旅費精算や交通費精算を小口現金から振込にする理由
更新日: 2022.12.7
公開日: 2020.10.7
古屋匠憲
旅費精算をはじめとする経費精算をする際に用いられる方法として、小口現金と振込が考えられます。
小口現金の管理と聞くと、あまり良いイメージが湧かない経理担当者も多いのではないでしょうか。
今回は、小口現金と振込の違いや振込に変えることによるメリット、デメリット、業務フローの変化などを解説いたします。
近年では、キャッシュレス決済が企業にも徐々に浸透し、小口現金を廃止したいという企業が増えてきました。
小口現金は管理も大変で不正のリスクもあるため、なるべく廃止したいという企業が多いためです。
一方で、「小口現金ってシステムを導入すれば廃止できるんだよね・・・?」と、小口現金の具体的な廃止方法や手順に疑問を抱えている方も少なくないでしょう。。
そのような方のために、今回「目的別!小口現金廃止を実現するためのガイドブック」をご用意いたしました。
資料には、以下のようなことがまとめられています。
・小口現金の概要
・課題別の小口現金の廃止方法
・課題別の小口現金の廃止手順
小口現金を最適な方法で廃止できるように、ぜひ「目的別!小口現金廃止を実現するためのガイドブック」をご参考にください。
1. 旅費精算の小口現金による精算と振込による精算
まずはじめに、小口現金での精算と振込による精算について、基本的な内容を再度理解しておきましょう。
ここでは、小口現金での精算と振込による精算について解説いたします。
1-1. 小口現金による精算
小口現金とは、手元に置いてある会社の現金のことであり、交通費や備品などを購入した際に使用する少額の現金になります。
小口現金を使用する際は、入出金の際に都度その内容を出納表へ記載することが必要です。
小口現金の残高と帳簿残高の金額は常に合っている必要があり、もし1円でもずれてしまうと、再度計算しなおしたり、領収書やレシートなどの書類を確認したりと、手間と時間がかかります。
また、現金を手元に置くことで盗難や横領などのリスクも生じる危険性があるため、注意が必要になります。
1-2. 振込による精算
振込による精算とは、小口現金を手元に置かず、毎月の特定の日に振込による精算をおこなうことです。
現金の管理は基本的にはなくなります。また、小口現金のように頻繁に入出金したり、出納表の管理をしたりする作業はなくなり、精算業務を大幅に効率化できます。
2. 振込を利用する際のデメリット
旅費精算や交通費精算に振込を利用すると、経理担当者の業務は格段に楽になりますが、メリットだけでなくデメリットも存在することを確認しておきましょう。
振込によるデメリットについて理解しておくと、より導入時のイメージを持つことができるでしょう。
2-1. 振込手数料がかかる
まず考えるべきなのは振込手数料です。
旅費精算のために振込を利用すると、毎回振込手数料がかかります。
社員がほとんど出張することがない会社であればよいですが、多くの社員が出張する会社であれば振込手数料だけでもかなりの金額になります。
もし可能であれば、各社員に出張費を含めた経費精算用の口座を作ってもらうとよいでしょう。
他にも給与と一緒に旅費精算を行うという形を取れば、振込手数料を節約できます。
2-2. 月に何回振り込むかを検討すべき
旅費精算は高額になることがあるので、月に1回の振り込みでは社員に負担がかかる恐れがあります。
十数万円の経費を立て替えているので、給料日前に生活費が足りなくなってしまう、クレジットカードの引き落としまでに口座の残高が少なくなってしまうといったことも考えられるでしょう。
そのため多くの会社では月に2回、給料日前やクレジットカードの引き落とし前に振込で旅費精算をしています。
さらに、週に1回旅費精算をしている会社もあります。
振込で旅費精算を行うことを検討している場合には、社員が不満を抱かないように振込回数をよく検討する必要があります。
2-3. 振込による新たな業務も発生する
小口現金から振込にすると、経理担当者の負担の軽減につながりますが、振込に伴う新たな業務が発生することがあります。
とくにエクセルなどを使って旅費精算の振込を管理しているのであれば、毎回振込の際に金額や口座番号などを入力する業務が必要となります。
出張する社員が多い会社では、この作業が経理担当者の負担になる可能性があるでしょう。
経費精算システムの導入も視野に入れて、どうすれば低コストで経理業務が効率的におこなえるかを考えなければなりません。
2-4. 振込口座と給与口座を分けてほしい従業員
振込での精算では基本的に給与支払いと合わせて振込がおこなわれるのが一般的ですが、給与の振込口座と経費の振込口座を分けてほしいという要望が出てくる企業も少なくないようです。
導入前に、振込口座に関して従業員に確認しておく必要や、ルールに関しての周知は必要不可欠でしょう。
3. 小口現金から振込へ変更する際は経費精算システムが有効
旅費精算や交通費精算は性質上振込を利用する方がスムーズに精算がおこなえます。
最近では、経費精算システムを利用して小口現金から振込へ変更する企業が増えてきております。
経費精算システムの活用は、小口現金を無くすことができるだけでなく、申請者・承認者・管理者にさまざまなメリットがあります
ここでは、経費精算システムを使用した際のメリットを解説いたします。
3-1. 申請者のメリット
① スマートフォンに対応していればどこからでも申請が可能
スマートフォンを使用することで、場所を選ばずに経費精算申請をおこなうことができるようになります。
領収書やレシートも写真を撮影して添付するだけなので、空いた時間で手軽に申請作業をおこなうことができます。
② 申請に対する承認状況のステータス確認が可能
スマートフォンやパソコンから、申請が承認済みなのか、未承認なのかを確認することができます。
③ 交通費の自動計算や定期区間金額の自動控除でミスの削減
経費精算システムを使用すれば、移動区間を入力するだけで金額が自動で計算されます。また、定期区間金額を自動控除できるため、ミスのない正確な精算を実現することができます。
3-2. 承認者のメリット
① 承認依頼の管理が簡単に
承認依頼が来ると、承認者の画面に対応すべき申請が通知されます。
一目で対応する必要のある申請がわかるため、承認漏れの防止や依頼された申請の管理工数を削減することができます。
② 場所を選ばず承認作業が可能
申請者と同じく、スマートフォンを活用すれば場所に関係なく承認作業をおこなうことがかのうになります。
承認者は、承認作業のためだけにわざわざ会社に戻る必要がなくなり、移動時間や空いた時間に承認作業ができるようになります。
承認のタイミングで発生していた歩留まりも解消できますので、精算業務をよりスムーズにおこなうことが可能です。
③ 確認工数の削減
経費精算システムを使用すれば、申請書類作成のタイミングでミスを最小限にすることができるため、承認者の確認工数を大幅に減らすことができます。
3-3. 経理担当者のメリット
① 確認作業を大幅削減
経費精算システムを使用すれば、精算書類の作成時に必須項目を設定することができるため、書類の抜け漏れをなくすことができます。
また、金額の自動計算や定期区間金額の自動控除などの機能によって、経理担当者が今まで時間をかけて確認していた項目の確認作業が大幅に削減されます。
② 自動仕訳
経費精算システムを使えば、面倒だった仕訳作業を自動化することができます。
システムで設定された通りに仕訳がおこなわれるため、ミスや手間なく仕訳をおこなうことが可能です。
③ 領収書やレシートのデータ保存が可能
経費精算システムを使用することで、領収書やレシートをデータで保存することが可能になります。
領収書の保管は場所も取りますし、保管期間も決まっているため長い間管理する必要がありますが、経費精算システムを使用すれば、より簡単に管理することが可能になります。
4. まとめ
小口現金での交通費精算や旅費精算は、金額の大きさや経理担当者の負担の大きさからあまりおすすめできません。
一方で振込を利用すれば、現金の管理や出納帳への記入などの業務がなくなり負担を大幅に軽減できます。
ただし振込回数が少ないと社員が不満を覚える可能性もあるので、バランスを考えながら会社に適した振込方法を慎重に検討しましょう。
廃止しようキャッシュレス決済の台頭や経理業務のIT化が注目を集めている中で、企業の現金管理の課題を解決することができるようになりました。しかし、小口現金の廃止と一言に言っても、廃止方法や廃止手順など理解しなければならないことは多いです。
「小口現金ってただシステム化するだけで廃止できるのかな・・・?」とお悩みの方は「目的別!小口現金廃止を実現するためのガイドブック」をぜひご覧ください。
資料では
・小口現金における企業の課題
・課題別の小口現金の最適な廃止方法
・各廃止方法における実施手順
など、小口現金の廃止に関する内容を総まとめで解説しています。
「小口現金を適切な方法で廃止したい」という経理担当者様は「目的別!小口現金廃止を実現するためのガイドブック」をぜひご覧ください。
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