- 課題
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- バックオフィスだけで8つのシステムが乱立。社員の入退社や異動のマスタ更新に追われ多くの時間を費やしていた。
- 毎月100名以上の入退社処理によって、机には入退社書類が山積みに。紙の申請書も多く、リモートワークの選択肢は無かった。
- 10年以上同じオンプレミスシステムを利用しており、法令対応など柔軟に対応するのが難しく、時間も費用もかかっていた。
- 出勤簿は部門管理者や総務が直すものという「管理者任せ」になっており、社員の協力が得られにくい体制だった。
- 解決策
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- 勤怠管理、給与計算、人事労務などバックオフィス周りのシステムをジンジャーで統一。
- オンプレミスを改めクラウド型システムを導入・移行する。
- 社員が自ら勤怠情報などを確認・修正しやすい体制の構築と、意識付けをおこなう。
- 効果
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- ジンジャーによる一元管理で人事データを統合。毎回発生していたデータ連携作業がゼロに。
- 勤怠集計から給与計算にかかっていた時間が1/3に短縮。勤怠集計はワンクリックで対応できるように。
- 入退社手続きでは数千枚以上のペーパーレスに成功。月次の対応工数も2営業日から半日に削減。
- 勤怠修正は社員が自身で対応しやすくなり「出勤簿は給与の請求書である」という合言葉と共に「正しい出勤簿を提出する」という意識改革を実現。
- 法改正による機能アップデートもシステム側が対応する仕様になり個別対応が不要化。
- クラウド型SaaSシステムによりリモート対応も実現。
急速な会社の成長にバックオフィスが追いつけていない状態、維持するだけで精一杯の総務部の未来とは
-お二人の担当業務について教えてください。
宮澤さん:
給与チームの責任者を務めています。今回社内のDX化に伴い、システム選定からジンジャー導入の社内プレゼン、プログラム設定までプロジェクト全般を担当しました。普段は通常の業務に加えて、本社併設のカフェの店長も担当しております。
小島さん:
給与チームに所属しており、主に社員の入退社手続きと給与計算を担当しています。
今回、宮澤と一緒に社内へのジンジャー導入を担当しました。
-これまでの管理体制で課題だったことは何でしたか?
宮澤さん:
ベルーナは代表の安野が印鑑の訪問販売を始めてからこれまで急速に発展してきた会社です。ベルーナ総務部で人事データ、勤怠管理、給与計算をおこなっているグループ法人数は2010年当時の7社3,700名から、2024年現在では18社6,700名まで増えました。法人数・社員数が増える一方でバックオフィスの統制が取れておらず、会社の成長に追いつけていない状態だったんです。
ジンジャーでシステムを統合する前は、バックオフィスだけでも8つのシステムが乱立していました。勤怠管理もシステムを2つ使い分けたり、タイムカードの打刻機も併用していたりと、管理体制が全く整えられていない状態でした。グループ会社が増えるたびに“つぎはぎ”状態でシステムを拡張してきたため、複雑に絡み合った非効率な体制が常態化していました。
小島さん:
入退社手続きは全て書面でおこなっており、とても負担に感じていました。
当グループはパート・アルバイトの人数が約5,000名と多いため入退社が頻繁で、入社だけでも毎月100名以上の登録作業が発生していました。平均で毎月2日間ほどかけて対応をおこなっていたと思います。
私は入社してからずっと入社処理を担当しているため、頑張れば2日を1日に短縮することもできるのですが、他の人に任せると不慣れもあり3日以上はかかってしまいます。個々の能力を高めることも必要ですが、改善の本質ではないため、誰が対応しても変わらないスピードと精度を実現できる方法を模索していました。
また、複数システムのつぎはぎ運用のため、人事システム以外の全システムで社員情報の登録と更新をしなければなりませんでした。基本的にはCSVでデータをインポートする形になりますが、各システムでデータの加工方法が異なるのでそれぞれ手順書が必要になったり、リアルタイム反映が出来ないためシステム間の齟齬が発生し、リカバリー処理やメンテナンスに時間がかかっていました。
そして、このように書面を取り扱う業務が多いため、コロナによって社会全体で感染症対策での在宅勤務が推進されたタイミングでも、総務部は働き方の選択肢がありませんでした。そういった現実に直面したとき、このままでは時代の変化に取り残されてしまうと危機感を覚えました。
宮澤さん:
ジンジャーに切り替える前は、完全に「人に依存する」業務分担になっていたため、業務が属人化していて手助けできない点に問題を抱えていました。各担当者がそれぞれの担当業務に対して「私ひとりで対応した方が効率的」という結論に至り、皆が業務を抱え込んでしまう状態でした。
また、当社は通販事業という特性上、個人情報保護関連や機密保持契約など入社時の書類が多いことが特徴で約14種類もあったんです。加えてパート・アルバイトなど時給制の有期雇用者が約75%と比率も高いので雇用契約関連でも書面が多くなる特徴があり、小島さんのデスクの上には常に大量の書類が山積みになっていました。精神的負担も大きかったと思います。
小島さん:
勤怠管理に関しては、「出勤簿は部門長と総務部が直してくれるもの」という考えが社内に根付いていたのも大きな課題でした。
出退勤時刻が記録されていない状態や遅刻早退時間の打刻も含めて「勤怠未登録」と呼んでいたのですが、勤怠を締めるタイミングで総務担当者1名が「勤怠未登録リスト」を作成し毎月50名以上の社員に電話やメールで確認をして、勤怠データを整えるという作業をおこなっていました。そのため、社員側は「総務から電話がきたら勤怠を直せばよい」という考え方が拡がってしまいました。
宮澤さん:
元々利用していた勤怠システムでは、始業時刻である「8:50」の時刻を入れると“遅刻”と判定されてしまう仕様だったんです。打刻を忘れた社員が後から「8:50」ぴったりの時刻を訂正入力するケースがよくあったんですよね。「8:49の入力間違えですよね?」「これって本当に遅刻ですか?」「半休申請の提出漏れで遅刻になっていませんか?」というような確認作業を繰り返しおこなっていました。
小島さん:
そうなんです。勤怠の締めが終わってからも、給与システムへの勤怠データ連携は、給与体系毎に18法人分のインポートが必要でした。勤怠データの連携から給与送金の準備までに2~3営業日を費やしていました。15日締め25日支給という短期間での作業なので、非常に負担が大きかったです。
さらに、M&Aによりグループ化したホテル系子会社には末締め10日支給の法人もあります。やっと締め日が終わったと思ってもすぐに次の納期がやってくるため、常に納期に追われている状態でした。
-システムの入れ替えを検討されたきっかけは何でしたか?
宮澤さん:
既存のシステムアーキテクチャでは業務の平準化や効率改善にいくら取り組んでいても、善くなる体感が得られませんでした。私たちはシステムが乱立している「構造」そのものに課題があると根本に目を向けて、「より良いものへと変革する必要がある」ということを社内でも一生懸命に説明していましたね。
これまでの体制を継続すれば組織はどんどん疲弊しますし、会社の成長についていくことは難しいと感じました。そういった危機感から総務部内でシステムの切り替えを本格的に検討し始めました。
そのような状況とあわせて、他部署では既存のワークフローシステムのライセンス終了が迫っていて、システムの切り替え先が決まらず時間もないという話を耳にしたんです。ワークフローシステムの管轄はシステム部門と経理部門だったのですが、せっかくワークフローシステムを切り替えるなら、総務部と一緒にまとめて全部検討していこうか、という流れになりプロジェクトの規模は拡大していきました。
-具体的にどのようなプロセスでシステムを選定されましたか?
宮澤さん:
ジンジャーと出会ったのは、システムを入れ替える話が本格化する数年前の展示会でした。その時は、年末調整システムの候補としてジンジャーの話を聞いたのですが、当時はまだジンジャーで給与サービスがリリースされていない時代だったんです。
結果的に当時は別の年末調整システムを導入することになったのですが、ジンジャーの一元管理の世界観に非常に関心を持ち、給与サービスが完成したら改めて話を聞きたいとお願いしていました。その後「給与サービスがリリースされました!」とお約束通りご連絡をいただき、本格的にジンジャーの検討を進めました。
以前はオンプレミス型のシステムを10年以上使用していましたが、使用し続ければ必ず機能は古くなっていきます。常に最新のアップデートを続けるクラウド型システムにすることで、将来的な会社の成長にも順応できますし、10年後の規模感を予測して莫大なイニシャルコストをかけずに済む、従量課金制のシステムに絞り込んで検討をおこないました。
-最終的にジンジャーを選んでいただいた決め手は何でしたか?
宮澤さん:
熱心な営業担当の方とビジョンが一致したことが1番の決め手になりました。それと、ジンジャーの社風・会社の勢いとスピード感は、ベルーナと似ている部分があると感じました。
今後一緒に取り組んで行くパートナーとして、やるぞという意気込みとスピード感が一致していることが大切だと思いました。
小島さん:
さまざまなシステムがある中でも、複数のデータを一元管理できること。そして、スマホアプリのように定期的に最新機能にアップデートされるため、システムの入れ替えが不要なことが決め手になりました。
また、ジンジャーの営業担当者が「一緒に進めていきましょう」と言ってくださって、最後まで私たちに伴走してくれる姿勢に心が動きました。
-もしジンジャーを導入してなかったら、どんな負が発生していたと思いますか?
小島さん:
もしジンジャーを導入していなかったら、日々のルーティンに追われてしまい、社内のオペレーション改善に着手できていないと思います。また、時代の変化に対応できず、働き方の選択肢も制限されたままだったのではないでしょうか。
宮澤さん:
ジンジャーを導入しなければ、バックオフィスが会社の成長の障壁になっていたと思います。問題の本質に目を向けず、Excelの関数を駆使して効率改善という大いなる勘違いを続けていたと思います。それでダメなら増員するという対応では、仲間の心身はますます疲弊したことでしょう。また、非効率で無駄なオペレーションを6,700名の従業員に押しつけて、社員の働きやすい環境という観点でも足を引っ張ることが容易に想像できました。
勤怠集計から給与計算の業務工数が1/3に減少!集計はワンクリックで完了!
-ジンジャー導入後の効果を教えていただけますか?
小島さん:
勤怠集計から給与計算に関しては、これまで3営業日ほどかかっておりその期間は付きっ切りで対応していましたが、ジンジャー導入後は約1営業日で完了できるようになった感覚です。そのおかげで合間には他業務の対応もできるようになっています。
勤怠集計は全グループの処理に1日かかっていましたが、半日もかからず対応できるようになりました。現場がしっかりと締めてくれさえすれば、ワンクリックで集計できるので感動しています。
利用開始後はすぐに効果を実感することができましたし、ワンクリックで終わって「本当に大丈夫?」と、逆に心配になるくらいスピーディーでしたね。
入退社手続きは、毎月2営業日程度かけて対応していましたが、ジンジャー導入後は約半日に短縮されました。ジンジャーに切り替えたことでペーパーレスも促進でき、数千枚以上の書類削減につながりました。以前は月に1回、退職者の履歴書等が保管されている書庫を整理していたのですが、電子化して書類を保管する必要もなくなったので、物理的にスペースが空いて非常にすっきりしました。
宮澤さん:
ジンジャー導入によって、総務部の入退社処理や勤怠管理、給与計算が楽になっただけではありません。入退社・異動の更新は人事データベースで統合管理されるため、ワークフローや経費精算システムでは、経理部とシステム部からリストメンテナンス業務が無くなりましたし、導入後も活用の幅は広がっています。各種書類のペーパーレス化は現場部門長の負担軽減や、従業員一人ひとりの業務効率化を実現できました。全体で合算すると年間で約4,440時間の業務時間と約765万円の人件費・紙/郵送費が削減されました。
-ジンジャー導入後、現場の従業員様に変化はありましたか?
小島さん:
ジンジャー導入によって、「自分の申請は自分でおこなう」という気持ちが社員にも芽生え、会社全体の意識変革にもつながりました。今までは「出勤簿は部門責任者や総務部に直してもらうもの」「引越しや扶養変更は手続きを知っている人に聞く」というスタンスの社員が多かったと思います。ジンジャーに切り替えたことで、ここから申請を出せば良いんだなというのがすごく分かりやすくなったので、「勤怠修正や身上変更は社員が自分でおこなうもの」という意識になってきたのは嬉しい変化でした。
宮澤さん:
実は、社員が部門責任者や総務部に頼ってしまう原因もあって、全従業員がシステムのアカウントを持っていたわけではなかったんです。アカウント数を最小限に抑えていたため、パート・アルバイトの申請は社員が代理申請していました。今回ジンジャー導入をきっかけに全従業員にアカウントが付与されましたので、そのような風習から脱却できたのは良かったです。
新しく入社した方も、何も抵抗なくジンジャーでの入社手続きに対応してくれています。
-ジンジャーでよくご利用いただいている機能はありますか?
小島さん:
ジンジャー勤怠のスマホ打刻機能をよく利用しています。元々はIDカードで打刻するのが当たり前だったのですが、スマホでその場で打刻できるようになり本当に便利です。
宮澤さん:
私も同じく、スマホ打刻は便利だと感じています。ジンジャー導入前は労働時間の管理が困難だったことを理由に、外出が多い営業職のメンバーは事業場外みなし労働時間制を導入していました。ジンジャー導入後はアプリから位置情報付きで勤怠打刻ができるようになったので、この制度を廃止することができました。ジンジャーのおかげで、正しい労働時間管理につながっていると実感しています。
ジンジャーの熱心なサポートがプロジェクト成功のカギに
-ジンジャー導入をきっかけに、この先どのような管理体制を作っていきたいですか?
小島さん:
ジンジャーの担当者の皆さんは、当グループの社内用語や価値観を深く理解するように努めてくださいました。こちらの要望や相談事には即座に反応してくれて、非常にスムーズに導入が進められたと思います。今後もジンジャーを活用して、バックオフィスから会社の成長を後押ししていきたいと思います。
宮澤さん:
ジンジャー導入のプロジェクト中、困難な場面でも諦めず、熱心にサポートしてくれたジンジャーの担当者の方には大変感謝しています。今回のプロジェクトを通じて、大事なのはサポートの“体制”ではなく“姿勢”だと学ばせていただきました。
今後は一元管理が実現したジンジャーの人事データベースを基軸に、AIの活用やBIツールの活用などを他社に先駆けて取り組み、圧倒的な競争優位性をバックオフィスから展開し挑戦し続けていきたいと思います。
1968年創業。「お客様の衣食住遊を豊かにする」という経営理念のもと、アパレル・雑貨や化粧品健康食品、グルメなどの通信販売事業を展開。カタログ通販国内売上No.1などの数多くの実績を持つ。さらに通信販売事業で培った経営資源を活かしたデータベース事業やプロパティ事業などを展開。好調なホテル事業では国内外のシティホテル、リゾートホテルの運営も手掛けるなど多角的に事業展開を続けている。