ジンジャーの人事部

  • 御厨 陽明

    人事本部 本部長

    御厨 陽明

    2026年入社。前職のPayPayでは社員番号1桁台の初期メンバーとして、革新的な人事制度の構築に従事。豊富な経験を活かし、当社の組織運営を統括する。

  • 井上 千尋

    労務部
    ジェネラル
    マネージャー

    井上 千尋

    2022年入社。給与計算、入退社、社保手続き等の実務全般を統括。確実な事務遂行と柔軟な管理能力で、社員が安心して業務に専念できる基盤構築を担う。

  • 山本 颯太

    人事戦略部
    人事企画グループ

    山本 颯太

    2022年入社。新卒採用担当として戦略の立案から実行までを経験。現在は主に評価・報酬制度の設計に従事し、事業を前に進める人事の仕組みづくりに取り組む。

2021年10月、前身の会社からのスピンアウトという形で設立されたjinjer株式会社。「ジンジャー」というサービス自体は今年で10年目を迎えますが、会社としての歩みは、300名の社員とともにゼロから組織を再編する激動の幕開けでした。今回は、その荒波を乗り越えてきた初期メンバーと、2026年にジョインし新たな風を吹き込む人事本部長の御厨さんを交え、jinjer人事部のこれまでとこれからを語っていただきました。

インタビュアー

人事戦略部
組織文化開発グループ

山本 美樹

2018年入社。新卒採用責任者を経て、組織文化開発に従事。現在はインナーブランディングを通じ、jinjer流の文化醸成に注力している。

御厨 陽明

スピンアウトから
「CHO室」設立へ
カオスを乗り越えた
組織体制の変遷

ー2021年にjinjer株式会社が設立されてから、今年で5年。サービス自体は10年目という節目ですが、人事組織のこれまではまさに「激動」でしたよね。

  • 井上:本当にそうですね。私は前身の会社から2022年に転籍してきたのですが、前身の会社からスピンアウトが決まったのが、創業直前の2021年9月で、11月には300名が一斉に転籍するという、まさに「弾丸スケジュール」でのスタートだったと聞いています。

  • 山本(颯):私はそのタイミングで、2022年にjinjer新卒第一号として入社をしました。1年目から新卒採用部門に配属いただいたのですが、新卒採用はCEO直下、中途採用はCOO直下、労務はCFO直下…という具合に、レポートラインが完全にバラバラでしたね。同じ人事領域なのに、横で誰が何をしているか見えにくい状態でした。

  • 山本(美):その課題を解決するために、2022年6月に「CHO室」が立ち上がりました。新卒採用・中途採用・労務を統合して、経営と従業員のパフォーマンスを最大化させる体制にシフトしたんですよね。

  • 井上:ただ、体制が整った直後の2023年頃、今度は大きな事業方針の変更という「暗黒期」が訪れました。人事配置や組織の再編が急務となり、現場にもかなりの緊張感が走っていましたね。その混乱を最小限に食い止めるために、急遽立ち上げたのがHRBP(人事ビジネスパートナー)という機能でした。

  • 山本(颯):私もそのタイミングで、役割が新卒採用からHRBPへと変わりました。当時は採用活動そのものが縮小していたこともありますが、それ以上に「今いるメンバーが最大限活躍できる組織をどう作るか」という、より踏み込んだ支援が必要だったんです。

  • 御厨:その暗黒期に必死で基盤を整え、山本さんのように若手が現場の最前線でBP(ビジネスパートナー)として動いたからこそ、今の「データドリブンな人事」の土壌ができたのだと感じます。苦境をきっかけに、人事の専門性が磨かれていったわけですね。

「勘」を排除する
現場の闘い
労務・評価における
プロダクト活用の真髄

ー組織がまとまる一方で、実務面では大きな壁がありました。自社プロダクト「ジンジャー」を使って何を目指したのか、生々しい話を聞かせてください。

  • 井上:私が直面したのは、圧倒的なリソース不足でした。一時期、労務メンバーの離職が重なり、400名近い給与計算や社保手続きを回さなければならない時期があったんです。当時はまさに、業務効率化を「推進せざるを得ない」状況でした。今では笑い話ですが、上長との1on1では毎回泣いていたくらい追い詰められていました。

  • 山本(颯):当時の井上さんが本当に必死に業務に向き合われていたことは、近くで見ていても強く感じていました。

  • 井上:経験したことのない労務対応も次々と発生しました。社労士の資格は持っていましたが、実務としては初めてのことも多くて。自分の知識を必死に絞り出したり、外部の専門家に相談しながら、なんとか乗り越えました。ただ、一番辛かったのは「実務のダブルチェックをお願いできる相手が社内にいなかった」ことです。

  • 御厨:それは責任重大ですね。ミスが許されない給与計算でチェック相手がいないのは、相当なプレッシャーだったはずです。

  • 井上:はい。だからこそ、最後は「ジンジャーで計算したデータを信じる」という、祈るような気持ちでボタンを押していました。結果として、ジンジャーが自動で計算や不備チェックをしてくれたおかげで、事故なく回し切ることができた。そこで改めて、「自社プロダクトの真の力」を痛感したんです。

  • 御厨:現在では適性のあるメンバーがジョインして、しっかりとしたチェック体制が整っています。人事組織を作る時は、必ず労務の整備から始まります。あの過酷な時期に、泥臭く基盤を整えてくださった井上さんには本当に感謝しています。

ー2023年11月、人事企画の立ち上げに携わったきっかけはなんだったんでしょうか。

  • 山本(颯):2023年後半、入社1年半というタイミングで人事企画の立ち上げに携わらせていただきました。正直、当時は人事経験も浅く、目の前のタスクを追いかけるので精一杯の毎日でしたね。

  • 任せていただいたきっかけは、スプレッドシートこねこねが得意で、数値データをまとめるところに適正を見出していただけたことかなと思います。今振り返ると、すごい先行投資をしていただいたと感じています。誰かが片手間でやることもできたフェーズだったと思うのですが、あえて切り出して機能化したのは「この機能を立ち上げることが未来に効くんだ」という上長の強い意志があったからです。その期待に応え、礎を築かなければという一心で取り組んでいました。

ー当時のデータは綺麗に揃っていたんでしょうか?

  • 山本(颯):ジンジャーの範囲外のデータでしたが、自分の目で確認して修正していく「データ地獄」を経験しました。例えば「1次面接の日付が2025年なのに、2次面接が2024年になっている」といった不整合がいくつも見つかって……。

  • でも、その泥臭い作業があったからこそ、「最初から正しくデータ構造を設計することの重要性」を原体験として持つことができたと思います。

開発との共創が生む
シナジー
ジンジャーの一番の
ユーザーという自覚

ー自社プロダクトを持つ私たちにとって、開発チームとの距離感は非常に重要ですよね。特に実務の最前線にいる井上さんは、最近その関わり方が大きく変わってきたと伺っています。

  • 井上:これまでは、機能が完成する直前に、仕様として合っているかを確認したり、実際に使ってみて不備がないかのチェックというフェーズに携わることが多かったのですが、最近では、一歩前の段階のどういう仕様で作っていくかという意見出しから携わらせていただく機会が増えましたね。

  • ただ、もう一歩先まで行かなきゃいけないっていう気持ちもあって、そもそもどんな機能を作るのかというところから関わっていきたいと思っています。

  • 山本(美):「できたものを使う」側から、「作るものを決める」側へ深く入り込んでいるわけですね。

  • 山本(颯):開発との関わりについて、僕は「信頼の積み上げ」がすべてだと思っています。正直なところ、エンジニアの方々だけで「こういうのがいいよね」と完結させたほうが、スピード感は絶対に出るはずなんです。そこに人事を介在させるのは、開発側から見ればある種の「手間」を増やすことでもあります。

ー確かに、第三者の意見を聞くのは、どうしても工数がかかりますよね。

  • 山本(颯):そうなんです。でも、その手間を惜しんででも「人事に聞いてよかった」と思ってもらえる存在になれるように、まずは自分たちがどういうこだわりを持って日々の業務に当たっているのか、誇りみたいなものを共有していくことで、信頼関係を築いていきたいと考えています。

  • 御厨:労務は、経理や法務といった「管理部門」の管轄になることも多いですが、jinjerがあえて人事部門の中に労務を置いている理由は明確です。僕たちはHRTechとして人事・勤怠・給与というコア領域を扱っている以上、自らがジンジャーの一番のユーザーであり、プロダクト側と密に連携する体制を崩してはならないという強い思想があるからです。

ー業務効率だけを考えれば、管理側にある方がやりやすい面もあるのでしょうか?

  • 御厨:実務だけを見ればそうかもしれません。ですが、人事・勤怠・給与のコア業務とタレントマネジメントを切り離さず、人事の現場からプロダクトへ直接意見を言い続ける。この体制をあえて維持し、ユーザーとして声を上げ続けてきた井上さんたちの存在は非常に大きいです。

  • 単なる「管理機能としての労務」に留まらない、プロダクトの未来を作るパートナーとしての労務。この文脈こそが、僕がジョインして改めて感じた、jinjer人事部の真の強みだと思っています。

労働の「守護神」から
組織を加速させる
「攻めの労務」へ

ー2021年のカオスから始まり、現在は少しずつ基盤が安定してきました。今後、jinjerの労務体制をどのように進化させていきたいと考えていますか?

  • 井上:今後の野望としては「1,000人を一人で回せるシステムを作りたい」と考えています。実は、データさえ整っていれば100人も1,000人も、管理する側の工数は本来変わらないはずなんです。それなのに、なぜ人数が増えると人が足りなくなるのか。それは、組織が大きくなるほど「イレギュラーな対応」が増えていくからです。

  • 御厨:100人の時の10件の例外が、1,000人になれば100件になる。その個別対応に忙殺されて、人を増やさざるを得なくなる…という負のループですね。

  • 井上:まさにそうです。だから私のミッションは、いかに「ピュアな1,000人」を作れるかだと思っています。ただし、労務都合ですべてを制限しては事業が止まってしまうので、事業部や採用チームに対して、「こういう方針で進めましょう」と自分たちから働きかけていく。規程を改定したり、採用要件を調整したりして、今まで「イレギュラー」だったものを「レギュラー」に組み換えていくんです。

  • それは時に、現場に踏み込んでルールを変えるタフな仕事ですが、それをやり切れば1,000人を一人で回せる道が見えてきます。500人の時に必要だった『根性』はもう卒業して、これからは仕組みで勝負したいですね。

ー500人を担当していた時とは、また次元の違う戦いになりそうですね。

  • 井上:1,000人を回すためには、『パワー勝負』の労務ではなく、自らアクションを起こす『受け身ではない労務』が必要だと思っています。規定改定や採用要件の変更まで踏み込んで、イレギュラーをレギュラーに変えていく。そんな攻めの姿勢で、1,000人を一人で回せる労務を実現したいです。

  • 自社プロダクトである『ジンジャー』を誰よりも使い倒し、私たちが「一人で1,000人を管理できる」という究極の成功事例を作る。それが、同じ悩みを持つ世の中の労務担当者の方々への一番のメッセージになると信じています。

「勘」を「確信」に変える
人生を預かる
人事部としての覚悟

ー最後に、ジンジャーのキャッチコピーである「正しい人事データで組織の“勘”を“確信”に変える」という言葉について、人事部にはどう響いていますか?

  • 御厨:まさに今、私たちが向き合っている本質そのものだと思っています。最近はテクノロジーが劇的に進化していますが、一方でAIの「ハルシネーション(もっともらしい嘘)」も大きな課題になっていますよね。特に、人事が扱うのは給与、評価、異動といった「誰かの人生」に直結する領域です。ここは絶対に間違えられないという、非常にシビアな前提があります。

  • 山本(颯):日本独自の法律や文化もありますし、データの整備は本当に一筋縄ではいかないですよね。

  • 御厨:そうなんです。そして、そのデータの正解をどう導き出すかという問いに、まだ誰も明確な答えを出せていないのが現状です。だからこそ、多くの会社が今も「勘」に頼った組織運営をしているのではないでしょうか。

  • とはいえ、私自身は個人の「勘」というものをすごく大事にしているんです。これまでの経験からくる直感は、時に大きなヒントになります。ただ、組織として大きな意思決定をし、大勢のメンバーとともに物事を前に進めようとしたとき、個人の「勘」だけに依存してしまうのは限界がある。

  • 井上:誰か一人の「勘」だけでは、全員が同じ方向を向いて走ることは難しいですよね。

  • 御厨:その通りです。個人の「勘」を、組織としての揺るぎない「確信」に変えていく。そのためには、その土台となる「正しい人事データ」にどこまで真摯に向き合えるかが勝負です。僕たち自身も、まずは自分たちが誰よりもそこにこだわり、体現していきたいと強く思っています。

ー自社プロダクトを誰よりも使い倒し、組織を革新していく。そんな皆さんの進化がますます楽しみになりました!本日はありがとうございました。

今回の取材を通じて、私たちのアイデンティティは「自社プロダクトを誰よりも使い倒し、その可能性を信じ抜くこと」にあるのだと再確認しました。 井上さんの泥臭い努力から生まれた効率化の野望。山本くんが積み上げたデータの信頼性。そして新たに加わった御厨さんの俯瞰的な視点。これらが混ざり合い、jinjerの人事部は今、第二創業期の爆発的な推進力を得ようとしています。 「正しい人事データ」の先にある、社員がもっと輝ける未来。それを自分たちの手で作っていくワクワク感を、これからも社内外に発信し続けていきたいと思います。

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