負債比率の計算方法や改善するためのポイントを紹介
更新日: 2023.9.1
公開日: 2023.3.15
FURUYA
負債比率は、企業の経営状態をはかる指標であり、100%以下となった場合には自己資本でまかなうことのできる健全な財務状況であることを示しています。
一般的に負債比率が低い企業ほど返済能力が高く、経営は安定しているとみなされますが、業種や企業の状況によっては望ましい負債比率の水準が異なります。
今回は、負債比率とは何かを確認するとともに、負債比率の計算方法や負債比率の目安と財務状況、負債比率が高い場合の改善方法を紹介します。
1. 負債比率とは?
負債比率とは、資本金や資本剰余金、利益剰余金などの自己資本に対しての負債がどれくらいあるのか、その割合を示す指標です。
負債比率を計算する際には、自己資本と他人資本から計算され、会社自身の返済の能力や経営の安定性をはかる指標とされています。
基本的に、返済の義務がある負債は少ないほど返済能力があり、財務上は安定しているとされています。
2. 負債比率の計算方法
企業の財務状況を把握するために、負債比率の計算は大いに役立ちます。自社の財務状況を知るためにも負債比率の算出を行ってみましょう。
通常、負債比率は、以下の計算式により求められます。
負債比率=(負債÷自己資本)×100
たとえば、自己資本が2,000万円、負債が600万円の企業の場合、以下の計算となり、負債比率は20%となります。
(600万円÷2,000万円)×100=30%
なお、上記の計算に含める負債は、返済義務のあるもののみとなります。債権放棄された借入金や返済期限が設けられていない未払金などは、返済義務なしとして計算には含めません。
負債比率を算出し、高い数値が出るようであれば、事業の見直しが必要となります。負債の返済が滞れば企業の倒産の可能性が高まり、経営の安定性が低くなるためです。
反対に、負債比率が低い企業は、企業の自己資本に対する負債の割合も低くなるため、経営が安定した企業と考えることができます。
3. 負債比率の目安
一般的に負債比率が100%以下であれば、企業の財務状況は良好とされています。
以下に負債比率の目安と負債比率ごとの財務状況を示します。
負債比率 | 財務状況 |
101%~300% | 標準的で健全な財務状態である。 |
301%~600% | 300%以下への改善を目指す必要がある。 |
601%~900% | 返済に問題が生じる可能性あり、早急な財務状況の改善が必要となる。 |
901%以上 | 倒産の可能性があるため、負債比率の引き下げが必要となる。 |
通常、負債比率が100%以下の企業であれば、経営の安定性は高いとされており、基本的に自己資本で負債の返済ができます。しかし、負債比率は、企業の業種や状況によって期待される水準が異なることについて注意する必要があります。
たとえば、出店などによる多額の初期投資が必要な業界や、事業を立ち上げたばかりの企業の場合、借り入れ比率が高くなり、負債比率が高くなることが想定されます。
負債比率を企業の財務状況把握に活かすためには、同業種内における他社との比較なども重要となります。
3-1. 負債比率は低ければ低いほど良い?
先ほど負債比率が100%以下であれば、企業の財務状況に問題がないとの紹介をしましたが、必ずしも負債比率が低いということが企業に良い影響をもたらすとは限りません。
負債比率が低いということは、事業に使える資金が少ないということも意味しています。そのため、先行投資が必要な事業の場合には、負債比率の低さが逆に不利となってしまう場合もあります。
4. 負債比率が高い場合に考えられる問題点
負債比率が高い場合、考えられる問題点として以下の2つが挙げられます。
4-1. 金利を負担することによる収益力低下
まず1つ目の問題点として挙げられるのが、返済のための金利を負担することで発生する収益力の低下です。
借入金がある場合には、どうしても金利の負担が生じるため、製造原価や仕入れ価格が同額の競合他社との間で収益力に差が出ることは否めません。借入金の返済に追われることが、競争力の低下につながってしまう可能性もあります。
4-2. 設備投資や新製品開発へのリスク
2つ目の問題点として、設備投資や新製品開発を行うにあたってのリスクが生じやすいという点が挙げられます。
借入金での返済義務が想定される場合、設備投資や新製品の開発投資が思うように進まない可能性も高くなります。とくに、設備投資や新製品の開発は資金の回収に時間がかかるため、負債比率が高ければ高いほど、企業側も手を出しにくい面があります。
5. 負債比率の改善方法
負債比率が高い場合には、負債比率を低下させるよう改善を行う必要があります。仮に改善を行わない場合、倒産の可能性も否定できません。
ここでは、負債比率を改善するための方法として、以下2つを紹介します。
5-1. 自己資本を増やす方法
負債比率を改善する1つ目の方法として挙げられるのが、自己資本を増やす方法です。自己資本を増やすと負債の割合が小さくなるため、負債比率は改善します。
自己資本を増やすには、株主割当増資(現在の株主に対し新規株式を発行する)と第三者割当増資(特定の第三者に新規株式を発行する)の2つの方法があります。
ただし、これらの方法をとる場合、実際に株式の買い手がつくのか、また株主の議決権について問題ないかを十分に考慮に入れたうえで検討する必要があります。
5-2. 負債を減らす方法
負債比率を改善する2つ目の方法として挙げられるのが、負債を減らす方法です。
負債を減らすには、利益を出し負債分を返済する方法のほか、未使用の土地や建物など使っていない資産を売却した資金で返済する方法の2つがあります。
利益を出すには、単価や客数を上げて売上を上げる方法のほか、変動費や固定費を下げる方法をとって利益率を上げなければなりません。
利益率を上げると、利益分を返済にあてられるため、負債比率を改善することが可能です。
6. 負債比率は企業の経営状態を知るための指標となる
企業の自己資本に対する負債の割合を示す負債比率は、企業の経営状態を知る上でも大切な指標です。負債比率を知ることにより、企業の経営状態が安定しているのかどうかを把握することができます。基本的に負債比率が低ければ低いほど安定した経営をしているとされているため、負債比率が100%以下であれば健全な財務状況にあると考えてよいでしょう。
しかし、業種や企業の置かれている状況によっては、目安の水準通りにはいかないという点も意識しておかなければなりません。負債比率を経営に活かすには、同業他社との比較も必要です。
なお、経営に影響を及ぼすほど負債比率が高い場合には、負債比率の改善をはからなければなりません。負債比率を改善するには、「自己資本を増やす」もしくは「負債を減らす」いずれかの方法をとる必要があります。
負債比率が高すぎる場合は、本記事で紹介した内容を参考に、負債比率の改善をはかるべく、事業の見直しを進めることをおすすめします。
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