決算修正の作業手順を3つのステップでわかりやすく解説 - ジンジャー(jinjer)| クラウド型人事労務システム

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決算修正の作業手順を3つのステップでわかりやすく解説

悩む女性

決算書を作成するにあたって過去の決算の誤りに気付くことがあります。決算の結果は企業が収める税金額にも影響するため、発覚した誤りは必ず修正しなければなりません。このとき、過去の決算の誤りを当期の決算書で修正することを「決算修正」と言います。

なお、平成21年に公表された会計基準の指針により、平成23年4月1日以降の事業年度では決算修正のルールが大きく変更されました。原則として以前の手法は認められないため、現行のルールに則した決算修正を理解しておくことが大切です。本記事では現行の会計基準に基づく決算修正の考え方や手順を解説します。

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1. 決算修正は過年度の決算の誤りを当期の決算書で修正すること

決算修正とは、過年度の決算で発覚した誤りを当期の決算書で修正することです。決算書とは主に貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書の財務三表を指します。決算の内容は企業が収める税金にも大きく関わるため、過年度の決算の誤りが発覚した場合は必ず決算修正を実施しましょう。

2. 現行の会計基準における決算修正の考え方

PCをみる女性

日本企業が行う決算修正では、従来より過年度の決算の誤りを「前期損益修正」の勘定科目で当期の決算書に計上する手法が一般的でした。しかし、現行の会計基準においてこの手法は適当ではありません。ここでは現在のルールに則した決算修正の考え方を解説します。

2-1. 現在の決算修正では過年度遡及処理が必要

現行の会計基準では決算修正を行うにあたって過年度遡及処理が必要です。過年度遡及処理とは「確定済みの財務諸表で発覚した誤りを過去に遡って修正すること」であり、具体的には以下いずれかの対応が求められます。

  • 誤りがある決算書については誤謬の訂正を反映して再作成する(修正再表示)。
  • 過年度の決算書の誤りについて、以前から正しい処理が行われたものとして当期の決算書を作成する。

上記の対応は平成21年に公表された「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」において示されています。会計基準が大きく変わった背景にあるのは日本の会計基準と国際会計基準の乖離です。現行の会計基準は国際会計基準とのコンバージェンス促進を目的とします。

なお、現行の会計基準においても特定のケースに限って従来の手法での決算修正が認められています。

2-2. 「前期損益修正」による決算修正が認められるケース

現行の会計基準において、従来の「前期修正損益」の勘定科目による決算修正が認められているのは以下のケースです。

  • 金額的に重要性が低いと判断できる誤りである場合
  • (決算修正を行う企業が)中小企業である場合

重要性が低いと判断される決算の誤りは、現行の会計基準においても過年度遡及処理が不要とされます。そのため、金額的に決算に大きな影響がない誤りであれば決算修正による簡易的な修正が可能です。

また、中小企業については、現行の会計基準とは別に「中小企業の会計に関する基本要綱」における規定が優先されます。同規定は中小企業における会計業務の負担軽減を目的として制定されたものです。これにより従来と同様に前期損益修正の勘定科目による過年度の誤謬訂正が認められています。

3. 決算修正の作業手順を3ステップで解説

3step

決算修正を行う場合、決算書の修正だけで対応が完了するとは限りません。場合によっては税務署への申告も必要です。ここでは決算修正の流れを3つのステップに分けて解説します。

3-1. ステップ1. 損益計算に影響する誤りかを確認する

ステップ1は、過去の決算の誤りが過年度の損益計算に影響を与えるかどうかの確認です。大抵の場合、損益計算に影響しない間違いは当期の決算書で正しく計上すれば大きな問題にはなりません。

【損益計算や税額計算に影響しない誤りの例】

  • 勘定科目の名称を間違っていた
  • 長期と短期を間違えて分類していた

一方で、未計上の売上金や支払金、未払金などが発覚した場合は過年度の損益計算に影響し、納めるべき税金も変わる可能性があります。このケースでは以降のステップ2、ステップ3の対応が必要です。

3-2. ステップ2. 計上が漏れていた金額を当期決算書に反映する

ステップ2は過年度の決算書において計上が漏れていた金額を当期の決算書に反映させる作業です。現行の会計基準では過去の誤りを当期の損益として計上することができません。そのため、通常は未計上の金額に応じて当期首の利益余剰金残高を増減させる手法が取られます。

利益余剰金は前期の決算において算出された次期への繰越金です。その金額から未計上の金額を増減することは、過去に遡って修正を反映するという現行の会計基準にも合致します。具体的な所業としては以下の通りです。

【未計上の売上や費用の過大計上が発覚した場合】

  • 修正が必要な金額分に応じて当期首の利益余剰金を増額する。

【未計上の出金や経費が発覚した場合】

  • 修正が必要な金額分に応じて当期首の利益余剰金を減額する。

なお、中小企業の場合は過年度遡及処理の必要がないため、従来通り過去の未計上金額を当期の損益として計上しても問題ありません。この場合の対応は以下の通りです。

【未計上の売上や費用の過大計上が発覚した場合】

  • 修正が必要な金額を「前期損益修正益」として貸方に計上する。

【未計上の出金や経費が発覚した場合】

  • 修正が必要な金額を「前期損益修正損」として借方に計上する。

3-3. ステップ3. 税務署へ修正申告または更正の請求を行う

ステップ3は税務署への「修正申告」または「更正の請求」です。過年度の決算の誤りが該当年度の損益計算に影響を与えるとその年度の税金も変わります。そのため、該当年度の確定申告書についても内容の修正を申請し、正しい納税をするための手続きを済ませなければなりません。

修正申告は、納める税金が少なすぎた場合や還付される税金を多く受け取っていた場合に行う手続きです。税務署に対して「修正申告書」と指定された書類を提出し手続きを行います。

一方の更正の請求は、納める税金が多すぎた場合や還付される税金が少なかった場合に行う手続きです。税務署へ「更正請求書」を提出して手続きを行います。更正の請求は対象の確定申告書の提出期限から5年経過すると申請ができなくなるため、納税額の修正が必要な場合は早期に対応しましょう。

4. 決算修正を行う際の注意点

注意

最後に決算修正を行う際での注意点を解説します。必要な手続きを漏らすと罰則が科せられるケースもあるため、全ての手続きを確実に実施するようにしましょう。

4-1. 修正申告は誤りが発覚したらすぐに申請する

過年度の決算において修正申告が必要な誤りが発覚した場合は早期に修正申告を行いましょう。確定申告書の不備により本来納めるべき税金が不足していた場合、未払の税金に対して延滞税が加算されます。延滞税は時間の経過で税率が上がるため、税金の未納が生じる場合は速やかに修正申告を行いましょう。

また、税務署側から確定申告書の不備を指摘された場合、延滞税に加えて過少申告課税も課されてしまいます。過少申告課税は自ら修正申告をした場合には免除されますので、税務調査が入る前に修正申告を行うことが重要です。

4-2. 決算修正を繰り返すと税務署のチェックが厳しくなる

過年度の決算の誤りは決算修正によって修正する必要がありますが、毎年のように決算修正を繰り返すと税務署のチェックが厳しくなる可能性があります。本来、決算書の作成はミスが無いよう慎重に勧めなければなりません。決算修正を繰り返すと、税務署に対して「会計管理のできないだらしない企業」という悪い印象を与えてしまいます。

5. 過年度の誤りは決算修正で訂正しよう

違い

決算修正は過年度の決算の誤りを正す手段であり、正しい納税を行うためにも過去の誤りは早急に訂正する必要があります。ただし、決算修正はあくまで最終手段であり、前提として毎年の決算書をミスなく作成する努力が必要です。決算修正を繰り返すと税務署の心象も損ねてしまうため、正確な決算書の作成を第一に考えましょう。

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FURUYA

FURUYA

バックオフィス業務効率化のコンサルティングを経て、 現在はjinjer Blogの運営に携わっています。 法務・経理・総務を中心に管理業務の知見をもとに、現場の目線にあったコンテンツをお届けします。よくある課題から、単純な疑問まで担当者のお悩みを解消できるよう運営します。

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