケティングのプロセスと近い思考になっています。

本エントリーのタイミングで、すでに企業への興味度がある程度ないと、そもそも選考を受けてすらもらえない。

今後の通年採用の流れが加速すると、より学生の動きを捉えた長期的なマーケティングが必要です。

逆に、中途採用はまだこういった長期的なアプローチが浸透していないですよね。

中途採用は、事業部のオーダーとして、いかに早く求めている要件を満たす人材を入社させることができるかが求められています。そのため、長期的なプロセスへの着手が、構造上起きにくいと想定されます。

中途採用の担当者も、長期的にやらないといけないのはわかっているけど、事業部側から短期的な結果を求められているから、なかなか手を付けられていないんですね。

この事態をリクルートメント・マーケティングというフレームを通して、採用に関わる人たちが綺麗に整理できるといいなと思っています。

 

-どのような企業がリクルートメント・マーケティングに取り組むべきなのでしょうか?

 

小池さん:冒頭で話した通り、生活の中での情報収集や仕事への価値観のスタンスが大きく変わっていく中で、全ての企業が長期的な視点を持たないと採用できない時代がくると考えています。

しかし、組織が良い状態ではない企業が、いきなり長期的な発信や体制づくりをしても効果が出ない可能性が高いので、その場合はまず組織改善を考えるのが先にやるべきことだと思います。

ネット時代である今だからこそ重要な一次情報

-リクルートメント・マーケティングを実践する上で、Wantedlyはどう活用できますか?

 

小池さん:転職潜在層へのアプローチに活用できます。

Wantedlyには、クライアントにWantedlyユーザーが興味を持ってもらい、会うたびに好きになってもらう仕掛けをたくさん用意しています。

たとえば、「話を聞きに行きたい」ボタンです

 

-「話を聞きに行きたい」ボタンですか

 

小池さん:たとえば、Wantedlyの競合といわれるIndeedやキャリトレには、「応募する」というボタンが付いています。しかし、Wantedlyに付いているのは、「応募する」ボタンではなく、「話を聞きに行きたい」というボタンです。

現在、候補者の情報源は、エージェントだけではなく、Openworkのような口コミサイトも含まれていて、主にネットが中心になっています。

ウォンテッドリーは、ネットでさまざまな情報が知れる時代になったからこそ、自分の目や耳で感じる一次情報が重要だと思っています。

しかし、企業に会いに行くきっかけは、説明会や選考会など、エントリーが前提のものしかありませんでした。

そのため、「より気軽に会いに行ける機会」を提供したいという想いがあり、「話を聞きに行きたい」ボタンを設置しています。

2つのフェーズで理解するリクルートメント・マーケティング

-リクルートメント・マーケティングの概要について教えてください。

 

小池さん:リクルートメント・マーケティングは、「リードジェネレーション」「リードナーチャリング」の大きく2つのフェーズに分けることができます。

簡単にいうと、「認知してもらうフェーズ」「志望度を上げるフェーズ」です。

ここからは、各々のフェーズをご紹介します。

ターゲットに認知してもらう「リードジェネレーション」

小池さん:「リードジェネレーション」は、認知獲得のことです。

厳密にいうと、マーケティングのプロセスにおけるリード獲得と少し定義が異なりますが、採用領域だとどうしても転職潜在フェーズで情報取得をおこなうことが難しいため、ここでは認知獲得とさせていただきます。

リードジェネレーションは、これまでにお伝えしてきた、候補者の日常の中にどれだけ面白いと思ってもらえるコンテンツを配信するかが重要になってきます。

転職をまだ考えていないターゲットに対して、どこで、どのような情報発信をすると、接点を持てるかを意識して設計することが認知獲得の領域では大事です。

【関連記事】リクルートメントマーケティング連載第2回〜採用におけるリードジェネレーション〜

企業を知ってもらうだけではなく、興味を持ってもらったり、検討してもらえたりする接点を設計しているか

候補者の志望度を上げる「リードナーチャリング」

小池さん:「リードナーチャリング」は、認知してもらった候補者の志望度を上げることです。これまで、「認知」の定義は「エントリーにつながる」でした。

しかし、認知とエントリーの間には、「興味」「検討」という候補者の心理的フェーズがあります。

そのため、認知してもらった後に、「どう興味を持ってもらうのか?」「どう検討ラインに乗っけてもらうのか?」を設定して、ターゲットの温度感に合わせてコンテンツを設計していく必要があります。

[拡大する]

小池さん:たとえば、認知フェーズの企業名を知っている程度の候補者に、オフラインコンテンツを誘導しても、来てくれる可能性は低いでしょう。

そのため、認知フェーズの候補者に対して、定期的にオンラインコンテンツを配信し、「この会社、前にも見ただけど、面白い会社だな」と志望度や興味度を上げて、「じゃあ一回この会社見てみたいかも」と思ったタイミングでオフラインコンテンツに誘導するほうが、来てくれる可能性は高いでしょう。

また、このオフラインコンテンツ自体も、候補者の温度感に合わせる必要があります。

会社説明会みたいなエントリー前提の場ではなく、転職に関係のない勉強会などのオフラインコンテンツを提供して、「コンテンツには興味あるし、この企業の社員にも会ってみたいから行ってみようかな」と接触機会を増やすことができます。

このように、ターゲットの温度感に合わせてコンテンツを設計して、志望度を上げていくことがリードナーチャリングです。

【関連記事】リクルートメントマーケティング連載第3回:採用におけるリードナーチャリング

ターゲットの温度感に合わせて、オンライン・オフラインコンテンツを作成できているか
【後編に続く】
後編では、具体的にどのようにリクルートメント・マーケティングを実施していけばいいのかをご紹介します。

公式アカウントをフォローして毎日記事をチェック!