同一労働同一賃金における60歳以上の定年後再雇用の扱いとは - ジンジャー(jinjer)| クラウド型人事労務システム

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同一労働同一賃金における60歳以上の定年後再雇用の扱いとは

定年後の扱い

同じ労働には同じだけの賃金を支払わなければならない原則を同一労働同一賃金といいます。同一労働同一賃金は定年後の60歳以上にも適用されるのがポイント。今回は、同一労働同一賃金における60歳以上の定年後再雇用の扱いや裁判例、注意点について解説します。

▼そもそも「同一労働同一賃金とは?」という方はこちら
同一労働同一賃金とは?適用された理由やメリット・デメリットについて

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同一労働同一賃金とは、「正社員と非正規社員を平等に扱う概念」のように認識されていても、具体的にどのような対策が必要かわからない方も多いのではないでしょうか?

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1. 同一労働同一賃金における定年後再雇用とは

定年後再雇用

まずは同一労働同一賃金における定年後再雇用についてご説明します。定年後再雇用とは少子高齢化や労働人口の不足によって導入された制度で、現在は70歳までの就業確保は努力義務となっており、65歳までの雇用確保を義務付けております。

また、混同されることが多い、定年後の再就職と定年後再雇用制度は全く異なる制度です。定年後の再就職は、ハローワークやシルバー人材センターなどで自ら職を探しますが、定年後再雇用は定年前に働いていた企業に再び務めることを指します。

全く新しい業務ではなく慣れている業務を続けられるメリットがあります。

同一労働同一賃金における定年後再雇用とは、定年後再雇用制度で不合理な待遇差を受けない原則のことです。同一労働同一賃金ではパートやアルバイトなどの短時間労働者や、契約社員などの有期雇用労働者は、雇用形態を理由に待遇差を受けてはいけないと定めています。

この同一労働同一賃金の法則は定年後再雇用の場合も適用され、責任の重さや範囲、業務内容などが同じなら、他の社員と同じだけの賃金を受け取れることを定めています。

関連記事:定年後再雇用は同一労働同一賃金の対象になる?メリット・デメリットも解説

1-1. 定年後再雇用のメリットとデメリット

定年後再雇用にはメリットばかりではなく、デメリットも存在します。メリットは先ほども触れた仕事を探す手間や慣れた仕事に再び就ける安心感も含め、

  • 一から仕事を探す手間がなくなる
  • 業務内容を覚えなおす必要がない
  • 厚生年金の受給額が増える

などがあります。

一方でデメリットとしては、

  • 役職が変わる可能性がある
  • 65歳からは自分で就職先を探さなければならない(企業によっては65歳以降も雇用可能)
  • 賃金が下がる可能性がある

などがあります。

同一賃金同一労働では不合理な待遇差をつけてはならない決まりがありますが、定年前に比べると賃金が下がる場合がほとんどです。次項では実際に定年後再雇用で発生した、賃金格差に対する判例をご紹介します。

2. 定年後再雇用後の賃金格差に関しての裁判例を紹介

再案

同一労働同一賃金は厚生労働省がガイドラインを定めており、「定年後に継続雇用された有期雇用労働者についても、パートタイム・有期雇用労働法が適用される。」としています。[注1]

[注1]厚生労働省「同一労働同一賃金ガイドライン」

従って、定年後再雇用の場合でも、定年前と同じように待遇を決める必要があります。定年後再雇用の同一労働同一賃金に関しては、実際に待遇が不合理と判決が下された判例もあります。

2-1. 判例①定年後再雇用された社員が賃金の格差を不合理だと訴えた裁判

当時の賃金は定年退職前の79%で、一部の賃金には不合理との判決を下したものの、他の賃金や手当の格差は不合理ではないとされました。

不合理と判断されたのは、精勤手当です。しかし、以下の手当については正当な理由があるため不合理ではないと判断されています。

  • 能率給・職務給(歩合給が支給されるため)
  • 役付手当(該当する社員にのみ支給されるため)
  • 住宅手当・家族手当・賞与(老齢厚生年金の支給予定があるため)
    ※老齢年金手当の支給開始までは調整給があったため

以上より、定年前と手当の内容が多少変わっていても、正当な理由があったり、別の手当てが支給されていたりすれば、不合理ではないと判断されることがわかります。

関連記事:同一労働同一賃金で各種手当はどうなる?最高裁判例や待遇差に関して

2-2. 判例②定年前の基本給と比べてどの程度の差が違法か争われた裁判

定年前の基本給と比べてどの程度の差なら違法ではないかが争われた裁判もあります。当時は定年後再雇用された職員が、定年退職前と比べて40%の賃金で働いていましたが、これを不当として裁判に発展。

判決は、

  • 定年後再雇用でも定年前の60%の基本給を下回るのは違法
  • 賞与に関しても正職員の賞与の調整率を乗じた数を下回るのは違法

という結果が出ています。

判例数は少ないものの、基本給があまりにも少ない場合には不合理と判断されており、賞与も全く支給されなかったり、他の正社員と比べて低すぎる場合は違法と判断される場合があります。

3. 定年後にパートで雇用継続する注意点

注意

同一労働同一賃金の原則はパートタイム・有期雇用労働法によって適用されており、大企業では2020年4月1日から、中小企業では2021年4月1日から施行されています。従って、定年後にパートタイムとして雇用継続する場合は、待遇差によってトラブルに発展しないように注意が必要です。

また、定年後再雇用は退職後に再び雇用契約を結ぶため、パートタイムとして雇用形態を変えての雇用が可能です。雇用形態の変更に伴い、業務内容や責任の範囲も変更可能。賃金も業務内容に応じて変えることができます。

再雇用時に注意したい点は、以下の4点になります。

  • 業種は変更しない
  • 労働条件は1年単位で見直す
  • 手当は正当な理由がない場合には原則支給しなければならない
  • 有給休暇には勤続年数が反映される

まず、定年後再雇用では他の業種として再雇用することはできません。実際に正社員として雇用されていた社員が定年後に清掃員として再雇用され、損害賠償の支払いを求めた事件では違法であると判決が出ています。[注2]

また、健康状況も日々変化するため、労働条件は1年ごとに見直すのがおすすめです。さらに、手当や有給休暇は原則正社員と変わらない待遇を用意するように定められていますが、一部手当は正当な理由があれば待遇を変えても問題にならない場合があります。

ただし、有給休暇の取得日は定年前の勤続年数から続いて反映されるため、注意が必要です。労働日数が減る場合は有給の付与日数が変わるので、再度見直しましょう。

[注2]全情報「トヨタ自動車ほか事件」

関連記事:パートタイム・有期雇用労働法の第8条について分かりやすく解説
関連記事:同一労働同一賃金が中小企業に適用されどう変わった?

4. 定年後再雇用にも同一労働同一賃金は適用される

同一労働同一賃金

60歳で定年を迎えた後も、原則65歳までは同じ企業で再度働ける制度を定年後再雇用制度といいます。定年後再雇用の場合も、同じ労働には同じだけの賃金が支払われるという原則は適用されるので注意が必要です。

実際に定年後再雇用で不当な減給を受けたとして2件の判例があります。一部手当は正当な理由があれば差をつけることが認められていますが、基本給は定年前の60%を下回ると不合理として判断されるかもしれません。

不足する労働人口を補うには便利な制度ですが、思わぬトラブルに発展しないよう、定年後再雇用を活用する際は同一労働同一賃金の原則に反しないように注意が必要です。

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同一労働同一賃金に罰則はありませんが、放置すると損害賠償のリスクが高くなります。

同一労働同一賃金とは、「正社員と非正規社員を平等に扱う概念」のように認識されていても、具体的にどのような対策が必要かわからない方も多いのではないでしょうか?

本資料では、どのような状態が「不平等」とみなされうるのかや、企業が対応すべきことを4つの手順に分けて解説しております。 自社でどのような対応が必要か確認したい方は、こちらから資料をダウンロードしてご確認ください。

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