慶弔届とは?従業員から提出された際に取るべき対応や注意点を解説
更新日: 2024.10.18
公開日: 2024.4.30
jinjer Blog 編集部
慶弔届とは、従業員の慶事や弔事を報告するための書類です。従業員に慶弔休暇や慶弔見舞金を付与する場合は、従業員に慶弔届を提出してもらう必要があります。
従業員から慶弔届を出された際は、慶弔休暇や慶弔見舞金など、迅速に対応しなければなりません。しかし、なかにはどのように対応すればよいのかわからず、困った経験がある方もいるのではないでしょうか。
本記事では、従業員から慶弔届を提出された際に取るべき対応や注意点を解説します。慶弔休暇や慶弔見舞金の制度を導入している企業、または導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
目次
「承認までの流れが遅い」「今誰が稟議を持っているのかステータスがわからない」「承認のためだけに出社しなければいけない」 などのお悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
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1. 慶弔届とは
まずは企業における慶弔届がどのようなものか、慶弔に含まれるものと併せて確認しておきましょう。
1-1. 従業員の慶事や弔事があったことを確認する書類
慶弔届とは、従業員に慶事や弔事があった事実を確認するための書類です。慶事は結婚・出産などのお祝いごと、弔事は通夜・葬儀・告別式などのお悔みごとを指します。
慶弔休暇や慶弔見舞金制度のある企業では、従業員に慶弔届の提出を求めることが一般的です。慶弔届を出すことで、従業員は慶弔休暇・慶弔見舞金制度を利用できます。企業にとっては、慶事・弔事の事実確認や慶弔業務がスムーズにできる点がメリットです。
1-2. 慶弔に含まれるもの
社内や社外での慶弔は、就任や昇進祝い、上場祝いや叙勲祝いなどがあります。新店舗や新しい事業場設立の際は開店や開業祝いなども発生するでしょう。
こうした社内・社外の慶弔には祝い金や電報、花などを会社として送って対応するため、慶弔届は必要ありません。
一方で従業員のプライベートで発生する慶弔には慶弔届が必要になります。
結婚や出産、お通やや葬儀、お悔やみ会や法事などが該当し、慶弔届はこうした慶弔が発生した際に必要になります。
2. 慶弔届で従業員が取得できる休暇は3種類
慶弔届で従業員が取得できる休暇は、次の3種類です。
- 結婚休暇
- 出産休暇
- 忌引き休暇
それぞれの内容や取り扱い方を確認していきましょう。
2-1. 結婚休暇
結婚休暇は、従業員本人または子どもが結婚する場合に取得できる慶事休暇です。兄弟姉妹や甥・姪など、兄弟や親せきの結婚式への参列を理由に取得が認められているケースは、ほとんどありません。
しかし結婚休暇の取り扱いについて、法律による定めはなく、使い方は基本的に自由です。
挙式や新生活の準備、新婚旅行などの多様な場面で利用できるよう、従業員の年齢層やニーズに応じた柔軟な制度を確立して対応しましょう。
2-2. 出産休暇
出産休暇は、従業員の配偶者が出産する場合に取得できる慶事休暇です。従業員本人が出産した場合は、法定休暇である「産前・産後休業」を適用します。
労働基準法で定められている産前休暇は6週間(多胎妊娠の場合は14週間)、産後休暇は8週間です。
出産休暇は、福利厚生で会社が定める法定外休暇であるため、男性の育児休業や産後パパ休業などの法定休暇の日数に影響しません。いずれの制度も、所定の期間・日数に応じて併用が可能です。
2-3. 忌引き休暇
忌引き(弔慰)休暇は、家族や親族の通夜・葬儀・告別式などの弔事で取得できる休暇です。ただし、訃報は、何の前触れもなく訪れるものであることから、慶弔届の後日提出が認められる場合もあります。
なかには、事実確認のため、会葬礼状の提出を求めるケースもあるようです。
忌引き休暇をとれる範囲は、一般的には三親等までです。両親の場合は1週間程度、祖父母や兄弟の場合は3日~5日程度と考えておきましょう。
3. 従業員から慶弔届を提出された際に取るべき3つの対応
従業員から慶弔届を提出された際に取るべき対応としては、以下の3つが挙げられます。
- 慶弔休暇の日数を確認する
- 慶弔見舞金の支給手続きをおこなう
- 従業員の部署や関係者に連絡する
急な提出があることも珍しくないため、慌てないように基本的な流れを知っておきましょう。
3-1. 慶弔休暇の日数を確認する
慶弔届が提出されたら、従業員が必要な休暇を取得できるよう、まずは慶弔休暇の日数を確認することが大切です。慶弔休暇の日数は、休暇の種類や従業員本人との続柄によって異なることが一般的です。
休暇の種類・本人との続柄ごとの休暇日数については、次の表を参考にしてください。
休暇の種類 | 続柄 | 日数 | |
慶事休暇 | 本人の結婚 | 5日 | |
子どもの結婚 | 2日 | ||
配偶者の出産 | 2日 | ||
弔事休暇 | 配偶者 | 10日 | |
1親等の親族 | 父母・子ども | 7日 | |
義父母 | 5日 | ||
2親等の親族(兄弟姉妹・祖父母・孫) | 3日 | ||
3親等の親族 | 1日 |
特に弔事休暇の場合は、故人との続柄による休暇日数の違いや対象となる血縁関係に注意が必要です。
弔事休暇の日数は、通常、亡くなった日から起算します。3親等以外のいとこや祖父母の兄弟姉妹などは、一般的に認められていません。従業員が喪主を務めるケースや遠方に住んでいる親族が亡くなった場合は、上記の日数より多めに付与することもあります。
3-2. 慶弔見舞金の支給手続きをおこなう
慶弔見舞金の制度を設けている場合は、慶弔届が出された時点ですみやかに支給の手続きを進めましょう。
慶弔見舞金とは、従業員の慶事・弔事に際して支払う福利厚生の一時金のことです。慶弔休暇と同じく、法律で定められている制度ではありませんが、現在、約8割以上の企業で導入されています。従業員の満足度向上や離職防止につながる点では、導入するメリットが大きいといえるでしょう。
慶弔見舞金の金額は、企業の規定や見舞金の種類によって異なります。見舞金の種類による金額の相場は次の通りです。
見舞金の種類 | 金額の相場 |
結婚祝い金 | 10,000~30,000円 |
出産祝い金 | 10,000~30,000円 |
死亡弔慰金(本人) | 50,000~100,000円 |
死亡弔慰金(家族) | 10,000~50,000円 |
いずれの見舞金も、給与ではないため、課税されません。
3-3. 従業員の部署や関係者に連絡する
休暇中の業務を滞りなく進められるよう、従業員が所属する部署や関係者に連絡することも重要です。部署や関係者に連絡する際は、以下の内容を明確にして伝えます。
- だれが(弔事の場合は喪主・故人の名前)
- いつ
- どこで
特に弔事においては、間違えた内容を伝達すると従業員や故人に大変失礼です。業務の引き継ぎなどの社内の連携や取引先との関係を良好に保つためにも、事前にルールを定めておき、正確な情報を伝えましょう。
4. 従業員から慶弔届を提出された際の3つの注意点
従業員から慶弔届を提出された際は、以下の点にも注意しましょう。
- 休暇中は有給か無給かを明確にする
- 祝電・弔電などの手配は早めにおこなう
- 従業員の雇用形態を確認する
慶弔届は従業員の休暇や給与に関係することもあるため、トラブルにならないように正しく処理することが大切です。
4-1. 休暇中は有給か無給かを明確にする
従業員から慶弔届を提出された際は、慶弔休暇が有給か無給かを明確に説明することが大切です。
慶弔休暇における給与の有無については、会社の裁量にゆだねられているため、無給扱いでも問題ありません。ただし、無給の場合、有給休暇を消化して対応する選択肢もあります。
従業員に確認して、都合のよいほうを選んでもらいましょう。
4-2. 祝電・弔電などの手配は早めにおこなう
結婚式会場や葬儀会場が決まっている場合は、慶弔届が出されたタイミングで祝電・弔電も手配しておきましょう。従業員の冠婚葬祭に際し、祝電・弔電を送ることは、企業としておこなうべき最低限のビジネスマナーです。
祝電・弔電のほかに企業が取るべき対応には、お祝いの花や供花などが挙げられます。社長や役員などの重役、直属の上司であれば、個人的にご祝儀や香典を包むこともあるでしょう。
注意しなければならないことは、葬儀が家族葬でおこなわれる場合です。家族葬では、親族が弔電や供花、香典を断ることもあるため、あらかじめ辞退する意向があるかどうか確認するようにしてください。
4-3. 従業員の雇用形態に合わせた対応をする
慶弔届を受理するにあたって、従業員の雇用形態を確認することも重要です。慶弔休暇や慶弔見舞金の対象者は各企業で異なり、正社員のみの場合もあれば、パート・アルバイトを対象としている場合もあります。
なお、福利厚生に関する正社員と非正規労働者の待遇の違いについては、「同一労働同一賃金」にもとづいて決める必要があります。同一労働同一賃金とは、同じ仕事をする正規労働者と非正規労働者には、同じ賃金の支給・待遇をおこなう考え方です。
厚生労働省の「同一労働同一賃金ガイドライン」では、雇用形態の違いによる慶弔休暇の扱いについて、次のように説明しています。
短時間・有期雇用労働者にも、通常の労働者と同一の慶弔休暇の付与並びに健康診断に伴う勤務免除及び有給の保障を行わなければならない。
派遣元事業主は、派遣労働者にも、派遣先に雇用される通常の労働者と同一の慶弔休暇の付与並びに健康診断に伴う勤務免除及び有給の保障を行わなければならない。
引用:同一労働同一賃金ガイドライン(P26)|厚生労働省
上記の規定により、業務内容や労働時間が正社員と同じ場合には、非正規労働者にも慶弔休暇、慶弔見舞金を与えなければなりません。就業規則を確認し、法改正に合った内容でなければ、見直しも検討しましょう。
5. 慶弔届が提出されたら、就業規則に則った対応を迅速にしよう
慶弔届が提出された際は、従業員が必要な休暇や見舞金制度を利用できるよう、迅速かつ適切な対応をおこなうことが肝心です。ビジネスマナーとして、祝電や弔電を送ることも忘れないでください。
同時に、雇用形態による慶弔休暇や慶弔見舞金の格差がある場合は、就業規則の見直しもおこないましょう。
また、慶弔に関する考え方は時代とともに変化しています。地域や従業員の年齢層によっても感覚が異なる部分であるため、自社に合わせた取り扱いが求められます。
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