繰延資産とは?固定資産との違いや仕訳・償却方法を詳しく解説 - ジンジャー(jinjer)| クラウド型人事労務システム

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繰延資産とは?固定資産との違いや仕訳・償却方法を詳しく解説

繰越資産

繰延資産は賃借対照表の資産の部に表示する資産です。固定資産と混同されることも多い部分であるため、正しい理解が求められます。

この記事では、繰延資産の定義や会計上・税法上の分類を解説し、仕訳方法や償却方法を理解できるようにサポートします。

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1. 繰延資産とは?

はてな

まずは繰延資産がどのような資産なのか、賃借対照表における表示方法や固定資産との違いを知っておきましょう。

1-1. 支出効果が1年以上に及ぶ費用

繰延資産とは、費用として計上したもののうち、「支出の効果がその支出の日以後1年以上に及ぶもの」を表します。つまり、費用が発生した会計年度だけでなく、複数年度に渡って費用を償却できるものが繰延資産に該当します。たとえば、会社設立時にかかった創立費や、営業開始までに支出した開業費が繰延資産の一例です。

1-2. 賃借対照表の繰延資産の表示

繰延資産は賃借対照表の資産の部に表示します。ただし、下固定資産や流動資産とは別に区分する必要があります。

資産の部と負債の部それぞれに記載すべき項目は以下の通りです。

資産の部 負債の部

・流動資産

・固定資産

・繰延資産

・流動負債

・固定負債

・純資産の部
・純資産

1-3. 固定資産との違い

繰延資産と固定資産は、複数年度に渡って費用を償却できるという点でよく似ています。たとえば、固定資産は耐用年数に応じて取得価額を配分し、減価償却をおこなうことができます。

しかし、繰延資産と固定資産は異なる資産の区分です。繰延資産は「擬制資産(ぎせいしさん)」に分類されます。擬制資産とは、資産として分類されるものの、具体的な財産価値を持たない資産を指す会計学の言葉です。

建物・車両・機械設備などの例のように、固定資産は具体的な財産価値を持っています。一方、繰延資産は売却したり、譲渡したりして財産価値を生み出すことができません。たとえば、開業の際に借りた土地の賃借料(開業費)は、開業から5年間に渡って償却することができますが、開業費自体には財産価値はありません。このように繰延資産と固定資産は区別して考える必要があります。

2. 繰延資産の分類

手順

会計上、繰延資産は「創立費」「開業費」「開発費」「株式交付費」「社債等発行費」の5つに分類されます。会計上の分類とは別に税法上の分類もあります。企業会計で登場する頻度はあまり多くありませんが、税法上の5つの繰延資産についても知っておきましょう。繰延資産の分類を企業会計・税法の観点から解説します。

2-1. 会計上の繰延資産

会計上の繰延資産は5種類あります。なお、2007年4月1日の法人税法の改正により、「試験研究費」「社債発行差金」の2つが繰延資産から除外されています。会計上の繰延資産の分類と償却期間は以下の通りです。

  定義 一例 償却期間
創設費 会社の設立にかかった費用

定款の作成費用

会社設立登記の登録免許税

会社設立時の株式発行費用

など

会社設立から5年
開業費 開業準備にかかった費用

土地や建物の賃借料

開業時の宣伝費用

開業時に支払った給与など

営業開始から5年
開発費株式交付日

新技術の開発や新規市場開拓に必要な費用

ただし、毎年発生する経常利益は除外

新技術の開発にかかる費用

新規市場開拓の費用

経営組織の刷新にかかる費用

支出が発生してから5年
株式交付費 新株の発行や自己株の処分にかかる費用

株式募集にかかる広告費

金融機関や証券会社に支払う手数料

募集株式発行にかかる登録免許税など

株式の発行から3年
社債等発行費 社債券等の発行にかかる費用

社債募集にかかる広告費

金融機関や証券会社に支払う手数料

投資家に交付する目論見書の印刷費など

社債発行から3年

参考:繰延資産の意義及び範囲等|国税庁

参考:繰延資産の償却期間|国税庁

2-2. 税法上の繰延資産

会計上の5つの繰延資産のほかにも、所得税法では5種類の繰延資産が定義されています。国税庁のホームページより、税法上の繰延資産の種類や具体例を引用します。

  一例
公共的施設等の負担金

公共施設(道路・堤防・護岸・その他の公共的施設など)の設置や改善・修繕などにかかる費用

共同施設(関係する協会・組合・商店街などが保有する施設など)の設置や改善・修繕などにかかる費用

資産を賃借するための権利金等

建物を賃借するために発生する権利金など

電子計算機やその他の機器の賃借に発生する費用

役務の提供を受けるための権利金等 ノウハウの頭金など
広告宣伝用資産を贈与した費用 広告宣伝用の資産(看板・ネオンサイン・陳列棚・自動車など)を贈与した際に発生する費用
その他の便益を受けるための費用 スキー場のゲレンデ整備威容
団体や組合への加入金
各種契約金など

参考:繰延資産の意義及び範囲等|国税庁

3. 繰延資産の仕訳方法

前払い 費用

繰延資産の会計処理を行う場合の勘定科目は以下の通りです。貸借対照表と損益計算書で使用する勘定科目が異なる点に注意しましょう。また、税法上の繰延資産は「繰延資産」「繰延資産償却」の勘定科目ではなく、会計実務上は「長期前払費用」「長期前払費用償却」の勘定科目を使うことが一般です。

  賃借対照表の勘定科目 損益計算書の勘定科目
会計上の繰延資産

繰延資産

(創設費・開業費・開発費・株式交付費・社債等発行費も可)

繰延資産償却

(開発費は販管費に、それ以外は営業外費用も可)

税法上の繰延資産 長期前払費用

長期前払費用償却

(減価償却も可)

4. 繰延資産の償却方法

パソコン

続いては繰延資産の償却方法を解説していきます。前述した仕訳方法と合わせて理解し、正しく管理・計上しましょう。

4-1. 繰延資産の償却方法の違い

繰延資産の償却方法は、償却期間で均等に費用を配分する「均等償却」と、即時償却する「任意償却(一時償却)」の2種類があります。創立費・開業費・開発費・株式交付費・社債等発行費の5つの繰延資産は、発生時点で任意償却することも可能です。

4-2. 創立費を均等償却する場合

それでは、実際に創立費の仕訳処理を行ってみましょう。会社の設立にかかった費用として、100万円を均等償却するケースを想定します。創立費の会計上の償却期間は、会社設立から5年間です。繰延資産の償却は月割で行うため、毎年の償却額は次の計算式で求められます。

100万円÷(12ヶ月×5年)×5年=20万円

帳簿には以下の通り記帳しましょう。

借方 金額 貸方 金額
創設費償却 200,000円 創設費 200,000円

4-3. 開業費を一時償却する場合

開業費は費用が発生した時点で任意償却(一時償却)することができます。営業開始までにかかった費用として、現金100万円を任意償却するケースを想定します。開業費の仕訳処理は以下の通りです。

借方 金額 貸方 金額
開業費 1,000,000円 現金 1,000,000円

4. 繰延資産は複数年度の償却が可能!仕訳方法や償却方法を理解しよう

理解

繰延資産は、費用として計上したもののうち、支出の効果が複数年度に及ぶものを指します。繰延資産には会計上の分類と税法上の分類があります。たとえば、会計上の分類として、創立費・開業費・開発費・株式交付費・社債等発行費の5種類があります。繰延資産は複数年度に渡って費用を償却することが可能です。

繰延資産の仕訳に使う勘定科目や、均等償却・均等償却の2つの償却方法を理解して正しく処理をしましょう。

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jinjer Blog 編集部

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