社会保険とは?企業や従業員の加入条件や手続き方法、適用拡大など注意点を解説 - ジンジャー(jinjer)|統合型人事システム

社会保険とは?企業や従業員の加入条件や手続き方法、適用拡大など注意点を解説 - ジンジャー(jinjer)|統合型人事システム

社会保険とは?企業や従業員の加入条件や手続き方法、適用拡大など注意点を解説 - ジンジャー(jinjer)|統合型人事システム

社会保険とは?企業や従業員の加入条件や手続き方法、適用拡大など注意点を解説

比較している様子

人事担当者にとって、社会保険の制度理解は重要事項です。しかし、社会保険制度は複雑かつ法改正も多いため、何から覚えればいいか分からずお困りの方もいるでしょう。

この記事では、社会保険の基礎となる概要や国民健康保険との違い、加入条件や扶養制度、法改正の内容などを詳しく解説します。社会保険制度への理解を深めるためにぜひご活用ください。

関連記事:労務とは?人事との違いや業務内容、労務に向いている人などを解説

【完全版】社会保険手続きの教科書 入社から退職まで、これ一冊で。

従業員の入退社、多様な雇用形態、そして相次ぐ法改正。社会保険手続きは年々複雑になり、担当者の負担は増すばかりです。
「これで合っているだろうか?」と不安になる瞬間もあるのではないでしょうか。
とくに、加入条件の適用拡大は2027年以降も段階的に実施されます。

◆この資料でわかること

  • 最新の法改正に対応した、社会保険手続きのポイント
  • 従業員の入退社時に必要な手続きと書類の一覧
  • 複雑な加入条件をわかりやすく整理した解説
  • 年金制度改正法成立によって、社会保険の適用条件はどう変わる?

この一冊で、担当者が押さえておくべき最新情報を網羅的に確認できます。煩雑な業務の効率化にぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。

1. 社会保険とは

ミーティング

まずは社会保険制度がどのようなものなのか、目的を知っておきましょう。また、従業員にも説明できるように、加入することで得られるメリットも解説していきます。

1-1. 万が一に備えた公的保険の総称

社会保険とは、国民が病気、けが、出産、死亡、老齢、障害、失業など生活の困難をもたらすさまざまな保険事故に遭遇した場合に、一定の給付をおこない、国民の生活の安定を図ることを目的とした強制加入の保険制度です。

社会保険は、社会保障制度の1つであり、公的扶助、社会福祉、保健医療・公衆衛生が含まれます。

参考:社会保障とは何か|厚生労働省

1-2. 社会保険の加入によるメリット

社会保険に加入すると、社会保険料が発生し、給与から天引きされます。そのため、手取りが減ることを嫌がり、社会保険への加入を拒否する労働者が現れる可能性があります。

しかし、社会保険は条件を満たした労働者は必ず加入しなければなりません。拒否する人が出た際に、納得感をもって加入してもらえるように、以下のメリットを理解しておきましょう。

年金の受給額が増える

社会保険に含まれる厚生年金に加入すると、将来的にもらえる年金額が増えます。これは厚生年金の加入により「報酬比例部分」が発生し、基礎年金(国民年金)に上乗せして支給されるからです。

増える報酬比例部分の年金額の目安(月額)は以下のとおりです。

加入期間|年間給与

120万

150万

200万

1年

400円

600円

800円

5年

2,400円

3,100円

4,200円

10年

4,900円

6,300円

8,500円

15年

7,400円

9,500円

12,800円

20年

9,900円

12,700円

17,100円

20年

12,300円

15,900円

21,400円

この金額が基礎年金に上乗せされて支給されます。このメリットをしっかりと伝え、加入することで老後にゆとりが作りやすくなることを理解してもらいましょう。

医療費・保険料の自己負担軽減と手当の支給がある

社会保険の健康保険に加入すると、加入者は国民健康保険にはない以下のようなメリットがあります。

  • 扶養制度を利用できる
  • 傷病手当を受け取れる
  • 産前産後・育休中は保険料が免除される
  • 任意継続制度がある
  • 保険料の負担が減る(事業主と折半するため)

この中で特に大きなメリットになるのは、病気やけがで仕事を休んだ場合に、傷病手当が発生することです。欠勤期間の生活保障として、給与の約3分の2程度が支給されます。

また、健康保険料は事業主と加入者で折半するため、国民健康保険よりも保険料の負担が軽いこともメリットです。

参考:社会保険加入のメリットや手取りの額の変化について|厚生労働省

参考:社会保険適用拡大特設サイト|厚生労働省

2. 【人事担当者は要確認】社会保険の種類

男性医師

社会保険はさまざまな分類がなされますが、広義の社会保険は次の5つです。

  • 健康保険
  • 厚生年金保険
  • 介護保険
  • 雇用保険
  • 労働者災害補償保険

なお、狭義では健康保険と厚生年金保険、介護保険を社会保険と呼び、雇用保険と労働者災害補償保険を労働保険と呼び分ける場合もあります。各法律の内容は非常に細かく、すべてを網羅して理解することは難しいものです。ここでは、人事担当者向けに、概要のみ抜粋して解説します。

2-1. 厚生年金保険

厚生年金は公的年金制度の一つです。20歳以上60歳未満の全国民が加入する国民年金(基礎年金)と、被用者が加入する厚生年金保険の二階建てとなっています。

厚生年金保険は、老齢・障害・死亡といった保険事故の際に必要な給付がおこなわれ、支給額は支払った保険料や、各種条件により変動します。

保険者は政府、事務処理は日本年金機構がおこないますが、厚生年金にまつわる手続きは人事担当者など使用者側が実施します。実際に加入する制度は、下記の被保険者区分により異なります。

被保険者区分

概要

第一号被保険者

・自営業者や学生など第二号、第三号以外の被保険者が加入

・基礎年金を受給できる

第二号被保険者

・会社員や公務員などが加入

・保険料の半分は会社が負担する
・基礎年金、厚生年金を受給できる

第三号被保険者

・会社員などに扶養されている配偶者が加入

・保険料の自己負担はない

・基礎年金を受給できる

上記に加えて、企業によっては3階建て部分に相当する「企業年金」を導入しているケースもありますが、国が運用している公的な制度ではありません。企業年金のように、企業や個人が独自に加入する者を私的年金制度といい、より豊かな老後生活を送るため、それぞれが任意で加入する仕組みとなっています。

2-2. 健康保険

健康保険とは、国民皆保険制度のもと、誰もが安心して医療を受けられる医療制度を実現するための公的医療保険制度として運用されてきました。病気やけが、またはそれに伴う休業や出産、死亡に備える目的で、さまざまな給付が存在します。

主な給付として、被保険者が病気やけがをした際、原則として医療費が3割負担となる「療養の給付」が挙げられ、残りの7割は保険者が負担します。保険者とは、健康保険制度の運営主体のことで、保険給付や保険料徴収などの事務をおこなう団体です。

中小企業などが加入する全国健康保険協会(協会けんぽ)と、大企業などが設立する健康保険組合に大別されます。

健康保険と一口にいっても、被用者以外が加入する国民健康保険や、75歳以上が加入対象となる後期高齢者医療保険などの種類があり、それぞれ加入対象者、給付内容が異なる点に注意しましょう。
加入できる制度は、職業や年齢などにより、下記のように分かれます。

保険の種類

概要

健康保険

・健康保険の適用事業所で働く会社員が加入できる

・保険者(運用主体)は全国健康保険協会や各健康保険組合

船員保険

・船員として船舶所有者に雇われる人が加入できる

・保険者は全国健康保険協会

共済保険

・国家公務員、地方公務員、私学の教職員が加入できる

・保険者は各種共済組合

国民健康保険

・健康保険、船員保険、共済保険のいずれかに加入していない自営業者や一般住民などが加入

・保険者は居住地の市区町村

後期高齢者医療制度

・75歳以上の高齢者などが加入

・保険者は後期高齢者医療広域連合

2-3. 労働者災害補償保険法

労働者災害補償保険(通称、労災保険)は、業務上の事由または通勤による従業員の負傷・疾病・障害または死亡に対して、従業員やその遺族のために、さまざまな保険給付をする制度です。ほかの制度と同様に、非常に多岐にわたる給付・補償がおこなわれています。

労災保険の保険料は、原則会社が全額負担することも特徴的です。保険者は政府となります。

会社は一人でも労働者を雇用する際は、必ず労災保険に加入する必要があり、雇用形態は問いません。正社員・パートやアルバイト・派遣社員など、労働者を抱える場合は強制加入となるため留意しましょう。

2-4. 雇用保険

雇用保険は、労働者の生活及び雇用の安定と、就職の促進を目的とした制度です。離職時にハローワークで手続きをする失業給付(基本手当)が代表的ですが、育児・介護をする従業員を対象とした育児休業給付、介護休業給付をはじめ、能力開発を支援する教育訓練給付などもあります。

2-5. 介護保険

介護保険とは、40歳から64歳までの第二号被保険者、65歳以上の第一号被保険者に対し、要介護認定や要支援認定を受けたときに、介護サービスを受けられる制度です。高齢化が進む日本において、介護を社会全体で支えていくために2000年に創設されました。

他の社会保険とは異なり、40歳から加入する点が特徴的で、介護保険料は医療保険料と同様に、会社と被保険者で2分の1ずつ負担します。介護保険の保険者は市区町村や広域連合です。

図

40歳以降の加入が義務付けられており、制度の内容は、下記の2種類の被保険者区分により違いがあります。

被保険者区分

概要

第1号被保険者

・65歳以上が対象

・第2号被保険者は所定の年齢に達すると、自動的に第1号被保険者に切り替わる

・市区町村が徴収し、原則は年金からの天引き

・要介護状態、要支援状態に認定されることで給付を受けられる

第2号被保険者

・40歳以上65歳未満の医療保険加入者が対象で、医療保険料と一緒に徴収される

・老化に起因する特定疾病により、要介護(要支援)状態となった場合のみ給付を受けられる

3. 事業所(企業)の社会保険加入条件

虫眼鏡

社会保険には、保険ごとに加入条件が定められています。まずは、企業の加入条件について解説します。

関連記事:社会保険資格喪失証明書とは?発行手続きと国民健康保険への切り替え方法、必要書類を解説

3-1. 強制適用事業所

強制適用事業所とは、その名のとおり、強制的に社会保険の加入が義務付けられている事業所(企業)を指します。ここでの社会保険とは、健康保険と厚生年金保険のことで、要件は以下のとおりです。

いずれかに該当する事業所が強制加入となる

(1)次の事業を行い常時5人以上の従業員を使用する事業所

 a製造業b土木建築業c鉱業d電気ガス事業e運送業f清掃業g物品販売業h金融保険業i保管賃貸業j媒介周旋業k集金案内広告業l教育研究調査業m医療保健業n通信報道業o士業など

(2)国又は法人の事業所

参考:適用事業所とは?|全国健康保険協会

3-2. 任意適用事業所

任意適用事業所とは、強制適用事業所とならなかった事業所のうち、厚生労働大臣(日本年金機構)の認可を受けて、健康保険・厚生年金保険の適用となった事業所を指します。

認可を受けて適用事業所になると、保険給付や保険料負担などは、強制適用事業所と同じ扱いとなります。

こちらの記事では、適用事業所についてより詳しく解説しているため、ぜひご覧ください。

関連記事:社会保険適用事務所とは?適用拡大を受けた社会保険加入要件や遡及適用について解説

4. 従業員の社会保険加入条件と手続き方法

チェック

従業員の社会保険への加入義務は、会社の規模や労働時間によって発生するケースとしないケースがあります。少し複雑な部分ですが、間違いのないように正しく把握しておきましょう。

4-1.雇用形態別に加入条件が異なる

従業員の社会保険加入条件は、働き方や会社の規模によって変化します。なお、2025年から3年以内には短時間労働者(パート・アルバイトなど)の加入条件が大きく変わるため、現在の条件との違いに注意が必要です。

正社員・フルタイム労働者の加入条件

正社員やフルタイムのパートなど、長時間勤務している労働者は以下の条件を満たした場合に社会保険に加入する必要があります。代表取締役や役員などの経営陣も加入対象です。

  • 適用事業所に勤務している
  • 常時雇用されている(2ヵ月を超える期間継続して雇用される見込みがある者)
  • 週の所定労働時間および月の所定労働日が常時雇用されている従業員の4分の3以上である

なお、適用事業所は強制適用事業所と任意適用事業所に分かれています。多くの企業が強制適用所に該当するため、基本的には社会保険の加入義務があると考えておきましょう。社会保険の適用事業所については、以下の記事で詳しく解説しています。

関連記事:社会保険適用事務所とは?適用拡大を受けた社会保険加入要件や遡及適用について解説

短時間労働者の加入条件(2026年9月まで)

パートやアルバイトなど、短時間労働者の場合は以下の条件を満たした場合に加入対象になります。

  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 2ヵ月以上継続して雇用する見込みがある
  • 月額賃金が8.8万円以上(年収106万円以上)になる
  • 学生ではない
  • 従業員規模が51人以上の事業場に勤務している

これらの条件は段階的に引き下げられていき、加入範囲が拡大されていく予定です。

また、「月額賃金が8.8万円以上(年収106万円以上)になる」という条件は、最低賃金が最も低い地域でも1,023円(2025年時点)まで上昇したことで、ほぼ意味がない状態になっています。週20時間働いただけで年収が106万円を超えてしまい、社会保険加入の条件を満たすからです。

こうした物価や賃金の影響を受け、いわゆる「106万円の壁」を撤廃することが検討されています。

2026年10月にも改正があるため、変更には十分に注意しましょう。今後の改正については「7. 社会保険の法改正と今後の改正予定」で詳しく解説します。 

関連記事:社会保険の加入条件をやさしく解説|短時間労働や例外パターン、よくある質問も紹介

4-2.社会保険の加入手続きと必要書類

社会保険の加入手続きは、事業所が厚生年金保険および健康保険に加入する手続きと、適用事業所の従業員が社会保険に加入する手続きに大別されます。

事業所が社会保険に新たに加入する際は、「新規適用届」という書類を日本年金機構に提出します。

従業員が社会保険に加入する手続きを「資格取得手続き」と呼び、「健康保険厚生年金保険被保険者資格取得届」を日本年金機構に提出します。

ほかにも、社会保険の加入や喪失に関するさまざまな手続きが存在します。手続きの種類と必要書類は、次の記事もあわせてご確認ください。

関連記事:社会保険の加入手続きや必要書類、加入対象の従業員の範囲もあわせて解説

5.社会保険料の計算方法と料率

メモ

社会保険料の計算方法は、いずれも被保険者の標準報酬月額に各保険料率をかけて求められます。東京都内の協会けんぽに加入する事業所で、被保険者の標準報酬月額が30万円だと仮定し、それぞれの社会保険料を実際に計算してみましょう。

なお、標準月額報酬については「標準報酬月額とは?調べ方や社会保険料の算出方法について解説」で解説しています。

5-1. 健康保険料の計算方法

2025年の東京都の健康保険料率は9.91%です。標準報酬月額30万円にこの保険料率をかけて健康保険料を求めることができます。

30万円×9.91%=29,730円

式に当てはめるとこのようになり、月額の健康保険料は29,730円となります。賞与があった場合は標準賞与額で計算しましょう。

5-2. 介護保険料の計算方法

2025年の介護保険料率は1.59%です。介護保険料率は全国一律であるため、都道府県ごとに確認する必要はありません。標準報酬月額30万円に保険料率をかけることで介護保険料を求めることができます。

30万円×1.59%=4,770円

式に当てはめるとこのようになり、月額の介護保険料は4,770円となります。ただし、65歳以上の従業員(第1号被保険者)からは原則として介護保険料を天引きする必要がありません。本人が受け取る年金から天引きされるか、納付書で直接市区町村に納める形になるためです。

5-3. 厚生年金保険料の計算方法

厚生年金の保険料率は、段階的に引き上げられてきましたが、現在は収入や市区町村を問わず、一律で18.30%で固定されています。そのため、単純に標準報酬月額30万円に18.30%をかけて求めます。

30万円×18.30%=54,900円

式に当てはめるとこのようになり、月額の厚生年金保険料は54,900円となります。

関連記事:【令和7年度】社会保険の最新料率や改定タイミング、計算方法について徹底解説!

6. 人事担当者は知っておきたい社会保険の基本ルール

サイン

従業員を初めて雇用する企業や、人事担当者となり日が浅い方は、社会保険の何から学べばいいか分からず迷ってしまうでしょう。ここでは、ぜひ人事担当者が知っておきたい基本のルールについて、抜粋して紹介します。

6-1. 社会保険の扶養制度

社会保険の中でも健康保険には、「被扶養者」という制度があります。被扶養者とは、主として被保険者により生計を維持している親族です。

親や子どもなどの家族を扶養に入れる際、収入要件や同居・別居に応じた生計維持要件、また原則として国内居住も要件となります。詳細は、次の記事であわせてご確認ください。

関連記事:親を社会保険の扶養に入れることは可能?条件や手続きを解説

6-2. 週の所定労働時間20時間以上の考え方

短時間労働者の社会保険の加入条件を確認する際、週の所定労働時間20時間の数え方が分かりづらいと感じるかもしれません。週20時間とは、雇用契約書や労働条件通知書で定めた所定労働時間で判断します。ある週だけ、たまたま20時間を上回った場合、臨時的な労働時間とみなされ、社会保険の条件には影響しません。

しかし、労働時間の実態が2ヵ月以上連続で20時間を超え、3ヵ月目以降も続く見込みがあれば、3ヵ月目から社会保険加入となります。

6-3.国民健康保険と任意継続被保険者

自営業者やフリーランスなどが加入する公的医療保険が国民健康保険です。

健康保険の被保険者が離職したのち、すぐに他の事業所の健康保険に加入しない場合、継続して健康保険に加入できる「任意継続被保険者」という制度があります。

「任意継続被保険者」は、最大2年間まで在職時の健康保険に継続加入ができるもので、一定の要件を満たす個人が任意で手続きをして加入します。

退職後は、国民健康保険に加入することが一般的と考える従業員もいます。従業員によっては任意継続を選択したい人がいるかもしれません。人事担当者から任意継続被保険者の案内をおこなうと、より親切でしょう。

6-4.複数事業所で働く従業員の社会保険適用

働き方改革が進み、徐々に副業・複業を許可する企業が増えつつあります。人事担当者としては、複数の事業所で同時に社会保険加入となる従業員に対し、適切な情報提供と労働時間管理が求められます。

ただし、副業といっても、必ずしも雇用契約を結ぶわけではなく、業務委託(請負・委任等)契約を選択するケースも多いです。社会保険加入のトラブルを起こさないためにも、まずは社内の副業・兼業規定を検討し、副業時の社内申請ルールなどを整備しましょう。

6-5.70歳以上の従業員の取扱い

2021年4月に高年齢雇用安定法改正が施行され、70歳までの就労確保努力義務が各企業に課せられるようになりました。

また、75歳を迎えるもしくは75歳以上の労働者を雇用する場合は、健康保険被保険者資格を失い、後期高齢者医療制度の被保険者へと移行します。

7. パート従業員から社会保険加入を避けたいと言われたら

はてなマーク

パート従業員は働き方によって社会保険の加入対象になる人と、ならない人に分かれます。そのため、従業員から「社会保険に加入しないギリギリで働きたい」というような希望が出ることがあります。そのような場合は、以下のポイントに注意してシフトを調整しましょう。

7-1. 社会保険加入範囲が広いのは従業員が51人以上の場合

条件を満たしたすべての短時間労働者に対し、社会保険の加入義務が発生するのは、従業員数が51人以上の企業です。そのため、従業員数が50人以内の企業では、「週の所定労働時間が20時間以上」や「月収8.8万円以上」などの条件を満たしても、社会保険の加入対象外になります。

ただし、所定労働時間・労働日数が正社員の4分の3以上になると、企業の規模を問わずに加入義務が発生します。従業員が50人以内の事業場では、このラインを意識すれば社会保険に加入せずに働き続けることができます。

しかし、この事業規模による区分は将来的に引き下げられていきます。永続的なものではないことを覚えておきましょう。

7-2. 労働時間を週20時間未満にする

従業員数が51人以上の場合は、週の労働時間を20時間未満にすることで社会保険の加入対象から外れます。社会保険の加入条件には「週の所定労働時間が20時間以上」というものがあり、それを満たさなくなるためです。

7-3. 106万円の壁に気を付ける

社会保険の加入対象になる条件として、「週の所定労働時間が20時間以上」であることに加えて「月収8.8万円以上」があります。これは年収にすると106万円になり、いわゆる「106万円の壁」というものです。

社会保険の加入を避けたい場合は、月の所定内賃金が8.8万円未満になるように調整し、年収を106万円未満にする必要があります。

しかし、この106万円の壁は2026年10月に撤廃される見込みです。年収が105万円以下でも社会保険の加入対象になるため、この変更には十分に注意が必要です。

7-4. 一方的にシフトを減らすことは違法

従業員から社会保険への加入を避けるために「シフトを減らしたい」という申し出があった場合は、これまで解説した条件に合わせてシフトを減らしても問題ありません。

しかし、企業側が一方的に、社会保険加入者を減らすためにシフトを減らす行為は、労働契約法違反に該当します。

従業員から申し出があった場合も、どれくらいシフトを減らす必要があるのか、それに合意するのか、という点を十分に確認し、トラブルを防止しましょう。

8. 社会保険の法改正と今後の改正予定

みどり

社会保険はこれまで何度かの法改正が実施されています。ここでは過去の法改正によって変更された点を解説します。

8-1. 社会保険の適用拡大が続いている

より多くの労働者が医療保険や年金制度の保障を受けられるように、社会保険の適用拡大が続いています。2024年10月の改正では、これまで従業員数が101名以上の企業が対象だったところ、従業員数51人以上の企業にも適用が拡大されました。

今後も社会保険の加入要件は拡大されていく予定です。企業規模要件は10年かけて段階的に縮小・撤廃されていき、いずれはすべての企業で週20時間以上働けば社会保険への加入義務が発生するようになります。

また、年収の壁についても一部撤廃が決まっており、社会保険の加入対象はより一層広まっていくでしょう。

社会保険の適用拡大については、次の記事もあわせてご確認ください。

関連記事:社会保険適用拡大とは?拡大対象となる企業や対応方法を解説

8-2. 年収の壁・支援強化パッケージ

いわゆる「年収の壁」に関しては、働き方や所得に応じた社会保険料や税負担の軽減策が検討・実施されています。

配偶者、特に扶養範囲内で働く配偶者が一定の年収を超えると保険料負担が増えてしまいます。そのため、保険料負担への支援策の強化が進められています。

また、106万円の壁は2025年6月から3年以内に撤廃されることが決まっています。これによってさらに社会保険の加入対象は拡大され、より多くの人が社会保険制度の恩恵を受けられるようになります。

それと同時に企業の負担や手取り額の減少などの問題も増えるため、法改正を見据えた対応を早めに検討しておきましょう。

参考:社会保険の加入対象の拡大について|厚生労働省

9.社会保険のよくある質問

ビックリマーク

社会保険に関連する疑問の中でも、とくによくある内容を4つあげて解説します。従業員からの質問や要望にも答えられるようにしておきましょう。

9-1. 社会保険の加入義務違反に罰則はある?

社会保険の加入義務に違反した場合、罰則金や行政処分、刑事罰などが下される場合があります。過去2年分の保険料を遡及徴収されたり、延滞金が発生したりするなど、ペナルティによっては企業のレピュテーションリスクもあります。

ハローワークに求人掲載ができないなど、企業活動にも影響が出るため、社会保険加入のルールは必ず守るようにしましょう。

また、未加入時の罰則に関して詳しく知りたい方は以下の関連記事をご確認ください。

関連記事:社会保険未加入での罰則とは?加入が義務付けられている企業や従業員の条件も解説
関連記事:社会保険の遡り加入が必要なケースや支払い方法を解説

9-2. 社会保険加入条件の月額8.8万円には何が含まれる?

短時間労働者の社会保険加入条件の1つである、月額8.8万円の算定にあたっては、基本給および諸手当をもとに判断されます。

ただし、結婚手当などの臨時に支払われる賃金や、賞与のように1カ月を超える期間ごとに支払われる賃金、時間外・休日・深夜労働に対する割増賃金、さらに最低賃金の対象とならないとされている精皆勤手当・通勤手当・家族手当などは、算定の対象外とされています。

9-3. 社会保険料や手取りを簡単に計算する方法は?

厚生労働省の「社会保険適用拡大特設サイト」にて、簡単なシミュレーションが可能です。ただし、あくまでもシミュレーションは目安としてご活用いただくと良いでしょう。

8-4. 従業員から社会保険に入りたくないと言われたら?

手取り額の減少を避けるために、社会保険への加入を避けたいという労働者は少なくありません。そのような希望が出た場合は、社会保険への加入義務が発生する条件を説明し、回避するにはシフトの調整が必要であることを伝えましょう。シフトを減らす場合は、必ず従業員からの同意を得てください。

また、社会保険に加入することでのメリットも伝え、納得した上で加入する道を選んでもらうことも必要です。

10. 社会保険の種類・違いを理解して正しく社会保険料を計算しよう

働く女性

社会保険には厚生年金や健康保険などさまざまな種類があり、人事担当者は加入条件や制度内容を正しく理解しておくことが求められます。未加入は罰則の対象となるため注意が必要です。

また、法改正により制度内容が度々変わるため、最新情報を効率よく管理するのもポイントです。クラウド型人事労務システムなら、法改正への対応が自動でおこなわれるため、社会保険の適切な手続き・管理におすすめです。

 

【完全版】社会保険手続きの教科書 入社から退職まで、これ一冊で。

従業員の入退社、多様な雇用形態、そして相次ぐ法改正。社会保険手続きは年々複雑になり、担当者の負担は増すばかりです。
「これで合っているだろうか?」と不安になる瞬間もあるのではないでしょうか。
とくに、加入条件の適用拡大は2027年以降も段階的に実施されます。

◆この資料でわかること

  • 最新の法改正に対応した、社会保険手続きのポイント
  • 従業員の入退社時に必要な手続きと書類の一覧
  • 複雑な加入条件をわかりやすく整理した解説
  • 年金制度改正法成立によって、社会保険の適用条件はどう変わる?

この一冊で、担当者が押さえておくべき最新情報を網羅的に確認できます。煩雑な業務の効率化にぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。

jinjer Blog 編集部

jinjer Blog 編集部

jinjer Blogはバックオフィス担当者様を支援するため、勤怠管理・給与計算・人事労務管理・経費管理・契約業務・帳票管理などの基本的な業務の進め方から、最新のトレンド情報まで、バックオフィス業務に役立つ情報をお届けします。

人事・労務管理のピックアップ

新着記事