お知らせ
ジンジャー HR Tech総研、HRに関する2019年振り返り&2020年予測を発表
HRに関するコラムやニュースの配信、新サービス開発などを通じて社会課題を解決する「ジンジャー HR Tech総研」は、HRに関する2019年の振り返りおよび2020年の展望に関するレポートを発表いたしました。
■2019年HR市場は前年比130%の1,000億円超で飛躍
2019年4月には「働き方改革関連法」が施行され、さらに6月には「パワーハラスメント対策の法制化」など、国としても、より一層の力を入れ始め、HR業界は大きく動いた年となりました。
ジンジャーにおいても、この一年間の「働き方改革関連法」等の動きに合わせ、約550件にも及ぶ機能追加などのアップデートを行いました。急速に変化する働き方に対し、我々HR techプロダクトを運営する事業会社にとっても、様々な柔軟な対応を求められた1年でもありました。
市場は2019年ついに1,000億を超え、前年比130%の約1,199億と大幅に拡大をし、2023年には2,504億になることが予測されており、HR Tech市場は益々成長する事が見込まれます。
(参照:シード・プランニング、HRテクノロジーの市場規模を算出:https://www.seedplanning.co.jp/press/2019/2019120201.html)
<①新しい働き方に伴うサービスのリリースが相次いだ1年>
2019年は、ダイレクトリクルーティング、ピープルアナリティクス、オンデマンドワーク、エンゲージメントといったジャンルのサービスが多くリリースされました。特にギグワーカー、副業といった単発で好きな時に働けるサービスや、エンジニアの採用難を解決するためのダイレクトリクルーティングサービスの登場が目立ちました。アメリカ人の成人のうち約29%はギグワーカーとして従事しており、恐らく日本でも今後ギグワーカー及び付随するサービスの増加が推測されます。
このように働き方の変化に伴ったサービスの登場や、働き方改革関連法に対応したサービスのアップデートやリリースが相次いだ年となりました。
<②ベンチャーキャピタル投資額が史上最高額予測>
前年に比べて大型資金の調達は減ったものの、金額非公開案件含めて件数は倍増し、HR Techが引き続き注目されている事は明らかでした。この動きは日本だけでなく世界でも同様であり、2019年はベンチャーキャピタルの投資額は史上最高額を更新すると言われています。テクノロジーの発展や働き方の変革に伴い、HR Techが解決すべき問題はまだまだ山積しています。2020年も日本だけでなく、世界においてもHR Techはベンチャーキャピタルに注目されることでしょう。
調達件数:104(前年比:226%) ※金額非公開案件含む
調達額 :約305.8億(前年比:95%)
(参照:Venture Capital Funding Frenzy Over HR Technology on Record Pace:https://www.workforce.com/2019/08/15/venture-capital-funding-frenzy-over-hr-technology-on-record-pace/)
<③マルチプラットフォームからシングルプラットフォームへ>
2019年は、例年以上にAPI連携のニュースが活発となり、最低でも約50件以上のAPI連携のニュースが発信された1年となりました。
今までは人事管理はAシステム、勤怠管理はBシステム、給与管理はCシステム、経費管理はDシステムなどバラバラのシステムを利用していた(マルチプラットフォーム状態であった)事により、人事は入社や異動の際のオペレーションが非常に煩雑になっていました。
これがAPI連携の出現により、一部の従業員情報等がシステム間連携をされるようになってきていますが、全ての情報が連携されないケースも多く、引き続き課題は残っています。マルチプラットフォームからシングルプラットフォームへの動きは2020年以降も活発になると見込まれており、ますます人事領域の業務効率化が期待できるでしょう。
(参照:ジンジャーが前払給与サービス「enigma pay」とAPIによるデータ連携を開始:https://hcm-jinjer.com/news/news-12490/)
■2020年は「個人情報に対する相互理解」が問われる1年に
個人情報に関する問題も浮き上がった年となりました。これを受け、ピープル・アナリティクス&HRテクノロジー協会は「人事データ利活用原則(案)」を業界団体として作成をしています。ピープルアナリティクスが活発化している昨今において、同様の問題が再発しないために、そしてHR Techサービスの利用者と提供者がともに正しい認識を持つために、こうした「法目的や個人情報等の活用が明確に定義されたガイドライン」は間違いなく必要となってくるでしょう。
今年5月にはタイにてGDPR(欧州一般データ保護規則)に準拠した個人情報保護法制が2020年5月27日より施行されると発表がありました。当社をはじめ、タイに進出している日系企業への影響は大きいと推測されます。
2020年は個人情報改正に伴う個人情報の再定義とともに、HR Techサービスの利用者と提供者ともに「個人情報に対する相互理解」が問われる1年になるでしょう。
<企業中心から従業員中心へ ~エンプロイーエクスペリエンス~>
従業員満足度の向上、モチベーションの向上、エンゲージメントの向上など、人材の定着化や生産性向上が求められている昨今において、従業員体験(エンプロイーエクスペリエンス)の向上も求められてきています。
従業員体験とは「従業員が働くことを通じて得られる体験」を意味し、採用から退職までのライフサイクルにおける様々なタッチポイントで従業員にパーソナライズされた体験を提供する事が重要です。従業員体験を良くすることで優秀な人材の惹きつけと定着に繋がると言われています。
アメリカでは、従業員体験を向上させるために「給与連動ローンなどの金銭的利益を提供する企業」が存在します。日本においては、従業員体験向上の一つの解決策として人材の定着率アップを目的とした「給与前払いサービス」の導入が浸透し始めています。2020年は、福利厚生の充実を目的とした「HR × Fintech」や「HR × Insur Tech」のサービスが増えてくると推測されます。
(参照:Businesses Losing $500 Billion Due to Employees’ Financial Stress:https://www.hrtechnologist.com/articles/compensation-benefits/businesses-losing-500-billion-due-to-employees-financial-stress-2/)
■ジンジャー HR Tech総研とは
名称 :ジンジャー HR Tech総研
所長 :松葉 治朗
事務局 :株式会社ネオキャリア
事業内容:ピープルアナリティクス、HRに関するコラムやニュースの配信、新サービス開発
「ジンジャー HR Tech総研」とは、HRに関するシンクタンクです。ピープルアナリティクス、コラムや同領域のニュースの配信、トレンドや実態調査を含むマーケットリサーチ、イベント・セミナー情報の提供、新サービス開発などを通じて社会課題を解決すべく取り組んでまいります。
<ジンジャー HR Tech総研所長 松葉治朗プロフィール>
経営企画本部 プロダクトデザイン部 部長 / ジンジャー Chief Product Officer
2014年慶應義塾大学経済学部を卒業。人材系ベンチャー企業を経て、ネオキャリアに入社。
人事向けプラットフォームサービス「ジンジャー」のローンチと同時に、同サービスのプロダクトオーナーに就任。リリースから約4年で11,000社以上に導入、「HR Tech」のムーブメントを牽引するプロダクトへと成長に導く。また、HR Techを中心としたX-Techに加え、SaaSやCustomer Successの啓発活動も積極的に取り組む。