介護業界でも電子契約が使用可能に|令和3年度介護報酬改定とは? | jinjerBlog

介護業界でも電子契約が使用可能に|令和3年度介護報酬改定とは?

令和3年度介護報酬改定によって、介護業務において電子契約が利用できるようになりました。今後は重要事項説明書、介護計画書、ケアプランなどの書類の電子化が原則的に認められ、これまで事務作業にかかっていた時間や手間を大幅に短縮できます。

電子契約を導入する前に令和3年度介護報酬改定の内容を詳しく確認しておきましょう。この記事では、令和3年度介護報酬改定の内容や、介護事業者が電子契約を利用し、書類を電子化するメリットについて解説します。

導入事例

1.令和3年度介護報酬改定とは

2021年4月1日、厚生労働省によって「令和3年度介護報酬改定」が通知されました。令和3年度介護報酬改定には、「感染症や災害への対応力強化」「地域包括ケアシステムの推進」「自立支援・重度化防止の取り組みの推進」「介護人材の確保・介護現場の革新」「制度の安定性・持続可能性の確保」の5つの柱があります。

改定の目的は、団塊世代が後期高齢者となる2025年や、団塊ジュニア世代が65歳以上となる2040年を見据え、介護サービスの拡充を図るためです。このうち電子契約と関わりがあるのが、4番目の「介護人材の確保・介護現場の革新」です。

電子契約の解禁により、介護の現場がどのように変わるのか、次の項目で詳しく見ていきます。

2.令和3年度介護報酬改定における主な改定ポイント

令和3年度介護報酬改定により、「利用者等への説明・同意」「諸記録の保存・交付等」の2点について、電磁的な対応が原則認められました。電磁的な対応とは、PDFなどの電子データで作成したり、記名押印の代わりに電子署名をおこなったりして、介護業務をペーパーレス化することを意味します。

令和3年度介護報酬改定における主な改定ポイントを解説します。

2-1.利用者に対する説明等において電子文書が使用可能

2021年4月1日以降は、利用者に対する説明等をおこなう書類の電子化が原則的に認められます。その根拠となるのが、厚生労働省が2021年1月18日に公布した「令和3年度介護報酬改定の主な事項について」です。

“利用者等への説明・同意について、電磁的な対応を原則認める。署名・押印を求めないことが可能であることや代替手段を明示する。”
[注1]

これにより、従来は書面での交付が義務付けられていた書類を電子化し、電子契約サービス上で契約を締結することが可能になります。

2-2.文書を電子化したうえでの保存が可能に

また、厚生労働省は「諸記録の保存・交付等について、電磁的な対応を原則認める」としており、重要事項説明書などを電子データのまま保存することも可能です。[注1]

契約書の交付についても、従来の郵送や持参に代えて、Eメールでの送付や、電子契約サービス上での送付といった代替手段が利用可能になります。

3.電子化するメリット

重要事項説明書、ケアプラン、介護計画書、介護記録などを電子化することで、どのようなメリットが得られるのでしょうか。

まず、これまで書面契約にかかった手間がなくなり、契約業務の工数を大幅に削減できます。また、紙の書類を管理・保管する手間を省き、保管コストを削減できるのも電子化のメリットです。

介護業界で近年問題となっているのが、災害時などを想定した事業継続計画(BCP)です。契約書などを電子化し、電子契約サービスで管理すれば、データの紛失を防ぐことができます。

3-1.契約にかかる時間を大幅に削減

これまで、利用者宅を訪問する際に重要事項説明書や個人情報同意書などを持参し、利用者に対する説明や、ケアプランの作成に向けたアセスメントをおこなうのが一般的でした。このとき書類への記入や記名押印の手間が発生し、契約に時間がかかる要因の1つとなっていました。

電子契約を取り入れれば、利用者の同意に基づいて重要事項説明書や個人情報同意書などを電子契約サービス上で提供し、電子署名でサインしてもらうという選択肢が生まれます。契約業務の工数を大幅に削減し、その分のリソースをケアプランや介護計画書の作成などのコア業務に使うことが可能です。

3-2.書類管理の手間やコストをカット

重要事項説明書などを書面で作成すると、印刷・製本・押印・郵送などの手間がかかります。また、書類をファイルやキャビネットに保管し、管理する作業も必要です。

一般的に、介護サービスで使う契約書はA3用紙5枚~10枚程度、重要事項説明書の場合はさらに厚みがあります。契約締結数が増えると、契約書などの書類が保管スペースを圧迫し、外部倉庫の利用を検討しなければならないケースもあります。

電子契約サービスを導入すれば、契約書などの書類を電子化し、クラウド上で保管可能です。ペーパーレス化によって書類管理の手間や保管コストを削減できます。

3-3.データ紛失の防止

介護業界の課題の1つが、地震などの大規模災害を想定した事業継続計画(BCP)の策定です。2011年の東日本大震災でも、岩手県、宮城県、福島県だけで合計52の介護施設が全壊・半壊するなど、多大な被害が発生しました。[注2]

ケアプランや介護計画書などを書面で保管している場合、介護施設が被害を受けた際、大切な情報が紛失・焼失する恐れがあります。ケアサービスの持続的な提供や、被災後のスムーズな営業再開を目指すためにも、こうした書類を災害から守る仕組みが必要です。

契約書などの書類の電子化は、災害時を想定したBCP対策としても役立ちます。電子契約サービスの多くはクラウド上で提供され、データ化された契約書は、災害対策がおこなわれたデータセンターで保存されます。

もし、東日本大震災のような大規模災害が発生しても、電子契約サービスを導入していれば被害を最小限に抑えることが可能です。

3-4.実地調査の対策

介護業界では介護事業所に対して運営状況を確認するための実地指導がおこなわれます。 その際、行政側から契約書の原本を求められることがあるため、原本管理は本部ではなく各事業所でおこなわなければなりません。

そうなると、事業所でできない押印作業をするため契約ごとに書面を本部に郵送したり、各事業所の原本管理状況を確認するために責任者を現地に出張させたりと、経費や対応時間などのコストが発生します。

これらのコストは電子契約サービスであれば削減可能です。電子契約における原本はクラウド上のデータが原本となるため、本部と事業所間のデータのやりとりのみで管理が完結します。そのため郵送費や責任者の出張費、それに伴う対応時間を削減でき、大幅なコスト削減を実現できます。

4.介護業界の活用事例

電子契約の導入を検討中の方のため、介護業界の活用事例を1点紹介します。訪問介護サービスの事例では、「契約書の印刷や保管に手間がかかる」「コロナ禍で重要事項説明書などの持参が難しく、サービス提供が遅れる」という課題がありました。

とくに契約手続きの際には、利用者1名につき10~20枚程度の契約書を用意せねばならず、利用者への説明や記名押印に平均2時間かかっていました。そこで電子署名サービスを導入したところ、契約書を電子データで保管できるようになったため、印刷・保管コストを削減できました。

また、利用者の希望があれば、電子署名サービス上で重要事項説明書などを送付できるため、最短30分で契約締結できるようになりました。それにともない、リモートでの説明・同意が可能になり、コロナ禍でも通常通りケアサービスを提供できました。

導入事例

5.介護業界で電子契約サービスを導入すればさまざまなメリットあり

令和3年度介護報酬改定によって、介護業界でもさまざまな書類を電子化できるようになりました。電子契約を導入すれば、契約業務の工数を削減し、書類の保管・管理の手間を省けます。

また、電子契約サービスを導入し、契約書などをクラウド上で管理すれば、災害時などを想定した事業継続計画(BCP)にもなります。契約書の電子化を検討中の方は、令和3年度介護報酬改定を機に電子契約サービスを導入しましょう。

[注1] 厚生労働省:令和3年度介護報酬改定の主な事項について

[注2] 東日本大震災への対応【介護保険・高齢者福祉関係】