領収書の役割とは?いつ使うもの?意味や定義、書き方を解説!
更新日: 2024.10.7
公開日: 2024.7.12
jinjer Blog 編集部
「領収書とはどんなもの?役割は?」
このように経理担当者になって日が浅い方や、経理業務の基礎知識を付けたい方に向けて、領収書の意味や定義を解説します。
実際に領収書の書き方や保管方法、注意点まで詳しく説明していますので、領収書についてや領収書の取扱いについて知りたい方は参考にしましょう。
2023年からのインボイス制度の施行にともなって、領収書やレシートもインボイス制度に適切に対応しなければなりません。
とはいえ、「そもそも内容が複雑で難しい…」「情報収集したけど、いまいち理解できてない」「対応するために、具体的になにをしたらいいのかわからない」などお悩みの方もいらっしゃるでしょう。
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1. 領収書の定義とは?
領収書とは、辞書によると「金銭を受け取ったしるしに書いて渡す書き付け」と定義されています。また、国税庁のホームページの「No.7105 金銭又は有価証券の受取書、領収書」には、下記のように記載されています。
金銭又は有価証券の受取書や領収書は、印紙税額一覧表の第17号文書「金銭又は有価証券の受取書」に該当し、印紙税が課税されます。受取書とはその受領事実を証明するために作成し、その支払者に交付する証拠証書をいいます。
したがって、金銭のやり取りが生じたという事実が把握できれば、レシートや領収証、預り書、請求書、納品書なども、領収書と同様に扱うことが可能です。
2. 領収書の役割
ここでは、領収書の役割について詳しく紹介します。領収書の役割は大きく2つあります。
2-1. 領収書の役割①:代金を支払ったことの証明
領収書には、確実に代金を支払ったことを確実に証明できるという役割があります。そのため、誤った二重請求があったとしても、領収書をきちんと管理していれば、適切に対応することが可能です。また、領収書は商品やサービスに対する代金を支払ったことの証拠として機能するため、過払いを未然に防止することができます。
たとえば、領収書を保管していなければ、代金の支払いを客観的に証明できないため、場合によっては、もう一度支払いをおこなわなければならないという恐れがあります。このように、領収書により、金銭のやり取りを客観的に証明できるため、トラブルを防ぐためにも、きちんと管理しておくことが大切です。
2-2. 領収書の役割②:経費精算での不正防止
領収書により、経費を精算する際の不正防止につなげることができます。経費精算において、領収書で管理していない場合には、内部不正が生じることもあります。たとえば、営業担当者が新幹線を利用したと申告し、実際は自動車で移動をおこなうことによって、交通費をごまかすことができてしまうリスクもあります。
従業員に経費精算をおこなう際には、領収書が必須であることを義務化することによって、内部不正を防止することが可能です。また、経費精算のときだけではなく、確定申告や税務調査などのときでも、領収書によって必要な経費であったことをきちんと証明することができます。
3. 領収書と領収証、どちらが正しい?
領収書と似た言葉に、「領収証」があります。領収書と領収証は、ほとんど同じような意味合いで用いられており、基本的にどちらの用語を使用しても問題ありません。民法上では、領収書と領収証の両者ともに「受取証書」として扱われます。
また、辞書によっては、「領収書」の定義に「領収証」と記載されていることもあります。さらに、国税庁の記載によると、領収証は領収書のなかに含まれているように解説しており、領収証は領収書の一種と考えることもできるでしょう。
違いを挙げるならば、領収書は、漢字にもあるように、書類の意味合いが強くなります。一方、領収証は、証明するものという意味合いが強くなります。
4. 領収書とレシートの違いとは?
レシートとは、辞書によると「受取証。領収書。特に、レジスターで領収金額などが印字された紙片。」と定義されることがあります。そのため、レシートも領収書の一種として考えることができます。
ただし、原則として、領収書には宛名が記載されますが、レシートには宛名は記載されません。経費精算において、宛名のみで領収書の有効性が決まるわけではないため、レシートでも代金を支払ったという証明がきちんとできれば、領収書として機能させることができます。
また、領収書では、宛名に「上様」と記載したり、宛名を記載しなかったりするといったケースがあります。また、内容に「お品代」と記載されており、領収書から具体的な購入物を把握できないケースもあります。
一方、レシートでは、基本的に購入した商品やサービスが記載されており、改ざんも起こりにくいため、信頼性の高い書類として扱われることもあります。
このように、領収書よりもレシートのほうが、信頼性が高くなる可能性もあるため、領収書を扱う場合には、必要事項が満たされているかどうかをチェックすることが大切です。また、レシートでは感熱紙が用いられることが多いため、内容が消えないように適切に保管することが重要といえます。
5. 領収書の書き方・使い方
ここでは、領収書の書き方や使い方について詳しく紹介します。
5-1. 領収書に必要な項目
領収書に必要な項目について気になる方がいるかもしれません。領収書を作成するうえで、金銭の受け取りを客観的に証明できるように記載することと、改ざんを防止するための措置を取ることに気を付ける必要があります。そのため、消費税法の観点も含め、領収書に必要な記載項目は下記の通りです。
- 宛名
- 金額
- 日付
- 但し書き
- 収入印紙
- 発行者の氏名・住所
領収書に必要な項目の書き方や使い方については、それぞれ注意点があります。ここからは、それぞれの項目について具体的に解説します。
5-2. 宛名を書く
宛名を書く際には、支払者に確認をおこない、支払者の氏名もしくは、企業名を正式名称で記載します。たとえば、「株式会社」を「(株)」と省略せずに、企業の正式名称を記載するようにしましょう。
また、宛名には、「上様」と記載する商習慣があり、支払者から「上様」で記載するように頼まれることがあります。「上様」と記載することで、領収書の証拠力が直ちに失われることはありません。しかし、税務調査など、第三者による領収書のチェックがあった場合に、事実関係が把握できず、領収書が無効になることもあるかもしれません。
このように、領収書の証拠力を高めるために、宛名にはできる限り「上様」などの表現は避け、正式名称で記載することが大切です。
5-3. 金額を記載する
金額を書く際には、受け取った代金の税込み金額を記載します。また、3桁ごとに桁を区切る「,」を打ちます。さらに、改ざんを防ぐ目的で、先頭には「\」「¥」「金」、末尾には「-」「※」「也」を付けましょう。なお、金額の先頭に「金」を使用する場合には、末尾には「也」を使用します。そして、内訳欄には、税抜金額と消費税額を記載します。最後に、金額の間違いがないか、確認をおこなうことが大切です。
5-4. 日付を記載する
金銭の受け取りの事実を客観的に証明するために、日付は金銭の授受がおこなわれた日付を記載します。領収書が発行された日を「日付」として記載されているケースもあり、金銭の受け渡しがおこなわれた日とズレている可能性もあるため、注意が必要です。
5-5. 但し書きを記入する
但し書きとは、どのような商品やサービスに対して金銭のやり取りがおこなわれたかを表記するためのものであり、具体的に記載することが大切です。
内容を記載するのが難しいときに「お品代」という表現を用いることがありますが、この表記では「何」に対して金銭の授受がおこなわれたのかが明確ではないため、場合によっては領収書が無効となる恐れもあります。そのため、「飲食代として」「旅費交通費として」「研修費として」など、具体的に記載することが重要です。
5-6. 収入印紙を貼り付ける
領収書の金額が5万円以上の場合には、印紙税を納める必要があります。そのため、領収書には、売上金額に応じた収入印紙を貼り付けなければなりません。なお、5万円未満の場合には、収入印紙は不要です。
そして、金額の判断については、税込の金額のみ記載している場合には税込額で、内訳欄を用意して消費税額と区別して記載している場合には税抜金額で判断します。
収入印紙が必要な領収書に貼り付け忘れると、本来の納付額の3倍の過怠税が課せられます。なお、収入印紙の貼り付けが必要であったことに後から気づき、所轄税務署長に申し出れば、過怠税は本来の納付額とその10%に相当する金額との合計額となり、減額される可能性もあります。
6. 領収書の控えはどうすべき?
領収書は、金銭を受け取った側が発行し、支払った側が受け取ります。そのため、領収書の控えが管理されていないと、金銭を受け取った側は、領収書を発行したという記録が残りません。
領収書の控えは、金銭の授受に関する取引の大切な証拠の一つです。たとえば、取引相手から金額などの内容の誤りについて、後から申し出があったときに、領収書の控えがないと、事実確認ができないというリスクがあります。そのため、領収書の控えを作成しておくことは大切です。また、領収書の控えがあれば、スムーズに売上の確認をおこなうこともできます。
7. 領収書の保管方法
領収書には、保管期間が定められており、一定期間適切に管理しておく必要があります。保管期間は、法人と個人事業主で異なります。
法人の場合は、領収書を受け取った事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間保管する必要があります。なお、赤字が生じた事業年度については、領収書の保管期間は9年間もしくは、10年間となります。
個人事業主の場合は、原則として、確定申告を白色申告でおこなっている場合には5年間、青色申告でおこなっている場合には7年間、領収書を保管する必要があります。
このように、領収書は長期間にわたって保管する必要があります。そのため、月や年度ごとに封筒でまとめたり、取引先ごとにファイリングしたりするなど、自社にあった方法で管理するのがおすすめです。
8. 領収書を正しく理解して経費精算をおこなおう!
領収書とは、代金を支払ったことの証明や、経費精算での不正防止を目的に発行されるものです。領収証やレシートも領収書の一種であり、必要項目が記載してあれば、有効な領収書として扱うことができます。領収書の記載方法や保管方法には注意点があるため、ペナルティが課されたり、トラブルが生じたりしないように、正しい知識を身に付けて適切に管理することが大切です。
2023年からのインボイス制度の施行にともなって、領収書やレシートもインボイス制度に適切に対応しなければなりません。
とはいえ、「そもそも内容が複雑で難しい…」「情報収集したけど、いまいち理解できてない」「対応するために、具体的になにをしたらいいのかわからない」などお悩みの方もいらっしゃるでしょう。
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