外注加工費と外注費の違いや仕訳方法をやさしく解説
更新日: 2023.9.1
公開日: 2023.2.2
FURUYA
会社の会計業務において、「外注加工費」と「外注費」という勘定科目が用いられることがあります。
どちらも似ている支出に思えますが、会計業務においてどのような違いがあるのか理解しておきましょう。とくに、外注加工費と外注費の仕訳業方法について知っておくことで、確定申告をスムーズに進められます。
本記事では、外注加工費と外注費について詳しく解説します。
1. 外注加工費とは?
外注加工費とは、材料を提供して他の会社に製造や工事の一部を委託した際の費用を指します。
たとえば、とある会社が下請け会社に材料を提供し、下請け会社が材料を加工したとしましょう。この際の下請け費用や加工費は外注加工費として計上可能です。
もちろん、下請けに限らず他の企業に工事の一部を委託した場合にも外注加工費が用いられます。住宅の建築において、基礎工事だけを他社に依頼した場合などが該当するでしょう。
1-1. 外注加工費にならない費用
外注加工費として計上できそうなものの、外注加工費に該当しない費用がいくつかあります。確定申告の際には、間違えて計上してしまわないよう注意が必要です。
たとえば、支払手数料や販売手数料と呼ばれる支出は、外注加工費にならないので注意しましょう。
支払手数料は、弁護士や税理士、司法書士といった士業や専門家に業務を依頼した際に支払う費用のことです。顧問税理士を雇用した、コンサルタントに経営改善策を依頼したといったケースでは、支出を支払手数料に計上しましょう。
さらに、より多くの製品やサービスを販売するために販売代理店や仲介業者を使った場合の支出は、販売手数料になります。外注加工費として仕訳すると、税務署から指摘を受ける恐れもあるので注意が必要です。
1-2. 外注加工費と給与の違い
外注加工費と似ているように思える別の支出が給与です。給与は自社の社員に対するもの、外注加工費は外部に依頼した際の費用です。
給与は雇用契約に基づいて支払われるもので、企業には源泉徴収の義務が発生します。
社員に対しては社会保険に加入させる義務もあり、社会保険料を支払わなければなりません。
一方、外注加工費は原則として源泉徴収の義務がなく、業務委託契約もしくは請負契約になるため社会保険料の負担もないのです。
企業にとっては、給与を支払うよりも外注加工費として賃金を支払ったほうが有利になることがわかります。ただし、外注加工費か給与かの判断は、依頼者側と受注側の関係性によって判断されます。
たとえば、他人が代替して業務を行っている場合には、通常外注加工費と判断されるでしょう。しかし、受注者側が作業時間を指定されたり、時間単位で報酬が支払われる契約だったりする場合、給与と判断される可能性があります。
また、業務の内容や業務のやり方について指揮監督を受ける、業務に使う用具を依頼者側から提供されるというケースでも給与になり得るでしょう。
どれか1つが当てはまれば外注加工費ではなく給与になるというものではなく、複数の条件を総合的に判断して外注加工費か給与かが決まります。
2. 外注加工費と外注費の違い
外注加工費とよく似た言葉に外注費があります。「加工」という言葉が入っていることのほかにも違いがあるのだろうかと考える方も少なくありません。
では、外注加工費と外注費の違いについて見ていきましょう。
2-1. 実務的に違いはない
外注加工費と外注費は、実務的な違いはありません。
確定申告の際に、外注加工費と記載しても、外注費と記載しても税務署から修正を要求されることはないでしょう。
また、企業によって使用している言葉も異なります。ある企業では、確定申告の際に外注加工費を使って仕訳しているのに対し、別の企業では外注費を使っているかもしれません。
どちらを使ってもとくに問題ありませんが、同じ企業あれば毎年勘定項目を統一しておくことが求められます。ある年度は外注加工費で申告し、次の年度は外注費にすることは認められないので注意しましょう。
2-2. 外注加工費と外注費のニュアンスの違いはある
外注加工費と外注費は、会計業務において実務的な違いはないものの、微妙なニュアンスの違いはあります。
たとえば、ある企業では業務の一部を依頼した場合に外注加工費、一連の業務をすべて依頼した場合に外注費を使っていることがあります。さらに、外注加工費はとくに工業製品に用いられることが少なくありません。
一方、外注費は製品や材料を加工しない業種でも用いられます。たとえば、人材派遣を派遣会社に依頼する、コールセンター業務を外部に委託する、セキュリティシステムの開発を依頼する、清掃業者に会社の清掃を頼むなどのケースでは、外注費を用いる企業も多くあるでしょう。
3. 外注加工費の仕訳方法
外注加工費と外注費は、実務上違いはありません。したがって、会社が使いやすい勘定科目を使えばいいといえます。ただし、毎年同じ勘定科目を使うことが求められる点に注意が必要です。
それでは、外注加工費の仕訳方法について見ていきましょう。
3-1. 外部業者に10万円で加工を依頼した場合
まず、外部の業者に材料を提供し、10万円で加工を依頼したケースを考えましょう。
請求された10万円は、銀行振込にて支払ったとします。その場合、借方は「外注費 100,000円」、貸方は「普通預金 100,000円」と記載しましょう。もし10万円を現金で支払ったのであれば、貸方に「現金 100,000円」と書きます。
仕訳の際の科目が外注加工費であることを除けば、他の支出を同じように仕訳できるでしょう。
3-2. 個人事業主に原稿執筆料5万円を支払った場合
別の例として、個人事業主に対し原稿執筆料を支払ったケースを考えましょう。原稿執筆料は外注加工費もしくは外注費として経費に計上できます。
しかし、原稿執筆料に関しては源泉徴収の義務が発生する点に注意しなければなりません。外注費は基本的に源泉徴収の義務が発生しないのですが、所得税法第204条第1項によれば原稿執筆料に関しては源泉徴収を行わなければなりません。
原稿執筆料のほかにも、挿絵や作曲、デザイン、講演料、モデル、俳優などに支払う報酬には源泉徴収の義務があることを覚えておきましょう。
したがって、個人事業主に現金で原稿執筆料を支払った場合、10.21%の源泉徴収を考慮して経費を計上しなければなりません。借方には「外注費 50,000円」、貸方には「現金 44,895円」「預かり金 5,105円」と記載しましょう。
後で源泉徴収したことがはっきりわかるように、概要には「原稿料」「源泉徴収」と書いておくことが重要です。
4. 外注加工費と外注費に違いはない
外注加工費と外注費には実務的な違いはありません。会社ごとに都合のいい勘定科目を使って仕訳できるでしょう。
ただし、外注加工費や外注費と、給与や支払手数料には明確な違いがあります。混同してしまわないよう注意が必要です。
特別に源泉徴収が必要な支出に注意しつつ、適切に仕訳を行い確定申告を済ませることが重要なのです。
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