法人成りのベストなタイミングやインボイス制度の影響について | jinjerBlog

法人成りのベストなタイミングやインボイス制度の影響について

スーツの男性

法人成りとは、個人事業主が法人化することをいいます。今回のインボイス制度導入によって、法人成りにも影響が及ぶことが想定されています。法人成りを今検討している方は、どのような影響が及ぶのか事前に知っておいた方が良いでしょう。本記事では、インボイス制度の影響や法人成りにベストなタイミングについてまとめています。

1.法人成りを検討している人へのインボイス制度の影響とは

物事を決める様子

インボイス制度が法人成りに及ぼす大きな影響は、消費税納税の2年間の免除期間にあると言えるでしょう。
これだけでは、ぱっとイメージがつかないかと思いますので、もう少し掘り下げて説明します。
消費税納税は、前々年度(個人の場合は前々年)の課税売上高が1,000万円を超えた場合、納税が課される仕組みとなっています。
法人成りした場合は、消費税納税の可否は法人化した時点からの売上高で判断されるため、法人成りする過去2年間の売上高は課税対象に含まれない形になるのです。
つまり、法人成りしてから2年間は、消費税を納税しなくても良いということになります。
上述の条件に該当しなければ、2年間は消費税の納税義務を免れ、自社の売上に計上することができます。

しかし、ここで問題となるのがインボイス制度です。インボイス制度では、適格請求書を発行できる事業者は、課税事業者に限定されています。
つまり、消費税納税を免除されている事業者は、適格請求書を発行することができないのです。
適格請求書は、仕入税額控除を受けるために保存が義務付けられている証憑です。
もし、適格請求書が発行できないとなると、取引先が仕入税額控除を受けられなくなり、場合によっては契約を打ち切られる可能性もあります。
そのため、インボイス制度導入後はこの免税期間を享受できず、やむなく消費税を納税せざるを得ない状況となるケースもでてくるのです。

2.法人成りのベストなタイミング

カレンダー

法人成りを検討するのに最適なタイミングとして「利益額増加」「消費税納税」「社会的信用力」の3つをあげることができます。法人成りのタイミングとしてなぜ相応しいのか、次に詳しくみていきましょう。

2-1.利益額増加によるタイミング

個人事業主は、所得の金額に応じた所得税を支払わなくてはいけません。
所得税の税率は、195万円以下の場合は5%、195万円超330万円以下の場合は10%、330万円超695万円以下の場合は20%といったように、所得額が大きくなるにつれ税率が段階的に上がる超過累進税率となっています。
一方、法人が支払わなくてはいけない法人税は、資本金が1億円以下である場合は、利益が800万円以下の部分は15%、800万円超えた部分は23.20%と税率が一定額で固定される比例税率となります。

一般的に、法人成りを検討する所得額の目安として、800万円を超えた辺りとされています。
理由は、800万円にかかる所得税率は23%であるため、法人税の方が税率が低くなるためです。
ただし、所得控除や事業以外の収入などによって、必ずしも800万円を超えたらベストなタイミングであると言い切れませんので、法人成りを検討する際には上記の点も踏まえて、顧問税理士に相談することをおすすめします。

2-2.消費税納税によるタイミング

消費税納税の義務が生じるタイミングで、法人成りを検討するのもひとつの手です。
先述でも解説しましたが、前々年度(個人の場合は前々年)の売上高が1,000万円を超えると消費税を納税しなくてはなりません。
しかし、このタイミングで法人成りすれば、過去2年間の売上は課税売上としてはみなされないため、消費税の納税を2年間先送りすることができるのです。
ただし、以下の条件に該当する場合は消費税を納税しなくてはなりませんので、注意が必要です。

・資本金が1,000万円以上である
・設立初年度の前半期6ヶ月の売上高が1,000万円以上である
・給与の支払額が1,000万円を超える

また、先述でも解説したインボイス制度の影響もありますので、消費税納税のタイミングで法人成りを検討する場合は、取引先との関係も考慮した上で判断した方が良いでしょう。

2-3.社会的信用力を得るタイミング

法人化することは、社会的な信用を得ることができるため、資金調達や取引を円滑に進めやすくなるといったメリットがあります。
たとえば、銀行から融資を受ける際であっても、個人では審査が通らない場合でも、法人であれば貸借対照表など会計資料の提出によって審査が通りやすいといった利点があります。
他にも、自社の方針で個人事業主とは取引をしないといった企業も世の中には存在します。
そういった企業も、法人成りすることで今後取引してもらえる可能性が高まります。
事業が軌道にのり、今後さらに拡大していくことを視野に入れているならば、法人成りのタイミングとしては最適かもしれません。

3.法人成りを見送るべき人の特徴

悩んでいる男性

前述では、法人成りを検討した方が良いタイミングについて紹介しました。ここでは逆のケースで、法人成りを見送るべき人の特徴について2つ紹介します。

3-1.業務負担を増やしたくない人

営業活動や事務作業でマンパワーが足りず多忙を極めている方は、法人成りについて見送った方が良いかもしれません。
法人を設立する場合は、会社の基本規約でもある定款を作成し、公証役場に行って認証を受けた後、法務局で法人登記しなくてはなりません。

会社設立に関しての知識があれば、これらの作業もスムーズにいくでしょうが、そうでなければかなりの作業量となってしまうでしょう。
また、法人を設立した後も、法人税の申告書作成など経理業務も煩雑化することが想定されます。
これらの手続や業務を専門家に委託するといった方法もありますが、そうすると今度は費用の負担が発生します。
資金に余裕があれば法人成りを検討するのも良いかもしれませんが、そうでなければ慎重に検討した方が良いでしょう。

3-2.経費の負担増を避けたい人

運転資金に余裕がなく経費の負担増を避けたい方も、法人成りを控えたほうが良いでしょう。
法人成りした場合、収支が赤字であったとしても法人住民税を納めなくてはならず、年間で7万円の支払が生じるのです。

また、社会保険加入も義務付けられます。社会保険料は会社と社員の折半となるため、これにより人件費が増加します。
個人事業主の場合は、従業員が4人以下であれば社会保険料に加入しなくても良いことになっています。
しかし、法人では従業員数に関係なく、社会保険に必ず加入しなくてはいけないのです。
このように、法人成りによって強制的に発生する費用がありますので、運転資金に余裕が無い場合は、法人成りを見送ることが無難であると言えます

4.インボイス制度の影響も考慮しながら法人成りのタイミングを見極めよう

指を差す男性

法人成りすることで2年間の消費税免税期間が生まれますので、消費税納税の義務が生じるタイミングで法人成りするのがベストなタイミングであると従来は言われてきました。
しかし、2023年10月1日よりインボイス制度が導入されることによって、必ずしも前述のタイミングがベストであるとは言えなくなってしまったのです。
今後は、インボイス制度によって生じる取引の影響も考慮しながら、法人成りのタイミングを図る必要があるでしょう。

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