新入社員が入社した場合の社会保険料の手続きと計算方法についてわかりやすく解説 | jinjerBlog

新入社員が入社した場合の社会保険料の手続きと計算方法についてわかりやすく解説

社会保険

企業は新入社員が入社すると、さまざまな社会保険に加入する手続きをします。

社会保険料は原則として社員の給与から天引きされる仕組みになっており、給与に直接関係するため、企業は社会保険料を正確に算出する必要があります。

本記事では、社会保険料の仕組みや計算方法、社会保険料が変更になるタイミングについて解説します。

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1. 社会保険料の仕組み

社会保険

社会保険とは、労働者の生活を保障することを目的とした保険のことで、病気やケガをした時、失業した時などに一定の保障を受けることができます。

社会保険は「健康保険」「厚生年金保険」「介護保険」「雇用保険」「労災保険」の5つによって構成されていますが、狭義では前者3つを「社会保険」、後者2つを「労働保険」とよんで区別するのが一般的です。本記事でも、社会保険=健康保険・厚生年金保険・介護保険として取り扱います。

株式会社や有限会社などの法人事業所に関しては、雇用する労働者の人数を問わず、必ず社会保険の適用事業所となり、新入社員が加入条件を満たしている場合は入社と同時に加入手続きを済ませることになります。

一方、個人事業所に関しては、常時雇用する労働者が5人未満、または農業・林業などの第一次産業やサービス業、法務、宗教などの業態に関しては任意加入となっています。

関連記事:社会保険とは?概要や手続き・必要書類、加入条件、法改正の内容を徹底解説

1-1. 社会保険の加入要件

社会保険の中で健康保険・厚生年金保険の加入要件は以下の通りです。

・法人事業所である場合もしくは社員が常時5人以上いる個人事業所に勤務している
かつ
・常時雇用されている70歳未満の社員
・週の所定労働時間または月の所定労働時間が、常時雇用されている社員の4分の3以上の社員

介護保険の加入要件(被保険者)は以下の通りです。

・40歳以上の社員

加入要件を満たしている場合、社会保険の加入手続きをする必要があります。社会保険の加入手続き方法は次節で解説します。

1-2. 新入社員が入社した際に必要な社会保険の手続き

新入社員が入社した際には社会保険の手続きとして、入社後5日以内に所轄の年金事務所に「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」を提出して、加入手続きをおこないましょう。

新入社員に扶養家族がいる場合は、「健康保険被扶養者(異動)届」を提出します。

また、被扶養配偶者がいる場合は、「国民年金第3号被保険者届」を提出しなければならないので、新入社員の扶養状況の確認も必要です。

加入手続きをする上で、社員の「基礎年金番号」が必要になります。年金手帳を提出してもらうなどして確認しましょう。

2. 新入社員はいつから社会保険料が発生する?

新入社員に教える様子

新入社員の社会保険料は入社月から発生し、社会保険料は翌月から納付します。そのため、天引きは入社月の翌月に支払われる給与からおこないます。

例えば、4月1日に入社して4月15日締め当月末日払いの場合、社会保険料は天引きしません。4月1日に入社して4月15日締め翌月15日払いの場合、社会保険料を天引きします。

社会保険料が発生するのは、入社月からですが、給与から天引きするかどうかは入社月に発生した給料の支払がいつおこなわれるかによって異なります。

3. 新入社員の社会保険料の計算方法

PCで検索する様子

社会保険料は、主に社会保険料率と標準報酬月額を用いて算出します。

同じ社会保険でも、保険の種類によって計算方法に違いがありますので、保険料の金額は保険ごとの計算方法で算出しましょう。

ここでは、社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料)の計算方法について解説します。

3-1. 標準報酬月額について

社会保険料を計算するには、まず標準報酬月額を調べる必要があります。

標準報酬月額とは、社会保険を計算する際の基準となる額のことで、労働者の賃金(報酬)を複数の等級に分けた「保険料額表」を用いて、保険料を算出します。

標準報酬月額は社会保険の種類によって異なり、健康保険および介護保険の場合は加入している公的医療保険(協会けんぽや組合けんぽなど)、厚生年金保険の場合は日本年金機構がそれぞれ決定しています。標準報酬月額は直近の4~6月の賃金を基に決定されます。

それぞれの保険料額表は、協会けんぽや日本年金機構のHPで公開されていますので、社会保険料を計算するときは該当する保険料額表を参考にしましょう。

なお、保険料額表は都道府県による差もありますので、計算に用いる表は正確に選びましょう。

標準報酬月額は直近の4~6月の賃金を基に決定されますが、新入社員の中には4月~6月に賃金が発生してしていない場合があります。このような場合、月給が固定で設定されていれば、その賃金を用いて標準報酬月額の等級表にあてはめ、暫定の標準報酬月額として利用します。

3-2. 健康保険料の計算方法

健康保険料は、以下の計算式によって算出します。

健康保険料=標準報酬月額×健康保険料率

健康保険料率は、都道府県によって異なり、基本的には会社の所在地の属する「協会けんぽ都道府県支部」によって決まります。
例えば、東京都で働く23歳の社員・月給23万円の場合、令和4年度の保険料額表と照らし合わせると、標準報酬月額は等級19で24万円となります。

23歳の場合は介護保険第2号被保険者には該当しませんので、保険料率は9.81%です。[注1]

以上のことから、計算式は24万円×9.81%=23,544円となります。

ただし、健康保険料は労使折半となりますので、給与から天引きするのはその半額の11,772円となります。

[注1]「令和4年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表」|協会けんぽ

3-3. 厚生年金保険料の計算方法

厚生年金保険料は、以下の計算式によって算出します。

厚生年金保険料=標準報酬月額×厚生年金保険料率

厚生年金保険料率は18.300%ですので、上記と同じ例(東京都・23歳・月給23万円)では、計算式は24万円(標準報酬月額)×18.300%=43,920円です。[注2]

健康保険料と同じく、厚生年金保険料も労使折半になりますので、給与から天引きする額は半額の21,960円となります。

[注2]「令和4年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表」|協会けんぽ

関連記事:厚生年金保険料とは?概要と計算方法、法改正などによる注意点を解説

3-4. 介護保険料の計算方法

介護保険料は、以下の計算式によって算出します。

介護保険料=標準報酬月額×介護保険料率

2022年8月時点の介護保険料率は、全国一律で1.64%[注3]ですので、仮に東京都で働く45歳、月給35万円の社員なら、計算式は36万円(標準報酬月額)×1.64%=5,904円です。

介護保険料も労使折半ですので、実際の労働者の負担は2,952円となります。

ただし、介護保険料を負担するのは、40歳~64歳までの介護保険第2被保険者ですので、40歳未満の新入社員の場合、介護保険料を負担する必要はありません。

なお、本記事では介護保険料を単体で計算しましたが、介護保険料はもともと健康保険料と合わせて徴収されますので、介護保険第2号被保険者になった場合、健康保険料率に介護保険料率を加算する形でまとめて計算するのが一般的です。(令和4年度の場合は9.81%+1.64%=11.45%)

[注3]「令和4年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表」|協会けんぽ

関連記事:給与計算における社会保険料の計算方法を分かりやすく解説

3-5. 途中入社の場合の社会保険料

月の途中に社員が入社した場合でも、社会保険料は日割りされず、1日入社の社員と同様に、1ヵ月分負担しなければなりません。

例えば、4月15日に入社した社員がいる場合、入社日以外の条件がすべて同じであれば4月1日に入社した社員と同額の社会保険料を支払う必要があります。

4. 社会保険料が変更になるタイミングとは

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社会保険料は入社してから定年退職まで、変わらず一律というわけではなく、適宜保険料は見直されます。

では、具体的にどのようなタイミングで変更されるのか、2つのパターンに分けてご説明します。

4-1. 標準報酬月額を決定するタイミング

社会保険料を計算するときに用いる標準報酬月額は、1ヵ月の賃金を保険料額表に当てはめて決定しますので、昇給または減給によって等級が上下すれば、社会保険料額も変動します。

なお、標準報酬月額は毎年4~6月までの3ヶ月間の賃金に応じて決定し、その年の9月分の保険料から適用される仕組みになっています。これを「定時決定」といいます。

また、事業主は社員を雇用したときに就業規則や労働契約などに基づいた報酬月額を届け出る必要がありますが、このときに標準報酬月額も決定します。これを「資格取得時の決定」といいます。

資格取得時の決定による標準報酬月額は、その年の8月まで使用されますが、6月1日~12月31日までに資格取得(入社)した人は、翌年の8月までその標準報酬月額を使用することになります。

他にも、昇給や降給によって月額賃金に大幅の変動があった場合、事業主からの届出に基づき、標準報酬月額が改定されます。これを「随時改定」といいます。

ここでいう「大幅の変動」とは、具体的には継続した3ヵ月間に支払われた賃金の平均額と現在の標準報酬月額に2等級以上の差が生じることを指します。

この場合、事業主は月額変更届を提出し、随時改定をおこなう必要があります。

4-2. 保険料率を改定するタイミング

社会保険料率は一定ではなく、制度改正などによって適宜見直されます。

例えば厚生年金保険料率は、年金制度改正に基づいて平成16年度~平成29年まで段階的に引き上げられた後、現在は18.3%で固定されています。

また、協会けんぽでは健康保険料率・介護保険料率が毎年3月分(4月納付分)に変更されています。

このように、社会保険料は複数のタイミングで変更される可能性があるため、社員が昇給や降給したときや、制度改正などがあったときは給与から天引きする社会保険料の金額が正しいのか確認しましょう。

関連記事:【2022年度】社会保険の料率や改定タイミング、計算方法について徹底解説!

5. 社会保険料の仕組みと計算方法を正しく理解しておこう

相談する様子

法人の会社もしくは社員が常時5人以上いる個人事業所に新入社員が入社すると、必ず社会保険に加入することになり、企業は社会保険の加入手続きをしたうえで、毎月社員の給与から社会保険料を天引きします。

社会保険料は一定ではなく、標準報酬月額や各種保険料率の改定などによって変動するので、社会保険の仕組みや保険料の計算方法を知らずにいると、社員が「なぜか社会保険料が上がったor下がった」と戸惑う可能性があります。
社員から質問された場合に説明できるように、社会保険の仕組みを理解しておきましょう。

社会保険料は手取り給与にも大きな影響を与える金額ですので、誤りのないように計算しましょう。

保険料計算の手間とミスから解放されたい方へ

給与計算業務でミスが起きやすい社会保険料。
保険料率の見直しが毎年あるため、更新をし損ねてしまうと支払いの過不足が生じ、従業員の信頼を損なうことにもつながります。

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「保険料率変更の対応を自動化したい」
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