同一労働同一賃金の退職金の扱いとは?注意点や確認すべきポイント - バックオフィスクラウドのジンジャー(jinjer)

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同一労働同一賃金の退職金の扱いとは?注意点や確認すべきポイント

退職金

同一労働同一賃金を導入する際に注意が必要なのが、退職金の扱いです。

厚生労働省が作成した「同一労働同一賃金ガイドライン」では、基本給・賞与・各種手当・福利厚生や教育訓練の取り扱いについては明記されていますが、退職金制度に直接言及した部分はありません。

しかし、正社員と非正規雇用労働者の退職金の待遇差は、メトロコマース事件をはじめとした裁判によって争点となったポイントでもあります。退職金の不合理な取り扱いを是正し、労働者からの訴訟リスクを軽減するため、同一労働同一賃金における正しい退職金制度の考え方を学びましょう。

この記事では、同一労働同一賃金の退職金の扱いや注意点、確認すべきポイントについて詳しく解説していきます。

▼そもそも「同一労働同一賃金とは?」という方はこちら
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同一労働同一賃金とは、「正社員と非正規社員を平等に扱う概念」のように認識されていても、具体的にどのような対策が必要かわからない方も多いのではないでしょうか?

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1. 同一労働同一賃金における退職金の扱いは?厚生労働省の見解を元に解説

会議室で話し合う様子

実は、厚生労働省の「同一労働同一賃金ガイドライン」では、同一労働同一賃金における退職金の扱いについて明言していません。

しかし、ガイドラインの冒頭では、「このガイドラインに記載がない退職手当、住宅手当、家族手当等の待遇や、具体例に該当しない場合についても、不合理な待遇差の解消等が求められる」としています。[注1]

したがって、退職金制度についても同一労働同一賃金の原則に基づき、正社員と非正規雇用労働者の間で不合理な待遇差が生じないよう見直しを行っていく必要があります。

また、必要に応じて労使間でコミュニケーションをとり、個別具体的な問題について議論していくことが大切です。実際に裁判所の判例を見ると、退職金の待遇差をめぐる訴訟も過去に発生しています。

同一労働同一賃金の導入をきっかけとして、過去の判例をふまえつつ、退職金制度を見直す必要があります。

[注1] 厚生労働省:同一労働同一賃金ガイドライン

2. 最高裁判例をふまえた退職金制度の注意点3つ

注意

退職金の待遇差が争点となった最高裁判例として、「メトロコマース事件」があります。メトロコマース事件とは、売店業務に従事する有期契約社員と正社員の間の退職金の待遇差をめぐる裁判です。

第1審東京地裁では、有期契約社員と正社員の勤務実態の相違を考慮し、有期契約社員には退職金が一切支給されなくても違法でないとしました。しかし、第2審東京高裁ではこの判決が覆り、退職金の待遇差は不合理であるとして、正社員の4分の1にあたる退職金の支払いを命じました。

結果として、最高裁では「退職金の待遇差は不合理ではない」と認められましたが、メトロコマース事件をきっかけとして、退職金制度のあり方をめぐる議論が巻き起こりました。

メトロコマース事件の最高裁判例から、同一労働同一賃金の原則に違反しない退職金制度のポイントが3つ見えてきます。

2-1. 退職金の違いが合理的な判断基準に基づくものか確認する

まず注意が必要なのは、メトロコマース事件の最高裁判例は、有期契約社員と正社員の退職金の待遇差を無条件に認めるものではないという点です。

最高裁判例では、売店業務に従事する有期契約社員と正社員の職務内容は同一であると認められましたが、「正社員は必要に応じて配置転換を命じられる可能性がある」ことから、両者の責任の範囲が異なると判断されました。それにともない、退職金の待遇差は不合理であるとまではいえないという判決が下りました。

このようにメトロコマース事件の最高裁判例は、職務内容や配置転換の有無といった合理的な理由がある限り、退職金の違いがあっても不合理ではないという事例判決にすぎません。

退職金の待遇差を設ける場合は、個々の具体的事例を考慮し、現状の退職金制度が合理的な判断基準に基づくものかどうか必ず確認しましょう。

2-2. 非正規雇用労働者の正社員登用制度を設ける

また、メトロコマース事件の最高裁判例では、有期契約社員の正社員登用制度が設けられていたことも考慮されました。

訴訟リスクを減らすには、正社員と非正規雇用労働者の待遇差を固定化せず、一定の条件に基づいて正社員登用が可能な制度を設けておくことも重要です。

2-3. 非正規雇用労働者の待遇改善について労使間で話し合いを持つ

退職金の待遇差についての最高裁判例では、非正規雇用労働者の待遇改善について労使間で話し合いを持ったかどうかも重視されます。

もし退職金の金額に待遇差があっても、労使間の合意に基づいて決められたものであれば、裁判所が不合理な待遇差だと判断しない可能性があります。正社員だけでなく、非正規雇用労働者も交えて労使間の話し合いを持ち、双方の合意に基づいて制度設計を行うことが大切です。

実際にメトロコマース事件を担当した裁判官林景一の補足意見でも、「退職金は、その支給の有無や支給方法等につき、労使交渉等を踏まえて、賃金体系全体を見据えた制度設計がされるのが通例である」としています。[注2]

3. 退職金以外にも確認すべきポイント3つ

POINT

同一労働同一賃金の導入にあたって、留意すべきなのは退職金制度だけではありません。

たとえば、「基本給」「各種手当」「休暇」についても、同一労働同一賃金の理念に基づき、不合理な待遇差を解消する必要があります。

ここでは、厚生労働省の「同一労働同一賃金ガイドライン」に基づき、実施にあたってのポイントを3点紹介します。[注1]

3-1. 基本給は雇用形態にかかわらず、仕事内容の違いに応じて支給する

同一労働同一賃金における基本給とは、「労働者の能力又は経験に応じて支払うもの、業績又は成果に応じて支払うもの、勤続年数に応じて支払うもの」などを指します。[注1]

いずれの賃金体系においても、基本給は労働の実態に違いがなければ同一の、違いがあれば違いに応じた支給を行う必要があります。

また、昇給制度についても同様です。雇用形態にかかわらず、同一の能力の向上が見られれば同一の、違いが見られれば違いに応じた昇給を行う必要があります。

関連記事:同一労働同一賃金で業務における責任の程度はどう変化する?

3-2. 各種手当についても正社員とそれ以外で差別的取扱いをしない

各種手当についても、正社員とそれ以外で差別的取扱いを行うことは認められていません。

同一労働同一賃金ガイドラインでは、役職に内容に応じて支給する「役職手当」のほか、「特殊作業手当」「特殊勤務手当」「精皆勤手当」「時間外労働手当」「深夜・休日労働手当」「通勤手当・出張旅費」「食事手当」「単身赴任手当」「地域手当」などの手当について、条件が同じ場合は同一の支給を行うよう定めています。[注1]

関連記事:同一労働同一賃金で各種手当はどうなる?最高裁判例や待遇差に関して
関連記事:同一労働同一賃金で交通費はどうなる?判例や課税について解説

3-3. 年次有給休暇などの休暇も仕事内容に応じて付与する

年次有給休暇、産前産後休暇、育児休業などの法定休暇も、正社員と同一の条件を満たす場合は、同一の付与を行う必要があります。

また、忘れてはならないのが、慶弔休暇などの法定外の休暇です。企業が独自に設ける休暇についても、同一労働同一賃金の原則に基づき、雇用形態にかかわらず平等に取扱う必要があります。

このように、同一労働同一賃金を考える上では、不合理な待遇差がないかを常に考えて行動する必要があります。 そこで当サイトでは、本章で解説してきた企業の対応すべき方法に関して、具体的な待遇差を設けている理由についても解説した資料を無料で配布しております。
自社の対応や、同一労働同一賃金の認識に関して不安な点があるご担当者様は、こちらから「同一労働同一賃金 対応の手引き」をダウンロードしてご確認ください。

4. 同一労働同一賃金の最高裁判例を踏まえて退職金制度の見直しを

制度について話し合う様子

同一労働同一賃金の原則をめぐって、さまざまな訴えが提起されてきました。

とくに正社員と非正規雇用労働者の退職金の待遇差については、メトロコマース事件の最高裁判例のように著名な判例も存在します。

最高裁判例をふまえて、「退職金の違いが合理的な判断基準に基づくものか確認する」「非正規雇用労働者の正社員登用制度を設ける」など、既存の退職金制度を見直すことが大切です。

退職金制度のほかにも、基本給・各種手当・休暇に不合理な待遇差がないか、今一度社内ルールの整備に取り組みましょう。

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同一労働同一賃金に罰則はありませんが、放置すると損害賠償のリスクが高くなります。

同一労働同一賃金とは、「正社員と非正規社員を平等に扱う概念」のように認識されていても、具体的にどのような対策が必要かわからない方も多いのではないでしょうか?

本資料では、どのような状態が「不平等」とみなされうるのかや、企業が対応すべきことを4つの手順に分けて解説しております。 自社でどのような対応が必要か確認したい方は、こちらから資料をダウンロードしてご確認ください。

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小野穣

小野穣

DtoC企業のメディア運営やCRM業務を経て、現在はjinjerBlogの運営に携わっています。多くの人事担当者の不を取り除けるよう、バックオフィス業務にまつわる基礎知識から効率化の方法まで、幅広く発信していきます。

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