領収書スキャンのやり方!原本の保管の必要性やスキャナ保存の要件を解説
更新日: 2024.10.7
公開日: 2024.3.18
jinjer Blog 編集部
電子帳簿保存法の要件を満たしていれば、領収書はスキャナだけでなく、スマートフォンなどでも読み取れます。 同法が令和4年1月1日に改正されたため、以降の領収書はスキャンし次第原本の破棄が可能となりました。
この記事では、電子帳簿保存法に則った領収書のスキャン方法、緩和された保存要件、スキャン保存の注意点を解説します。
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1. 領収書をスキャンする方法
電子帳簿保存法に適した方法で領収書をスキャンするためには、要件に適した機器の把握や実際の読み取り方法の理解が必要です。
1-1. 電子帳簿保存法の要件を満たしたスキャナを選ぶ
電子帳簿保存法に適した方法で領収書をスキャンするためには、下記の要件を満たした機器を使う必要があります。
- 解像度が200dpi以上であること
- 赤・緑・青の階調がフルカラー24ビット以上であること
これらの要件に適合していれば、下記のようにどの機器を使って領収書を読み取ってもかまいません。
- 原稿台と一体になったスキャナや複合機
- スマートフォン
- デジタルカメラ
平成28年9月30日以前は原稿台と一体になったスキャナなどでしか領収書の読み取りを認めていませんでした。しかし、法改正により、現在ではスマートフォンなどによるスキャンも認められています。
1-2. 領収書をスキャンする
領収書原本と同程度に明瞭であれば、どのような読み取り方法でも問題ありません。たとえば、スキャナに領収書を読み込ませたり、スマートフォンのアプリを使って読み取ったりする方法などがあります。
また、領収書が電子メールで送られてきたときは、スクリーンショットによる保存でも問題ありません。
1-3. カラーやサイズの要件
なお、スキャン方法は、カラーだけでなく、白黒(グレースケール)でもかまいません。また、スキャナの読み取りサイズよりも大きい領収書では、複数回に分けても問題ありません。
1-4. 領収書の保存要件
令和4年1月1日以降は、下記がスキャンした領収書の保存要件となります。
- 改ざん防止のための措置をとる
- 日付と金額、取引先でそれぞれ検索できるようにする
- ディスプレイやプリンタで実際に領収書を見られるようにする
改ざん防止の方法としては、タイムスタンプの付与や、履歴が残るシステムでの授受や保存、ほかに、改ざん防止の事務処理規定を定めるなどが該当します。
また、検索方法は専用の保存ソフトを導入する以外に表計算ソフトで検索簿を作る、規則性のあるファイル名で保存するなどです。税務調査の際、すぐに該当の書類を出力できるのであれば、これらの方法でもかまいません。
2. 領収書スキャンの規制緩和の概要
電子データで受領した領収書は、本来、令和4年1月1日より電子保存が義務化される予定であったものの、令和5年12月31日まで猶予期間が設けられました。とはいえ、領収書は税務調査の際、速やかに提出できるように整えることが求められています。
令和4年1月1日以降に保存する領収書は、改正電子帳簿保存法が適用されます。以下のように保存要件が大きく緩和されました。
2-1. 税務署長の事前承認制度の廃止
これまで、領収書のスキャナ保存を導入する際は、開始する3カ月前に管轄の税務署に申請書を提出する必要がありました。法改正により、事前承認制度が廃止されたため、機器が揃っていればすぐに電子保存できるようになりました。
2-2. タイムスタンプの要件緩和
タイムスタンプは下記の要件が緩和されています。
- 付与期間が3日以内から、最長2カ月と7営業日以内に緩和された
- 国税関係書類への自著が不要になった
タイムスタンプに代える方法として、訂正や削除の履歴が確認できる、または、訂正や削除ができないといったクラウドの利用が認められました。
2-3. 記録が必要な検索項目が3つに変更
以前は領収書の取引年月日や勘定科目などの記録が必要であったものの、法改正により、記録項目が「取引年月日」「取引金額」「取引先」のみに限定されました。また、スキャナ保存された領収書を税務調査の際、すぐに提示できるなら下記のように保存する必要もありません。
- 日付または金額の範囲指定で検索ができること
- 2つ以上の項目を組み合わせた条件で検索ができること
2-4. 適正事務処理要件の廃止
適正事務処理要件とは、関連する事務をそれぞれ別の者がおこなう「相互けん制」、事務処理内容の「定期的な調査」、不備があった際の報告及び原因究明による「再発防止」の3つを指します。
法改正により、これらの適正事務処理要件を社内規定で定め、則る必要がなくなりました。そのため、電子帳簿保存に係る事務処理は、今後は一人の担当者のみで対応が可能です。
3. スキャンした領収書の原本は必要?
令和4年1月改正後の電子帳簿保存法を適用するなら、読み取った後の領収書原本はすぐに破棄して問題ありません。改正前は適正事務処理要件の相互けん制が必要であったため、読み取る担当者とは別の担当者による原本と読み取り内容との突合作業が必要でした。
しかし、改正により、適正事務処理要件が廃止となったため、文字の見切れなどの問題がなければ、すぐに原本は破棄してかまいません。
4. 領収書をスキャンする際の注意点
改正法前の承認は効力が継続するため、取り止めを届け出なければいけません。また、電子保存したデータの改ざんには、罰則として、追徴課税制度が設けられました。
4-1. 改正後の保存要件を適用するには以前の承認の取り止めが必要
改正前の電子帳簿保存法では、スキャン保存をする際、事前に税務署へ届け出なければいけませんでした。この届出は、法改正以降も有効であるため、新しい要件で領収書を保存したい場合、管轄の税務署に「国税関係帳簿書類の電磁的記録等による保存等の取りやめの届出」の提出が必要です。
なお、領収書は改正前、改正後、どちらの保存方法に則っても問題はないため、引き続き法改正前の方法で保存を続けてもかまいません。その場合は、上記届出の提出は不要です。
参考:[手続名]国税関係帳簿書類の電磁的記録等による保存等の取りやめの届出|国税庁
4-2. データ改ざんのような不正行為には重加算税が課税される
改正電子帳簿保存法では、データの改ざんなどの不正に対して、重加算税の加重規定も新設されました。たとえば偽装された電子領収書により経費を過剰申告していた場合、通常の罰則35%と、電子データの偽装によるペナルティ10%、計45%の重加算税の支払いが必要です。
隠ぺいする意図はなかったとしても、本来破棄すべき領収書を誤って読み取り、保存していたなどの事務処理ミスも考えられるため、事前に業務フローを整えましょう。
5. 領収書はスキャン保存を活用し業務を効率化しよう
令和4年1月1月の電子帳簿保存法改正により、紙の領収書のスキャン保存が容易になりました。今まで読み取った後も保管が必要だった原本も、スキャンし次第破棄できるようになったため、今まで以上に業務の効率化に役立ちます。
また、電子帳簿保存法に則り領収書を保存するためには、タイムスタンプの付与や、改ざんできないシステムの導入が必要です。自社にあった方法で対応を進めましょう。
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