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経費精算とは?納税額の修正申告と面倒な差し戻しを防ぐ方法をご紹介

働き方改革の一貫として、従業員の業務効率化を考えることが人事担当者の役割として求められています。

そこで、今注目されているのが、経費精算です。経費精算は毎月おこなう作業で、生涯で52日も経費精算に時間を使っているといわれています。

そこで今回は、改めて経費精算とはどういった業務であるのか、目的やよくある問題を解説いたします。

1|経費精算の業務内容

経費精算とは、従業員が経費を立て替えて支払った場合に、立て替えた額を従業員に払い戻す業務です。

経費精算は、企業の資金が関わる業務であるため、企業によって「規定」「ルール」が定められています。経費精算のルールとは、就業規則や人事規則と同じ社内ルールのひとつです。

経費精算のルールでは、「どういった費用が経費になるか」「どのようにして精算するか」といった定義や手順が文章で明文化されています。

従業員と経理担当者は、経費精算のルールに従って、毎月の経費精算をおこないます。

1-1|従業員がおこなう業務

そもそも、従業員は経費を立て替えた際には「領収書」をもらう必要があります。領収書がなければ、本当に経費を支払ったかどうか証明できず、経費として認められない場合があるためです。

企業によって異なりますが、経費精算は月末におこなう企業が多いでしょう。従業員は、1ヶ月間で立て替えた経費をまとめて精算します。

従業員が経費精算を完了させるまでには3つのステップがあります。

1つ目は「申請書の記入」です。経費を精算するためには、経理部門に「申請書」を提出する必要があります。申請書を提出する前に、上司の承認を得る必要があります。

申請書には、「いつ」「なにを」「なんのために」支払ったかといった内容を記載します。

2つ目は「上司の承認」です。申請書を経理部門に提出する前に、内容に記載漏れ・不正がないかどうか上司が確認します。

3つ目は「経理部門の承認」です。経理担当者は、従業員が提出した申請書の内容を見て「経費として認めることができるか」判断します。

経費として認められた場合は、従業員に対して企業から「払い戻し」という形で立て替えた金額が振り込まれる仕組みとなっています。

1-2|経理担当者がおこなう業務

従業員が申請書を提出したあとに、経理担当者がおこなう業務は大きく3つあります。

1つ目は「申請書に記載漏れや表記ミスがないか確認する」ことです。重要な書類として、そもそも必要な情報が揃っているか確認します。

次に、「経費として認められるか判断」します。経費の内容を勘定科目に当てはめ、さらに金額が適正かどうかチェックします。

最後に、「従業員に払い戻し」をおこないます。経理担当者は、払い戻す経費を計上し、会社の口座から従業員の給与口座へ振り込む手続きをおこないます。

2|20の経費科目とその内容を一覧でご紹介!

 

経費に計上できる費用は「事業をおこなうために必要な費用」です。しかし、どのような費用なら、経費として計上できるかについては明確な基準がありません。計上できる経費については、企業が判断する必要があります。

交通費や、業務に必要な備品の購入費は、事業をおこなうために必要な経費だと判断しやすいでしょう。

経費精算をおこなう際に選択する科目と、内容の具体的な例をご紹介します。

科目名 内容
福利厚生費 健康診断等、インフルエンザ予防接種、従業員の結婚・葬儀用電報・花代等、従業員マンション賃料、社内総会関連費用、社内旅行費用、社内イベント景品等
旅費交通費 ガソリン代、高速道路代、駐車場代
宿泊費 出張時の宿泊代
従業員教育費 責任者講習受講料、資格試験受験代
業務委託費 人材派遣料金、コンサルティング費用
交際費 手土産代、お中元・お歳暮代、会食費用
広告宣伝費 自社広告掲載費用、求人情報登録・掲載料
販売促進費 ノベルティ・物品等、販売手数料
システム利用料 クラウドシステム利用料、Webツール利用料等
修繕費 システムの保守費用、設備変更工事費用等
通信費 固定電話料金、携帯電話料金、インターネット回線利用料金、郵送料金、切手代
備品レンタル費 サーバー・PC・携帯等の機器レンタル料金、会議室・会場のレンタル料金
事務用品費 文房具・ファイル等の購入代金
消耗品費 事務用品以外の消耗品の購入代金
加増運賃 宅配代金、バイク・自転車便代
新聞図書費 新聞代、書籍代、雑誌代
租税公課 登録免許税、印税代
銀行手数料 銀行に支払う手数料
その他支払い手数料 不動産仲介、代理店、セキュリティ調査
保険料 各種保険料
廃棄物処理代、清掃代、警備料、クリーニング代、コピー代、証明書発行手数料、諸会費

 

このように経費科目が細かく分かれている理由には、「経営判断の材料にするため」と「税金を計算するため」の2点があります。

経費科目を細かく分けることで「何にどのくらいの費用がかかっているのか」「無駄に費用を使っていないか」「どのくらいの収入が見込めるか」を把握しやすくなります。

【参考文献】複式簿記入門講座「個人事業主のよく使う経費項目(勘定科目)一覧・よくある仕訳例」

3|こんなときどうする?経費精算が原因で生じる問題

経費精算は企業の資金の増減に影響する業務であるため、ミスが許されません。しかし、従業員と経理担当者という2つの立場が関わる経費精算では、どうしても問題が生じてしまうことがあります。

3-1|納税額の修正申告

万が一、経費精算に誤りがあると、法人税を納税する際に問題が生じます。

企業が支払う法人税の金額は、利益額の約20%~30%とされています。利益は売上から費用を引いた金額であるため、経費の金額は、法人税の金額に影響します。

経費として計上した額が大きいと、税務署から適切な法人税を支払っているかどうかを確認するために調査が入ります。

税務署によって、企業が計上した経費が妥当な金額ではないと判断された場合、企業は修正申告をおこない、不足分の金額を納税する必要があります。

さらに、不足分に加えて、本来支払うべきであった納税額の5~10%の額の加重税が課されます。結果として、企業は本来の納税額より多い金額を支払わなければなりません。

そのため、経費精算の誤りは、企業の損失の原因となり得るのです。

【参考文献】国税庁「暮らしの税情報」(平成30年度版)
【参考文献】国税庁「加算税制度(国税通則法)の改正のあらまし」

3-2|申請不備の差し戻し

提出された経費精算の申請書類を、経理部門で全てチェックするのは大変な業務です。

申請書類の中には、経費として申請してはいけない費用が申請していたり、申請方法が間違っていたりすることもあるでしょう。

その際に発生する業務が「申請不備の差し戻し」です。

経理担当者は、申請内容に不備があった場合、申請者に修正依頼をする必要があります。ここでは、差し戻しをおこなわなければならないケースをご紹介します。

記入しなければいけない内容が書かれていない

従業員が経費を申請する際には、申請書に「精算書の申請日」「部署名・氏名」「支払金額」などの情報を記入する必要があります。

申請書に記入しなければならない情報は経費の種類によって異なります。たとえば、交際費は申請書に記入する必要項目が多い経費です。先方の社名や参加人数といった項目の記載が漏れやすいのです。

こういった場合は、経理部から従業員の所属部署へ申請を差し戻し、再度記入してもらうことになります。

領収書が添付されていない

申請するためには、会社のお金を何に使ったのかを証明する領収書の添付が必須です。しかし、添付されていない状態で申請が回ってくることもあるでしょう。

また、申請書と領収書を経理部に郵送する方法を採用している場合、領収書の送付依頼をしても届かないといったアクシデントが発生するかもしれません。

発送したかどうかも分かりにくいため、催促もしにくく、経費精算が滞ってしまいます。

金額が正しくない

経理担当者にとって、経費精算をおこなう上で大きな負担となるのは、精算金額のミスではないでしょうか。

精算金額のミスとして「領収書と申請書で記載金額が異なっている」「交通費精算で定期区間を含めた金額を記載している」などがあげられます。

精算金額のズレが生じないように、経理担当者は検算し申請内容が正しいか1件1件確認し、ミスを発見した場合は差し戻す必要があります。

4|差し戻しを減らすために経理担当者ができること

差し戻し件数が多くなると、繁忙期は時間外労働の要因になることもあります。そこで、そもそも差し戻しが発生しないよう、対処方法をご紹介します。

4-1|正しく経費精算をおこなう重要性を理解してもらう

経理担当者は「経費精算を正しくおこなうことの重要性」を従業員に理解してもらい、経費精算に対する考え方を変えましょう

不正な経費の計上は、会社に対して大きな影響を与えます。

従業員は「数百円の領収書くらいで大げさだよ」と思うかもしれませんが、規模の大きい会社だと、その積み重ねが利益を圧迫します。

定期的に経費精算の注意事項について確認を促す周知メールを送るなどして、経費精算の漏れやミスを防ぎましょう

4-2|経費申請のフローを見直す

経費を申請するためのフローが複雑なため、従業員が申請する際にミスが起こりやすく、差し戻し件数が多くなっている可能性があります。

申請の方法には「申請書に手書きで記入して提出」「エクセルのフォーマットに入力して送信」「経費精算システムを利用」の3つがあります。

最近では、経理を含めバックオフィスの業務効率化に特化したシステムを導入する企業も増えました。2018年時点で、システムを導入する(もしくはする予定の)企業の割合は7割を超えています。

【参考文献】MM総研ニュースリリース「業務ソフトウェアの利用動向調査」

システムの普及は、手書きやエクセルでおこなう業務が非効率的であることに課題を感じる企業が増えたことが背景にあるでしょう。

経理においても、手書きやエクセルへの手入力は、従業員による申請から経理担当者の確認までの工数が多くなり、ミスが発生する原因となります。

経費精算システムを使って、経費申請に必要な業務を自動化することで、ミスを減らすことも方法のひとつです。

4-3|経費計算システムで業務を自動化

経理担当者は、月末・月初に営業担当者を含む多くの従業員から経費の申請があがってきます。経費精算でのミスは許されないため、申請内容一つひとつを細かくチェックする必要があります。

このように経理側では、申請された経費を処理するために毎月多くの手間がかかっています。

経費精算システムは、従業員の申請ミスを減らすだけでなく経理担当者の負担を減らすことができます。

たとえば、「自動仕訳機能」は、申請時に自動で仕訳がされることで、面倒な仕訳や手入力の工数を減らすことができます。

また、差し戻しの理由のなかでも多い「交通費の計算ミス」は、「乗換案内サービスとの連携」によって解消することが期待されます。

経費精算システム乗と換案内サービスが連携すると、交通費を自動で算出させたり、定期区間から控除させたりすることができます。

従業員が申請する際の入力ミスを抑制できるほか、申請書類の一覧表示などの機能もあれば、申請書の確認・承認業務の負荷も軽減できます。

【関連記事】経費精算システム比較33選|メリットと比較ポイントをご紹介【2019年最新版】

まとめ

経費精算は、企業が使ったお金を管理するためにおこなうのではなく、その先にある「企業の成長」を見据えておこなう必要があるのではないでしょうか。

一方で、申請フローの複雑さや人の手によっておこなう業務の多さから、従業員にとっても経理担当者にとっても負担となっているケースもあります。

経費精算に関する課題は企業によって異なるため、「課題の本質」を具体的に見極めたうえで、経費精算システムの導入などの対処をとってみてはいかがでしょうか。

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