反対仕訳とは?実施する場面や仕訳方法をわかりやすく解説
更新日: 2025.1.31
公開日: 2023.1.24
jinjer Blog 編集部
反対仕訳とは、既に処理をした仕訳と逆の仕訳をおこなうことです。仕訳の修正や訂正、返品や値引き処理などで利用します。
本記事では、反対仕訳とは何か、実施する場面や仕訳方法を解説します。
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1. 反対仕訳とは?
まずは反対仕訳がどのような処理なのか、例を用いて解説します。反対仕訳が必要な理由も併せて確認しておきましょう。
1-1. 借方と貸方を逆にしておこなう仕訳
反対仕訳とは、以前おこなった仕訳と借方・貸方の勘定科目を逆にして処理する仕訳のことです。逆仕訳や取消仕訳、訂正仕訳と呼ぶこともあります。なお、金額を変更するかどうかは、訂正か返品かなど、取引内容により異なります。
反対仕訳をおこなう目的は、過去の仕訳を取り消したり、再振替処理をしたりすることにあります。
具体例を挙げると以下のとおりです。
【例】
以下の仕訳に間違いがあったため、反対仕訳が必要になった。
(借方) | (貸方) |
現金 200,000円 | 売掛金 200,000円 |
上記の反対仕訳をすると以下となります。
(借方) | (貸方) |
売掛金 200,000円 | 現金 200,000円 |
上記のように、借方と貸方の勘定科目と金額をそのまま入れ替えましょう。
1-2. 反対仕訳が必要な理由
通常、仕訳をするときは、間違えたからといって過去の仕訳を消しゴムで消したり、データを削除したりなど、物理的に消去して書き直したりするなどの作業はおこないません。
反対仕訳は取引が実際に発生している返品の対応などにも必要になるため、過去に遡って取引内容自体を修正してしまうと、取引自体がなかったことになったり、最初の金額がわからなくなったりします。これでは取引の流れが把握できなくなってしまうでしょう。
どのような流れの取引だったのかを把握し、何らかの問題や履歴の提出が求められた際に対応できるように反対仕訳という方法が必要なわけです。
2. 反対仕訳を実施する場面
反対仕訳を実施する場面は、単純に仕訳内容を間違えたときだけでなく、返品時なども該当します。どのようなケースで反対仕訳が必要になるのか、一つひとつ確認していきましょう。
2-1. 訂正や修正
単純に仕訳をする際に金額の入力を間違えてしまった際に、訂正や修正をおこなうために反対仕訳をすることがあります。人の手で入力をする以上、注意不足や勘違いによる間違いは必ず発生します。そのため、訂正や修正時の反対仕訳はよくある処理のひとつです。
- 借方と貸方の勘定科目を間違えた
- 2,000円と記載するところを20,000円としていた
- 勘定科目の「仕入」と「買掛金」を間違えた
上記のように、一般的に起こりうる間違いの修正や訂正で実施します。
なお、決算時に間違いが見つかった際にも反対仕訳をすることになりますが、その場合は「決算整理仕訳」と呼ばれます。
2-2. 商品の返品
仕入れた商品を返品したり、販売した商品が返品されたりしたときも、反対仕訳をして戻り分の取消を帳簿上でおこないます。
一度販売したものが戻ってくる流れを、販売時とは逆の処理で対応するわけです。
なお、返品の際は、借方と貸方の勘定科目は入れ替えるものの、金額は返品された分のみになります。修正や訂正の際は入力した内容をそのまま逆にしますが、返品の際は帰って来た品物の金額分のみを反対仕訳しなければなりません。
誤って全額を反対仕訳処理してしまうと、大きな間違いに発展するため十分に注意しましょう。
2-3. 商品の値引き
返品や返金だけでなく、値引きの際も反対仕訳で処理するケースもあります。
値引きの場合、「仕入値引」や「売上戻」など、別の勘定科目を使って処理するケースも多いです。原則として、同じ種類の仕訳は過去の勘定科目に合わせておこなう必要があります。
そのため、商品の値引きが発生した際は、以前はどのように処理をしたか確認してから実施しましょう。反対仕訳で処理をしている場合は反対仕訳で、その他の方法で処理をしている場合はその方法に合わせて処理をしてください。
商品の値引きは必ずしも反対仕訳で処理するものではないと覚えておきましょう。
2-4. 再振替仕訳
再振替仕訳とは、期末で実施した費用や収益の繰り延べ分を翌期首で再振替する処理です。
たとえば、保険料を3年分前払いすると、当期分の費用だけでなく、翌期、翌々期分の費用も当期に計上されます。これでは、会計上誤差が生まれるため、当期分の費用のみ控除し、残りは翌期に繰り延べる処理をおこないます。これが、費用や収益の繰り延べです。
翌期以降に繰り延べられた費用は費用科目のまま管理されるのではなく、資産の勘定科目として計上されます。そのため、時期が来れば、また1年分を費用として戻さなければいけません。
このように、まとめて支払った費用を一度資産に計上し、また該当年度に費用に戻す作業を再振替仕訳といい、おこなうためには反対仕訳が必要です。
3. 反対仕訳の処理方法
反対仕訳は難しい処理ではありませんが、慣れていないと混乱することがあります。実際に反対仕訳をする際の方法をケース別に例を用いて解説します。
3-1. 訂正や修正の処理
仕訳の内容に間違いが発覚し、訂正が修正が必要になったときは以下のような流れで対応します。
- 間違った仕訳の反対仕訳をする
- 正しい仕訳をする
- 1と2を合算し重複する勘定科目を相殺する
【例】
先日の取引で、商品10,000円を現金で仕入れていたのに、誤って売掛金と記録していため修正する。
現在の帳簿の状態
(借方) | (貸方) |
仕入 10,000円 | 売掛金 10,000円 |
上記の反対仕訳をおこないます。
(1)間違った仕訳の反対仕訳をする
(借方) | (貸方) |
売掛金 10,000円 | 仕入 10,000円 |
(2)正しい仕訳をする
商品を現金10,000で支払い仕入れたため、正しい仕訳は以下のとおりです。
(借方) | (貸方) |
仕入 10,000円 | 現金 10,000円 |
(3)1と2を合算し重複する勘定科目を相殺する
(借方) | (貸方) |
売掛金 10,000円 | 仕入 10,000円 |
(借方) | (貸方) |
仕入 10,000円 | 現金 10,000円 |
上記を確認すると、「仕入」が重複しているため、相殺すると以下となります。
(借方) | (貸方) |
売掛金 10,000円 | 現金 10,000円 |
上記が修正仕訳です。
修正前の「現在の帳簿の状態」と「修正仕訳」を見比べると、「売掛金」が重複しており相殺されるため、結果、正しい帳簿に書き変わります。
3-2. 商品返品の処理
仕入れた商品と売り上げた商品の返品方法は以下のとおりです。
【仕入戻りの例】
商品1,000円分を現金で仕入れたが、品違いがあったため500円分を返品した。
- 仕入時の仕訳
(借方) (貸方) 仕入 1,000円 現金 1,000円 - 仕入の取消
(借方) (貸方) 現金 500円 仕入 500円
【売上戻りの例】
商品1,000円分を現金で販売したが、品違いがあり500円分返品された。
- 売上時の仕訳
(借方) (貸方) 現金 1,000円 売上 1,000円 - 売上の取消
(借方) (貸方) 売上 500円 現金 500円
なお、返品時の反対仕訳では、金額は返品分のみとなるため注意しましょう。
3-3. 商品の値引き処理
仕入値引きと売上値引きの方法は以下のとおりです。
【仕入値引きの例】
1,000円分を掛けで仕入れた商品について、300円の値引きがあった。
- 仕入時の仕訳
(借方) (貸方) 仕入 1,000円 買掛金 1,000円 - 値引き時の仕訳
(借方) (貸方) 買掛金 300円 仕入 300円
なお、借方勘定科目を「仕入値引」として処理する方法もあります。
【売上値引きの例】
1,000円分の商品を掛けで販売したが欠損があったため、300円値引きした。
- 売上時の仕訳
(借方) (貸方) 売掛金 1,000円 売上 1,000円 - 値引き時の仕訳
(借方) (貸方) 売上 300円 売掛金 300円
上記も借方勘定科目を「売上戻」として処理する方法もあります。
3-4. 再振替仕訳の処理
再振替仕訳では、以下のように費用の繰り延べなど、期末におこなった仕訳を翌期首に振り替えます。
1期3月31日
(借方) | (貸方) |
前払費用 ×××円 | 支払費用 ×××円 |
2期4月1日
(借方) | (貸方) |
支払費用 ×××円 | 前払費用 ×××円 |
なお、前払費用とは前払家賃、前払利息、前払保険料などを指すため、それぞれ適切な勘定科目に置き換えましょう。また、再振替仕訳は前受収益でも発生します。
4. 反対仕訳が必要な場面と処理方法を理解して正しく対応しよう
反対仕訳とは、先におこなった仕訳の借方と貸方の勘定科目を入れ替えておこなう仕訳です。これにより、仕訳の訂正や返品などに対応できます。
なお、会計システムによっては、反対仕訳がマイナス表示になるなど、仕様が若干異なるケースもあります。また、会社によっては、反対仕訳ではなく、別の勘定科目を用いて処理するケースもあるため、それぞれ事前に確認しましょう。
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