- 課題
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- 会社全体に「紙文化」が根付いており、経費申請やワークフローで煩わしい作業が多かった。
- 出張前後の申請書作成、書類を手渡しで申請するフローが非効率的だった。
- オンプレミスシステムを使い続けると、サーバーやネットワークに詳しい社員の雇用や、運用コストがかかるのが懸念だった。
- 解決策
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- 経費申請とワークフローのクラウドシステムを導入し、紙に記入、押印する作業や書類管理の工数を削減。
- クラウドシステムの活用で業務効率化を図り、削減した時間を経営業務やものづくりに充てる。
- 効果
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- 出張前後の煩わしい申請書作成や書類の管理をなくし、業務効率化を実現。
- クラウドシステムの第一歩を踏み出し、今後の人事労務データの一元管理を見据えた下地作りをする。
出張前後の申請書作成・押印作業の煩わしさに課題
-ご担当の業務や管理体制について教えてください。
石野さん:
管理部の副部長を務めております。経営に関する予算の取りまとめをはじめ、経営管理に幅広く携わっており、今回はシステム導入の責任者としてジンジャーの導入プロジェクトに関わりました。
ジンジャーの導入にあたり、私と同じ部署の社員1名と総務担当者、製造や購買・開発など各部門長とも連携をおこないましたが、最終的なシステムの決定や責任は私の部署となります。
ーこれまでの管理体制で課題だったことは何でしたか?
石野さん:
当初は、社内に紙文化が根付いていたのが大きな課題でした。経費精算とワークフローはすべて紙とハンコで対応していたため、非常に煩わしさがありましたね。
社員の平均年齢が上がり、採用が難しくなっている現状を鑑みると、長く経営を続けていくためには業務改革が必須と考えていました。会社の上層部もこの状況に対して、「このままではまずい」と危機感を持っていたようです。
ージンジャー導入前はどのような業務フローでしたか?
石野さん:
以前は、人事労務や給与計算、会計業務はオンプレミスシステムを使用し、それ以外の経理・総務業務はすべて紙、ハンコの対応でした。
とくにワークフローと経費申請は、紙作業による煩わしさが大きく、負担に感じていましたね。
弊社の経費申請は、主に出張旅費と物品購入の精算に大別されます。物品購入は、近くのホームセンターで物品購入をする程度ですが、出張申請は少し手間がかかります。
具体的には、出張前に指定の書類に出張場所や要件、仮払いの有無などを記載して上長に事前申請をおこないます。上長の承認を得たら、部門長の確認と押印を経て、総務で最終承認をされる業務フローとなっていました。
申請から承認までは長くても2営業日ほどのため、スピード感はそこまで気にならないものの、紙を直接手渡しして記入、捺印などをおこなうのが純粋に手間ですよね。上長が席を離れていれば、戻ってくるまで待たなくてはいけないですし、かといって机の上に置いておくと紛失リスクも高まります。
また、出張から戻った後は、Excelで作成したテンプレート書式をダウンロードして印刷し、出張時の自動車・タクシー代・日当・お土産などの明細を記入、領収書を添付して、再び上長から総務へ確認依頼をします。県をまたいだ遠方への出張が多いと、移動手段もさまざまで、領収書の数も増えてしまいます。
このように、出張前申請から、出張後の仮払い清算を終えるまでの業務フローは、非効率的で無駄が多かったと思います。なお、ワークフロー申請も、経費申請と同じ流れで対応していました。
出張が多い社員であれば月3回程度、申請者・確認者ともに面倒くさいなと感じながら対応をしていましたね。
会社の将来を考えてクラウドシステムを活用し、人事労務の一元管理を図りたい
-システムの導入を検討されたきっかけは何でしたか?
石野さん:
社内のアナログな紙文化をなくし、業務効率化したいと考えたことと、電子帳簿保存法の法改正への対応がシステム導入のきっかけです。
社員の平均年齢が40代後半になり、世の中的にも採用が非常に難しい市況感となっています。どんどん人を増やして売上を上げるよりも、現体制を見直して業務効率化し、後世が働きやすい体制を整えることが重要だと考えました。そして、社内体制を見直す際はペーパーレスは避けて通れないテーマであり、真っ先に着手すべきだと判断しました。
私は管理部の責任者として日ごろから工場内を歩き回っており、商品生産量を決める会議などにも参加しています。各部署・業務を横断的に見渡せる立場であったこともあり、今回システム導入のプロジェクトを任命されました。
-具体的にどのようなプロセスでシステムを選定されましたか?
石野さん:
現在、人事労務と給与計算はオンプレミスシステムを使用していますが、先々の運用や維持費を考えると、クラウド型のワークフローシステムが必要だと考えました。まずは既存のオンプレミスシステムに付帯するサービスで使えそうなものはないか探したものの、すぐに切り替えて、1からクラウド型のワークフローシステムをインターネットで探し始めました。
-最終的にジンジャーを選んでいただいた決め手は何でしたか?
石野さん:
ジンジャーを選んだ決め手は、「使い勝手の良さ」「カスタマイズ性」の2点です。システムを使う社員にとって、操作しやすいか、使い勝手がいいかどうかが1番重要だと考えたためです。また、ある程度パッケージ化されたシステムを導入する場合でも、項目をカスタマイズできるといいなと思いました。ジンジャーはこの2つを満たしていたうえ、他社よりも圧倒的に連絡が早かったのもポイントですね。
色んなサービスを見てしまうと、逆に悩んでしまうので、最初に提示した要望が満たせているのであれば導入しようと、早い段階でジンジャーに決定しました。
なお、人事労務と給与計算のシステムは、ちょうどオンプレミスシステムの最新バージョンに更新したばかりだったので、今回はジンジャーへの切り替えを見送りましたが、オンプレミス型だとサーバーや社内ネットワークに詳しい社員を雇用しなければならず、運用コストや手間も増えてしまいます。今後タイミングをみてクラウド化していきたいと考えています。
-ジンジャー導入をきっかけに、この先どのような管理体制を作っていきたいですか?
石野さん:
現在、ジンジャーの初期設定を終えて自部門で運用テストをおこなっていて、テストが問題なければ全社に展開する予定です。ジンジャーの運用を進めれば、「紙の書類による煩わしい手作業の削減」「紙の保管スペースの削減」が実現できるはずです。
紙で対応していると、書類の内容を手書きで転記したり、ハンコを押したりという細々した工数が発生します。これらの業務を効率化できれば、年間100時間以上の工数削減につながると想定しています。そのような形が実現できたら、次の若い世代に会社を引き継ぐ体制づくりに時間を使っていきたいです。
私やジンジャー導入を担当した社員は、あと10年もすればリタイアになる年齢です。今後、社員が少なくなっていくなかで、効率的な経営をしていくためには、工数のかかる業務はすべてアウトソース、クラウド化をしていきたいです。
人事労務データも中長期的に一元管理を目指すべきだと考えています。自分たちが在籍している残された時間で、若い社員が働きやすい会社になるように、これからも業務改善に取り組んでいきたいです。
1950年創業。防除機メーカーとして創業し、現在は小型農業機械の管理機の生産を主におこなっている。ヤンマー株式会社のグループ会社として、たしかな技術力を武器にしながら、国内はもとより海外70か国へも送り出している。