社会保険の扶養が外れる条件とは?外れることによる影響や必要な手続きを解説
更新日: 2023.2.1
公開日: 2022.1.30
YOSHIDA
給与収入が130万円を超えると、社会保険の扶養から外れてしまいます。従って、扶養者がいる場合や、扶養から外れずに働きたい場合は注意が必要です。今回は、社会保険の扶養が外れる条件を解説します。また、扶養を外れた際のメリット・デメリットもご紹介。
外れた際の手続き方法もご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
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社会保険とは?概要や手続き・必要書類、加入条件、法改正の内容を徹底解説
1. 社会保険の扶養が外れる条件とは?
アルバイトやパートタイム従業員として働いていると、扶養を外れないようにと注意する方が多くいます。12月に、給与所得が103万円超えてしまうからシフトを調整したいと言われたことがあるのではないでしょうか?なかには、「130万円超えないように調整したいです」という言葉もちらほらあるかもしれません。
この130万円を年間の給与所得で超えてしまうと、社会保険の扶養から外れなければならないというわけです。
それでは、103万円を超えてしまうとどのようなことが起きてしまうのでしょうか。また、150万円の壁というのもあるので、従業員に違いを聞かれたときに答えられるように解説します。
1-1. 103万円、130万円、150万円の違いとは
これら3つは、扶養から外れるという意味合いでは同じことを指しますが、それじれの違いは以下のように、対象となる人と対象となるものの2つの要素が異なります。
これら以外にも、100万円を超えると住民税の支払いが発生することがあったり、103万円を超えると配偶者控除が受けられなくなったりと、アルバイトやパートタイム従業員の所得と税金や保険に関する規定がいくつもあるので、質問されたときに正しく答えられるように、正しく理解しておきましょう。
関連記事:社会保険の扶養条件とは?手続き方法や扶養になるメリットについて
2. 従業員が扶養から外れる際に必要な手続き
万が一扶養から外れる場合には、手続きが必要です。
扶養から外れる場合というのは、主に以下の例が挙げられます。
- 被扶養者が就職した
- 被扶養者が別の扶養に入った
- 被扶養者が75歳以上で後期高齢者の保険証がある
- 年間収入が130万円を超えた
- 雇用保険を受給が始まった
- 被扶養者が死亡した
これらのように外れるタイミングで必要な手続きは、雇い入れ側がすべきことと、被扶養者だった人がすべきことがあるので、それぞれ解説します。
2-1. 雇い入れ側がすべき手続き
被保険者の子供や配偶者が扶養から外れると連絡を受けた際に、被保険者から、該当の被扶養者の保険証と健康保険被扶養者異動届に記載してもらい、書類を預かります。こちらの異動届は、130万円を超えた日などの事由が発生してから5日以内に提出しなければなりません。
上記の切り替えの手続きを怠った状態で通院などをしてしまうと、後日健保が負担した医療費およびその他給付金を返還する必要が生じ、労使間でのトラブルにつながりやすいです。
また、扶養削除日に関しても、事由が発生した当日、もしくは翌日に削除しなければいけないので、事前に被保険者から必要書類を集められるように準備しましょう。
2-2. 扶養を外れる従業員がすべき手続き
扶養から外れ、社会保険からも脱退することになりますが、再度健康保険に加入しなければなりません。その際に、勤務先の社会保険に加入するのか、それとも国民健康保険に加入するのかを決めなければならないので、まずは社会保険の加入条件を満たしているのかを確認しましょう。
もし加入条件を満たしていない場合は、国民健康保険に加入しなければなりませんので、扶養を外れることが決まったタイミングですぐに準備をするようにしましょう。
関連記事:社会保険と国民健康保険の違いとは?切り替え時の手続きや任意継続について解説!
2-3. 被扶養者が勤める会社がすべきこと
扶養から外れることを考えている被扶養者がいる場合は、社会保険の加入条件について相談をしてくると考えられます。その際に、該当する従業員が社会保険の加入条件を確認しなければなりません。
もし、社会保険の加入条件を満たした上で、社会保険に加入するとのことであれば、社会保険被保険者資格取得届の準備を進めなければなりません。厚生年金保険にも加入することになるため、従業員に年金手帳もしくはマイナンバーを準備するように伝えましょう。
扶養削除日から5日以内に提出しなければならないため、注意が必要です。
関連記事:社会保険被保険者資格取得届とは?必要になる事業所や手続きについて
▼社会保険の加入条件を確認したい方はこちらをご覧ください
社会保険の加入条件とは?2022年の法改定の内容や手続きなどを解説
3. 扶養が外れることによる影響
ここまでで、扶養を外れてしまうと社会保険に加入しなおさなければならなかったり、従業員自身で保険料や税金の支払いを行わないといけないなど、手間が増えることをお伝えしてきました。
本章では、従業員に「扶養を外れることで何が変わるの?」と聞かれた際に正しく答えられるように、2つに絞って解説します。
3-1. 世帯全体の収入が減る
税法上では、年収103万円を超えると所得税の支払いが必要となり、社会保険上では、年収130万円を超えると社会保険料の支払いが必要となります。
扶養に入っている間は払う必要のなかった所得税や社会保険料も、扶養を外れたら上記のように支払い義務が生じるため、世帯収入が減ってしまうというわけです。
家計の足しにするために働き始めたとしても、かえって負担額を増やしてしまう可能性もあるため、扶養を外れるか慎重に検討してもらいましょう。
3-2. 健康保険に自分で加入しなければならない
年収が130万円を超えて扶養を外れてしまった場合、勤務先の社会保険(健康保険)か国民健康保険のどちらかに加入しなければなりません。
勤務先の社会保険に加入する場合は、毎月の給与から天引きされるため手取り自体は減ってしまいますが、コンビニなどで保険料の納付する手間はかかりません。
国民健康保険に加入する場合は、手取り額は変わりませんが、後日まとめて保険料を納付しないといけなくなるので手間が増えてしまうという特徴があります。
扶養から外れることにより、金銭面でも時間面でも負担が増えるということを理解し、扶養を外れないようにするのか従業員に寄り添えるようにしましょう。
4. 従業員に説明できるように、扶養には2種類あることを理解しよう
社会保険の扶養は1月から12月までの年間収入が130万円を超えると外れてしまいます。社会保険の扶養から外れた場合には、世帯主が勤める企業に扶養者が減ることを伝える申請を行い、被扶養者だった方は区役所で保険加入の手続きが必要です。
年収が130万円を超えた場合は、まずは会社に扶養者が減ることを申請しましょう。それから14日以内に区役所での手続きが必要です。加入するのは、社会保険か国民健康保険のどちらかで、勤めている会社が条件に適合していれば社会保険に加入できます。
また、社会保険の扶養から外れると保険料を納めなければならない、年収が低くなるなどのデメリットばかりが目につきますが、将来受け取る年金の総額が増えたり、万が一の時に受け取れる手当が増えたり、メリットもあります。
年収が130万円を超えそうな場合は十分に注意し、不要を外れた時点で直ちに手続きを行いましょう。
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