【2026年7月最新版】パートタイム・有期雇用労働法の賞与のルールを詳しく解説 - ジンジャー(jinjer)|統合型人事システム

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【2026年7月最新版】パートタイム・有期雇用労働法の賞与のルールを詳しく解説

パートタイム

賞与の有無は、原則として企業が自由に設計可能です。しかし正社員には賞与を支給し、非正規社員には一切支給しないなど、雇用形態によって差がある場合、パートタイム・有期雇用労働法の観点から問題となるおそれがあります。

この記事では、短時間労働者にも賞与の支給は必要なのか、パートタイム・有期雇用労働法をふまえた賞与の考え方を人事担当者向けに解説します。

パートタイム・有期雇用労働法の全体像を知りたい方は関連記事をご覧ください。

関連記事:パートタイム・有期雇用労働法の内容を分かりやすく解説

労務リスクに備える。 「同一労働同一賃金」対応の再点検を

意図せず不合理な待遇差を放置してしまうと、思わぬ労使トラブルに発展する可能性があります。
企業の信頼性を守るためにも、客観的な視点での定期的な見直しが不可欠です。

◆押さえておくべき法的ポイント

  • 「均衡待遇」と「均等待遇」の判断基準
  • 企業に課される「待遇に関する説明義務」の範囲
  • 万が一の紛争解決手続き「行政ADR」の概要

最新の法令に対応した盤石な体制を構築するために参考になりますので、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。

1. パートタイム・有期雇用労働法における賞与の考え方

ボーナスのブロック

パートタイム・有期雇用労働法は、正式名称を「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」といいます。同法第8条では「通常の労働者」との間で「基本給、賞与その他の待遇」に不合理な差を設けてはいけないと規定しています。

まずはパートタイム・有期雇用労働法の賞与の原則的な考え方を確認しましょう。

参考:短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律|e-Gov法令検索

1-1. 同一労働同一賃金ガイドラインでの賞与の考え方

パートタイム・有期雇用労働法での賞与の考え方を理解するうえでは、「同一労働同一賃金ガイドライン」が欠かせません。

同一労働同一賃金とは、雇用形態が異なっていても、業務の内容や職責が同じ従業員に対しては、不合理な待遇の差を設けてはならないという原則です。同一労働同一賃金ガイドラインでは、次のとおり賞与の考え方が定められています。

ボーナス(賞与)であって、会社の業績等への労働者の貢献に応じて支給するものについては、同一の貢献には同一の、違いがあれば違いに応じた支給を行わなければならない。

賞与については、労務の対価の後払い、功労報償、生活費の補助、労働者の労働意欲の向上等の様々な性質及び目的が含まれうるものであるが、正社員と同様にパートタイム労働者・有期雇用労働者にも当該性質・目的が妥当するにもかかわらず、パートタイム労働者・有期雇用労働者に対し、正社員との間の職務の内容等の相違に応じた均衡のとれた内容の賞与を支給せず、かつ、その見合いとして、労使交渉を経て、当該性質・目的が妥当しない他のパートタイム労働者・有期雇用労働者に比べ基本給を高く支給している等の事情もない場合、その相違は不合理と認められるものに当たりうることに留意すべきである。

引用:同一労働同一賃金ガイドライン|厚生労働省

賞与が従業員の貢献度に応じて支給する趣旨である場合、正社員と非正規社員の業務内容が同一であり、正社員にのみ賞与を支給しているのであれば、不合理であると考えられます。

後段は2026年10月から施行される改正で追加された内容です。賞与支給の目的が短時間労働者の職務にも該当するにもかかわらず、賞与を支給していなかったり基本給などで補填していなかったりする場合も、不合理とみなされる点が明確化されました。

ただし、賞与の支給目的は企業により異なるため、雇用形態別の支給がすべて不合理とみなされるとは限りません。支給の差に合理的な説明がつくかどうかが重要です。

関連記事:同一労働同一賃金で賞与はどうなる?就業規則や罰則についても解説

1-2. 均衡待遇と均等待遇の違い

同一労働同一賃金を考えるうえでの判断基準が「均衡待遇」と「均等待遇」です。
【均衡待遇】

正社員と非正規社員の間で不合理な待遇差を禁止する考え方です。次の3点の違いを基準に判断します。

  • 職務の内容(業務の内容および責任の程度)
  • 職務の内容や配置の変更の範囲
  • その他の事情(職務の成果・能力・経験など)

【均等待遇】

非正規社員であっても、次の2点が正社員と変わらない従業員には、待遇の差別的な取扱いを設けてはならないとする考え方です。

  • 職務内容(業務の内容および責任の程度)
  • 雇用契約の全期間における職務内容・配置の変更の範囲

均衡待遇と均等待遇は、賞与の支給ルールにも当てはまります。2つの考え方をもとに賞与の差が合理的でないと判断されるなら、改善しなければなりません。

1-3. 同一労働同一賃金ガイドラインの変更点

改正同一労働同一賃金ガイドラインは2026年4月に公布改正され、同年10月から新たな内容が施行・適用されます。主な変更点は次の5つです。

  • 裁判例を踏まえた記載の見直し
    賞与や退職手当の支給目的が非正規社員に当てはまるにもかかわらず、職務の内容などの違いに応じた額が支給されていない場合は、不合理と認められる点が追記されました。そのほか、家族手当や住宅手当、夏季冬季休暇などに関する考え方も判例を踏まえて追加されています。
  • 正社員の待遇引き下げに関する記載の明確化
    待遇差を解消する際は、正社員の労働条件を不利益に変更するのではなく、非正規社員の労働条件の改善を図ることが求められると明確化されました。
  • 第8条「その他の事情」の明確化
    均衡待遇の判断要素である「その他の事情」として、職務の成果や能力、経験などが具体例として記載されました。企業が従業員の意向を十分に考慮せず、一方的に待遇を決定した場合は、不合理と判断される可能性がある点も示されています。
  • 無期雇用フルタイム労働者への趣旨の波及
    本来はパートタイム・有期雇用労働法の対象ではない無期雇用フルタイム労働者にも、ガイドラインの趣旨が考慮されるべきと記載されました。
  • その他(判断方法の明確化など)
    不合理かどうかは個々の待遇ごとに判断するという考え方が明確化されました。派遣労働者に関する記載も、同様の見直しがおこなわれています。

同一労働同一賃金の詳細は関連記事をご覧ください。

参考:パートタイム・有期雇用労働法施行規則/雇用管理指針の主な改正事項|厚生労働省

関連記事:同一労働同一賃金とは?法改正の背景・目的や不合理な待遇差の禁止についてわかりやすく解説

1-4. 不合理とみなされやすいケース

同一労働同一賃金ガイドラインでは、賞与で問題となる例として次の2つが示されています。

  • 労働者の貢献に応じて賞与を支給しているA社において、正社員と同じ貢献度の有期雇用労働者に対し、正社員と同一の賞与を支給していない
  • 労働者の貢献に応じて賞与を支給しているA社において、正社員には職務の内容や会社への貢献度などにかかわらず全員に賞与を支給しているが、非正規社員には支給していない

いずれも、賞与の目的が非正規社員に当てはまるにもかかわらず、雇用形態を理由に正社員と差を設けている点が問題です。自社の運用が例と近い場合は、支給方法を見直しましょう。

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賞与の待遇差を検討するうえでは、長澤運輸事件の最高裁判決が参考になります。

長澤運輸事件は、定年退職後の再雇用労働者と、定年前の正社員との労働条件の相違が合理的か争われた事件です。

本事件では、賃金の総額を比較するだけではなく、各賃金の趣旨を個別に考慮したうえで判断すべきという基準が示されました。

改正後の同一労働同一賃金ガイドラインにも、本判決の趣旨に則った記載が追加されています。待遇差の合理性を検討する際は、条文だけでなく過去の判例の判断基準もご参考ください。

解説:社会保険労務士

2. 賞与の基本的な考え方

ビックリマーク

パートタイム・有期雇用労働法の原則を守るには、賞与の基本的なルールも押さえなければなりません。同一労働同一賃金を考えるうえで重要な賞与の原則を2つ紹介します。

2-1. 賞与は企業が自由に設計できる

例月の給与と異なり、賞与の支給は法律上の義務ではありません。支給の有無や時期、回数、額などを企業が自由に決められます。

ただし、正社員と非正規社員の間に待遇差をつける場合は、パートタイム・有期雇用労働法にもとづき、合理的と認められる理由が必要です。

2-2. 賞与には複数の要素が含まれる

賞与は企業が自由に設計できる分、ルールを合理的に定めるのは簡単ではありません。難しい理由として、賞与の決定要素が多岐にわたる点が挙げられます。賞与を決定する主な要素は次のとおりです。

  • 企業の業績
  • 個人の貢献度
  • 勤続年数
  • 勤務実績
  • 従業員のモチベーションアップ

支給額の基準を明確に定めていない企業では、決定要素があいまいなケースが多くみられます。合理性を考えるうえでは、自社の賞与が何を基準に決まっているかを明らかにしなければなりません。

3. パートタイム・有期雇用労働法における賞与の合理性の確認手順

従業員を守る様子

人事担当者にとって重要なのは、パートタイム・有期雇用労働法を踏まえたうえで、自社の賞与の支給方法に合理性があるかどうかです。合理性がないと判断される場合は、速やかに是正しなければなりません。

同一労働同一賃金を踏まえた、賞与の合理性を確認する手順を解説します。

3-1. 賞与の目的や支給内容を確認する

まずは、自社の賞与の目的や支給内容を確認しましょう。目的や支給内容を明らかにしないと、待遇差の合理性は判断できません。

勤続年数に応じているのか、業績に連動させているのかなど、明文化されていなくとも決定基準はあるはずです。近年は物価上昇に伴い、臨時に賞与額を増やしている企業も多くみられます。臨時的支給も含め、賞与の趣旨を洗い出しましょう。

3-2. 雇用形態別に職務の内容や賞与に差があるか確認する

賞与の目的や支給内容を明らかにしたら、雇用形態別に職務の内容や賞与に差があるかを確認します。

職務の内容は、次のいずれかが異なれば差があると判断されます。

  • 職種が同じか
  • 従事している業務のうち、中核的な業務が同じか

中核的な業務とは、職務に不可欠な業務や、企業にとって重要度の高い業務です。販売職の従業員の場合は接客や品出しなどが該当します。

賞与は支給の有無だけでなく、賞与額の差も確認します。賞与の目的や支給内容ごとに差の有無を整理できると、問題点を明らかにしやすいでしょう。

3-3. 賞与の差に合理的な説明がつくか判断する

雇用形態に応じて賞与に差がある場合は、合理的な説明がつくかどうかを判断しましょう。

合理性は、次の3点を基準に判断します。

  • 業務の内容と責任の程度
  • 職務の内容および配置の変更の範囲
  • その他の事情

例えば、正社員はトラブルが発生したときの緊急対応やクレーム対応への従事が必要な一方、非正規社員は従事しない場合、業務の内容に差があるといえます。業務の内容に差がある分に対して、賞与の支給額に差をつけていると説明がつくのであれば、企業として合理性は担保していると判断できるでしょう。

3-4. 必要に応じて就業規則や賃金体系を見直す

賞与の差に合理的な説明がつかない場合は、早めに改善しましょう。非正規社員にだけ賞与を支給していない場合のほか、業務の内容の差に比べて賞与額の差が明らかに大きい場合なども見直しが必要です。

就業規則や賃金体系によってルールが決まっている場合、必要に応じて改定しなければなりません。10人以上の従業員がいる事業所で就業規則を改定する場合は、労働者代表の意見を聴いたうえで、労働基準監督署へ届け出る必要があります。

4. パートタイム・有期雇用労働法にまつわる賞与の注意点

分かれ道

同一労働同一賃金以外にも、パートタイム・有期雇用労働法には賞与にかかわる定めがいくつかあります。パートタイム・有期雇用労働法にまつわる賞与の注意点を4点とりあげて解説します。

4-1. 賞与の有無を雇入れ時に通知する

パートタイム・有期雇用労働法では、短時間労働者を雇い入れる際、次の5点の明示が義務付けられています。

  1. 賞与の有無
  2. 昇給の有無
  3. 退職手当の有無
  4. 相談窓口
  5. 待遇の相違などに関する説明を求めることができる旨(2026年10月より追加)

明示義務に違反した場合は、10万円以下の過料が科せられます。労働条件通知書に記載するなど、すべての事項を不足なく明示しましょう。

4-2. 従業員から説明を求められた際は対応の義務がある

賞与などの不合理な待遇差の説明を従業員から求められた際は、回答する義務が生じます。

企業として回答しない場合、従業員が裁判外紛争解決手続き(ADR)を利用して労使間紛争に発展するおそれがあります。

法改正により、2026年10月からは待遇差の説明を求めることができる旨を雇入れ時に明示しなければなりません。今後従業員から待遇差の説明を求められる場面が増えると見込まれます。

待遇差がある場合は、事前に説明資料などを用意しましょう。

また、説明を求めたために減給や解雇など、不利益な対応をすることは禁止されています。

さらに、同一労働同一賃金ガイドラインが設けられたことにより、待遇格差について細かく区分され、不合理な待遇差に対する考えが明確化されたので注意が必要です。当サイトでは、上記のような法改正の内容やそもそもとなる基礎知識、説明責任に関する具体的な内容までを解説した資料を無料で配布しております。説明責任に関して不安な点があるご担当者様は、こちらから「同一労働同一賃金 対応の手引き」をダウンロードしてご確認ください。

関連記事:同一労働同一賃金の説明義務はどう強化された?注意点や説明方法も解説

4-3. 正社員の賞与廃止は不利益変更に該当する

正社員と非正規社員の賞与格差を解消するには、非正規社員の賞与水準を引き上げるだけでなく、正社員側の賞与を廃止・引き下げる方法もあります。

しかし、賞与の廃止や減額は「労働条件の不利益変更」にあたり、合理的な必要性がなければ無効とみなされるため注意しましょう。

改正された同一労働同一賃金ガイドラインでも、待遇差を解消するにあたっては、正社員の労働条件を不利益に変更するのではなく、非正規社員の労働条件の改善が求められると明確化されました。

十分な説明がつかない限り、正社員の賞与廃止は選択すべきではないでしょう。

4-4. 正社員確保論では合理的な説明にならない

正社員確保論とは「優秀な人材を長く確保・定着させるために、正社員と非正規社員で待遇差をつけている」という理論です。従来は待遇差の合理性を説明する理由として、頻繁に用いられてきました。

しかし改正後のガイドラインでは、正社員人材の確保や定着などの目的だけでは、直ちに不合理ではないと当然には認められない点が明確化されました。正社員確保論のみに頼った賞与の待遇差は、今後認められないおそれがあります。

賞与の支給目的や内容を整理し、正社員確保論以外に合理的な説明がつくか判断しましょう。

5. 賞与は支給目的を明確にし、待遇差の説明がつくか判断しよう

笑顔の女性

賞与の支給基準は原則として企業の自由ですが、パートタイム・有期雇用労働法では、正社員と非正規社員間の不合理な待遇差を禁止しています。

正社員にのみ賞与を支給している、あるいは正社員と非正規社員の賞与額に差がある場合、賞与の目的や内容に応じて待遇差の合理的な理由を説明できなければなりません。

賞与の額だけ確認するのではなく、支給目的と支給内容を整理し、待遇差に合理的な説明がつくか判断しましょう。

労務リスクに備える。 「同一労働同一賃金」対応の再点検を

意図せず不合理な待遇差を放置してしまうと、思わぬ労使トラブルに発展する可能性があります。
企業の信頼性を守るためにも、客観的な視点での定期的な見直しが不可欠です。

◆押さえておくべき法的ポイント

  • 「均衡待遇」と「均等待遇」の判断基準
  • 企業に課される「待遇に関する説明義務」の範囲
  • 万が一の紛争解決手続き「行政ADR」の概要

最新の法令に対応した盤石な体制を構築するために参考になりますので、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。

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