同一労働同一賃金とは?法改正の背景・目的や不合理な待遇差の禁止についてわかりやすく解説
更新日: 2026.4.27 公開日: 2022.1.19 jinjer Blog 編集部

同一労働同一賃金は、2018年7月6日に公布された「働き方改革関連法」により導入されました。この原則により、企業は正社員と非正規社員(パートタイマーや有期雇用労働者)との不合理な待遇差の解消に取り組む必要があります。
現在は大企業・中小企業を問わず、待遇の見直しや人事制度の改善が求められています。制度を正しく運用するには、その背景や考え方の理解が不可欠です。本記事では、同一労働同一賃金の仕組みや導入背景、不合理な待遇差とならないための実務上のポイントや企業が留意すべき注意点をわかりやすく解説します。
関連記事:同一労働同一賃金はいつから適用された?ガイドラインの考え方や対策について
目次
意図せず不合理な待遇差を放置してしまうと、思わぬ労使トラブルに発展する可能性があります。
企業の信頼性を守るためにも、客観的な視点での定期的な見直しが不可欠です。
◆押さえておくべき法的ポイント
- 「均衡待遇」と「均等待遇」の判断基準
- 企業に課される「待遇に関する説明義務」の範囲
- 万が一の紛争解決手続き「行政ADR」の概要
最新の法令に対応した盤石な体制を構築するために参考になりますので、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。
1. 同一労働同一賃金とは?


同一労働同一賃金とは、正社員と非正規雇用労働者の間に生じている不合理な待遇差を解消することを目的とした考え方です。雇用形態の違いのみを理由として待遇に差を設けるのではなく、仕事内容や責任の程度などを踏まえ、合理的な理由のない待遇差を認めないという原則に基づいています。
ここでいう非正規雇用労働者とは、パートタイム労働者や有期雇用労働者、派遣労働者のことです。これらの労働者について、正社員との間に不合理な待遇差が生じていないかを確認し、必要に応じて是正していくことが企業に求められています。
同一企業内において正社員と非正規雇用労働者の待遇差を適切に見直すことで、どのような雇用形態であっても納得感を持って働ける環境づくりが進みます。その結果、働き手が自身のライフスタイルやキャリアに応じて、多様で柔軟な働き方を選択できる社会の実現につながると期待されています。
1-1. 大企業だけでなく中小企業にも適用されている
同一労働同一賃金の導入時期は、大企業と中小企業で異なります。この考え方が制度として明確に位置づけられたのは、パートタイム・有期雇用労働法の改正によるものです。
同法は、働き方改革関連法の一環として整備され、大企業では2020年4月1日から、中小企業では2021年4月1日から施行されています。なお、中小企業に該当するかどうかは、次の基準によって判断されます。
|
業種 |
資本金の額または出資の総額 |
常時使用する労働者数 |
|
小売業 |
5,000万円以下 |
50人以下 |
|
サービス業 |
100人以下 |
|
|
卸売業 |
1億円以下 |
|
|
その他(製造業、建設業、運輸業など) |
3億円以下 |
300人以下 |
参考:パートタイム・有期雇用労働法の施行にあたっての中小企業の範囲|厚生労働省
そもそも、なぜ同一労働同一賃金の原則が適用されたのでしょうか。その背景には、非正規雇用労働者の増加と、正社員との間に生じる不合理な待遇差の是正が強く求められたことがあります。
また、非正規雇用労働者は正社員と比べて教育・研修の機会が少ない場合も多く、スキル向上やキャリア形成の面でも格差が生じやすいとされています。こうした状況を是正するため、政府は「同じ仕事には同じ待遇を」という原則を打ち出し、不合理な待遇差の解消を目指す制度として同一労働同一賃金の導入を進めました。
関連記事:同一労働同一賃金で中小企業が受ける影響や対応しない場合のリスクを解説
1-2. 【2025年11月】同一労働同一賃金ガイドラインの見直し案が公示
2025年11月、厚生労働省は「同一労働同一賃金ガイドライン」の見直し案を公示しました。今回の見直しでは、これまで十分に示されていなかった待遇について、判断の考え方や基準がより具体的に整理されています。
新たに明記された待遇としては、退職手当や家族手当などの各種手当のほか、病気休職や夏季・冬季休暇といった休職・休暇制度などが挙げられます。これにより、企業が待遇差の合理性を判断する際の指針がより明確になると考えられます。
また、所定労働時間が通常の労働者と同一であり、かつ期間の定めのない労働契約を締結している「無期雇用フルタイム労働者」については、短時間・有期雇用労働者に該当しないという位置づけが整理されました。
そのうえで、労働契約法に基づき、労働契約は実際の就業実態を踏まえ、正社員との均衡を考慮しながら締結または変更される必要がある点にも注意が必要であるとされています。この考え方は、「勤務地限定正社員」「職務限定正社員」「短時間正社員」といった多様な正社員区分についても同様です。
さらに、不合理な待遇差を解消するために正社員の労働条件を一方的に不利益変更することは望ましくない旨が新たに追記されました。そのため、待遇差の是正にあたっては、短時間・有期雇用労働者や派遣労働者の処遇改善を図ることが重要となります。
最終的な改正内容や施行時期は今後決定される見込みですが、企業としては制度の趣旨を踏まえ、現行の人事制度や待遇差の状況を確認し、早めに対応を検討していくことが望ましいでしょう。
参考:第27回労働政策審議会 職業安定分科会 雇用環境・均等分科会 同一労働同一賃金部会|厚生労働省
2. 同一労働同一賃金で規定された派遣・非正規の待遇における3つのルール


同一労働同一賃金でルール化された3つのポイントを、企業が対応すべきことを中心に確認しましょう。
2-1. 不合理な待遇差の禁止
同一労働同一賃金により、同一企業内における正社員と非正規雇用労働者との間で、基本給や賞与などのあらゆる待遇について、不合理な待遇差を設けることが禁止されています。具体的には「均衡待遇」「均等待遇」の2つを実現しなければなりません。
|
均衡待遇 |
業務の内容や責任の程度の違いに応じ、合理的な待遇差を設ける |
|
均等待遇 |
業務の内容や責任の程度などが全く同じ場合は差別的取り扱いを禁止する |
同一労働同一賃金の導入により、パートタイム労働者・有期雇用労働者いずれも均等待遇規定が設けられ、職務内容が同一の場合は企業が同一の賃金を支給しなければなりません。とくに非正規雇用労働者のなかでも有期雇用労働者の場合、これまで「均等待遇」についての規定がありませんでした。
また、「均衡待遇」の規定も明確化され、職務内容の違いに応じ、合理的でバランスのとれた基本給、賞与、役職手当、食事手当、福利厚生、教育訓練などを支給する必要があります。均等待遇・均衡待遇の具体的事例を厚生労働省のガイドラインで確認できるので、参考にするとよいでしょう。
参考:短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(パートタイム・有期雇用労働法)第8条、第9条|e-Gov法令検索
参考:同一労働同一賃金ガイドライン(厚生労働省告示第430号)|厚生労働省
関連記事:同一労働同一賃金で交通費はどうなる?判例や課税について解説
2-2. 労働者に対する待遇に関する説明義務の強化
これまで企業は非正規雇用労働者に対し、正社員との待遇差の内容や理由について説明する義務がありませんでした。
しかし、同一労働同一賃金の導入により、企業は非正規雇用労働者の雇入れの際や、労働者の求めがあった場合、労働者の待遇の内容や理由について説明をおこなう義務が生じます。
また、説明を求めた労働者について、不利益取り扱いをしてはいけないことについても法律で定められるようになっています。
参考:短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(パートタイム・有期雇用労働法)第14条|e-Gov法令検索
関連記事:同一労働同一賃金の説明義務はどう強化された?注意点や説明方法も解説
2-3. 裁判外紛争解決手続(行政ADR)の整備
企業と非正規雇用労働者の間で紛争が生じた場合、新たに都道府県労働局が助言・指導・行政ADRをおこないます。行政ADRとは、事業者と労働者の間の紛争を、裁判によらずに解決する手続きを指します。
行政ADRはパートタイム労働者・有期雇用労働者・派遣労働者の全ての非正規雇用労働者が対象です。
参考:短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(パートタイム・有期雇用労働法)第23条、第24条|e-Gov法令検索
関連記事:パートタイム・有期雇用労働法の内容を分かりやすく解説
当サイトでは、同一労働同一賃金に関して企業が対応するべきポイントを、図を用いながら解説した資料を無料で配布しております。法律を遵守するための手順を視覚的にわかりやすくまとめているので、自社の対応に不安がある方は、こちらから「同一労働同一賃金 対応の手引き」をダウンロードしてぜひご覧ください。
3. 同一労働同一賃金の仕組みを導入・実現するまでの流れ


実際に同一労働同一賃金を実現するためには、どのような手順を踏めばよいのでしょうか。ここでは、同一労働同一賃金の仕組みを導入・実現するまでの流れについて紹介します。
3-1. 労働者の雇用形態を確認する
まずは自社で雇用しているすべての労働者について、その雇用形態を正確に把握することが重要です。パートタイマーや契約社員など、短時間労働者や有期雇用労働者がいる場合には、「同一労働同一賃金」の実現に向けた適切な制度や環境の整備が求められます。
3-2. 待遇の状況を整理する
次に、雇用形態ごとに基本給、賞与、各種手当(住宅手当や役職手当など)、福利厚生、教育訓練などの待遇内容を整理しましょう。紙媒体やデジタルツールを活用して、一覧表や比較表を作成することで、現状の違いや課題が視覚的に把握しやすくなります。
3-3. 待遇の違いがある理由を明確にする
整理した待遇の違いについて、それぞれにどのような理由があるのかを明らかにしましょう。例えば、正社員に支給している各種手当を洗い出し、短時間労働者や有期雇用労働者との支給有無や内容の違いを一つひとつ確認することで、抜けや漏れなく整理ができます。
待遇に差がある場合は、業務内容や責任の程度、職務の成果、転勤の有無、勤続年数、勤務日数・時間数といった要素に基づき、合理的な説明ができるかを検討する必要があります。なお、雇用形態の違いだけを理由に待遇差を設けており、実際の業務内容や責任に差がない場合には、合理性が認められない可能性があるため注意が必要です。
関連記事:同一労働同一賃金で業務における責任の程度はどう変化する?
3-4. 不合理な待遇の違いがある場合は早期に改善をする
正社員と非正規社員との間に見られる待遇の違いについて検討した結果、合理性が認められない場合は、速やかに改善をおこなう必要があります。仮に「不合理ではない」と説明できる場合でも、より公正で望ましい雇用環境の実現に向けて、改善の余地がないか検討することも望ましいでしょう。
具体的な改善策としては、非正規社員の待遇を引き上げる、あるいは制度全体を見直し、雇用形態にかかわらず統一的なルールとすることなどが考えられます。改善を実施する際には、対象となる労働者に対し、内容や背景を丁寧に説明し、理解と納得を得ながら進めることが重要です。さらに、改善後も定期的に実態を把握し、必要に応じて継続的な見直しをおこなう仕組みを整えることが求められます。
参考:パートタイム・有期雇用労働法対応のための取組手順書|厚生労働省
関連記事:同一労働同一賃金で就業規則の見直しは必要?待遇差の要素や注意点
4. 【OK・NG例あり】同一労働同一賃金に向けた企業対応の実務ポイント


同一労働同一賃金の対象となるのは、基本給だけではありません。賞与や各種手当、福利厚生、教育訓練なども含めて、幅広い待遇が対象となります。ただし、正社員とパート・アルバイトといった非正規雇用労働者の待遇を、すべて同一にする必要があるわけではありません。
重要なのは、待遇の違いに「不合理な差」がないかどうかという点です。したがって企業には、賃金制度や福利厚生制度などに差がある場合、その理由を合理的に説明できる状態にしておくことが求められます。
ここでは、企業がとくに見直しを検討すべき主な項目について、OK例とNG例を交えながら解説します。自社がNG例に当てはまらないかをチェックしてみてください。
参考:同一労働同一賃金ガイドライン(厚生労働省告示第430号)|厚生労働省
4-1. 基本給
基本給は、同一労働同一賃金においてとくに重要な待遇項目です。基本給の水準を決定する際には、職務内容、能力、経験、成果などの客観的な要素に基づいているかどうかが重要な判断ポイントとなります。
また、昇給のうち、勤続による能力の向上を理由としておこなうものについては、同程度の能力向上には同一の昇給を、差がある場合にはその違いに応じた昇給をおこなう必要があります。
OK例
- 正社員Aは業務範囲が広く、配置転換や役職上の責任も担っているため、有期雇用労働者Bよりも基本給を高く設定している。
NG例
- 業務との関連性がない経験を理由に、正社員Aの基本給を有期雇用労働者Bよりも高く設定している。
関連記事:同一労働同一賃金の退職金の扱いとは?契約社員やパート・アルバイトに支給しないのは違法?
4-2. 賞与
賞与(ボーナス)についても、正社員と非正規社員の間に不合理な待遇差を設けることは認められていません。賞与は企業が任意で設ける制度ではありますが、支給する場合には、職務内容や業績への貢献度などに基づいた合理的な基準を設定することが求められます。
OK例
- 業績への貢献度が同程度である正社員Aと有期雇用労働者Bに対して、同水準の賞与を支給している。
NG例
- 職務内容や業績への貢献度にかかわらず、正社員には賞与を支給している一方で、有期雇用労働者には一切支給していない。
関連記事:同一労働同一賃金で賞与はどうなる?契約社員やパートを賞与なしにするリスク
4-3. 手当
通勤手当や役職手当、資格手当などの各種手当も、同一労働同一賃金の対象となります。これらの手当については、それぞれの支給目的や職務との関係を踏まえ、待遇差が合理的かどうかが判断のポイントとなります。
手当の支給目的と実際の職務内容との関係を踏まえても合理的な理由が説明できない場合、不合理な待遇差と判断される可能性があるので注意しましょう。
OK例
- 通勤にかかる費用を補填する目的で、雇用形態に関係なく通勤手当を支給する
- 役職に伴う責任や業務内容に応じて、役職に就いている従業員のみに役職手当を支給する
NG例
- 正社員には通勤手当を支給する一方で、同じように通勤しているパート社員には支給しない
- 業務に必要な資格を保有し、実際に業務で活用しているにもかかわらず、非正規社員には資格手当を支給しない
関連記事:同一労働同一賃金で各種手当はどうなる?最高裁判例や待遇差に関して
関連記事:同一労働同一賃金での慶弔見舞金の扱いとは?考え方も解説
4-4. 福利厚生
福利厚生についても、合理的な理由がないまま待遇に差を設けることは認められていません。福利厚生は業務と直接関係しない場合も多いものの、雇用形態の違いだけを理由に差を設けることには合理性が求められます。
OK例
- 正社員Aと同じ事業所で勤務している有期雇用労働者Bにも、社員食堂や休憩室の利用を認めている。
NG例
- 正社員Aと比べて、短時間労働者Bの病気休職の期間を短く設定している。
関連記事:同一労働同一賃金における福利厚生の待遇差や実現するメリットとは
4-5. 教育訓練
教育訓練は、業務を適切に遂行するための能力を身につける重要な機会であるので、公平性を確保することが求められます。現在の職務に必要な知識や技能を習得することを目的とした教育訓練については、職務内容が同一であれば同一の機会を提供し、職務内容に違いがある場合には、その違いに応じた形で実施する必要があります。
OK例
- 業務に必要な研修は、雇用形態に関係なく受講できるようにしている。
- 役職者向けの研修については、役職や役割に応じて対象者を設定している。
NG例
- 正社員のみ研修に参加でき、パートや契約社員は対象外としている。
- 同じ業務を担当しているにもかかわらず、非正規社員には教育の機会を与えていない。
4-6. 【ポイント】派遣会社は「労使協定方式」と「派遣先均等・均衡方式」のいずれか選択
派遣労働者については、同一労働同一賃金を実現する方法として、派遣元企業が次のいずれかの方式を選択する必要があります。
派遣先均等・均衡方式:派遣先企業の通常の労働者と待遇を比較し、不合理な差が生じないよう均等・均衡を確保する方式
労使協定方式:派遣元企業が労使協定を締結し、一定水準以上の賃金や待遇を確保する方式
実務上は、賃金水準を統一的に管理しやすいことから、多くの派遣会社が労使協定方式を採用しています。いずれの方式を採用する場合でも、待遇差が生じる場合には、その内容や理由を説明できるよう制度や運用を整備しておくことが重要です。
関連記事:労使協定方式とは?均等均衡方式との違いや派遣労働者の賃金水準を解説
5. 同一労働同一賃金の違反が企業にもたらす影響


企業が同一労働同一賃金の考え方に沿わない運用をおこなっている場合、法的リスクにとどまらず、組織運営や企業イメージにも影響が及ぶ可能性があります。ここでは、こうした違反が企業にもたらす主な影響について解説します。
また、社内における同一労働同一賃金への対応状況を確認する際には、厚生労働省が提供している「パートタイム・有期雇用労働法等対応状況チェックツール」の活用を検討してみるのもよいでしょう。
参考:パートタイム・有期雇用労働法等対応状況チェックツール|厚生労働省
5-1. 違反しても直接的な罰則・ペナルティはない
同一労働同一賃金のルールは、主に説明義務や不合理な待遇差の禁止などを定めていますが、違反した場合に直ちに罰金などの刑事罰が科される仕組みにはなっていません。そのため、形式的には「違反しただけで即座に処罰される」という制度ではありません。
関連記事:同一労働同一賃金の問題点と日本・海外との考え方の違いを解説!法改正の影響とは?
5-2. 行政指導を受ける可能性がある
同一労働同一賃金のルールに問題があると判断された場合、行政から助言・指導や勧告がおこなわれ、是正を求められる可能性があります。
例えば、不合理な待遇差が疑われる場合や、従業員に対して待遇差の内容や理由について十分な説明がなされていない場合には、制度の見直しや改善を求められることがあります。
行政指導そのものに直接的な強制力はありませんが、企業としては指導内容を踏まえ、制度や運用の適切な見直しを検討することが重要です。
5-3. 従業員による訴訟や企業イメージダウンにつながる
企業が勧告に従わない場合には、企業名が公表される可能性があります。また、労働者が裁判や労働審判などの手続を通じて、待遇差の是正や損害賠償を求めるケースも考えられます。
このような問題が外部に明らかになった場合、企業の社会的評価が低下したり、採用活動に悪影響が及んだりする可能性があるでしょう。さらに、社内の従業員のモチベーション低下につながるおそれもあります。
このように、同一労働同一賃金のルールは、刑事罰による直接的な制裁を中心とする制度ではありません。行政による助言・指導や勧告、さらに司法手続を通じて企業に是正を促すことで、制度の実効性を確保する仕組みとなっています。
関連記事:同一労働同一賃金における60歳以上の定年後再雇用の扱いとは
5-4. 同一労働同一賃金には抜け道がある?そのリスクとは?
中には、同一労働同一賃金に対して、「制度の設計次第では抜け道があるのではないか」と考える企業もあります。例えば、業務内容や責任範囲を形式的に区別することで、待遇差の合理性を説明しようとするケースです。
しかし、実態として仕事内容や責任がほぼ同じである場合、形式的な区分だけでは合理性が認められない可能性があります。結果として、後から問題が指摘されるリスクもあります。
また、制度の趣旨に反する運用を続けると、従業員の不信感を招き、組織の一体感や人材定着にも悪影響を及ぼしかねません。そのため、単に形式的に制度を整えるのではなく、実際の業務内容や責任に応じた公平な処遇設計をおこなうことが重要です。
関連記事:同一労働同一賃金の抜け道を探すのは危険?リスクや対応ポイントをわかりやすく解説
6. 同一労働同一賃金の理念を理解し、早急に「法違反」からの脱却を


2018年6月29日に「働き方改革関連法」が成立し、7月6日に公布されたことで、同一労働同一賃金の導入が制度として位置づけられました。制度の適用は、大企業では2020年4月から、中小企業では2021年4月から本格的に開始され、現在では企業規模を問わず、すべての事業者に適用されています。
制度の導入・運用にあたっては、厚生労働省が公表している「同一労働同一賃金ガイドライン」や「同一労働同一賃金取組手順書」を参考にし、正しい手順で人事制度の整備を進めましょう。同一労働同一賃金の考え方を正しく理解することが、企業における働き方改革の第一歩となります。



意図せず不合理な待遇差を放置してしまうと、思わぬ労使トラブルに発展する可能性があります。
企業の信頼性を守るためにも、客観的な視点での定期的な見直しが不可欠です。
◆押さえておくべき法的ポイント
- 「均衡待遇」と「均等待遇」の判断基準
- 企業に課される「待遇に関する説明義務」の範囲
- 万が一の紛争解決手続き「行政ADR」の概要
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