ネットショップ開設時に知りたい電子契約法|注意すべき2つのポイント - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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ネットショップ開設時に知りたい電子契約法|注意すべき2つのポイント - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

ネットショップ開設時に知りたい電子契約法|注意すべき2つのポイント

経済産業省の調べによると、2020年の消費者向け電子商取引(BtoC-EC)の市場規模は19.3兆円に達し、市場全体に占めるEC化率は前年比1.32ポイント増の8.08%でした。[注1]とくに物販系分野の伸びがめざましく、市場成長率は21.71%を記録しています。

こうしたEC需要の増加を受け、これまで実店舗がメインだった事業者の間でも、ネットショップの開設を目指す動きが広がっています。

ネットショップ開設に欠かせないのが電子契約です。電子契約を導入するとき、どんなトラブルに気をつけるべきでしょうか。この記事では、ネットショップに関係のある法令や、注意すべきポイントを解説します。

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1.ネットショップとは

ネットショップとは、インターネット上で消費者に購入機会を提供し、電子商取引をおこなうWebサイトを意味します。

電子商取引はEC(Electronic Commerce)と呼ばれ、モノやサービスをインターネット上で販売する取引のことで、ネットショップはECサイトと呼ばれることがあります。

ネットショップには、Amazonや楽天などの販売プラットフォームを利用する「モール型」と、自社で販売システムを構築する「独自店舗型(ASPなど)」の2種類があります。
ネットショップと実店舗の違いは、以下の2点です。

● 電子商取引をおこなうため、営業時間や販売エリアの制限がない
● 店舗がないため、開業費用を抑えられる

コロナ禍にともなう巣ごもり消費の需要を受け、近年は物販系分野のネットショップが急成長しています。

2.電子消費者契約と電子契約法とは

電子商取引では、インターネットで契約を取り交わす「電子契約」が基本です。

電子契約のうち、消費者を対象としたB2C(Business to Customer)の契約を「電子消費者契約」と呼びます。この電子消費者契約に関わる法律が、「電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律(電子契約法)」です。

電子契約法がつくられた理由は、そもそも民法における商取引関連の取り決めが電子消費者契約に対応しておらず、消費者が不利益をこうむる事例が多発したためです。

そのため、電子契約法には電子消費者契約を結ぶときに事業者が注意しなければならないポイントが記載されています。ネットショップを開設するときは、必ず電子契約法の内容を確認し、適切な措置をとることが大切です。

3.消費者の操作ミスの救済

電子契約法には民法とのギャップを解消し、消費者を守るための2つの特例措置があります。その1つが、電子消費者契約に関する民法の特例(第3条)における「消費者の操作ミスの救済」です。

これまで、購入画面での操作ミスなどは消費者の重大な過失に当たり、電子契約は成立するとされてきました。しかし、2001年に電子契約法が成立し、事業者と消費者の力関係が変化しました。

3-1.特例措置の内容

民法第95条では、消費者の錯誤(操作ミスなど)に基づく取引は原則無効とされます。しかし、消費者に「重大な過失」がある場合、法律の適用対象にはなりません。

そのため、事業者はネットショップの購入画面での操作ミスなどが「重大な過失」に当たるとし、契約が成立していると主張できました。

電子契約法の特例措置では、事業者が消費者の操作ミスを防ぐ適切な措置を講じなかった場合、操作ミスに基づく契約は原則無効としています。

3-2.具体的に起こるトラブル

よくあるトラブルが、「申し込みボタンを誤ってクリックし、必要のない商品を購入してしまった」「本来なら1個購入するところ、入力ミスにより11個購入してしまった」といったケースです。

このように消費者側の錯誤が軽微なものであるにも関わらず、消費者が被害をこうむる事態を防ぐため、救済措置が設けられています。

3-3.事業者が知っておくべきこと

ネットショップ側がおこなうべきことは「申し込み確定時に明確な確認措置を設ける」ことです。消費者の操作ミスや入力ミスを防ぐため、次のような仕組みを用意しましょう。

● 申し込みを終えると「このボタンをクリックすると購入となりますが、よろしいですか?」といったメッセージが表示され、注意を促す仕組みになっている

● 送信ボタンを押し、最終的な意思表示をおこなう前に申込内容を確認でき、かつ訂正できるような仕組みになっている

逆にワンクリックで購入が確定し、申込内容が確認できないような仕組みになっている場合、消費者の操作ミスに基づく契約は原則無効となります。

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4.契約が成立する具体的なタイミング

事業者が知っておくべき2つめの特例措置は、電子承諾通知に関する民法の特例(第4条)における「電子契約の成立時期の転換」です。

これまで、電子契約は消費者がECサイトなどで申し込みをおこない、意思表示をおこなった段階で成立するとされてきました(発信主義)。

しかし、電子契約法の特例措置により、電子契約の成立するタイミングが変化しました。

4-1.特例措置の内容

民法第526条第1項では、隔地者間での取引は、原則として購入者が承諾通知を「発信」した段階で成立するとしています(発信主義)。

当時、発生主義が採用された理由は、隔地者間の取引では承諾通知の到達に時間がかかり、スムーズに契約を締結できなかったためです。

しかし、現代の電子商取引では、消費者はインターネットを通じてリアルタイムに購入・申し込みが可能です。
このままでは電子商取引の実態にそぐわないため、電子契約法では電子商取引の契約成立時期を転換し、承諾通知がネットショップに「到達」した段階で成立すると改めました(到達主義)。

4-2.具体的に起こるトラブル

発信主義を採用すると、現代の電子商取引では様々な不都合が生じます。

たとえば、なんらかの手違いでネットショップからの承諾通知(メールなど)が届かなかった場合、電子契約が成立しているにもかかわらず、消費者側が契約成立の事実を確認できません。

電子契約の成立時期の転換により、ネットショップの承諾通知が届かなかった場合のリスクを消費者が負う必要がなくなりました。

4-3.ネットショップの事業者が知っておくべきこと

事業者が知っておくべきことは、「購入確認のメールなどが届かなかった場合、電子商取引の契約が成立しない」という点です。

そのため、消費者が購入・申し込みをおこなった後、必ずメールなどを送付し、契約成立の事実を知らせる必要があります。

1. 消費者が購入・申し込みをおこなう
2. 事業者が購入・申し込みの確認メールを送信する
3. 消費者が確認メールを受け取る(契約成立)

注意が必要なのは、消費者側にメールが「届かなかった」ことの証明を求めてはならないという点です。[注2]

メールソフトによっては、メールが配信されたかどうか、開封されたかどうかを確認する機能を提供している場合があります。

しかし、消費者側がメールが「届かなかった」ことを証明し、事業者側と争うのは困難です。もしメールが「届かなかった」として消費者とトラブルになった場合も、承諾通知の不着のリスクは、原則として事業者側が負うということを覚えておきましょう。

5.ネットショップの開設時は電子契約法の特例措置を確認

ネットショップの開設時に注意が必要なのが、電子消費者契約について定めた電子契約法です。

電子契約法では、電子商取引を前提としていない民法とのギャップを解消するため、「消費者の操作ミスの救済」「電子契約の成立時期の転換」という2つの特例措置を設けています。

ネットショップの開設を目指す方は、電子消費者契約について知り、必要な措置をとることが大切です。

[注1] 経済産業省|電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました

[注2] 一般社団法人ECネットワーク|詳解1:契約成立時期について

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HORIUCHI

HORIUCHI

ジンジャーサインのマーケターとして電子契約サービスの新たな価値を届けるべく奮闘中。年間約50本の電子契約セミナーの企画運営に携わっています。前職はアルバイト領域にてBtoBマーケティング・採用支援・オウンドメディアリクルーティングを3年間経験し、jinjerにJoin。

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