業務委託費に該当する費用や仕訳方法について詳しく紹介
更新日: 2023.9.1
公開日: 2022.10.13
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業務の一部を外注したり、アウトソーシングしたりするときに支払う費用が「業務委託費」です。製造業界や建設業界などでは、業務委託費ではなく「外注工賃」と呼ばれる場合があります。
業務委託やアウトソーシングの報酬のほかにも、弁護士などの専門家への支払報酬や、報酬を振り込むときの支払手数料(銀行手数料)も業務委託費として計上できます。
この記事では、業務委託費に該当する費用や、仕訳するときのポイントを詳しく解説します。
1. 業務委託費とは?
業務委託費は業務の一部を他社に委託する対価として支払う費用です。
個人事業主が作成する青色申告決算書では、業務委託費ではなく「外注工賃」という勘定科目が使われます。従業員に支払う給与と違い、「仕入税額控除の対象となる」「固定費ではなく、流動経費として計上できる」といったメリットがあります。
業務委託費の定義や、企業の経理担当者が知っておくべき知識について解説します。
1-1. 業務委託は外部の個人や法人に業務を委託すること
そもそも業務委託とは、外部の個人や法人に業務の一部を委託することを指します。業務委託の例として、相手方が成果物の完成責任を負う「請負契約」や、仕事の成果にかかわらず業務そのものを委託する「委任契約(準委任契約)」が挙げられます。
1-2. 業務委託費は業務を委託した相手に支払う報酬のこと
業務委託費とは、業務の一部を委託した個人や法人に支払う報酬のことです。業務委託費のほか、外注費や外注工賃と呼ばれる場合があります。
業務委託費と従業員に支払う給与との違いは、雇用契約の有無です。業務委託の場合、業務を委託する相手との間に直接的な雇用関係がありません。ただし、見かけ上業務を委託する契約であっても、以下の条件を総合的に考慮し、業務委託費ではなく給与とみなされる場合があります。
“(1)他人が代替して業務を遂行すること又は役務を提供することが認められるかどうか。
(2)報酬の支払者から作業時間を指定される、報酬が時間を単位として計算されるなど時間的な拘束(業務の性質上当然に存在する拘束を除く。)を受けるかどうか。
(3)作業の具体的な内容や方法について報酬の支払者から指揮監督(業務の性質上当然に存在する指揮監督を除く。)を受けるかどうか。
(4)まだ引渡しを了しない完成品が不可抗力のため滅失するなどした場合において、自らの権利として既に遂行した業務又は提供した役務に係る報酬の支払を請求できるかどうか。
(5)材料又は用具等(くぎ材等の軽微な材料や電動の手持ち工具程度の用具等を除く。)を報酬の支払者から供与されているかどうか。”
[引用]大工、左官、とび職等の受ける報酬に係る所得税の取扱いについて(法令解釈通達)|国税庁
業務委託費の会計処理には、委託先の領収書や請求書、預金通帳の写しなどの証憑書類が必要です。会計処理のミスや漏れをなくすため、委託先から受け取った書類を大切に保管しておきましょう。
1-3. 業務委託費は原則として源泉徴収しなくてよい
業務委託費は給与所得ではないため、原則として所得税を源泉徴収する必要がありません。ただし、所得税法204条により、委託先が法人ではなく個人の場合は源泉徴収が必要なケースがあります。[注1]
・原稿料や講演料など
・弁護士、公認会計士、司法書士等の特定の資格を持つ人などに支払う報酬・料金
・社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
・プロ野球選手、プロサッカーの選手、プロテニスの選手、モデルや外交員などに支払う報酬・料金
・映画、演劇その他芸能(音楽、舞踊、漫才等)、テレビジョン放送等の出演等の報酬・料金や芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬・料金
・ホテル、旅館などで行われる宴会等において、客に対して接待等を行うことを業務とするいわゆるバンケットホステス・コンパニオンやバー、キャバレーなどに勤めるホステスなどに支払う報酬・料金
・プロ野球選手の契約金など、役務の提供を約することにより一時に支払う契約金
・広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金
2. 業務委託費に計上できる費用
業務委託費に計上できる費用として、委託先に支払う「支払報酬」や「業務委託料」、銀行手数料などの「支払手数料」などが挙げられます。また、人材派遣会社に支払う人材派遣料や、下請工事などを依頼したときの工賃も業務委託費として計上することが可能です。
・業務委託やアウトソーシングをおこなうときの業務委託料
・人材派遣会社を利用したときの人材派遣費や人材派遣料
・弁護士や税理士などの専門家への支払報酬
・外部のコンサルタントに支払う料金
・下請や加工を依頼したときの下請費(下請工賃)や加工費(加工賃)
・委託先に報酬を振り込むときの銀行手数料
ただし、人材派遣サービスを利用する場合、会計上の混乱を避けるため、業務委託費よりも「人材派遣費」や「人材派遣料」の勘定科目を使うことが一般的です。
同様に、製造業などで下請や加工を依頼する場合、「下請費(下請工賃)」や「加工費(加工賃)」の勘定科目で処理することで、その他の業務委託費と区別できます。
3. 業務委託費の仕訳例・仕訳方法
業務委託費の具体的な仕訳例として、以下の3点を紹介します。
・清掃業務を委託するケース
・コンサルタントに報酬を支払うケース
・Webデザインを個人に依頼するケース
前述の通り、委託先が個人の場合、所得税の源泉徴収が必要なケースがあります。3つの仕訳例を参考に、業務委託費の正しい会計処理を確認しましょう。
3-1. 清掃業務を委託する場合の仕訳例
清掃業務を他社に委託し、毎月20万円の業務委託費を現金で支払う場合の仕訳例です。業務委託費は課税取引のため、10%(標準税率)の消費税を「仮払消費税等」として計上します。
3-2. コンサルタントに報酬を支払う場合の仕訳例
外部のコンサルタントに対し、報酬として200万円の業務委託費を普通預金で振り込む場合の仕訳例です。なお、銀行振込の手数料が500円とします。通常は「支払手数料」の勘定科目を用いますが、少額の場合は「雑費」でも問題ありません。
3-3. Webデザインを個人に依頼する場合の仕訳例
Webデザインを個人事業主に委託し、報酬として10万円を支払う場合の仕訳例です。Webデザインを個人に委託する場合、所得税の源泉徴収が必要なため、10万円×10.21%=10,210円を差し引いた89,790円を支払います。源泉徴収する10,210円は、「預り金」の勘定科目で計上します。
4. 業務委託費として計上可能な費用や正しい仕訳方法を確認しよう
業務委託費は、業務の一部を委託したりアウトソーシングしたりする際に支払う費用です。例えば、業務委託契約や請負契約を締結する際に、勘定科目として業務委託費を計上します。
業務委託費として計上可能な費用には、支払報酬や業務委託料、支払手数料などがあります。この記事で紹介した仕訳例を参考に、業務委託費の正しい仕訳方法を確認しましょう。
[注1] No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは|国税庁
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