試用期間は延長してもいい?違法性や延長手続き・本採用拒否などを解説 - ジンジャー(jinjer)|統合型人事システム

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試用期間は延長してもいい?違法性や延長手続き・本採用拒否などを解説

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新しい従業員を採用する際、企業がその適性や能力を見極める目的で「試用期間」を設けることは一般的です。しかし、当初予定していた期間だけでは本採用の可否を判断できず、試用期間の延長を検討するケースも少なくありません。

試用期間の延長自体は法律上認められていますが、正当な理由や適切な手続きを欠くと、延長が無効と判断されるおそれがあります。本記事では、試用期間を延長できる条件や、通知・同意など実務上必要となる手続きについてわかりやすく解説します。

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  • 試用期間の適切な設定(期間、給与、社会保険の扱い)
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  • 法的トラブルに発展させないための具体的な解決策

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1. 試用期間は延長できる?違法性は?

疑問をもつサラリーマン

試用期間とは、従業員としての適性や業務能力を見極めるための期間です。試用期間中であっても、基本的には本採用後と同じ業務をおこない、その働きをもとに企業は適性を判断します。

試用期間の長さに法的な上限はありませんが、通常は3~6ヵ月程度が一般的です。長期間の試用期間は、合理的な理由がない場合に公序良俗に反するとされる可能性があるため注意が必要です。

遅刻や欠勤が多いなど、従業員の適性を判断するためにもう少し時間が必要な場合は、条件を満たせば試用期間を延長できます。延長自体は法律上問題ありませんが、その理由や延長期間、就業規則上の根拠を明確にすることが大切です。

試用期間中の労働者は不安定な立場にあるため、延長は必要最小限にとどめ、合理的な理由がある場合のみおこなうことが望ましいでしょう。

参考:ブラザー工業事件(S59.03.23名古屋地判)|厚生労働省

1-1. そもそも企業が試用期間を設ける目的とは?

企業が試用期間を設ける主な目的は、採用した労働者が自社の業務に適応できるかどうかを見極めることです。履歴書や面接だけでは判断しにくい、実際の業務での能力や適性、職場環境への順応力を確認する期間として位置づけられています。

さらに、試用期間には、企業にとって法的・運用上のメリットもあります。試用期間中の労働契約は「解約権留保付き」と扱われます。これは、企業が試用期間中にあらかじめ定められた条件のもとで契約を解除できる権利(解約権)を留保しておく契約です。

試用期間中であっても解雇であることに変わりはなく、合理性および社会通念上の相当性が求められます。しかし、試用期間は「従業員の適性を判断したうえで解約する可能性がある期間」とされます。

そのため、試用期間終了時に本採用を見送る場合でも、通常の解雇よりも緩やかな基準で有効性が判断されるので、採用リスクを一定程度抑えることが可能です。

いきなり解雇に進むのではなく、必要に応じて試用期間の延長を検討することは、労務リスクを軽減するうえで有効な手段となります。

参考:試用期間中の解雇|厚生労働省

関連記事:試用期間とは?目的や通常の雇用期間との違い・本採用前の退職について解説

1-2. 適切に試用期間の延長手続きをしない場合のリスク

試用期間を適切な手続きを踏まずに延長すると、その延長自体が無効とみなされる可能性があります。この場合、当初予定されていた試用期間の満了時点で、労働者は自動的に本採用されたと判断されることがあります。

また、無効な試用期間延長の後に本採用を拒否した場合、解雇の合理性が十分に認められなければ、その解雇も無効とされるおそれもあるでしょう。この際、未払い賃金の支払いや、場合によっては損害賠償の請求を受ける可能性も否定できません。

そのため、試用期間を延長する場合には、延長の条件や理由を明確にし、就業規則や社内制度に沿った手続きをしっかり整備することが重要です。

関連記事:試用期間に能力不足を理由に解雇できるか?判断ポイントやリスクも解説

2. 試用期間を延長できる要件

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試用期間の延長自体は違法ではありません。しかし、延長するためには、法律や運用上の一定の条件を満たす必要があります。具体的には、次の3つの要件をクリアすることが求められます。

  • 就業規則・雇用契約上に規定が明記してあること
  • 延長に値する合理的な理由や事情があること
  • 延長期間が常識的・妥当な長さであること

これらの条件を満たさない延長は無効と判断されるおそれがあるため注意が必要です。ここでは、それぞれの要件について詳しく解説します。

2-1. 就業規則・雇用契約上に規定が明記してあること

試用期間を延長するのであれば、就業規則にその可能性について規定しておく必要があります。また、延長の可能性だけでなく、延長期間についても記載しておかなければなりません。例えば、次の内容を盛り込むとよいでしょう。

  • 試用期間が延長される場合がある旨
  • 延長の理由・事由
  • 延長期間
  • 延長後の賃金

企業によっては試用期間中の賃金を低く設定しているので、試用期間を延ばすことは労働者側からすると不利益な内容です。そのため、仮に試用期間の延長について本人と口頭で同意を得ていたとしても、就業規則で規定されていなければ、無効になる可能性があるので注意してください。

関連記事:試用期間は雇用契約書に記載すべき?書き方のポイントを紹介

2-2. 延長に値する合理的な理由や事情があること

試用期間を本来の期間よりも延ばすためには、合理的な理由や事情が必要となります。単に企業都合で一方的に延長することは認められません。

延長が認められる代表的な理由には、次のようなものがあります。

  • 無断欠勤が多い
  • 病気や怪我などにより勤務日数が少ない
  • 勤務態度が著しく悪く、指導や注意をしても改善されない
  • 法律違反があり企業の信用や秩序に影響を与えた
  • 経歴詐称があった

「仕事の覚えが悪い」「ミスが多い」などは、試用期間中は当然であると判断される可能性が高いため、合理的な理由としては認められないケースが多いでしょう。

合理性が認められるのは、試用期間内では採用可否の判断が困難な場合や、労働者に改善のための猶予を与える必要がある場合などです。

また、就業規則に延長規定があり、採用時に従業員に通知していたとしても、個別の合理的理由なしに延長することはできません。

2-3. 延長期間が常識的・妥当な長さであること

試用期間の延長をする際は、その期間が常識的かつ妥当であることが重要です。法律上、試用期間の具体的な上限は定められていないため、企業はある程度自由に期間を設定できます。

しかし、試用期間の本来の目的は「労働者の適性を見極めること」にあるため、必要以上に長く延長することは認められません。過度な延長により、労働者が不安定な立場に置かれ、不利益を被る可能性がある場合、延長自体が無効とされることもあります。

そのため、延長期間は社会的に妥当な範囲にとどめる必要があります。目安としては、通常の試用期間の延長であれば数週間から数ヵ月程度が適切であり、長期間の延長や繰り返しの延長は避けるべきです。

関連記事:試用期間は6ヵ月がベスト?最適な期間と決め方を徹底解説

2-4. 【具体例】試用期間の延長が無効になる可能性が高いケース

試用期間の延長要件を踏まえると、次のような場合には、延長が無効となる可能性が高いでしょう。

  • 就業規則や雇用契約書に「試用期間の延長の旨」が記載されていない
  • 企業側の都合だけで新しいプロジェクト開始まで試用期間を延期する
  • 1ヵ月と設定していた試用期間を1年に延長する

また、実際に就業規則に試用期間の延長に関する規定がなく、やむを得ない事情があるとも認められなかったために、試用期間の延長が無効となった判例もあります(明治機械事件・東京地裁令和2年9月28日)。

試用期間の延長を検討する際は、要件を満たしているか慎重に確認し、適切な手続きを踏むことが重要です。

参考:地位確認等請求事件 明治機械事件|全国労働基準関係団体連合会

関連記事:試用期間に能力不足を理由に解雇できるか?判断ポイントやリスクも解説

3. 試用期間の延長を検討すべきケース

条件ブロック

試用期間の延長を検討すべき状況はさまざまです。例えば、従業員の能力を十分に評価できていない場合、特に技術職や責任の重いポジションでは、試用期間内だけでは適正な判断が難しいことがあります。

また、組織文化や業務への理解が遅れている新入社員や、未経験の業務に挑戦する場合も、適応のために試用期間を延長することが有効です。ここでは、具体的に試用期間の延長を検討すべきケースを紹介します。

3-1. もう少し仕事ぶりを見て検討したい場合

仮採用された労働者が新しい職場にすぐにはなじまず、本来の能力を発揮できないことは珍しくありません。

このような場合、労働者の本来の適性を見極めるために、試用期間を延長することも考えられます。試用期間の延長は、企業が労働者の能力や適性をさらにじっくりと評価するための重要な手段のひとつです。特に、書類選考や面接を経て仮採用されたものの、試用期間中に評価が難しい場合には、延長を検討すべきケースです。

ただし、就業規則などで事前に試用期間の延長が明記されていない場合は、たとえ企業側に合理的な理由があったとしても延長が認められない可能性があります。そのため、適法な手続きを踏んだうえで、慎重に試用期間の延長手続きを進めることが重要です。

3-2. 病気・怪我により試用期間中休みが多かった場合

試用期間中に病気や怪我により休みが多かった場合、企業は労働者の能力や適性を適切に評価するのが難しくなります。

このような場合に、試用期間の延長を検討されるのが一般的です。延長により、労働者が通常どおり勤務できる状態に回復した後で、その能力や適性を適切に見極めることが可能になります。

試用期間の延長は、法律上も認められています。条件を満たし、適切な手続きを踏めば、企業は労働者の能力や適性を十分に評価でき、労働者も公平な機会のもとで評価されることになります。

3-3. 遅刻や欠勤など従業員に問題がある場合

遅刻や欠勤など従業員に問題がある場合、試用期間の延長を検討するのも一つの手段です。

従業員ひとりの問題行動であっても、企業全体の運営に大きな影響を与えると考えられるため、これを無視して本採用するわけにはいきません。試用期間中に従業員が問題行動を起こした場合、本採用を見送るケースが多いでしょう。しかし、試用期間の延長により、労働者が改善の機会を得て、問題行動の解消につながる可能性があります。

ただし、指導を尽くしてもなお労働者の問題行動が改善されない場合は、本採用の拒否を検討することも必要です。法的手続きを遵守しつつ、試用期間の延長をうまく活用することで、最適な人材を見極める手段となります。

3-4. 他の部署・ポジションでの適性を確認したい場合

書類選考や面接を十分経たうえでその人の適性を判断しても、実際の部署への配属後、その働きが企業の期待にそぐわないことがあるかもしれません。このような場合、他の部署やポジションでの適性を確認するために試用期間の延長を検討することがあります。

これは、試用期間満了時に本採用を拒否できる事案であっても、解雇を猶予しつつ、別の職場での適合性を再判断するための措置です。この延長は、労働者の生活や雇用の安定に寄与するため、法的にも許容される場合があります。

さらに、当初の部署での仕事内容が途中で変更された場合も、変更後の業務への適性を判断するために試用期間の延長がおこなわれるケースもあります。

4. 試用期間の延長をおこなう際の手続き

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試用期間の延長は、正当な理由があれば違法ではありません。しかし、従業員にとっては不安定な状況となるため、トラブルが発生する可能性もあります。

ここでは、試用期間を延長する際の流れをステップに分けて紹介します。トラブルを避けるためにも、適切な手順で進めることが重要です。

4-1. 従業員に改善指導をおこなう

試用期間の延長をおこなう際には、まず従業員に対して十分な改善指導を実施することが非常に重要です。

特に、能力不足や問題行動が見られる場合には、企業側が具体的な指導を積極的におこなう必要があります。この段階での改善指導は、従業員自身に改善の機会を与えるとともに、企業としても労働者に対する適切な支援を提供していることを示す重要な証拠となります。

改善指導の際には、具体的な問題点を明確にし、改善のための具体的なアクションステップを示すことが求められます。例えば、業務スキルの向上や社内ルールの遵守など具体的な目標を設定し、それに向けた進捗を定期的に確認することで、従業員の成長をサポートします。

また、改善指導の内容とその経過を文書化しておくことも大切です。これにより、後日、改善のための努力を企業が適切におこなったことを証明できます。

試用期間内にしっかりとした改善指導をおこない、企業と従業員の双方にとって最適な結果を導く努力を怠らないようにしましょう。

4-2. 試用期間の延長とその理由を伝える

試用期間中に改善指導をおこなってもなお十分な改善が見られない場合には、労働者に対して試用期間の延長を提案します。採用時に試用期間延長の可能性を説明していた場合であっても、実際に延長する際には、必ずその理由や期間について改めて本人に十分な説明をおこないましょう。

労働者が納得しないまま延長をおこなうと、モチベーションの低下を招くおそれがあるので、延長にあたっては十分な配慮が求められます。また、延長の同意を求める際には、労働者に圧力をかけていると受け取られるような言動は避け、あくまで自主的な同意を得る姿勢が重要です。

例えば、「同意しなければ解雇する」といった発言は不適切であり、試用期間延長の有効性が否定されるリスクが発生します。労働者が延長に同意しない場合には、延長が無効と判断される可能性もあるので、誠実かつ透明性のある対応を心掛けることが大切です。

4-3. 試用期間の延長に関する同意書をとる

試用期間を延長する場合には、後日の紛争を防ぐためにも、本人に対して延長の理由と期間を十分に説明し、書面による同意を取得しておくことが重要です。実務上は、「試用期間延長に関する同意書」を作成し、延長期間およびその具体的な理由を明記したうえで、労働者の署名・押印を受けておくことが有効とされています。

仮に試用期間の延長が不当であるとして従業員から争われた場合、企業側は、その延長が客観的に合理的であり、かつ社会通念上相当であることを立証しなければなりません。そのため、評価内容や延長理由を記録として文書に残しておくことが不可欠です。

また、試用期間の延長制度を運用するにあたっては、あらかじめ「試用期間延長に関する同意書」のひな型を用意しておくと、手続きを円滑に進められます。具体的には、次の事項を定めておくとよいでしょう。

  • 延長する期間(開始日および終了日)
  • 延長が必要となった具体的な理由(業務遂行能力、勤務態度、改善が求められる点など)
  • 延長期間中に企業がどの点を評価し、どのような改善が認められれば本採用とするのか

なお、延長期間について法律上の明確な上限は定められていませんが、一般的には数ヵ月程度が想定されています。期間を定めずに漫然と試用期間を延長し、無効と判断された裁判例もあるため注意が必要です。

4-4. 改めて企業側から改善指導をおこなう

同意書の締結後は試用期間を延長し、労働者に対してあらためて改善指導を実施します。試用期間の目的は、労働者の能力や適性を見極めることにありますが、延長後であっても企業側は必要なサポートを提供し、十分に能力を発揮できる環境を整える責任があります。

改善指導を怠ったまま本採用を見送ると、不当解雇と評価される可能性が高まるでしょう。そのため、延長後の試用期間中は、労働者の能力や行動について具体的なフィードバックをおこない、どの点をどのように改善すべきかを明確に示したうえで、実効性のある支援や指導をすることが重要です。

こうした対応を積み重ねることで、企業は適切な判断材料を得られます。最終的に本採用を見送るような場合であっても、十分な指導をおこなったことを客観的に示せるでしょう。

4-5. 【FAQ】試用期間を延長する際に再び労働条件通知書・雇用契約書を交付すべき?

労働条件通知書は、「労働契約の締結の際」に交付することが義務付けられています。試用期間を延長する場合、雇用関係自体は継続しているため、賃金や労働時間などの労働条件に変更がなければ、原則として労働条件通知書を再度交付する必要はありません。

しかし、試用期間の延長に伴い、労働条件に少しでも何らかの変更が生じる場合には、実質的に労働条件を変更した新たな労働契約が成立したものと評価される可能性があります。その場合には、変更後の労働条件を明示するため、新たに労働条件通知書を交付することが望ましいといえます。

一方、雇用契約書は法律上作成が義務付けられているものではありませんが、労働条件について双方が合意した内容を証拠として残す重要な書類です。実務上は、労働条件通知書の交付と同時に雇用契約書を取り交わすことが一般的におこなわれています。

試用期間の延長時に労働条件の変更がある場合には、その変更について労働者の同意があったことを明確にするため、労働条件通知書の再交付に加え、変更後の内容を反映した雇用契約書を締結しておくとよいでしょう。

関連記事:雇用契約書と労働条件通知書の違いとは?兼用はできる?作成方法も解説

5. 試用期間延長後に本採用拒否・解雇することは可能?

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企業は、客観的かつ合理的な理由があり、かつ社会通念上相当と認められる場合に限り、試用期間満了時に本採用を拒否できます。

しかし、解雇すると従業員が失職することになるため、安易な判断はできません。また、解雇する場合には解雇予告をする必要があります。

ここでは、試用期間延長後に本採用拒否・解雇することについて解説していきます。

5-1. 通常よりも労働基準監督署や裁判所の判断が厳しくなる

「適性がないと判断するにはまだ早い」と試用期間を延長した後、「やっぱり問題があるため解雇したい」と考えるケースもあるかもしれません。しかし、試用期間を延ばしたということは、本採用する可能性があるという意味にとらえられるので、延長後の解雇が難しくなる可能性があることに注意が必要です。

延長をして雇用の可能性を示すことで、通常よりも労働基準監督署や裁判所の判断が厳しくなる可能性もあります。正当な理由があれば問題ありませんが、単に「やっぱり採用できない」という理由では解雇できませんし、場合によっては不当解雇とみなされるので注意しましょう。

5-2. 本採用拒否・解雇する場合は解雇予告が必要

試用期間延長後に解雇する場合であっても、労働基準法上のルールが適用されるため、解雇予告をおこなう必要があります。

やむなく解雇するという判断に至った場合、30日前に解雇予告をおこなうか、30日分の解雇予告手当を支払って解雇しなくてはいけません。

試用を開始してから14日以内であれば、解雇予告をおこなわずに解雇することが可能ですが、「試用期間だからいつでも解雇できる」との誤解は避けましょう。

関連記事:試用期間満了で従業員を解雇(本採用拒否)するときの手続きをわかりやすく解説

6. 試用期間の延長に関連するよくある質問

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ここでは、試用期間の延長に関して企業が抱えやすい疑問に対して、実務上のポイントを交えながら解説します。

6-1. 試用期間延長通知書はいつまでに交付すべき?

試用期間を延長する場合には、解雇予告の規定やトラブル防止の観点から、満了日の30日前までなど、できるだけ余裕をもって通知することが望ましいです。

少なくとも試用期間が満了する前までに、従業員に対して延長の意思を明確に伝える必要があります。満了後に延長通知書を交付した場合、その延長は無効と判断され、本採用が成立したとみなされるおそれがあります。

こうしたリスクを避けるため、企業は早い段階で、延長の理由や期間を記載した書面を交付し、従業員の同意を得ることが重要です。あらかじめ十分な説明と通知をおこなっておくと、後日の紛争や誤解を防止できるだけでなく、従業員と企業の双方が延長期間に向けた準備を円滑に進められます。

6-2. 試用期間の延長に従業員が同意しない(拒否した)場合はどうする?

試用期間の延長について従業員が拒否する場合、企業としては本採用を見送ることを検討する場合も考えられます。しかし、延長に従業員が同意しないことだけを理由に本採用を拒否すると、不当解雇と判断されるおそれがあります。

従業員に「指導後も繰り返される無断欠勤」や「重大な規律違反」など、客観的かつ合理的な不適格事由があり、社会通念上みても本採用を拒否することが相当といえる場合には、企業は本採用をしない判断が可能です。

ただし、その場合であっても、企業が事前に十分な指導や注意をおこない、改善の機会を与えていたかどうかが重要となります。評価記録や指導記録などの客観的な証拠を残し、適正な手続きを踏んでいることが、紛争予防の観点からも不可欠です。

7. 試用期間を延長する際は適法要件を確認しよう

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試用期間終了時に、本採用拒否(解雇)をするのではなくもう少し様子をみたいという場合、正当な理由があれば延長は可能です。

しかし、延長するには就業規則で「試用期間延長の規定」について詳細に定められている必要があり、従業員には採用時に延長の可能性があることを伝えておかなければなりません。

延長は法的に問題ありませんが、従業員からすると不利益な内容であり、このまま解雇になるのではという不安を抱かせる原因にもなります。

そのため、延長期間は、元々の試用期間と合わせても公序良俗に反しない程度の妥当な範囲(一般的には通算で6ヵ月〜1年を超えない程度)に設定し、必要最小限にとどめてください。

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