債務超過とは?判断方法や解決方法を詳しく解説
更新日: 2024.1.16
公開日: 2023.1.30
jinjer Blog 編集部
企業にはさまざまな資産がある一方、負債もあります。本来であれば負債よりも資産が多いことが望まれます。しかし、企業活動を続けていると両者のバランスが崩れることもあります。
今回は、債務超過について、判断方法、デメリット、解決方法などを詳しく解説します。
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1. 債務超過とは?
債務超過に近い言葉に赤字があります。赤字とは単年度で見た場合に損益計算書がマイナスになっている状態です。そのため、赤字になっていても運転資金があれば、問題はありません。
一方、債務超過の場合、企業活動に影響が及んでしまいます。
1-1. 家計で考えてみる
債務超過と赤字を家計で考えてみましょう。たとえば、月の給料が40万円のところ、50万円の支出があれば赤字となります。
一方、保有している現金や不動産が2,000万円のところ借金が3,000万円ある状態は債務超過といえます。
2. 債務超過の判断方法
自社が債務超過を起こしているかどうかを判断するには、貸借対照表を活用しましょう。
貸借対照表は企業の資産の状況を把握するうえで必要な書類で、財務諸表のひとつです。
貸借対照表から債務超過を起こしているかどうか導き出すには、貸借対照表において負債の部の合計が資産の部の合計を上回っていると債務超過となります。債務超過の額がマイナスの金額にあてはまります。
2-1. 賃借対照表の資産・負債の修正について
債務超過には、賃借対照表の資産の合計と負債の合計が関係します。しかし、資産のなかには本来よりも価値が低下してしまっているものや、負債のなかには未計上のものがあります。
そのままで計算してしまうと正確な債務超過額が判断できないため、それぞれ次のように修正しましょう。
【資産の場合】
- 売掛金や貸付金は回収できる金額にする
- 価値が下がってしまった資産は実際の資産に修正する
- 時価がある資産はその段階の資産に修正する
【負債の場合】
- 退職金をはじめ未計上の労働債務を計上する
- 損害賠償をはじめ未計上の保証債務を計上する
このような修正を施すことで、自社が債務超過に陥っているかどうかは正確に判断可能になります。
3. 債務超過してしまった場合のデメリット
債務超過をしてしまったことで、すぐに倒産するわけではありません。しかし、負債超過が増えていくことで徐々に経営が立ちいかなくなり、倒産につながってしまう可能性があります。ほかにも次のようなデメリットが発生するでしょう。
- 周囲からの信用が下がる
- 金融機関から融資を受けにくい
- 従業員の離職につながる
3-1. 周囲の信用低下
債務超過を起こしてしまうとことで、取引先をはじめ周囲からの信用低下につながってしまいます。たとえば、仕入先に債務超過を知られてしまった場合、仕入先から売掛金を回収できないと思われ、支払期間の短縮や新規の取引停止、不利な条件の提示などを相談されてしまう可能性があります。
3-2. 金融機関からの融資が難しくなる
金融機関は融資をするにあたって、融資先企業の財務状況を確認します。財務状況が不健全な状態では、金融機関は貸したまま回収できない可能性があります。そのため、債務超過に陥っている場合は、金融機関からの融資は難しくなるでしょう。
3-3. 従業員の離職につながる可能性がある
自社が債務超過に陥っていることが従業員に広がってしまうと、会社の先行きに不安を感じる従業員もいるでしょう。これによって離職を希望する従業員が出てくる可能性があります。
従業員の離職が続いてしまうと、当初は社内に留まろうとしていた従業員に業務のしわ寄せが集まり、さらなる離職につながる恐れがあります。
4. 債務超過の解決方法
債務超過を解決するためには、まずは利益を上げることが第一です。利益を上げるためには、売上の増加と支出を減少させることが大切です。利益の向上以外にも次のような方法が債務超過の解決に適しています。
- 増資する
- 債務免除を頼む
- 法的な手段を取る
- DESを行う
4-1. 増資は即効性があるものの赤字経営の根本的な解決にはならない
利益を増加させるだけではなく、資本金を増やすことも債務超過の解決につながります。債務超過を解消させる増資として、投資ファンドなどからの出資や、新株を発行するといった方法が挙げられます。
債務超過を解消するためには、増資は即効性が期待できます。しかし、赤字経営が債務超過の原因であれば、収益の構造を見直さない限り根本的な解決とはならないでしょう。
4-2. 債務免除は一般的には難しい
債務免除とは債権者から債務を免除してもらう方法です。一般的には、債務者が債務を放棄することは考えにくいですが、役員やその家族からの借入金があるのであれば、債務超過の解決につながるかもしれません。
4-3. 法的な手段をとる
会社更生法や民事再生法といった法的な手段によって債務超過を解消する方法があります。会社更生法では経営陣は退任して、裁判所が選んだ管財人が再建を進めます。
一方、民事再生法では経営陣は残り再建を進めていきます。
4-4. DESは一時的な対応
債務免除を解消するDES(デット・エクイティ・スワップ)にて、解消可能です。DESでは融資をしている金融機関が、会社の株式と引き換えに返済を免除するという方法です。
銀行としては債務超過によって貸し倒れするよりも株式を取得して配当や売却によって利益を得たほうがよいでしょう。ですが、増資と同様に、根本的な債務超過対策にはなりません。
5. 債務超過はデメリットにつながるため解消を目指そう
債務超過は企業が抱える負債額が資産を上回ってしまっている状態です。自社が債務超過に陥っているかどうかを確認するには、賃借対照表を確認しましょう。
貸借対照表で負債の部の合計が資産の部の合計を上回っている状態が債務超過に陥っている状態です。債務超過に陥っていると周囲からの信用低下や金融機関からの借入が難しくなる、従業員の離職が増えるといったデメリットにつながります。
そのため、債務超過は解消するようにしましょう。債務超過は増資、債務免除の依頼、法的な手段、DESの実行などで解消できます。
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