定年後再雇用は同一労働同一賃金の対象になる?メリット・デメリットも解説 | jinjerBlog

定年後再雇用は同一労働同一賃金の対象になる?メリット・デメリットも解説

定年後の同一労働同一賃金

高齢化が進む日本で今後広がりをみせるであろう定年後再雇用制度。正しく理解すれば人材不足を解消し、会社の運営をスムーズにする手段になり得ます。

本記事では定年後再雇用制度を利用するにあたり、気になる同一労働同一賃金との関係やメリットとデメリットを解説します。

定年後再雇用制度を導入する前にぜひお読みください。

▼そもそも「同一労働同一賃金とは?」という方はこちら
同一労働同一賃金とは?適用された理由やメリット・デメリットについて

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同一労働同一賃金に罰則はありませんが、放置すると損害賠償のリスクが高くなります。

同一労働同一賃金とは、「正社員と非正規社員を平等に扱う概念」のように認識されていても、具体的にどのような対策が必要かわからない方も多いのではないでしょうか?

本資料では、どのような状態が「不平等」とみなされうるのかや、企業が対応すべきことを4つの手順に分けて解説しております。 自社でどのような対応が必要か確認したい方は、こちらから資料をダウンロードしてご確認ください。

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1. 定年後再雇用は同一労働同一賃金の対象

定年後の再雇用も同一労働同一賃金の対償

定年後再雇用ではパート・有期雇用労働法が適用されます。そのため、定年後再雇用では同一労働同一賃金の対象になることがほとんどです。しかし、ほかの非正規雇用労働者とは異なる点があります。

1-1. ほかの非正規雇用労働者と完全に同じとはされない

同一労働同一賃金では、同じ労働をする正規雇用と非正規雇用の労働者間で、賃金の格差をなくすというルールがあります。そのルールに則ると、同一労働同一賃金の対象である定年後再雇用も、ほかの非正規雇用労働者と賃金を同じにしなくてはいけません。

しかし、同一労働同一賃金の対象であっても、合理的な理由があれば待遇の差が認められます。
定年後再雇用の場合は、

・加齢による体力や判断力の低下
・退職金の支給があった
・年金を受給している

など、ほかの非正規雇用労働者と比べた時に、賃金が安くなる合理的な理由が「その他の事情」として認められるケースがあります。

同一労働同一賃金の対象であっても、必ずしもほかの非正規雇用労働者と同じ賃金にしなくてはいけないというわけではないのです。

関連記事:同一労働同一賃金における60歳以上の定年後再雇用の扱いとは

1-2. 定年後再雇用の注意点

定年後再雇用では「その他の事情」として待遇の格差が認められるケースがある反面、注意しないといけない点もあります。

・定年後再雇用で待遇を下方修正する場合は労使双方の合意が必要
・定年前と業務が同一の場合、賃金を大幅に下げる場合は不合理となる可能性がある

この2点を経営者は十分に注意しましょう。

雇用形態は変わっても、業務内容が定年前と同じ場合は、大幅に賃金を下げると違反とされるケースが多いです。
加えて、加齢による体力の低下が認められる場合でも、事業者側による一方的な賃金の引き下げや待遇の変化は認められません。

こうした問題は過去に労働者側が訴えたことで、裁判に発展した事例もあります。すべてが認められたわけではありませんが、企業側の対応が不合理であるとされ、是正が求められるケースも少なくありません。

2. 定年後再雇用のメリット

メリット

定年後再雇用のメリットを事業者側と労働者側、両方の視点から解説します。

2-1. 事業者側のメリット

事業者側のメリットは

・人手不足の解消
・顧客の安心と信頼を継続できる
・各種コストの削減が可能
・助成金、給付金の申請ができる

この4つが大きいです。ひとつひとつ解説していきます。

【人手不足の解消】
業種による差はありますが、人手不足に悩む職種では、定年後再雇用によってマンパワーを補えます。
経験や知識が豊富な人材であれば、若手の育成にも尽力してくれるでしょう。体力面での配慮は必要ですが、高齢化が進む現代社会での雇用確保として、とても有効な手段になります。

【顧客の安心と信頼を継続できる】
定年前に取引先や顧客との関係を築いていた人であれば、定年後再雇用によってその繋がりを維持できます。
担当者変更がないことは相手企業やお客様にとって大きな安心感になり、対応も和らぐはずです。また、担当者変更に伴う引継ぎ業務や挨拶など、時間的・人的・費用的なコストを削減できるのもメリットになります。このメリットは接客や営業職など、社員と顧客の関係が重視される業種ほど大きいです。

【各種コストの削減が可能】
定年退職によって減った人員を、新しい人材で補った場合は、採用コストや育成コストがかかります。とくに育成コストは大きく、経験の浅い人材をサポートする周囲の負担も考えるとかなりのものになるでしょう。時間と費用を掛けて育成したにもかかわらず、辞職してしまうという問題もあります。
定年後再雇用を活用すれば、こうした人員補充に関連するコストや懸念を大きくカットできます。

【助成金、給付金の申請ができる】
定年後再雇用制度を導入すると、以下2つの申請が可能です。

・65歳超雇用推進助成金
・高年齢雇用継続給付金

2021年4月に一部改正さていますので、内容を改めてみていきましょう。

【65歳超雇用推進助成金】
働く意欲や能力がある限り、65歳以上の高齢者が就労することを助成するものです。

・65歳超継続雇用促進コース
・高年齢者評価制度等雇用管理改善コース
・高年齢者無期雇用転換コース

この3つのコースがあり、条件を満たした場合は最大で160万円の助成金を受け取れます。

【高年齢雇用継続給付金】

・60歳以上65歳未満の従業員
・60歳の時点と比較したときに60歳以降での賃金が75%未満に低下した

この2つの条件を満たしたときに、最大で賃金の15%が支給される給付金です。

これらの給付金は条件を満たした際に、企業側に給付されます。高齢者の雇用を促進する目的の給付金ですので、可能な限り活用しましょう。人材確保をしながら、人件費を抑える手段として大いに役立ちます。

関連記事:無期雇用は同一労働同一賃金の対象外!リスクや高齢者の特例措置も解説

2-2. 労働者側のメリット

労働者側のメリットは

・年金支給までの無収入を避けられる
・慣れた職場で働き続けられる

この2つが挙げられます。

ほとんどの企業の定年が60歳であるにもかかわらず、年金の支給開始は65歳からです。無収入になってしまう5年間を埋められて、さらに今までと同じ慣れた職場で働けるというのは、高齢になってからの大きなメリットでしょう。
加えて、厳しいと言わざるを得ない高齢者の就職活動をしなくてよいのも大きいです。

収入面だけでなく、精神的な安定にも繋がります。急にするべきことがなくなった喪失感や、社会との接触が途絶える孤立感を減らしてくれるはずです。

3. 定年後再雇用のデメリット

デメリット

定年後再雇用には多くのメリットがあるとわかりました。しかし、高齢者を雇用することでのデメリットもあることを覚えておきましょう。

3-1. 事業者側のデメリット

事業者側のデメリットは

・希望者は再雇用しなくてはいけない
・次の世代を担う若者が減ってしまう

この2つが大きいです。

定年後再雇用制度には「希望者は全員再雇用しなくてはいけない」という定めがあります。能力や人格などに問題があり、積極的に採用したくない人材だとしても、本人が希望した場合は採用しなくてはいけないのです。

また、そうした人物を含め、希望者が多い場合は再雇用の人員が増えてしまい、若い社員が減ってしまうこともデメリットです。日本では年功序列がまだまだ根強いため、再雇用した高齢者によって、若手のチャレンジ精神や新しい考えが潰されてしまわないように、事業者側の配慮が求められます。

3-2. 労働者側のデメリット

労働者側のデメリットは

・年金が減額される恐れがある
・雇用条件や仕事内容が変わる可能性がある

労働者側のデメリットとして気を付けたいのは、年金の減額です。

70歳未満の人が厚生年金保険に加入した場合、老齢厚生年金額と給与・賞与の額に応じて、年金の一部や全額が支給されなくなることがあります。

年齢によって計算方法が異なるため、定年後再雇用で働く場合は事前に確認しておきましょう。

加えて、必ずしも定年前と同じ立場や業務になるとは限らない点も意識する必要があります。部下が上司になったり、合わない業務に配属されたりするかもしれません。「再雇用制度で雇用された立場」に変わるということを、十分に認識してから利用しましょう。

4. 定年後再雇用制度は同一労働同一賃金の対象!メリットとデメリットの理解が大切

考える様子

定年後再雇用制度は、コストを抑えて経験豊富な人材を確保できることや、助成金を得られることなど、事業者側にとってメリットが大きい制度の1つです。

しかし、同一労働同一賃金の対象になることに加え、希望者は全員再雇用しないといけないことや、世代交代が遅れることなど、デメリットもあります。

正しく理解したうえで導入を検討し、人材確保に役立てましょう。

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同一労働同一賃金に罰則はありませんが、放置すると損害賠償のリスクが高くなります。

同一労働同一賃金とは、「正社員と非正規社員を平等に扱う概念」のように認識されていても、具体的にどのような対策が必要かわからない方も多いのではないでしょうか?

本資料では、どのような状態が「不平等」とみなされうるのかや、企業が対応すべきことを4つの手順に分けて解説しております。 自社でどのような対応が必要か確認したい方は、こちらから資料をダウンロードしてご確認ください。

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