日給月給制とは?月給制との違いやメリット・デメリットを詳しく解説
更新日: 2024.3.6
公開日: 2024.1.12
OHSUGI
「日給月給制とほかの給与体系の違いを知りたい」
「日給月給制について理解を深め、採用を考える際の参考にしたい」
上記のようにお悩みの方は多いのではないでしょうか。
日給月給制のほかにも、日給制や月給日給制など、さまざまな給与体系があります。給与体系は、法律で明確に内容が定められているわけではありません。
しかし、採用時に違う意味の給与体系を告げるとトラブルに発展する場合があるため、注意が必要です。特に、雇用契約書に給与体系を記載する場合は、従業員と給与の内容をしっかり確認しておくとよいでしょう。
そこで今回の記事では、日給月給制の概要やそのほかの給与体系などについて解説します。給与体系の中でも、日給月給制について理解を深めたい方はぜひ参考にしてください。
目次
1. 日給月給制とは
日給月給制は、1日ごとの給与が決まっており、休みなどの分を差し引いて月に1度まとめて支払う給与体系です。多く働いている月は給与が増えますが、有給以外の遅刻や欠勤があった場合は、その分月給が減少することがあります。
また、遅刻や欠勤による給料の減額が、基本給に限らない点に注意が必要です。一般的に、役職や職務に関する手当など、月ごとに支払われるさまざまな手当も日割りで減額されます。残業や深夜勤務がある場合は、残業手当の支払いが別途必要です。
2. 日給月給制とほかの給与形態5つとの違い
日本には、日給月給制以外にもさまざまな給与体系があり、それぞれ給与の算出の仕方が異なります。
この章で、それぞれの給与形態の違いをしっかり確認しましょう。
2-1. 月給日給制
月給日給制は、給与の月額を事前に定めている給与体系です。日給月給制と同様、遅刻や欠勤の分が減額されます。
しかし就業規則などで取り決めがない限り、減額されるのは固定給のみである点に留意が必要です。支給される職務手当などは、一般的に減額されません。
給与の計算方法は会社によって違うため、各種手当が控除対象かを事前に確認しておくとよいでしょう。
2-2. 日給制
日給制は、実際に働いた日の分のみ、あらかじめ設定された金額を支給する給与体系です。例えば、1日あたり8,000円の日給で15日出勤した場合、給与は12万円支払います。
日給制は働いた日数によって給与が決まるのに対し、日給月給制は欠勤や遅刻などの日数で給与が決まる点が違いです。
2-3. 月給制
月給制は決められている固定給が支払われる給与体系で正社員に多く見られます。日給月給制は、欠勤や早退があればその分給与から減額されるため不利に思われるかもしれません。日本においては、管理職や責任のある役職に、月給制が採用されることが多いです。
日給月給制であるにも関わらず、月給制と従業員に伝えると「欠勤による給料の控除がない」と誤解されることがあるため、内容を詳しく伝えましょう。また月給制であっても、時間外労働や休日労働などの残業代の支払いは必要です。
2-4. 時給制
時給制は、実際に働いた時間に基づいて、決められた時給が支払われる給与体系です。例えば時給950円の場合、月80時間の労働時間で7万6,000円を支給します。
日給月給制は、給料が休日の日数によって変動しますが、時給制は働いた時間の分のみの支給です。時給制は、短時間勤務のアルバイトやパートで一般的に採用されています。
2-5. 完全月給制
完全月給制は1ヵ月を計算の単位として給与を定めて、毎月1回まとめて支払う制度です。
完全月給制の場合、日給月給制と異なり遅刻や早退などが賃金に影響を及ぼしません。そのため、遅刻や早退、欠勤があった場合でも賃金が差し引かれることはありません。また、従業員が残業した場合は残業代も発生します。
3. 日給月給制の2つのメリット
日給月給制には、会社側から見て以下のメリットがあります。
- 従業員の経済的な安定性を確保できる
- 欠勤が多い従業員に対して支払う給与が減少する
給与額が固定されていることから、従業員に安心感を持って仕事に取り組んでもらえます。また、欠勤の多い従業員は給与が減額されるため、公平感も感じてもらえるでしょう。
この章で、日給月給制のメリットを詳しく確認してください。
3-1. 従業員の経済的な安定性を確保できる
日給月給制は、従業員に経済的な安定感を提供します。遅刻や欠勤がない限り、毎月一定の給料を受け取ることができるからです。安定した収入が得られるため、働くモチベーションアップにもつながるでしょう。
従業員の満足感を高めることで、離職率を低下させ、長期的な人材育成も実現できます。また、給与の月額が事前に決まっているため、支払い管理の手間が少ない点も魅力です。
3-2. 欠勤が多い従業員に対して支払う給与が減少する
日給月給制では、欠勤した分を給与から控除するため、欠勤の多い従業員へ支払う給与が減少します。日給月給制は、決められた月額から欠勤や遅刻した分を差し引いていく給与形態だからです。
また、祝日が集中しており、出勤日数が少なくなる月も支払う給与が減少します。毎月の人件費を計画しやすいだけでなく、不必要な支出を削減できる点が、日給月給制の利点です。
4. 日給月給制のデメリット
日給月給制を採用した場合、従業員は欠勤に対し、より慎重になる傾向があります。遅刻や早退をした分、給与が減額されるからです。
家庭の事情があったり、体調がよくない日が続いていたりする従業員の給与も減額する必要があります。そのため、必要なときに休むことを躊躇してしまい、ストレスや健康状態を悪化させる恐れがあることに留意が必要です。
従業員が欠勤する際にもサポートできるよう、福利厚生の充実を図ることが望ましいでしょう。
5. 日給月給制の基本給の計算方法
日給月給制における基本給は、定められた日給をその月の労働日数で乗じることで算出できます。給与の月額は、基本的な計算に基づいて事前に決定され、欠勤が生じた場合にはその分が差し引かれるのが一般的です。
例えば日給1万5000円で、月に20日働くと仮定します。この場合、1万5000円の20日分で、30万円が給与です。欠勤や早退による給料の減額は、職務手当を含む総額から控除されることを念頭に置きましょう。
5-1. 欠勤日の計算
欠勤日については事前に就業規則で定めておく必要があります。例えば就業規則で欠勤控除を「基本給/1ヵ月平均所定労働時間数」としている場合、次のように計算します。
欠勤控除額=月の給与/1ヵ月平均所定労働時間数×欠勤時間数
5-2. 早退の計算
早退についても欠勤日と同じように就業規則に沿った計算が必要です。例えば早退控除を「基本給/1ヵ月平均所定労働時間数」としているのであれば、算出方法は以下のとおりです。
早退控除額=月の給与/1ヵ月平均所定労働時間数×早退時間数
5-3. 遅刻の計算
欠勤、早退とともに遅刻の計算も就業規則に沿っておこないます。遅刻の控除が「基本給/1ヵ月平均所定労働時間数」であれば次のとおり算出しましょう。
遅刻控除額=月の給与/1ヵ月平均所定労働時間数×遅刻時間数
6. 日給月給制に関して押さえておきたい2つのポイント
日給月給制では、以下のポイントをしっかりと押さえましょう。
- 残業代の支払いが必要
- 給与形態の説明を詳しくおこなう
日給月給制では欠勤や遅刻の際に給与支払額が減りますが、残業代の支払いは別途必要です。また、従業員と給与に関するすれ違いが発生しないよう、しっかりと内容を説明しておくとよいでしょう。
この章で、日給月給制で押さえておくべきポイントを把握してください。
6-1. 残業代を支払う必要がある
日給月給制の場合でも、時間外労働が発生した際には残業手当の支払いが必要です。
法定の労働時間内であれば追加の賃金は発生しませんが、1日8時間や週40時間を超えた労働に対しては、割増賃金を支払う必要があります。
さらに、夜間の22時から翌朝5時までの労働には、深夜労働に対する割増賃金が適用されることに注意が必要です。給与総額は抑えられますが、残業に関しては別途手当を支払うことが求められる点に留意しましょう。
6-2. 給与形態の説明を詳しくおこなう
従業員を採用する際には、企業の給与体系を明確に説明することが重要です。給与に関する誤解があると、後に大きな問題につながる可能性があります。
日給月給制は月給制の一種のため「月給制」と伝えても間違いではありません。しかし、月給制と伝えると、欠勤しても給料が変わらないと誤解されることがあるため、注意が必要です。
給与体系に注目する求職者は多いため、給与形態については詳しく説明しておくことが望ましいでしょう。
7. 日給月給制の特徴を踏まえて採用しよう
日給月給制は、決まった月額の給与から欠勤や遅刻があった分の給与を減額する支払い方法です。
毎月固定額を支払うため、従業員に安心感を抱いてもらえる点が大きなメリットと言えます。また、欠勤が多い従業員の給与は減るため、公平感を持ってもらえると共に、余計な支出が発生しません。
日給月給制は、多くの企業に取り入れられている給与形態です。日給月給制の特徴を理解し、自社の採用に活かしてください。
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