同一労働同一賃金の説明義務はどう強化された?注意点や説明方法も解説 | jinjerBlog

同一労働同一賃金の説明義務はどう強化された?注意点や説明方法も解説

相談する様子

同一労働同一賃金が施行され、労働者に対する説明義務が強化されました。

これまでは、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間にある待遇の差を「そういうものだ」と受け入れている人が大多数でしたが、これを機に、疑問を持つ人や行動する人も増えてきています。

質問がされれば、企業は待遇差に対して合理的な答えを出さなくてはいけません。準備をしておかないと、質問を受けた時に慌てることになってしまうでしょう。説明義務を果たすためにできる準備や、説明方法を解説します。

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同一労働同一賃金とは?適用された理由やメリット・デメリットについて

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同一労働同一賃金とは、「正社員と非正規社員を平等に扱う概念」のように認識されていても、具体的にどのような対策が必要かわからない方も多いのではないでしょうか?

本資料では、どのような状態が「不平等」とみなされうるのかや、企業が対応すべきことを4つの手順に分けて解説しております。 自社でどのような対応が必要か確認したい方は、こちらから資料をダウンロードしてご確認ください。

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1. 同一労働同一賃金で強化された説明義務

解説する様子

同一労働同一賃金では、非正規雇用労働者に対しての「待遇に関連する事柄への説明義務」が強化されました。説明義務の詳細と今までの違いについて解説します。

1-1. 同一労働同一賃金の説明義務は企業に課せられたもの

同一労働同一賃金での説明義務とは、労働者に対して「企業が待遇についての説明を行う義務」です。

例えば、とある非正規雇用労働者が「なぜ同じ仕事をしているのに、正規雇用労働者と給与が違うのか」と質問をしてきた場合、それに対して「給与が違うことに対しての合理的な説明」を企業側がしなければ、違反になってしまいます。

これまでも質問をすることはできましたが、企業側には説明をする義務はありませんでした。「そういう決まりだから」のひと言で片付けても問題にならなかったのです。

とくにパートタイムや有期雇用、派遣労働者の中では、正社員との間で給与やその他の待遇が違って当然という認識が根強くありました。そのため、そもそも疑問を持たない人が多かったようです。また、立場が弱いため、疑問を持っても飲み込んでいる人が大多数でした。

ところが、同一労働同一賃金が施行されてからは、雇用形態を理由にした給与や待遇の格差は違法となりました。これによって、雇用形態による給与や待遇の差が問題であるという認識が広まり、企業は格差に対する説明義務を負うようになったのです。

1-2. 同一労働同一賃金が導入される前との違い

前項で同一労働同一賃金が施行される前は、説明義務がなかったという表現をしました。じつはこれは正確ではなく、一部の内容・雇用形態を限定して説明義務はもともとあったのです。それが同一労働同一賃金によって明確化、強化されました。どのような変化があったのか見ていきましょう。

導入される前後での違い

このように、3種類それぞれのタイミングで発生する説明義務のすべてが、雇用形態を問わずに「説明義務の規定あり」に変化しました。

とくに注目すべきは、待遇差についての説明責任の変化です。以前は、非正規雇用労働者に対する説明義務は一切ありませんでしたが、改正後はすべて説明義務が発生しています。これによって、給与や福利厚生などに、正社員との間の格差について、質問があった場合は明確な理由を提示しなくてはいけなくなりました。

2. 労働者への説明方法

話し合う様子

労働者から待遇の差について質問があった際の、説明方法を知っておきましょう。重要なのは「待遇の差が合理的である」と労働者が納得できる答えを伝えることです。

2-1. 誰と誰を比較するのか決める

同一労働同一賃金では、比較する対象を「通常の労働者で条件が最も近い者」としています。

通常の労働者で条件が最も近い者とは、説明を求めてきた労働者と「仕事内容や責任の程度、配置変更の範囲が同じ正規雇用社員」のことを指します。砕けた表現にすると「労働条件が最も似ている正社員」です。

ここで少しわかりにくいのが「配置変更の範囲」という表現でしょう。

「配置変更の範囲」とは、人事異動や業務命令によって発生する、ポスト間の異動範囲です。特定の部門内での異動に限るのか、全部門に渡る異動があるのか、のような人事異動の範囲差だと思って相違ありません。

配置変更の範囲を比べるときは、以下の手順で確認すると分かりやすいです。

①正規雇用労働者と非正規労働者の転勤・転属の有無が同じかどうか
②転勤・転属が有りの場合、異動する範囲を比較する
③転勤・転属が無しの場合、または異動する範囲が同程度である場合、異動先で仕事内容が変化する度合いを比較する

ここまで比較をしたのち、以下のパターンで絞り込みます。

・1人の通常の労働者
・複数人の通常の労働者
・過去1年以内に働いていた1人か複数人の通常の労働者
・通常の労働者の平均モデル

この手順で絞り込んだ1人、あるいは複数人の労働者が比較対象になります。

続く待遇差の把握や理由の確認は、この比較対象を元に行うものです。ここで比較対象が適切でないと、説明をしても無意味になります。比較対象は精査して決定しましょう。

2-2. 待遇差の内容と理由を把握する

比較対象が決定したら、双方の間にある格差を調べます。説明を求められた部分が絞られている場合は、その部分を中心に調べるようにしましょう。

賃金表や待遇に関する基準となるものを活用して、待遇の差と待遇の差がある理由を明確にします。

2-3. 資料を作り説明する

待遇に差がある理由を、資料を交えながら口頭で説明します。

職務の内容や配置変更の範囲の差に加え、経験・能力・今までの成果など、合理的な待遇差の理由となり得るものはすべて提示しましょう。比較対象者の給与や、賃金の平均値、下限と上限などの情報も活用できます。もちろん就業規則や賃金表も有効です。

口頭での説明が難しい場合は、説明内容を網羅した、理解がしやすい説明書類を交付する形でもよいとされています。

3. 説明を行うときの注意点

注意点

説明義務を果たすために労働者への説明を行う際には、以下のポイントを意識しましょう。

3-1. 合理性のある説明を意識する

賃金や待遇の格差は、合理性のあるものであれば認められます。また、客観的に見て合理的な内容であれば、質問をした労働者も納得して働き続けられるはずです。

「経験の差があるから」というような曖昧な表現ではなく、勤続年数やこれまでの貢献度など、具体的なデータを準備して説明するとよいでしょう。

3-2. 比較対象者の情報が漏れないようにする

説明義務を果たすときは、必ず比較対象となるほかの労働者の情報が必要です。その際に、比較対象とした人物の情報が漏れないように十分に注意しましょう。うっかりだとしても情報が漏れてしまうと、個人情報の漏洩として問題になる可能性があります。

3-3. 罰則はないが損害賠償を求められる可能性はある

同一労働同一賃金の説明義務は、仮に果たさなかったとしても罰則がありません。しかし、不利益を被ったとして損害賠償を求められる可能性はあります。罰則がないからといって、説明義務を放棄するようなことをしてはいけません。

4. 説明義務が強化された理由

理由

同一労働同一賃金の説明義務が強化された理由は、労働者が「納得して働く」ことを重視したからです。

説明義務がないと

「正社員と同じ量の仕事をしているのに、なんでパートだけ安いのだろう」
「同程度の責任を負わされているのに、自分だけ給与が低いことが不満だ」

こうした疑問や不満を溜めたまま働く人が増えてしまいます。その結果発生するのが、企業と労働者間でのトラブルです。トラブルが深刻化すれば、法廷闘争にまでもつれ込むことになってしまうでしょう。

トラブルに発展する前に話し合いをし、合理的であれば納得をして働いてもらう、もしも不合理であれば改善に向けて動くなど、労使双方が納得感を高めて働くことが、説明義務が強化された大きな理由です。

企業側はこれをよく理解し、説明義務を果たすための準備と、必要であれば待遇の見直しをするようにしましょう。

5. 同一労働同一賃金の説明義務は、素早く対応できるように準備しよう

説明する様子

同一労働同一賃金が中小企業に対しても施行され、待遇に関する説明義務の強化も広く知られるようになりました。今後は説明を求める人が増えていくでしょう。

労働者向けの説明書や、比較対象選別のチャートなどを作成しておくと、求められた際に慌てずに済みます。
重要なのは「合理的で納得できる説明をする」ことです。いま一度非正規労働者の待遇を見直し、正規労働者との間に差があれば、その理由を明確にしておきましょう。

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同一労働同一賃金に罰則はありませんが、放置すると損害賠償のリスクが高くなります。

同一労働同一賃金とは、「正社員と非正規社員を平等に扱う概念」のように認識されていても、具体的にどのような対策が必要かわからない方も多いのではないでしょうか?

本資料では、どのような状態が「不平等」とみなされうるのかや、企業が対応すべきことを4つの手順に分けて解説しております。 自社でどのような対応が必要か確認したい方は、こちらから資料をダウンロードしてご確認ください。

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