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パートタイム・有期雇用労働法の内容を分かりやすく解説

パートタイム

パートタイム・有期雇用労働法とは、同一労働・同一賃金を推進し、雇用形態を理由とした不合理な待遇格差を是正することを目的とした法律です。

この記事では、人事担当者向けにパートタイム・有期雇用労働法の内容、押さえるべきポイント、企業の対応を解説します。

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同一労働同一賃金とは、「正社員と非正規社員を平等に扱う概念」のように認識されていても、具体的にどのような対策が必要かわからない方も多いのではないでしょうか?

本資料では、どのような状態が「不平等」とみなされうるのかや、企業が対応すべきことを4つの手順に分けて解説しております。 自社でどのような対応が必要か確認したい方は、こちらから資料をダウンロードしてご確認ください。

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1.パートタイム・有期雇用労働法とは?

法律

パートタイム・有期雇用労働法とは、正社員と短時間労働者、有期雇用労働者の不合理な待遇格差を是正するため、2020年4月に施行された、働き方改革関連法の1つです。
中小企業は2021年4月1日より適用されています。

総務省統計局が発表した、2020年分の労働力調査によると、雇用者の全体数は5,620万人、非正規労働者はそのうち2,090万人となり、全体の37.2%を占めています。[注1]

パートタイム・有期雇用労働法では、労働者がどのような雇用形態を選択しても、安心して働けるように、同一企業内の不合理な待遇格差(基本給・賞与・手当など)の解消を計っています。
同一労働・同一賃金の実現に向けた取り組みともいえます。

また、事業主(会社)は、短時間労働者や有期雇用労働者から正社員との待遇さについて問われた場合、説明の義務が生じることとなります。

[注1]総務省統計局|労働力調査(詳細集計)2020年(令和2年)平均

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1-1.改正パートタイム労働法との違い

パートタイム労働法は、1993年12月に施行され、その後2008年4月に改正パートタイム労働法が施行されています。
パートタイム・有期雇用労働法との違いは、下記の3点です。

1. 法の範囲:無期雇用者だけでなく、有期雇用者も対象にする。
2. パートタイム労働者の範囲:事業所単位ではなく、企業単位で判断する。
3. 通常の労働者の定義:正規型の労働者、無期雇用フルタイム労働者とする。

以上のように、雇用期間にかかわりなく法の対象となることや、法の及ぶ労働者の範囲を事業所ではなく企業単位とした点に違いがあります。

2.パートタイム・有期雇用労働法の改正3つのポイント

3本指を立てる女性

パートタイム・有期雇用労働法では、以下の3つのことがポイントとなります。

1. 雇用方法による不合理な待遇格差の禁止する。
2. 待遇格差の説明義務が強化される。
3. 行政による紛争解決援助制度が無料・非公開で利用できる。

2-1. 雇用方法による不合理な待遇格差の禁止

同じ企業で働く、正社員と短時間労働者、有期雇用労働の間に、合理的な理由なく待遇格差を設けることを禁止します。

不合理な待遇格差とは下記のとおり、賃金だけでなく、キャリア形成や能力開発の機会など、あらゆる待遇を含みます。

・基本給(賃金決定のルールを含む)
・昇給
・賞与(ボーナス)
・各種手当(役職手当、地域手当、通勤手当、など)
・福利厚生施設の利用(食堂、休憩室、更衣室、など)
・慶弔休暇の有無
・健康診断(勤務免除・有給保証含む)
・病気・休職時の扱い
・通算勤続年数に応じた休暇の付与
・教育訓練・キャリア開発

上記に該当しないものであっても、手当・待遇の性質や目的から、合理性の判断が必要となります。

例えば、通勤手当の目的は「通勤のために必要な費用を会社が支給すること」であるとします。
その場合、雇用形態を問わず、会社への通勤しているすべての従業員に支給が必要であると判断されます。

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2-2. 待遇格差の説明義務が強化される

短時間労働者、有期雇用労働者から、正社員と待遇格差について問われた場合、事業主は説明する義務が生じます。

・待遇を決定する際に考慮した事柄
・正社員と待遇格差が設けられている理由

上記などを踏まえて「不合理できない」と説明できなければいけません。
そのため、例えば「将来期待する役割が異なるため」など、漠然とした理由では説明義務を果たしたもと判断されないため、注意しましょう。

また、説明を求めたことを理由に、従業員に不利益となる取り扱いをすることは禁止されています。

関連記事:同一労働同一賃金の説明義務はどう強化された?注意点や説明方法も解説

2-3. 行政による紛争解決援助制度が無料・非公開で利用できる

短時間労働者や有期雇用労働者と、事業主の間で労使トラブルが発生した際は、都道府県労働局の紛争解決援助制度が利用できるようになりました。
この制度では無料・非公開で紛争解決手続きができ、労使双方または一方からでも請求が可能です。

また、パートタイム・有期雇用労働法施行後は、紛争の解決だけでなく、均衡待遇や待遇差の内容・理由の説明を求めることも対象となります。

3.パートタイム・有期雇用労働法における企業の対応 

ミーティング

パートタイム・有期雇用労働法の対応として、企業は従業員の雇用形態と待遇を確認し、格差があるかないか確認しましょう。もし、合理的ではない待遇格差が設けられている場合は、早めの対処が必要です。

3-1.短時間労働者・有期雇用労働者を雇用しているか確認する

正社員と比べて所定労働時間の短い労働者や、雇用期間に定めのある労働者を雇用していないか確認しましょう。
確認が終わったら、「短時間・フルタイム」「有期・無期」など、雇用形態別に人数を把握します。

もし、上記に該当する労働者を雇用していないなら(全員フルタイム正社員など)、今回の法改正で対応すべき点はないため、ここで確認は終了です。

3-2.正社員・短時間労働者・有期雇用労働者の手当や待遇を確認する

「雇用方法による不合理な待遇格差の禁止」の項目で把握した従業員と正社員に、どのような手当や待遇が用意されていか確認しましょう。

正社員には支給されているのに、短時間労働者、有期雇用労働者には支給されていない手当も書き出します。

3-3.手当や待遇に差が設けられている場合は理由を明確にする

確認した待遇や手当のうち、差が設けられているものは、その理由を書き出します。
待遇差がなく、すべての従業員に支給されているものは問題ありません。

3-4.待遇差が「不合理ではない」ことを説明できるようにする

正社員と短時間労働者、有期雇用労働者の待遇に差が設けられているなら、「不合理でない」ことを説明できるようにします。

例えば賞与の場合は以下のような内容で説明します。

正規雇用者:0.5~3ヵ月分、貢献度により支給する。
有期雇用者:1ヵ月分を一律支給する。

理由:正規雇用者にはノルマを設けており、その貢献度により賞与を決定している。有期雇用者は定型型の業務に従事するため、一律の賞与としている。

上記の場合、「不合理でない」理由といえるでしょう。
ただし、下記の場合は、合理的な理由とは認められません。

理由:有期雇用者には、人事評価制度がないため、賞与を一律で支給している。

3-5.不合理な待遇格差は改善する

正社員と短時間労働者、有期雇用労働者との間に不合理な格差があれば、改善しましょう。
その際、正社員の待遇をパートタイム・有期雇用労働者の待遇と同等に引き下げる場合は「労働条件の不利益変更」に該当する恐れがあります。

不利益変更の場合、合理的理由が求められる他、労使の合意や就業規則の変更など、一連の手続きも必要となりため慎重に進めましょう。

4.パートタイム・有期雇用労働法では待遇差が合理的か否か判断しよう

分かれ道

パートタイム・有期雇用労働法では、雇用形態を理由とした不合理な待遇差の解消を求めています。
そのため、内容を問わず差をなくすのではなく、同じ仕事をしているなら、同じ待遇にすることがポイントです。

また、手当や福利厚生は、それを支給する目的に照らし合わせて、合理性を判断しましょう。

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