「一番育っているのは講師?」多くの社員に講師を担わせる理由|研修の内製化 3社対談#1

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こんにちは!組織コンサルティングを行う株式会社JAMの菊地です。

この度、当社JAMにて自発的に社員同士が育て合う「自走できる組織」をご支援するために、「研修素材.com」を立ち上げました。

みなさんは、「後輩や部下に仕事を教えることで、自分の知識が整理されて、成長の糧になった」という経験はありませんか?自分のノウハウや知見を周囲に伝える機会を設けることで、さらなる成長につながりやすくなるものです。

そのために、社員を講師にして講座を開くなど、社内研修を実施することはひとつの方法かもしれません。しかし、その一方で、社員が講師を務めるハードルや、コンテンツ作りの大変さなど、研修の内製化の実現にはいくつもの壁があるものです・・・。

そこで今回は、「社内研修の内製化」をテーマに、すでに自社にて研修の内製化を積極的に実施している株式会社サイバーエージェント曽山氏株式会社LIFULL羽田氏の2名に対して、弊社代表の水谷がインタビューさせていただきました。

果たして、どのように内製化実現の壁を乗り越えてきたのでしょうか?

曽山様

曽山 哲人(そやま てつひと)|株式会社サイバーエージェント 取締役 人事統括

株式会社伊勢丹(株式会社三越伊勢丹ホ ールディングス)に入社し、紳士服の販売とECサイト立ち上げに従事した後、1999年株式会社サイバーエージェントに入社。インターネット広告事業部門の営業統括を経て、2005年人事本部長に就任。現在は取締役として採用・育成・活性化・適材適所・企業文化の取り組みに加えて「最強のNo.2」「クリエイティブ人事」「強みを活かす」など複数の著作出版やアメーバブログ「デキタン」、フェースブックページ「ソヤマン(曽山哲人)」をはじめとしてソーシャルメディアでの発信なども実施。著書『強みを活かす (PHPビジネス新書)
羽田氏

羽田幸広(はだ ゆきひろ)|株式会社LIFULL 執行役員人事本部長

人材関連企業を経て2005年6月ネクスト(現LIFULL)入社。人事責任者として人事部を立ち上げ、企業文化、採用、人材育成、人事制度の基礎づくりに尽力。2008年からは社員有志を集めた「日本一働きたい会社プロジェクト」を推進。2017年「ベストモチベーションカンパニーアワード」1位を獲得。7年連続「働きがいのある会社」ベストカンパニー選出(2011年~2017年)、健康経営銘柄選定(2015年度、2016年度)など、企業として高い評価を得るまでに導いた。著書『日本一働きたい会社のつくりかた(PHP研究所)
水谷氏

水谷 健彦(みずたに たけひこ)|株式会社JAM 代表取締役社長

(株)リクルートエイブリック(現リクルートキャリア)などを経て、2001年創業間もないリンクアンドモチベーションに入社。事業責任者、取締役を歴任。リアリティと再現性を兼ね備えたコンサルティングの提供を目指し、株式会社JAM設立。急成長企業の組織課題解決に向け、クライアントの組織戦略策定および実行に携わっている。

サイバーエージェント、LIFULLが多くの社員に講師を任せる理由

水谷氏:「教える機会はその人自身を育てる」ということが言われますが、お二人にもそういった経験はありますか?

曽山氏:かなりありますね。まずサイバーエージェントには、研修専門部署がありません。役員会で、例えば「会議力向上をテーマに研修を全社的にやったほうがいい」と決議されると、「研修をやってください」と人事に依頼があって、僕と人事のマネージャークラスでプログラムを作って講師をやります。

そこで、50人規模の研修を10回とかやるので、もう10回目なんて会議のプロみたいになって、かなりうまくなります。「教える人が一番育つ」というのは、僕もよく使っている言葉です。

水谷氏:サイバーエージェントさんは、あまり外部に研修を依頼しないんですか?

曽山氏:そうですね。

水谷氏:例えば会議の研修をやるとなると、普通の会社は会議の進め方の研修を探したり、外部のベンダーに相談するじゃないですか。そうならないというのは、根本的に何かあるのでしょうか?

曽山氏:まずサイバーエージェントの人事施策の根本として「他社のものを参考にしたり沢山勉強はするけれど、オリジナルを作ろう」という考え方があるんです。研修も同様で、お題が決まると「社員がすぐ実践に活かせて、経営課題を解決できそうな研修は何だ?」という議論をします。

ファシリテーションの研修だとしたらファシリテーションの本を大量に買って、人事でかなり勉強をして、その中ですぐに使えるものを資料で配布して、おすすめ本として紹介しつつワークショップをやります。

水谷氏:これはなかなかできないですよね。そうあるべきだとはものすごく思うのですが。

羽田氏:普通はやれないですよね。

水谷氏:LIFULLさんは研修講師は誰がやっているんですか?

羽田氏:参加必須のプログラムは、私や組織開発グループのメンバーが講師をやることも多いですが、当社の場合は、社長も半年に一度ミドルセッションという全ミドルマネジャー向けの研修をやっています。そのコンテンツは毎回社長の井上と何度も話し合って練り上げていきますね。

水谷氏:そこでテーマが決まったら井上さんと羽田さんや組織開発グループの人がコンテンツを作るということですね、それを井上さんが喋ると。

曽山氏:コンテンツ作りもやはりレクチャーになるから、実際に吸収して喋っている井上さんももちろん勉強されているわけですが、羽田さんもかなり成長するわけですね。

羽田氏:そうですね、かなり勉強しますね。

水谷氏:研修は結構多いのですか?

羽田氏:参加必須の研修は多くないのですが、「LIFULL大学」というものがあります。

水谷氏:そういうものがあるんですね、社内大学?

羽田氏:そうです。LIFULL大学は「必須プログラム」「選抜プログラム」「選択プログラム」という3つのプログラム群で構成されています。

必須プログラムは一般的な階層別の研修プログラムです。必須プログラムには、クリティカルシンキングやマーケティング、ファシリテーションなどのベーシックで重要なスキルを学ぶことができます。必須プログラムの場合は研修後のリフレクションを大切にしていて、基本的には宿題を出したり、定期的に定着度を確認するためにチェックリストをつけてもらったり、後日再度集まって振り返りをしてもらったりしています。

選抜プログラムは「LIFULL WILL」というものをやっていまして、これは、経営陣が次世代経営人材候補として選抜したメンバーに対して、社長が講師となって実際の全社課題に取り組んでもらうというものです。たとえば、当社は今年の4月にオフィスを移転しましたが、LIFULL WILLにおいて「LIFULLらしいオフィスを考える」というテーマが与えられた選抜メンバーが約3年間プロジェクトをリードしてくれました。

普段は一事業部の仕事をしているメンバーに、自分が今まで関わったことがないテーマや全社横断で調整が必要なプロジェクトなどを任せることで、視座が短期間で高まったり社内のコミュニケーションラインが増えたり、という成果が出ています。

このように当社では、研修プログラムを実務に溶け込ませるということを大切にしています。

曽山氏:宿題か。仕事に結びつけるってすごくいいですね!

羽田氏:はい。また、選択プログラムは社内では「ゼミナール」と呼んでおり、社員は自分のキャリアビジョンから逆算して受講したいものをいくつでも受講することができます。

AWSやブロックチェーン、機械学習の基礎などのテクニカルスキル系、業界研究系、社長の井上が塾長を務める経営塾、皇居ランニング(笑)など、多岐にわたる講座が50講座くらいありますね。

水谷氏:その講師は誰がやるんですか?

羽田氏:ゼミナールの講師はほぼすべて社員がやってくれています。講師の3割くらいは、自薦で「これを教えたいです!」と自ら手を挙げて講師になってくれています。他は、マネジャーが推薦して講師になっていますね。

水谷氏:それは素晴らしいですね。その講師役の人の変化や成長ってありますか?

羽田氏:簡単な例でいくと「マネジメントの研修をすると自分のスキルの点検につながり行動が安定した」みたいな話はありますね。また、講師をやるために事前に自分が研修を受けにいくという人もいます。まさに「教えることは二度学ぶこと」ですね。

水谷氏:「もう絶対やらなきゃ」っていうね。

曽山氏:それはいいですね。

水谷氏:「講師をやる」ということのハードルは、みなさん楽々越えて行くんですか?

曽山氏みんなビビっています。やはり初めてのネタとか、僕もビビります。だけど、ビビりながらやっていきますね。何回かやっていくうちに上手になってきます。

自分で事前にすごくイメトレをしますね。どこで反応するかなとか、聞きっぱなしの状態になってしまいそうだからワークを入れるとか、設計の部分もすごく考えますね。

水谷氏:あと解説も「こう喋ったほうが分かりやすい」とか考えますよね。

LIFULLさんは、「このテーマの研修をやりたい」と手を挙げる方がいる場合はすごくスムーズだと思いますが、「あの人にこのテーマをやらせよう」ということもあるわけじゃないですか。そのときに本人たちは、「分かりました!」と受けるんですか?それとも「いやいや・・・」と?

羽田氏:基本は受けてくれますね。

水谷氏:それはもう文化ですか?

羽田氏:文化ですね。当社の社是は「利他主義」ですが、社外に対してはもちろんのこと、社内の仲間への貢献に積極的な社員が多くて非常に助かります。

逆に研修プログラムの設計の部分は最初のころは手がかかりました。研修って、様々な形式のワークがあって、解説があってと、研修プログラムの設計について学んでいるプロでない人が作るのはいろいろと大変ですね。最近は減りましたが、最初は人事がアドバイスしていましたね。

曽山氏:でも間違えてしまうというか、よくありがちなのがティーチングオンリーの研修になってしまうということですよね。

羽田氏:教える方が人事でない素人の場合は、受講者を含めたみんなの力を借りようとすることが多いみたいです。みんなで発表しあったり、課題図書を輪読したり。

曽山氏:それはいいですね!素晴らしい。

水谷氏:全部作ろうとすると、大変ですからね。

話が変わりますが、人事部や人材育成部、人事スタッフの役割はどう変化していくのかという話ってありますよね。これまでは、人事部の人が前面に出ることってあんまりなかったじゃないですか。

研修の場で講師になるということもなかったですし。採用だと面接をしたりとかはあるでしょうけれど、研修において役割をどう変化させてきたかとか、今この時代に必要な力とか、そのあたりはどうお考えですか?

曽山氏:僕たちの場合、人事は経営と現場のコミュニケーションエンジンという考え方なので、理想的には研修は人事もできるし、でも人事の手が埋まると研修が進まないので、社員も講師ができるといいなと思います。

水谷氏:LIFULLさんはどうですか?

羽田氏:私も同じで、外部の人を挟んでしまうとメッセージが変わってきたり薄くなってきたりすることがあると思うんですよね。なので研修に関しても、人事が直接研修をするか研修プログラムの設計を支援するなど、内製化するということはとても大事だと思っています。

水谷氏:採用なんかもリファラルでいわゆる人事がどう人を集めてくるかとか、人事がどう社員を巻き込んで候補者を集めてくるか、みたいな動きがあるじゃないですか。それと似たようなことが育成でも必要だと思うんですよね。テーマ設定をして、自分たちで語って自分たちで研修をしたりとか。

曽山氏:研修に魂をこめられるといいと思いますね。

羽田氏:LIFULL大学のゼミも講師がプロの研修コンテンツを自由に選んで使うことができるようになれば、教育のレベルはすごく上がると思います。

曽山氏:研修講師がコンテンツと教え方を学べるというのは、すごく良いことだと思いますね。

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  • お問い合わせ:株式会社JAM

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