退職所得申告書は誰が書く?書き方や提出方法などを解説 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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退職所得申告書は誰が書く?書き方や提出方法などを解説

退職金

「退職所得の受給に関する申告書」(退職所得申告書)は、退職金(退職手当等)を受け取る従業員が作成し、提出しなければならない書類です。しかし、従業員の中には、退職所得申告書に関する知識を持っていない可能性があるので、担当者は提出するように案内する必要があります。

退職所得申告書の提出は税法上義務付けられており、未提出のときは、退職金の控除が適用されず、全額に20.42%の所得税が課税されます。つまり、退職者の所得が引かれてしまうことになるため、適切な周知が必要となるのです。

本記事では、退職所得申告書について、また書き方や提出方法、注意点などを解説していきます。

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1. 退職所得の受給に関する申告書(退職所得申告書)とは?

書類に記入する様子「退職所得の受給に関する申告書」(以下、退職所得申告書)とは、退職手当から所得税を源泉徴収するために必要な書類です。退職所得申告書を提出することで、退職者は退職所得控除を受けられます。

退職手当は、退職金だけでなく「特定退職金共済からの一時金」「中小企業退職金共済からの退職金」など、退職時にもらえるすべての手当が該当します。

なお、退職所得申告書は所得税法第203条と所得税法施行規則第77条により提出が定められています。

参考:所得税法|e-GOV法令検索

参考:所得税法施行規則 | e-Gov 法令検索

1-1. 退職所得申告書の様式変更について

退職所得申告書は、国税庁のホームページからダウンロードすることができますが、退職者の勤務状況によって様式変更があるかもしれないので注意しましょう。

2022年1月1日から、退職手当に「短気退職手当等」が導入されています。旧様式の申告書には、短期退職手当等を記載する箇所がないため、新様式を使わなければなりません。

ただし、様式変更による旧様式と新様式の違いは「短期退職手当等」を記入する欄があるかないかです。そのため、短期退職に該当しない退職者の場合は、旧様式を使用しても問題ありません。

2. 退職所得の受給に関する申告書(退職所得申告書)の書き方

書類確認

退職所得申告書は、退職先の情報と退職金を受け取る従業員の情報(氏名・住所・個人番号など)の記載欄以外に、A~Eの5項目にわかれています。

退職者は、退職所得申告書を書き慣れているということはないので、簡単な記載項目であっても書き方がわからない場合もあります。このような場合は、担当者が説明できるのが理想なので、書き方をチェックしておきましょう。

参照:[手続名]退職所得の受給に関する申告(退職所得申告)|国税庁

2-1. A欄

A欄には、次の3つの記載事項を記入します。

①には退職日を書きましょう。

②は、退職理由を書きます。定年退職などであれば「一般」に丸をつけましょう。もし、在職中に生じた障害が原因で退職したときは「障害」に丸をつけます。
なお、退職する年の1月1日時点で生活保護を受けているときは、「有」に、受けていないときは「無」にそれぞれ丸をつけます。

③は、勤続期間と年数を書きます。「自 年 月 日」には入社日を、「至 年 月 日」には退職日をそれぞれ書きましょう。なお、勤続年数は年単位で、1年未満の端数は切り上げとなるため、勤続年数が「20年と3ヵ月」という場合には「21年」と記載します。

特定役員退職手当等の対象期間の有無に丸をつけ、有れば、上記と同じように書きます。さらに、特定役員等勤続期間と一般退職手当等の期間の重複の有無に丸をつけ、あれば期間を書きましょう。

2-2. B欄

退職者が、退職金を受ける年に他社等からも退職金を受けたことがあるときに書きます。

④には、退職金の支払いを受けた他社での勤続期間と年数を書きます。なお、「退職所得の源泉徴収票」などを受け取っている場合は、同票を確認して転記しましょう。

⑤には、③と④の勤続期間と年数を重複しないように書きます。

2-3. C欄

前年以前4年以内、または、退職金を受ける年に確定拠出型年金の老齢給付としての一時金を受けたことがあるときは14年以内に、退職金を受けたことがあるときに書きます。

⑥に、上記の退職手当を受ける計算の元となった勤続期間を書きましょう。

⑦には、③または⑤の期間の内、⑥と重複している勤続期間と年数を書きます。このうち、特定役員等勤続期間と重複する期間の有・無に丸をつけ、ある場合は、その期間も書きます。なお、⑦の勤続年数は切り捨てて書きましょう。

2-4. D欄

⑧⑨⑩⑪には、A欄とB欄に書いた勤続年数のうち、以前受け取った退職手当と通算している期間を書きます。なお、通算期間は全部だけでなく、一部でも書きましょう。
また、D欄の勤続年数も、1年未満の端数は切り上げではなく切り捨てとなるので間違えないようにしてください。

2-5. E欄

E欄は、B欄またはC欄に退職金があるときに書きます。
収入金額や源泉徴収税額、特別徴収税額などの記入も必要となるため、「退職所得の源泉徴収票」を確認するとよいでしょう。

また、支払者の所在地と名称は、それぞれ、B欄やC欄で退職金を支払った者の名称と住所を書きます。

3. 退職所得の受給に関する申告書(退職所得申告書)の提出方法

書類を提出

退職所得申告書は、退職金を受け取る前に提出をしなければなりません。提出しなかった場合、退職者には、退職所得に対して20.42%の税率による源泉徴収がおこなわれてしまいます。

とはいえ、企業によっては退職の手続きをする機会が少なく、どのような対応をしていいのかわからないこともあるかもしれません。

そこでここでは、退職所得申告書の提出方法や提出期限などを解説するので、退職者に対応できるようにしておきましょう。

3-1. 提出先

退職所得申告書は、退職手当の支払いをおこなう企業や団体に提出します。

そのため、退職金を受け取る従業員がいる場合は、会社に提出するように案内しましょう。また、その従業員が共済組合などからも退職金を受ける場合は、それぞれの団体にも提出するよう案内してください。

基本的には、会社から管轄の税務署に退職所得申告書を提出する必要はなく、自社で原本を保管します。保管年数は7年です。

3-2. 提出期限

退出期限は、退職金の支払いを受ける時までとなっていますが、一般的には退職前に会社に提出します。

支払者は、退職所得申告を受け取った後で源泉徴収税額の計算をおこなうため、回収時期は支払処理を始める時期など早めに設定するのがベストです。

3-3. 添付書類

申請者が、他所から退職手当の支払いを受けていない場合は、添付書類は必要ありません。
ただし、退職する年に他所から退職手当の支給を受けているときは、その分の「退職所得の源泉徴収票」を1部添付する必要があります。

また、退職所得申告書のA欄で「障害」に該当する人や生活扶助の有無で「有」に該当した人は、「障害者手帳のコピー」や生活保護決定通知書のコピーの添付が求められます。

4.「 退職所得の受給に関する申告書」の注意点

びっくりマーク

退職者は、退職所得申告書の提出をすることで退職所得控除を受けられます。提出しなかった場合は、20.42%の所得税が発生します。

また、海外に居住する従業員は同申請書の提出は不要ですが、税制上有利な課税方法の選択が可能です。

このように、提出をするしないで状況は変わるので、注意点をチェックしておきましょう。

4-1. 提出しないときは20.42%の所得税がかかる

退職所得申告書を提出しない場合、退職給付の全額に復興特別所得税を含む20.42%の所得税がかかり、源泉徴収されます。

なお、申告書を提出すると、以下の退職所得控除を受けられるため、課税退職所得を低く押さえることが可能です。

【退職所得の控除額】

勤続年数が20年を超える:800万円+70万円×(勤続年数-20年)
勤続年数が20年未満:40万円×勤続年数(左記が80万円に満たないときは80万円)

【退職所得の計算方法】

退職所得=(退職手当等の収入金額-退職所得控除額)×1/2

4-2. 提出を忘れたときは確定申告をする

退職所得申告書の提出を忘れた際は、従業員自身で確定申告をおこなうことで、過払い分の所得税の還付を受けられます。

源泉徴収税額と退職所得控除後の所得税を比べて、後者の方が低い場合が還付対象です。多くの場合、退職所得控除を受けた方が有利なため、手続き漏れのないように注意しましょう。

4-3. 非居住者に退職金を支払うとき

退職所得申告書は、退職金を受ける国内居住者のみに義務づけられています。そのため、海外に在住する従業員に退職金を支払う場合、同届出の提出義務はありません。

また、国内支店と海外支店に勤務歴がある従業員に退職金を支払うときは、国内の勤務期間分にのみ、所得税として20.42%の源泉徴収がおこなわれます。

しかし、これでは税制上非居住者が不利になるケースもあるため、国内居住者と同様の税額計算の適用も可能です。このように、非居住者の選択により所得税額を計算できる制度を「退職所得の選択課税」といいます。

同制度は、非居住者の勤務期間や居住した国や地域により、有利となる選択が異なるため、それぞれ確認が必要です。また、所得控除が適用できなくなるなどの注意点もあります。

もし、海外居住歴のある従業員に退職金を支払う際は、退職所得の選択課税制度についても案内するとよいでしょう。

5. 退職所得申告書は退職者の不利益にならないようしっかり理解しておこう

書類を眺める老夫婦

退職金にも所得税はかかりますが、退職所得申告書の提出により、退職所得控除が適用されます。提出は所得税法義務づけられているため、従業員には提出漏れのないように案内しましょう。

なお、万が一提出しない従業員がいた場合には、20.42%の源泉徴収をしなければなりません。手続きを忘れても、確定申告をすれば、退職所得控除が適用された場合の所得税額との差分が還付されます。しかし、退職所得申告書を提出した方が課税退職所得を抑えられるので、退職者が不利益にならないようしっかりと周知してあげましょう。

会計の基本は「勘定科目」と「仕訳」
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