同一労働同一賃金で各種手当はどうなる?最高裁判例や待遇差に関して | jinjerBlog

同一労働同一賃金で各種手当はどうなる?最高裁判例や待遇差に関して

話し合う様子

同一労働同一賃金の導入により、大企業・中小企業を問わず、正社員と非正規雇用労働者の間で不合理な待遇差を設けることが禁止されました。不合理な待遇差には、基本給や賞与だけでなく、通勤手当や精皆勤手当などの各種手当もふくまれます。

しかし、短時間労働者と正社員の両方を雇用している事業場において、まだまだ各種手当の支給状況に格差が見られるのが現状です。

厚生労働省が2016年にまとめた「パートタイム労働者総合実態調査(事業所調査)」によると、正社員の70.6%が役職手当を受け取っているのに対し、短時間労働者の受給率は7.3%。精皆勤手当についても、正社員の受給率が20.7%であるのに対し、短時間労働者の受給率は5.8%にとどまります。[注1]

この記事では、同一労働同一賃金における各種手当の考え方や、各種手当の待遇差に関する最高裁判例、待遇差の是正に向けたポイントをわかりやすく解説します。

[注1] 厚生労働省:パートタイム労働者総合実態調査(事業所調査)

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同一労働同一賃金とは?適用された理由やメリット・デメリットについて

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同一労働同一賃金とは、「正社員と非正規社員を平等に扱う概念」のように認識されていても、具体的にどのような対策が必要かわからない方も多いのではないでしょうか?

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1. 同一労働同一賃金の導入により、各種手当の支給はどう変わる?

同一労働同一賃金

同一労働同一賃金の導入により、企業は均衡待遇・均等待遇の2つの原則に基づき、正社員とそれ以外の労働者の不合理な待遇差を是正する必要があります。

均衡待遇と均衡待遇の違い

通勤手当や精皆勤手当などの各種手当についても、均衡待遇・均等待遇の考え方を前提として、支給の内容を見直す必要があります。

厚生労働省が作成した「同一労働同一賃金ガイドライン」では、各種手当の支給方法の具体例が説明されています。[注2]

各種手当の支給方法

各種手当の待遇差を設ける場合は、職務の内容や配置転換の有無といった事情に基づき、待遇差の理由が合理的であるかどうかを必ず確認しましょう。

[注2] 厚生労働省:同一労働同一賃金ガイドライン

関連記事:同一労働同一賃金で交通費はどうなる?判例や課税について解説

2. 同一労働同一賃金に関する最高裁判例を2つ紹介

裁判

同一労働同一賃金の原則に違反し、各種手当に不合理な待遇差を設けた場合、労働者からの損害賠償請求訴訟に発展する可能性があります。実際に最高裁判例を紐解くと、各種手当の待遇差が不合理であると認められたケースもあります。

ここでは、同一労働同一賃金に関する最高裁判例を2つ紹介します。

2-1. 第2099号、第2100号・未払賃金等支払請求事件

「第2099号、第2100号・未払賃金等支払請求事件」は、運送会社で働く契約社員(有期雇用労働者)が、正社員との間の各種手当等の待遇差が不合理であるとして、未払賃金等の支払請求を行った事件です。

最高裁判所の判決では、原告が訴えた6つの手当のうち、5つの手当について不合理な待遇差があると認めました。

第2099号、第2100号・未払賃金等支払請求事件[注3] 厚生労働省:同一労働同一賃金について ~雇用形態又は就業形態にかかわらない公正な待遇の確保~

2-2. 第442号・地位確認等請求事件

「第442号・地位確認等請求事件」は、運送会社で働く嘱託乗務員(定年退職後に再雇用)が、正社員との間の不合理な待遇差を訴えた事件です。

最高裁判例では、2つの手当について不合理な待遇差があると認めました。

第442号・地位確認等請求事件[注3]

このように最高裁判例を見ると、厚生労働省の「同一労働同一賃金ガイドライン」で示されていない手当についても、不合理な待遇差が問題となっています。

必要に応じて労働者の意見を聴取しながら、自社の賃金体系に不合理な待遇差が存在しないかどうか個別具体的に確認していくことが大切です。

関連記事:同一労働同一賃金の問題点と日本・海外との考え方の違い

3. 不合理な待遇差は対応が必須!同一労働同一賃金への3つの対応ポイント

KEY POINTS

同一労働同一賃金の原則は、2020年4月1日に施行された「パートタイム・有期雇用労働法」に基づきます。

パートタイム・有期雇用労働法には、同一労働同一賃金に違反した場合の罰則は明記されていません。しかし、前述の訴訟リスクを考慮すると、不合理な待遇差は早急に解消する必要があります。

ここでは、同一労働同一賃金への対応に向けた3つのポイントを開設します。

関連記事:パートタイム・有期雇用労働法の内容を分かりやすく解説

3-1. 待遇差がある理由を明確化する

まずは短時間労働者や有期雇用労働者など、パートタイム・有期雇用労働法の対象となる労働者をリストアップしましょう。

労働者の区分ごとに待遇差がある場合は、「なぜ待遇差があるのか」「職務の内容や配置転換の有無といった事情に基づき、待遇差が不合理ではないか」を明確化します。もし不合理な待遇差が存在する場合は、ただちに社内ルールを見直し、法違反の状況から早期の脱却を目指す必要があります。

3-2. 労働者に対し待遇差について説明できるようにする

パートタイム・有期雇用労働法では、正社員とそれ以外の労働者の待遇差について、企業が労働者に説明を行う義務が定められています。

たとえば、非正規雇用労働者の雇入れ時や、労働者側から求めがあった場合、待遇差についてすみやかに説明できるようにしておくことが大切です。

もし労働者の区分ごとに待遇差がある場合は、その待遇差が不合理ではないことを説明できるよう、要点を整理しておきましょう。あらかじめ待遇差の理由をまとめた説明文書を作成しておけば、労働者から説明を求められた際に便利です。

関連記事:同一労働同一賃金の説明義務はどう強化された?注意点や説明方法も解説

3-3. 厚生労働省の助成金の利用を検討する

非正規雇用労働者の手当を増額し、不合理な待遇差を解消する場合、一時的に人件費が増額する可能性があります。その場合、厚生労働省の助成金の利用を検討しましょう。

厚生労働省のキャリアアップ助成金には、同一労働同一賃金に対応したコースが用意されています。たとえば「諸手当制度共通化コース」は、正社員とそれ以外の労働者で各種手当の制度を共通化する場合、最大で1企業につき38万円まで(大企業は28万500円まで)の支援が受けられます。

4. 同一労働同一賃金を正しく理解し、各種手当の支給方法の見直しを

書類に記載する様子

同一労働同一賃金では、基本給や賞与だけでなく、各種手当の不合理な待遇差をなくすことも求められます。

実際に最高裁判例を見ると、「第2099号、第2100号・未払賃金等支払請求事件」「第442号・地位確認等請求事件」など、各種手当の待遇差をめぐる訴訟も提起されています。均衡待遇・均等待遇の2つの原則に基づき、正社員と非正規雇用労働者の不合理な待遇差を解消することが大切です。

同一労働同一賃金の導入により、企業は労働者に対し、待遇差が設けられた理由について説明する義務も生じました。同一労働同一賃金の考え方を正しく理解し、各種手当の支給方法の見直しを行いましょう。

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同一労働同一賃金に罰則はありませんが、放置すると損害賠償のリスクが高くなります。

同一労働同一賃金とは、「正社員と非正規社員を平等に扱う概念」のように認識されていても、具体的にどのような対策が必要かわからない方も多いのではないでしょうか?

本資料では、どのような状態が「不平等」とみなされうるのかや、企業が対応すべきことを4つの手順に分けて解説しております。 自社でどのような対応が必要か確認したい方は、こちらから資料をダウンロードしてご確認ください。

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