- 課題
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- 職員の異動・昇給などの履歴を細かく残すようにしていたが、Excelでそれらの情報を管理するには、データの多さや視認性に限界があった。
- 担当者間で情報共有ができておらず、すでに存在しているデータを重複して作成してしまうこともあり、無駄な工数が発生していた。
- 必要な情報を必要な人が確認できる仕組みを構築できておらず、情報連携にタイムラグが生じていた。
- 解決策
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- Excelでの人事データ管理を取りやめて、システムでの管理に切り替える。
- 人事データの一元管理によって、どの拠点にいても同じ人事データを即座に確認できるようにする。
- 効果
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- 一つの画面上で従業員のあらゆる履歴情報を閲覧できるように。
- 各担当者がジンジャーで同じデータベースを参照できるので、無駄なデータを作成するのを防げる。
- 各拠点で最新の人事データをリアルタイムで確認できるようになり、事務所への問い合わせなどで発生していたコミュニケーションコストを削減できる。
コロナ禍でデータ連携における課題が可視化された
-これまでの管理体制で課題だったことは何でしたか?
白枝さん:
管理体制で課題に感じていたのは、複数の人事マスタが散在していたことです。
職員の異動・昇給などの履歴を細かく残しておきたく、Excelで情報を管理しましたが、データの多さや視認性に限界を感じていました。
また、同じ事務所の担当者間で情報共有ができておらず、すでに存在しているデータを重複して作成してしまうなど、二重、三重の手間が発生していました。更に、複数存在しているマスタのどれが最新であるのかも分からない状態でした。
そして、データが連動していないことで確認作業に毎月膨大な時間がかかっていました。
たとえば、給与計算の場合、20〜30項目ある紙のチェック表を職員一人ずつに作成しており、給与締め日のタイミングになると、上司の机に大量のチェック表が提出されていました。
-システム導入を検討し始めた大きなきっかけは何でしたか?
白枝さん:
検討を始めたのは、コロナウイルスの流行による環境変化がきっかけでした。
以前は直接事業所に足を運んで話を聞いたり、紙を持って行ったりすることが気軽にできましたが、事業所全体で人との接触をできる限り避けようという方針になりました。
そのような状況下で、迅速に人事データを管理者に連携しなければならない状況が発生し、必要な情報を必要な人に確認できる仕組みづくりができていないという課題が可視化されました。
たとえば、職員がコロナウイルスに感染した際には、保健所に本人の住所・生年月日等の情報をすぐに提供する必要があったのですが、管理者が職員の情報を十分に把握しきれていませんでした。
また、職員の資格情報や研修の受講状況に関しても、対象の介助をおこなえるかどうか、次の研修を受講できるかなどを判断するために必要な情報だったので、たびたび事務所に確認の連絡が来ていました。
このような背景から、管理者がいつでもデータを確認できる仕組みを構築したいと考えるようになりました。
ジンジャー導入前から一元管理の利便性を知っていた
-最終的にジンジャーを選んでいただいた決め手は何でしたか?
白枝さん:
ジンジャーを選んだ決め手は、網羅的に管理業務に対応でき、人事マスタの一元化を実現できたためです。元々課題に感じていた、複数データを更新する手間や、データ確認にかかるタイムラグなどの課題を解決できるイメージが湧きました。
そして、人事労務以外の分野で現在利用している介護システムで、各業務間のデータが一つにまとまっていたので、ジンジャーと同じような仕組みのシステムには当初から利便性を感じていました。そのような背景もあってジンジャーの統合データベースに親和性を感じ、今回の導入に至りました。
-そのほか、システムを選定されるうえで重視していたポイントはありましたか?
白枝さん:
システム画面の見た目や操作性は特に重視していましたね。
当法人にはスマートフォンを所持していない職員や、年齢の高い職員が在籍していることもあり、今後、給与明細やワークフローなどを職員たちに利用してもらううえで、使いやすいシステムであるかどうかは重要なポイントでした。私だけでなく、もう一名の担当者にも実際に操作してもらいながら、使いやすいシステムであるかどうかを確かめていました。
今後も良いサービスを提供できるように、健全な組織変化を続けていきたい
-ジンジャー導入をきっかけに、この先どのような組織体制を作っていきたいですか?
白枝さん:
当法人の拠点である島根県大田市では、年々過疎化が進んでいます。施設の稼働率が下がってきているだけでなく、働き手である若者が県外に引っ越してしまうケースも多く、市内全体で人手不足な深刻な状況です。
しかし、そのような状況下でも、可能な限り、適切な職員数を確保しながら良いサービスを提供し続けたいと考えています。
職員数を確保するべく、人材採用の強化や職員定着率の向上を促進していくためには、残業時間の削減や、有休の取りやすさなどの観点で、働きやすい環境づくりが非常に重要です。
進学などをきっかけに地元を離れる方が多くいる中で、若い人材にとって働きやすい環境となるように、システム導入など時代に合った働き方を用意するのが私の使命だと思っています。
ジンジャーをすべて本格運用に乗せることができれば、これまで紙管理でかかっていた100時間以上の業務工数を半分以下に削減できると想定しています。これからもこの地域で福祉を提供し続けられるように、健全な組織の変化を続けていきたいです。
市全体でDXに関する取り組みはまだ発展途上の段階です。今回のジンジャー導入をきっかけに、大田市でDXのロールモデルになれたらいいなと思っています。
1998年設立。島根県大田市西部で過疎地域の高齢者施設として、特別養護老人ホームや認知症対応型通所介護、地域交流機能を備えた複合施設「しおさい」の他、「むつみ苑」、「ほほえみ」、「えがお」の4事業所を開設。同地域で福祉サービスの一端を担っている。また、「仁摩保育園」の運営にも携わるなど、児童福祉事業にも積極的に取り組んでいる。