手形とは?小切手との違いや振出し・支払いの流れ等をわかりやすく解説 - ジンジャー(jinjer)| クラウド型人事労務システム

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手形とは?小切手との違いや振出し・支払いの流れ等をわかりやすく解説

手形

企業間取引では、現在でも現金ではなく手形が利用される場合があります。
とくに手形が利用されるケースが多いのが、信用取引の一種である掛取引です。

この記事では、手形の種類や書き方、手形を利用した取引の流れ、手形利用時に守らなければならないルールを解説します。

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1. 手形とは?

はてな

手形とは、記載された金額を一定期間後に支払うことを約束した有価証券を指します。

全国銀行協会の調べによると、全国の手形交換所では1日あたり約14万枚の手形が交換され、約4,852億円の金額の取引がおこなわれています。[注1]

企業間取引では、商品代金を後払いにする掛取引がおこなわれることがあります。

その際の支払い方法の一つとして、銀行振込やクレジットカード払い、小切手と並んで利用されるのが手形です。

1-1. 手形と小切手の違い

手形と小切手は、現金化できる時期に大きな違いがあります。

小切手は多額の現金を持ち運ぶ不便さや、盗難のリスクの回避のために現金の代わりとして振り出すものです。受け取った人が直ぐに現金化できます。

一方で手形は、特定の期日までに支払うことを約束して振り出すものです。小切手は振り出す時点で預金口座に残高がないと発行できませんが、手形は取引時点では手元に資金がないといった場合でも発行することが可能です。

手形に記載された支払期日にならないと現金化できないため、手形を振り出した側の企業は余裕を持った資金のやりくりができます。

2. 手形の種類

ポイント

手形には、「約束手形」「為替手形」の2種類があります。
為替手形は現在ではほとんど使われていないため、企業間取引で使われているのは約束手形です。

混同されやすい約束手形と為替手形の違いについて、わかりやすく解説します。

2-1. 約束手形

約束手形は振出人が受取人に所定の金額の支払いを約束する有価証券です。
振出人が約束手形に支払期日や金額を記載した時点で、受取人への支払い義務が生じます。

約束手形を振り出す場合、会計処理上は「支払手形」の勘定科目を、受取人は「受取手形」の勘定科目で会計処理を行います。

2-2. 為替手形

為替手形は振出人の指定した期日に、第三者の支払人が所定の金額を受取人に支払う有価証券です。
約束手形と違い、振出人・支払人・受取人の三者間でお金のやりとりが行われるのが特徴です。

ただし、為替手形には振出人が自身を支払人・受取人に指定する「自己宛為替手形」「自己受為替手形」という形式もあります。
手続きが煩雑なことから、為替手形は企業間取引ではほとんど利用されていません。

3. 手形の書き方

書き方

手形には8つの記入項目があります。
相手方とのトラブルを避けるため、手形の書き方はきちんと守りましょう。

①管理番号
手形を特定する為の番号、手形の振出人が任意の番号を記入可能

②手形番号
手形の用紙に印字された番号

③支払期日
振出人の当座預金口座から引き落としがおこなわれる日付

④支払場所
振出人の当座預金口座がある取扱金融機関

⑤金額
受取人に払う金額、チェックライターで印字するか手書きの場合は漢数字で記入

⑥振出日
手形を振り出した日付、支払期日よりも前の日付を記入

⑦振出人
手形の振出人の会社名、住所等を記載
振出人の氏名の横に銀おこな印を押印する

⑧収入印紙
支払い金額に応じた金額の収入印紙を貼付する

4. 手形を利用した取引の流れ

解説 男性

手形を利用した場合の取引の流れを確認しましょう。また、ここでは、手形を現金化する際に発生することがある対応についても解説します。

4-1. 手形の振出し

手形取引を始めるためには、まず取扱金融機関で当座預金口座を開設し、手形帳を受け取る必要があります。手形の振り出しから支払は、下記の流れでおこなわれます。

①自社(振出人)が手形に必要事項を記入し、相手方(受取人)にわたす
②受取人が取扱金融機関に取立の依頼をおう
③依頼を受けた取扱金融機関が、手形交換所に手形を持ち込む
④指定の期日になると、振出人の取扱金融機関で支払い金額が引き落としがおこなわれる

①の手形の振り出しから、④の引き落としがおこなわれる支払期日までの期間を「手形サイト」といいます。手形サイトは「月末締め、翌月末払い」に設定されることが一般的です。支払サイトの上限日数は60日とされています。

振出人は支払サイトが長いほど支払う期日に猶予が生まれますが、受け取り側にとっては支払サイトが短い方が望ましい状況といえるでしょう。

なお、手形取引は小切手と違い、手形を受取人に渡した時点で支払い金額を当座預金口座に入金する必要はありません。

手形取引を利用した取引について詳しく確認しましょう。

4-2.手形割引

手形割引とは、支払期日前に手形を現金化することです。手形取引では、支払期日まで振出人からの支払を受けることはできません。しかし、手形を割り引くことで、支払期日よりも前に銀行等の金融機関に譲渡し、手形に記載された支払金額から満了期日までの利息や手数料を差し引いた残額を現金で受け取ることができます。

手形を割引すると、満了時の受取額より受取金額が少なくなるので、記帳の際は銀行に支払った利息や手数料などの割引料を「手形売却損」として記帳します。

4-3. 手形の裏書

受け取った手形を他の企業に譲渡し、購入商品等の支払いに充てることもできます。これを「手形の裏書」といいます。

手形を裏書すると、手形の支払期日よりも前に手形を資金化することができます。通常手形を支払期日よりも前に資金化するには手形割引で手数料を支払う必要がありますが、手形を裏書した場合はこの手数料が不要であるというメリットがあります。

一方デメリットとして、もし譲渡した手形が不渡りになった場合には、当初の振出人ではなく、譲渡した企業が代わりに該当金額を支払わなければならない点が挙げられます。

4-4. 手形の不渡り

手形の不渡りとは、支払期日までに決済ができず、代金を受け取れない状態のことです。手形の不渡りには3つの種類があります。

①0号(ゼロゴウ)不渡り
手形の形式に不備がある場合の不渡りです。手形には受取人が銀行に対し現金化を請求できる期間が定められています。この期間を「呈示期間」といい、手形の場合は、支払期日とそれに続く2日間と決められています。この呈示期間を過ぎた場合など振出人の信用に関わらない不渡りが0号不渡りです。

②1号不渡り
当座預金に引き落としがおこなえるだけの残高がない場合など、一般的な不渡りが1号不渡りです。1号不渡りは振出人の信用に関わります。1号不渡りが1度目であれば振出人は不渡り処分を受け、加盟銀行に不渡報告が通知されます。信用が大きく低下するため銀行からの融資を受けるのが困難になるなど、経営が困難になるリスクもあります。
また、不渡りが発生し、不渡り届が銀行から提出されると手形交換所の不渡報告書に掲載されます。不渡報告書の掲載から半年以内に再び不渡りで手形交換所に不渡り届が提出されると、該当の振出人は取引停止処分を受け、手形交換所に参加している銀行との取引が2年間できなくなります。

③2号不渡り
0号、1号のいずれにも該当しない場合は2号不渡りになります。例えば、偽造された手形や盗まれた手形が現金化の請求を受けて不渡りとなった場合などがこれにあたります。

4-5. 手形の貸付

手形貸付とは、約束手形の振り出しによって融資を受けることです。手形は期日までに額面金額を支払うことを約束する有価証券であるので、通常の融資に比べて短い審査期間ですぐに資金調達をおこなうことができます。また、借用書よりも印紙税が安いこともメリットです。

一方、手形の貸付は1年以内の短期貸付であり高額で長期的な資金調達には向かないというデメリットがあります。

5. 手形利用時のルール

決まり

現金での取引と違い、手形を利用した取引にはさまざまなルールがあります。
例えば、手形を振り出す場合、支払い金額に応じた金額の収入印紙を貼付しなければなりません。

また、中小企業庁と公正取引委員会により、手形の支払期日は取引から60日以内に設定するよう要請されています。
手形利用時のルールは以下の2つです。

5‐1. 所定の金額の収入印紙を貼付する

手形は印紙税法上の課税文書に当たるため、所定の金額の収入印紙を貼付する必要があります。

約束手形または為替手形は印紙税額一覧表の第3号文書に該当し、手形金額に応じて印紙税が課税されます。

引用:国税庁|約束手形又は為替手形

国税庁のホームページによると、収入印紙の金額は次の通りです。[注2]

5‐2. 支払期日は取引から60日以内に設定する

手形取引では、支払期日を商品を受け取った日よりも後に設定することができます。
しかし、下請法の規定に関連して、中小企業庁と公正取引委員会が「支払期日は取引から60日以内に設定する」ように要請しています。

手形に記載する支払期日は、遅くとも商品を受け取ってから60日以内に設定しましょう。

6. 手形を利用するメリット、デメリット

メリットとデメリット

手形取引には、現金や小切手での取引にはないメリットがあります。
一方、手形のジャンプや不渡りのリスクがある点が手形を利用するデメリットです。

手形取引のメリットとデメリットを比較し、自社に合った支払い方法を選択しましょう。

6‐1. 手形取引の2つのメリット

手形を利用するメリットは2つあります。

・金利を発生させずに支払い期日を遅らせられる
・割引を利用すれば、期日前に手形を現金化できる

手形取引には、金利を発生させずに支払い期日を遅らせられるのがメリットです。

小切手と違い、取引の時点で当座預金口座に入金しておく必要もありません。
そのため、支払いに手形を利用することで、資金繰りやキャッシュフローの改善につながります。

一方、手形取引は受取人にとってもメリットがあります。
手形取引は現金払いよりも支払いサイトが長くなるのが特徴です。

しかし、金融機関などの手形を譲渡する手形割引を利用すれば、期日前に手形を現金化することができます。
所定の手数料が差し引かれるものの、資金繰りが悪化した際に手形があれば手元資金を確保できます。

6‐2. 手形取引の2つのデメリット

一方、手形取引にはデメリットも2つあります。

・手形のジャンプのリスクがある
・手形の不渡りのリスクがある

手形取引のリスクとして、手形のジャンプや手形の不渡りがあります。
手形のジャンプとは、所定の期日までに支払いができなくなり、新しい手形を振り出して支払いに当てることです。

手形のジャンプを行った場合、受取人からの信用低下や、取引条件の悪化につながる可能性があります。
手形のジャンプよりも深刻なリスクが、支払期日に引き落としができない「手形の不渡り」です。

手形の不渡りを何度も起こした場合、金融機関からの追加融資が受けられなくなります。
手形取引にはリスクがあることも知っておきましょう。

7. 約束手形は廃止が検討されている

廃止の注意喚起

約束手形は振出人の支払いに猶予ができる点がメリットですが、受取人の資金繰りには負担がかかります。資金が潤沢ではない中小企業では資金繰りが悪化する恐れもあり、手形割引を利用する企業も少なくありません。そのため、経済産業省は2026年を目途に約束手形を廃止する方針を示しています。

8. 手形を利用する前に書き方や取引の流れを確認しよう

確認事項

企業間取引では、現在でも現金や小切手の代わりに手形が利用されています。
手形には約束手形と為替手形の2種類があり、企業間取引で主に使われるのは約束手形です。
取引相手とトラブルにならないよう、正しい書き方で手形を振り出しましょう。。
また、「手形に収入印紙を貼り付ける」「支払期日は取引から60日以内に設定する」といったルールもあります。
手形を利用する前に用紙の書き方や取引の流れを確認しておきましょう。

[注1]全国銀行協会|全国手形交換高・不渡手形実数・取引停止処分数調査(2021年度中)
[注2]国税庁|約束手形又は為替手形

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MEGURO

MEGURO

HR NOTEのライター、総合求人サイトとシニア向け情報メディアの立ち上げを経て、現在はjinjer blogの運営に携わっています。 事業視点から、バックオフィスの重要性を啓蒙するコンテンツを作っています。 保有資格:ファイナンシャル・プランニング技能士(3級)

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